巨人の村の娘は人間   作:UMI0123

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インペルダウン

 ――三大機関、インペルダウンLEVEL6

 

 創造海賊団の襲撃による騒ぎは表向きには存在しないものとして扱われているLEVEL6(レベルシックス)にも届いていた。

 そんな騒ぎはLEVEL6を担当しているシリュウの耳にも当然届いている。戦闘狂であるシリュウは上の階で創造海賊団と戦うために上へと登ろうとしたが、監獄所長であるマゼランによって止められてしまった。

 

『お前の任務はLEVEL6の監視だ。創造海賊団はおれが直々に始末する』

 

「……なにが監視だ!退屈な仕事を押し付けやがって……」

 

「ムルンフッフフあたしたちが相手をしてあげてもいいのよ」

 

「……一応おれも看守長なんだ。理由がなきゃ開けない」

 

「かたいわね」

 

 シリュウとしても一応は看守長としての立場を貰っているので訳もなく囚人を逃がすことは自身のプライドは許さなかった。そう、()()()()()()()()()()……。

 

「あれ〜?てっきりシリュウも上に登っていると思ってたんだけどな」

 

「……お前はディアンヌだな。15億の賞金首お前なら楽しめそうだ」

 

「僕としては楽しむつもりなんてないんだけどなぁ〜……まあ邪魔するって言うのなら戦うしかないよね!!」

 

 ディアンヌは楽しむつもりは無いと言っているが口角を上げていた。ディアンヌは覇気を纏った攻撃でシリュウ目掛けて殴りかかった。

 そして何故最下層であるLEVEL6の監獄にディアンヌがこんなにも早く現れたのかは十分程前に遡る必要がある。

 

 

 

 ――十分前、インペルダウンLEVEL1

 

「入口に居た看守は弱かったから簡単に入れたけど……LEVEL6まで行くにはマゼランとシリュウが居るんだよね」

 

「ディアンヌ様なら倒せるのでは?」

 

「無理言わないでよタナカさん。僕でも大将クラスの二人を相手には勝てるか分からないよ」

 

 監獄署長であるマゼランはもちろんのこと看守長である雨のシリュウも現大将達とほぼ同じ実力を持っている。

 そんな二人を相手に善戦までは出来るもののその後の海軍本部から派遣される将校に対抗する体力を残すことは出来ないので戦うとしても一人までだ。

 

「お前はおれ一人で倒させてもらう。創造のディアンヌ」

 

「ここは任せるよマーリン。タナカさん僕を下に送って!!」

 

「了解です」

 

「逃がすと思ってんのかァ!!“毒竜(ヒドラ)”」

 

 タナカさんによってインペルダウンにLEVEL1からLEVEL6までの穴が開けられた。

 だがマゼランは誰一人と逃がすつもりはない。そんなマゼランは自分の体から少量でも死に至らしめる麻痺性の神経毒の塊で出来た三つ首の竜を生み出した。そしてその竜をディアンヌが降りようとしている穴へと操った。

 

「僕はそこそこ能力を鍛えてるから人工物でもある程度なら操れるんだよね。“創造(クリエイション)”」

 

 ディアンヌによって創られた壁はマゼランと創造海賊団を遮っていた。マゼランは壁を壊すような能力は持っておらず、為す術なかった。

 しかしディアンヌが穴へと降りるとその壁は元の地面へと戻っていった。マゼランの前に立つのはマーリンを筆頭とした創造海賊団の幹部数名とタナカさんだった。

 

「貴方の血は毒があってピリッとしてそうだ。……でも毒は嫌いだから吸いに行くのは難しそうだな……血を流して私に味わわせてくれ。“嵐脚・血染”」

 

「嵐脚程度でおれにダメージを与えられると思うな!“毒フグ”!!」

 

 マーリンは血によって赤黒く染まった嵐脚を放った。それに対してマゼランは大きく息を吸い込んだ後に毒の塊を吐き出した。二人の技がぶつかるとマゼランの“毒フグ”は大きく弾けインペルダウンLEVEL1広範囲へと神経毒が降り注いだ。二人の戦いを遠くから見ていたLEVEL1に収容されている囚人達にも毒液は降りかかり囚人達からは阿鼻叫喚の声が聴こえていた。

 しかしマーリンの嵐脚も勢いが衰えることはなく、マゼランの体に大きな傷をつけることとなった。マーリンの嵐脚は元々の膂力に加えて鍛えてきた武装色の覇気、そして自身の能力によって操った血を纏わせることによって普通のCP(サイファーポール)が使う嵐脚とは一線を画す威力となっていた。

 

「この程度の攻撃痛くも痒くもないわ!!」

 

「あら、だいぶ大きな傷だけど痛くも痒くもないなんて凄いわね。なら今度は突き刺してあげる。突き刺され“大血弓(だいけっきゅう)”……血月(ブラッドムーン)

 

 マーリンは自身の血によって作り出した長弓に血によって作り出した矢を番えた。そして矢に武装色を流した。血と覇気によって赤黒く染まった矢はマゼランへと放たれた。

 鏃の捻れによって段々と回転していく矢はマゼランとて当たれば少なくないダメージを負うこととなる。それを分かっているマゼランは避けるという選択をとった。

 

「ここは私の仕事だ」

 

 

 

 ――LEVEL6

 

「案外弱っちいのかな?」

 

「はぁはぁ……この程度で舐められっちまったら困るな」

 

 シリュウはディアンヌの攻撃によって壁まで吹き飛ばされた。シリュウは立ち上がり自身の刀へと覇気を流し直して立ち上がった。

 それに伴いディアンヌも拳に壁から鉄を奪い、グローブのように装着して更にその上から覇気を纏い戦闘態勢を採った。

 

「飛ぶ斬撃・霧雨」

 

「そんな弱っちい斬撃が幾つ飛んで来ても効きはしないよ」

 

 シリュウが刀を振り下ろすと無数の小さな斬撃がディアンヌへと降り注いだ。ディアンヌは自分へと向かってくる斬撃達を鉄と覇気を纏った拳をぶつけることで全て相殺した。

 そして自分の両手に纏った鉄を大槌に変化させた。その長さをものともせずに巧みに操りシリュウの横っ腹へと振りかぶった。シリュウも覇気を流した刀で防御をしたが勢いを殺しきることは出来ずに吹き飛ばされてしまった。

 しかしそのロングリーチから放たれる攻撃を避けるのは難しく、もし避けようとして直撃を食らってしまったら肋骨が折れることは確実だった。そのため防御するのが最善の策であったのは間違いがなかった。

 

「ウっ……だいぶ痛てェじゃねェか。……だがこんな滾る戦いは……久しぶりだ」

 

「僕は君相手じゃあ滾りそうにないよ。滾る相手ってのはもっと四皇とかの殺気で肌がピリつくような負ける可能性の方が高い相手じゃないとね」

 

「……滾らせてやる!奥義“極雨”!!」

 

「いくらやっても無駄だって言うのに強情なんだから……でもまあそっちの方が面白いからいいけどね」

 

 シリュウは愛刀“雷雨”に今までで一番の覇気を流してディアンヌへと刀を振り下ろした。

 ディアンヌは大槌から小回りの効く刀に変形させてシリュウの刀を受け止めた。その衝撃は周りへと斬撃となって飛んでいき囚人達のいる牢屋に傷を付けた。

 

「やっぱりインペルダウンの二枚看板は伊達じゃないね。残虐性のある性格じゃなかったら勧誘していたよ」

 

「……おれ自身は残虐性があると思ってはいない。ただ戦闘が好きなだけだ」

 

「なに?僕に勧誘して欲しいの?」

 

「……少しは考えたが、お前に着いて行ってもおれが楽しめるようなことは起こらなそうだからな。そして説明したのはおれの性格を勘違いされて認識されるのは仕事をしていく上で邪魔になるからだ」

 

 こう話している間もシリュウは一切気を抜くことはしていなかった。そのためジワジワと体力を削っていた。それは自分とディアンヌの実力に差があることを分かっているからだ。シリュウは自分より弱いことがわかっているのでディアンヌはリラックスしていた。

 しかし不意打ち攻撃が効くような隙は一切見せておらず、そこからも彼女の実力の高さが見受けられた。

 

「……聞いてなかったがどういう目的でインペルダウンを襲撃した」

 

「同盟締結の条件でね。ドレスローザを襲撃したザイスを助けなきゃいけないんだよね」

 

「なんだと?それだけの為にここを襲撃したのか」

 

「まあそれだけじゃないんだけどね。三大機関を全て襲撃して政府の良いように首を切られた復讐でもしよっかなって思ったんだよね。丁度シキもマリンフォードに因縁があったみたいだからさ」

 

 ディアンヌの言葉にシリュウだけではなくLEVEL6の囚人達も絶句していた。それは七武海の席から降ろされたというだけで政府の主要施設である三大機関に襲撃を仕掛けるなど普通の海賊では有り得ない行動だった。それをやってのけるディアンヌもまた四皇たちと同じような頭のおかしな海賊の一人なのだろう。

 

()もそろそろ飽きて来たから終わらせてあげるよ」

 

「なんだと?」

 

 ディアンヌは巨人の姿へと変化していった。“嫉妬の巨人”という名前ながらもその姿は誰もが羨む圧倒的な力を持ち、巨体でも可愛らしく見える顔、そしてスラッとしたスタイルをしていた。誰かを嫉妬するどころか誰からも嫉妬される巨人がそこには居た。

 

「やっぱりこの姿になったら狭いね。まあすぐ終わらせるから少しの辛抱かな?」

 

 ディアンヌはその巨体からは考えられない速さでシリュウの事を殴った。その重さと速さから放たれる拳はシリュウのことを吹き飛ばした。その威力はインペルダウンLEVEL6の囚人達を捕らえるために頑丈に造られた壁を凹ませる程だった。

 そのまま追い打ちをかけるために一瞬でシリュウの目の前へと移動した。そして殴るために腕を振りかぶったが……。

 

『ブルルル……ブルルル……ブル、ガチャ。こちらキャンドラーだ。こっちはエニエス・ロビーを半壊にしたぞ』

 

「報告ありがと。こっちももうすぐ終わるからあそこに戻っておいて」

 

『ああ、開発を進めておく。ちなみに黄猿はこっちに来ていたから、そっちには少なくとも大将が一人以上は向かっている筈だ早めに終わらせておけ』

 

「忠告ありがと。でもまあ大将が来るのは想定していたから一応策は練ってあるから大丈夫だと思うけど……」

 

「おれのことは放置か」

 

 ディアンヌがエニエス・ロビー襲撃を終えたキャンドラーとの会話に夢中になっていた隙を着いてディアンヌの腕を斬りつけた。覇気を纏っていたのでダメージは少なかったが不意打ちを食らってしまいシリュウを拘束していた左腕を離してしまった。

 

「女の子の体を斬りつけるなんて酷いね。まあ戦闘中の怪我は仕方ないと思うけど不意打ちで食らった傷はちょっと悲しいよ。これはお仕置が必要かな」

 

 ディアンヌは今まで本気を出していなかった。彼女はとあるラインで自分の出す力を変えている。それは覇王色を纏えるかどうかである。

 相手がカイドウや白ひげ、ビッグ・マムなどの覇王色を纏える猛者たち相手にはディアンヌも本気を出す。しかし覇王色を纏えない、そもそも覇王色を持っていない者に対してはディアンヌが本気を出すことは無い。それは何故か、相手を基本的に見下しているからである。自分が本気を出したら可哀想、一瞬で勝負がついて面白くないと思っているため本気を出さない。しかしそんな格下相手にも本気を出すことがある。それは仲間の危機である時、そしてキレた時である。

 ディアンヌはキレても表情に出したり、冷静さを欠いたりすることは無い。しかしその怒りは彼女の覇気に現れる。感情の昂りによって通常時に武装色を纏う感覚で覇王色を纏ってしまう。彼女も戦士であり女性なのだ。戦闘中での傷でキレることはないが、不意打ちで傷をつけられたのならキレても仕方の無いことだった。

 

「お仕置だから逃げないでよね」

「逃がすつもりなどないのは分かりきっている」

 

「私は速いよ」

 

 シリュウは避けるのを諦めて見切って受け流すことに集中した。しかしディアンヌの攻撃はシリュウの動体視力を遥かに超えていた。シリュウの目の前へと一瞬で移動したディアンヌは力を受け流そうと刀を上げようとするシリュウへと無慈悲な一撃を顔へと叩き込んだ。叩き込んだと言っても顔に当たった訳では無い。覇王色の覇気を纏った攻撃は相手に触れることなくダメージを与えることを可能とする。もちろん当たっていないからと言ってダメージが減るなどということは起こらない。それどころか武装色の覇気では歯が立たない程の威力を誇る。

 武装色の覇気で防御したシリュウだったが圧倒的威力を誇る覇王色の覇気を纏ったディアンヌの攻撃によって一撃で気絶してしまった。

 

「ふぅ、久しぶりにキレちゃった。まあキレる前はいい勝負が出来たし少しは楽しめたよ」

 

「いい試合だったわ」

 

「君は確か……“史上最悪の女囚”若月狩り(みかづきがり)のカタリーナ・デボンだったよね。まだ若いのに凄いね」

 

「貴女のような大海賊に言われたくないけど……ちなみに私を連れて行かない?」

 

「まあ戦力は欲しいけど君の“若月狩り”って異名は美女たちの首を集めてるからなんでしょ?私は部下から首を狙われる続ける胆力はないかな」

 

 カタリーナ・デボンが22歳という若さでLEVEL6の囚人となったのは彼女が連続殺人犯だからである。美への執着が人一倍あり、自分より美しい女性を殺害しその首をコレクションしているという点で残虐性の高さが伺える。

 また実力も他のLEVEL6の囚人たちにも負けないものを持っている。動物(ゾオン)系の幻獣種という珍しい力に色々な武器を使いこなせる器用さ、しっかりと極めた覇気。これらを加味して彼女は22歳という若さでLEVEL6に収監されることとなった。

 

「……でも貴女は美人じゃないわよ」

 

「……どういうことかな?」

 

 デボンの美人じゃない発言にキレてはいないもののその額には青筋を浮かべていた。しかし返答次第では地面を操りデボンを牢屋ごと潰す準備は出来ていた。

 

「だって貴女は可愛い系だもの」

 

「あら、ありがと。……おだてても連れていく訳にはいかないよ。私の目的はザイスだけだもの」

 

「あら残念」

 

 ディアンヌはデボンの牢獄の前から去り、ザイスの牢獄を目指した。ザイスは新入りなので入口から離れた所にいると予想したディアンヌだったが、その予想は見事に的中し、ザイスは入口から一番遠い牢獄の中に収監されていた。

 

「騒がしいと思っていたが何の用だ。創造のディアンヌ」

 

「君を助けに来たと言ったら?」

 

「笑わせるな。おれはてめェのドレスローザでの権力を全て奪った男だ。そんな男を助ける奴がどこに居やがる」

 

「僕たち創造海賊団と金獅子海賊団が海賊同盟を結んだと言ったら?」

 

「なに?」

 

 証拠を見せるために世界経済新聞の一面に載ったディアンヌとシキが写った写真と海賊同盟の文字をザイスに見せて自分に着いてくることを納得させた。

 タナカさんによって開けられた穴はもう閉じてしまっている。そのため二人全てのLEVELの階層を通って上層階に行かなければならないのだが二人の実力を持ってすれば簡単に突破することが出来る。しかし地形を突破したとしても厄介な相手が居る。それは動物系の覚醒者である獄卒獣たちだ。獄卒獣たちが厄介なのは強いからだけでは無い。獄卒獣たちを倒すには時間がかかるからだ。動物系の覚醒者特有の異常なタフさと回復力を持っているため持久戦にもつれ込んでしまう。これが普通の人が相手の場合は……。

 

「僕が牛とコアラを倒すから残りはザイスが頼むね」

 

「おれに命令するな」

 

「牛ちゃんとコアラちゃんかかっておいで」

 

 人としての理性がほぼ残っていない獄卒獣二体はディアンヌの挑発に簡単に乗った。牛の獄卒獣であるミノタウロスはその巨体からは想像できないスピードでディアンヌの前へと現れた。そのまま右手に持つ金棒を振り下ろした。コアラの獄卒獣であるミノコアラはミノタウロスとほぼ同じスピードでディアンヌの横に移動した。そしてメリケンサックを付けた拳でディアンヌの体を叩きつけた。

 

「やっぱり手応えないね」

 

 

 

 ――創造海賊団ナワバリのとある島

 

 この島はディアンヌとキャンドラーがドレスローザに入国してまもなくの頃にナワバリとして占領した。

 そこそこに大きいこの島だが、島の面積に対して人が暮らす範囲は島の入口にある小さな港を中心に10数軒の建物が建つ位しか居住区が造られていないので創造海賊団は放置して来た。

 この場所にも使い道はあった。この島の殆どは人の手が加わってない広大な森林が広がっている。そのためこの場所は若手たちの訓練場として使われている。

 今この場所にやって来ているのは三大機関襲撃に加わっていないマーリンの専属執事から六傑となった今でも執事服を着ているアーサーと着物とディアンヌに似た服を身に付ける二人の子供だった。二人の子供はまだ幼いながらも才能の片鱗を見せる創造海賊団の有力株である。

 

「ディアンヌ様に修行を頼まれたのでまずは実力を見せてください」

 

「私から行きます!!」

 

 アーサーの言葉に最初に反応したのは着物を来た青緑色の髪を持つ少女だった。その身に不相応なサイズの刀を二本鞘から抜きアーサーへと斬りかかった。

 彼女はアーサーとの実力差を理解しているので一切の手加減をせずに刀を振り下ろした。アーサーは腰にある剣を抜くことも無く腕に覇気を流して刀を受け止めた。

 

「ふむ……そこそこに重いですが、それだけですね。そんな攻撃ではカイドウに傷を付けるどころか飛び六胞にすら傷は付きませんよ」

 

「はぁはぁ……私まだ子供ですよ」

 

「ディアンヌ様は子供の時にCP(サイファーポール)を殺してますよ」

 

 ディアンヌの過去についてはマーリンを通してある程度のことなら知らされていた。しかし殺している事実を知っているだけで何故殺すに至ったなどは聞かされていない。そのためCPが複数の巨人相手に戦闘を行いだいぶ疲労が溜まっていたことは知らなかった。

 

「それにマロナ様を見てください。貴女より小さいのに剣を振り回して降ってきた木の葉を切り刻んでますよ」

 

「……マロナとは才能が違うから」

 

「……才能ですか……聞きたいのですが、貴女の言う才能とはなんのことですか?血統、覇気……他になにかありますか?」

 

「……」

 

「何も言えませんよね。だって貴女はマロナ様と同等の血統を持ち、マロナ様と同じように三種類の覇気を持ち合わせている。そんな才能を持ちながら何が才能ですか」

 

 アーサーに説教された日和だったが子供特有の不貞腐れるなどはしなかった。日和が大人びているのもあるが、一番は説教の内容が確かにそうだったからだ。日和には光月おでんという偉大な侍の血が流れ、まだ10と少ししか歳を重ねていないのに三種類の覇気を持ち合わせていることが確認されていた。そんな才能を持ちながらマロナ才能のことを僻むなど侍の娘としてあってはならない事だった。

 

「そろそろ体力も戻ってきた頃でしょう。修行を再開しますよ」

 

 アーサーが言い切る前に日和は走り出した。おでんから引き継がれた天羽々斬とディアンヌから渡された刀を強く握った。日和の顔からは影が消えていた。彼女の顔は打倒カイドウを目指して強さを目指す侍の顔をしていた。

 

 

 ――聖地マリージョア

 

 “赤い土の大陸(レッドライン)”に存在するマリージョアは天竜人たちが住まう聖地である。そんなマリージョアの入口である赤い港(レッドポート)の先にあるパンゲア城。ここは四年に1度行われる“世界会議(レヴェリー)”の会場である。

 そんな政府要人を集めるパンゲア城に住まう者たちが居る。それは世界政府最高権力“五老星”である。

 

「……政府三大機関を襲撃など想像もしていなかった」

 

「スパイは何をしていたのだ!!」

 

「彼女曰く今回の襲撃は六傑にも伝えられて居なかったそうだ。こんな重大事件を実力だけで幹部になった者に伝える程、奴も馬鹿ではないということだろう」

 

 創造海賊団が何か事件を起こすと考えた五老星はスパイを創造海賊団が勢力を拡大し始めた頃に送った。やがて幹部の席を取るまでに創造海賊団内での地位を上げた。しかしディアンヌは古参メンバーである三英までにしか情報を漏らしていなかった。そのためスパイとしての仕事は失敗に終わっていた。

 

「七武海に着任した時秘密裏に消していればここまで悩まされることもなかった筈だ」

 

「それ以前にあの悪魔の実は名前を変えたあの実と同じで異質だ。何故名前を変えなかったのか……」

 

 五老星は三大機関襲撃という重大事件を引き起こした主犯ディアンヌの悪魔の実について語っていた。彼女の悪魔の実は“動物系”幻獣種でありながら他のものに干渉している。有名な幻獣種と言えば不死鳥(フェニックス)が挙げられるが、自然系(ロギア)のような不死性を持ち合わせているが、あれは“動物系”特有の体の変化の範疇である。

 しかしディアンヌの“嫉妬の巨人(サーペント・シン)”はまるで“超人系(パラミシア)”のように自分以外にも影響を与えるている点が異様なのだ。

 

「能力からして“ツチツチの実”とでも名付けておけば……」

 

「“ツチツチの実”は他に存在している。()()()()()()()()()。名前を変えていたら悪魔の実の法則に矛盾が生まれてしまう」

 

「我々に出来ることは……“CP(サイファーポール)AIGIS(イージス)(ゼロ)”に命令することだが……彼らには荷が重過ぎる相手だ」

 

「来る時まで放置するしかないだろう……」




ディアンヌ→ルフィの悪魔の実が実際の名前と違っていたので最初のアンケートで悪魔の実の名前でツチツチの実が勝っていたら物語の流れが変わっていたかもしれません
マゼラン→能力が強すぎる
シリュウ→雨のシリュウと呼ばれているので技名を雨に結び付けました。原作開始より10年前で居るかどうか分からなかったのですがシリュウが居ないと圧倒的にインペルダウンが戦力で負けるのでいることにしました
日和→何故閻魔ではなく天羽々斬を持っているかというと使うことを考えたら閻魔はゾロでも使いこなすのが難しいので、戦うことを望む日和に使いやすい天羽々斬が渡されました。原作でも花魁として人を引き付けていたので覇王色の覇気があってもおかしくないと思いました
マロナ→おでんと同レベルの実力を持つ者の子供です

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