巨人の村の娘は人間   作:UMI0123

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二人の大将

 インペルダウン入口近海では、創造海賊団の“団長”ディアンヌと海軍本部の“大将”サカズキの戦いが続いていた。

 その姿を“三英”のテゾーロと“大将”クザンが静観していた。テゾーロとしてはクザンを二人の戦いに乱入させないために気を引き締め続けていたが、クザンはそんなつもりは一切なくただ昔戦った相手が何処まで成長しているか知るために静観していた。

 

「まだ警戒してんのか?……仕方ねェ少し手合わせでもするか」

 

「――っ!この島では私が支配者だ」

 

 青キジがそう言うと、地面に触れている脚を中心に地面が凍って行った。

 テゾーロは船の動きを止められた際に青キジの能力の強さを知ったので逃げる選択を採った。ゴルゴルの実の能力によって完全に掌握した黄金で殆どが出来ている“グラン・テゾーロ”はテゾーロが直接触れなくとも操ることが出来る。近くにある人が居ない建物から黄金を引っ張って自分の足場を上へと持ち上げた。

 

「大将を舐めてもらっちゃ困るな」

 

 テゾーロの足場を持ち上げている黄金の柱も凍り始めていた。今も足場を上げ続けているので追い付きはしないがテゾーロの操る黄金には限界がある。それに対して青キジが生み出している氷はほとんど体力を消耗しないためいつかは追い付かれてしまう。

 これは自然系(ロギア)特有のものであり身体を自然現象そのものに変化させる力の副産物でしかない。赤犬であれば身体をマグマに変化させたら周りの気温を上げ、可燃物の物が近くにあれば自然発火する。黄猿であれば周りを光で照らし、周りに居る者たちの目が眩ませる。同じように青キジが足場を凍らしているのは、氷に変化した身体から発せられる冷気により周りが氷結しているに過ぎない。

 そんな生理現象とやっていることに変わりはない攻撃相手に消耗戦で勝てるはずも無いため、テゾーロは攻撃に転じた。

 

「“黄金爆(ゴオン・ボンバ)”!」

 

「近付いて来れなきゃ攻撃は喰らわねェぞ」

 

 テゾーロは右腕に黄金を纏って攻撃しようとした。しかし二人の間には巨大な氷の壁が青キジによって生み出されて、攻撃が防がれてしまった。テゾーロの攻撃には爆発が伴い氷の壁を破壊することは出来たが、足場を動かしていた勢いはかき消されてしまった。

 青キジは海賊が目の前で隙を晒しているので攻撃をしようとした。しかし元から捕まえる気はなかったためテゾーロの身体を氷結させるだけになった。

 

「じゃあな」

 

「……言葉を借りるようになって悪いと思うが……三英を舐めるな

 

「手加減しちまったか……これ以上戦うって言うのなら手加減出来ねェぞ……仕方ねェ死んでもらう」

 

 青キジが殺さないために手加減を無意識にしてしまった。そのためテゾーロの芯まで凍ることはなく覇気の力によって破られた。

 これ以上手加減をすると負ける可能性も出てくるので仕方なく青キジは本気で戦うことにした。本気で潰すつもりとなった青キジは自身の周りに氷で出来た槍を十本生み出した。

 

「“アイス(ブロック)”……両棘矛(パルチザン)

 

「黄金の力は氷程度では止まらない」

 

 自分に向かって飛んでくる槍に地面から生やした黄金で出来た触手をぶつけて破壊した。その触手たちは両棘矛を破壊した勢いのまま青キジの身体を貫いた。

 もちろん黄金の触手一つ一つに覇気を流している。どんな力を持つ者でも覇気の力によって身体を貫かれれば大きなダメージを受けることとなる。覇気は覇気によって防ぐことは可能だ。しかしいくつもの触手を防ぐには全身に覇気を流す必要がある。だが青キジは武装色をそこまで極めていなかったため全身を貫かれていた。

 

「……手応えを感じなかった。……だいぶ見聞色を極めているようだ」

 

「これでも大将なんでねェ。そっちこそ、この量の触手全部に覇気を流すなんて相当な覇気じゃねェか――っ!」

 

「“(ヘッド)”……破壊(クラッシュ)”!!

 

「どういうつもりだダイス!」

 

 巨大な戦斧を持った巨漢の男が突然地面から現れた。地面から人が現れるなど思ってもいなかった青キジは不意を突かれ覇気を使った攻撃を受けてしまった。

 テゾーロの直属の部下である巨漢の男ダイスは武装色の覇気によって黒く染った頭で青キジに頭突きをお見舞した。

 

「それは私から。“ボトムレス・ヘル”!」

 

「あらら〜、こりゃあ一本取られちまった」

 

 ダイスによる不意打ちの攻撃に青キジが怯んでいる隙に地面に海まで落ちる巨大な穴が開けられた。テゾーロでも黄金で出来たこの船なら穴を開けることは可能だが、これはグラン・テゾーロの警備主任であるタナカさんのヌケヌケの実の力によるものだった。

 海まで直結している穴に落ちた青キジ。彼は能力によって海に直接落ちることは無いが、塞がってしまった穴をこじ開ける火力は青キジにはないため、テゾーロの前に舞い戻ることは不可能に等しかった。

 ダイスやタナカさんがテゾーロの命令なく行動することは無いが、今回は特殊な事情があった。

 

「キャンドラー様から大至急戻るように連絡がありました」

 

「……団長をどうするか聞いているか?」

 

「ディアンヌ様は置いていっても構わないそうです」

 

「……ステューシーを呼んでこい。あいつに連絡係を任せる」

 

「かしこまりました。するるる」

 

 タナカさんはステューシーを呼びに行くため能力を使い地面に消えていった。目の前からタナカさんが消えたテゾーロはダイスを引き連れてホテルへと帰って行った。

 

 

 

 ディアンヌと赤犬の戦いは、ディアンヌ優勢で進んでいた。能力は巨人になることしか使えないディアンヌだが覇王色の覇気の力によってその差は埋められていた。それどころか武装色の覇気を使っている赤犬では、覇王色の覇気を纏った攻撃をしてくるディアンヌの攻撃を止めることが出来なかった。

 本来だったらディアンヌの覇王色の覇気から生き残った将校たちも加勢してディアンヌが多勢に無勢になるはずだったが、赤犬の悪魔の実の力によって飛び散るマグマはそこそこの力しか持たない将校たちには致命傷にもなりうるため、加勢することが難しかった。

 

「“冥狗(めいごう)”!!」

 

「マグマだろうと当たらなきゃ意味ないよ。でも優しいから受け止めてあげる」

 

 マグマに変化した手のひらでディアンヌの首に掴みかかった。常人では捉えきれない速度で動かされた腕はディアンヌなら簡単に避けることが出来たが、覇王色の覇気を纏った拳をぶつけることによって逆に赤犬ことを吹き飛ばした。

 

「大将が吹き飛ばされた!!?」

 

「……我々がやるしかないのか」

 

「……おどれらが来たところで……邪魔になるだけじゃあ!!あの趣味の悪い船を制圧しろ!!」

 

「し、しかしあの船には天竜人が」

 

「別に気にしなくて大丈夫だよ。君たち程度の実力じゃあテゾーロは突破出来ないから!!」

 

 赤犬が飛ばされたことによりディアンヌの正面に立つこととなった将校たちはディアンヌの覇気に足が竦んでなかなか動くことが出来なかった。それもそうだろう。目の前で海軍の最高戦力の一角である“海軍本部”大将が力負けしたのだ。そんな場面を目の前にして動ける海兵などそうはいない。

 赤犬は吹き飛ばされただけなので直ぐに戦線に復帰した。下半身をマグマに変化させて空を飛んでディアンヌの目の前に現れた。

 赤犬はディアンヌとの戦いでは足でまといにしかならない海兵たちをグラン・テゾーロの制圧へと向かわせた。

 

「これで本気で戦いを楽しめそうだよ!」

 

「海賊と楽しむことなどありゃあせん!!!」

 

「まあ私も君みたいな正義命みたいな人は好きじゃないけどね」

 

「人間は正しくなけりゃあ生きる価値はない!!」

 

「……天竜人をトップに置いてる時点で正しくないでしょ」

 

 赤犬の言葉にイラついたディアンヌは右腕に覇気を集中させて、赤犬の頭部を思いっきり殴りつけた。覇王色の覇気を纏った拳によって殴られた赤犬は戦艦の甲板を突き破って一番下の階まで落とされた。

 赤犬の様子を見るために前のめりになって空いた穴を覗いた。ディアンヌが覗いていると赤犬の声と共に物凄いスピードで巨大な拳による正拳突きが飛んできた。その正拳突きは赤犬が右腕をマグマに変化させて巨大化させた物だ。

 

「……これじゃあ先に船が壊れちゃうか……いっその事全部破壊しちゃおうかな?」

 

「…………“大噴火”!!」

 

「――っ!!痛ったァ!!?」

 

 赤犬と戦うために巨人の姿に変化したのが裏目に出た。見聞色の覇気によって攻撃が来ることは分かって顔を逸らしたが、赤犬との距離が短かったため右眼を掠り、右眼の周りに一生残るであろう火傷の傷を負ってしまった。

 顔に火傷の傷が出来てしまったことを知ったディアンヌは怒り、自身の悪魔の実である“ヒトヒトの実”モデル“嫉妬の巨人(サーペント・シン)”の本領発揮した。

 

「……乙女の顔に傷を付けた代償を大きいよ」

 

 ディアンヌの覚醒した力は一度掌握したインペルダウンに触れなくとも影響力を及ぼした。インペルダウンの入口の全てが巨大な数本の触手となってグラン・テゾーロに向かう海軍船に攻撃を始めた。

 海兵たちは船を壊されまいと迎撃したがインペルダウンの金属は凶悪な犯罪者たちに壊されないように丈夫だ。そんな金属の触手を大将ですらない海兵たちに破壊出来るはずもなく、船を破壊されてしまった。

 金属の触手は二人の乗る船も襲った。だが海軍の最高戦力には通用せず、赤犬はマグマに変化させた拳による正拳突きによって船にぶつかる前に金属を溶かしきった。しかし溶けた金属が高温の液体となり、船へと降り注いだ。相当な質量を持つ液体となった金属たちは甲板を溶かし、船の要である竜骨までも溶かしてしまった。竜骨を失った船はやがて沈没する。ディアンヌは狙い通り全ての船を破壊することに成功した。

 

「あとは君を殺すだけだね」

 

「ディアンヌ様!!」

 

「……何今忙しいんだけど?」

 

 ディアンヌはテゾーロの命令によって目の前に現れたステューシーに機嫌をさらに悪くした。

 

「キャンドラー様からの帰還命令です」

 

「帰還の理由とここで赤犬を殺すのだったらどっちの方が重要?」

 

「……帰還です」

 

「……そう……なら帰ろうか」

 

「海賊を……逃がすわけないじゃろうが!!!

 

 ディアンヌはステューシーの判断を信用して帰還することにした。しかし赤犬は目の前にいる海賊をみすみす逃がすような男では無い。赤犬は両腕をマグマに変化させ、巨大化させた。

 

「“流星火山”!!」

 

「船ごと焼き尽くすつもり!?」

 

「テゾーロがいる限り、あの船はそう簡単に破壊されないよ。まあ今回は私が仕留めるんだけどね。“鋼の巨人(ギガントマキア)”」

 

 赤犬は巨大になった両腕を空へと放とうとした。しかしその攻撃は巨大な手のひらによって受け止められた。

 ディアンヌはインペルダウンの触手を右腕に集め、巨大な右腕を創りあげた。そのまま手のひらを広げ赤犬の攻撃をガードした。金属だったら軽く突破出来ると考えていた赤犬だったが、その予想は大きく外れ、金属で出来た右腕全体が武装色の覇気によって包まれていた。覇気によって護られた金属は溶けることなく赤犬の拳を受け止め、そのまま赤犬を叩き潰した。

 

「運が良かったら海に落ちても生きてるよ……あ〜、青キジじゃん。絶対に生きてるの確定したじゃん」

 

「……だいぶ痛手を喰らっちまった。上は黙ってねェぞ」

 

「こっちも痛手を喰らったんだよ?……まあここからは海賊同士の抗争になるだろうから海軍には迷惑掛けないから心配しないで」

 

 今まで大きな傷を負ったことのなかったディアンヌが一生の傷を負ったのは、ディアンヌにとって大きな痛手となる。

 しかし世界政府のダメージに比べたら微量なものだ。世界政府はエニエス・ロビー半壊、マリンフォードは前回ほどではないにしても建物の多くが倒壊し、インペルダウンの傷が最も多く、インペルダウン内のシステムの多くがディアンヌによって破壊されら入口に至っては原型を留めていなかった。

 マリンフォードに向かった海軍将校数名が殺され、青キジと赤犬に着いてきた将校たちの大半がディアンヌの触手攻撃によって死亡した。海軍本部最高戦力の黄猿、青キジは策に負け、赤犬は正面からディアンヌと戦った結果敗北した。

 事実上世界政府の敗北となった三大機関襲撃事件は世界経済新聞社によって世界に新聞としてばら撒かれ、世界の海賊たちを助長させるだろう。

 

「お前らみたいな大海賊が動くだけで、こっちは調査等の仕事が沢山来るんだよ。……面倒だからやめてくれねェか?」

 

「仕事はしっかりやらなきゃ駄目だよ〜〜」

 

「言われなくとも必要最低限はやるさ……面倒事はこれっきりにしてもらいたいが……無理だろうな」

 

「よく分かってるじゃん。次会った時は……革命でも起こすかもね」

 

「厄介なこった」

 

 ディアンヌとステューシーは少し先に進んだグラン・テゾーロに戻って行った。

 二人の後ろ姿に青キジは見向きもせず赤犬を含め息のある海兵たちを海を凍らせることによって救出した。その後は船に常備してある電伝虫を使ってセンゴクに連絡して、船を1隻要請した。

 

『インペルダウン入口崩壊、内部半壊』

 

 




クザン→殺すつもりがなかったのでテゾーロと互角でしたが、本気ならテゾーロとその部下たちを全員相手取っても勝ちます
テゾーロ→武装色はそこそこですが、見聞色が少し弱いです
ダイス→武装色は強いです
タナカさん→どんな強力な人でも能力者なら海に落とせば勝ちなので、空を飛べない能力者は負けます
赤犬→マグマ強過ぎます
ディアンヌ→彼女の能力の片鱗が見えましたね。ちなみにバレットに近い事ができます。カイドウやビッグマムみたく全身に覇気を纏い続けることはまだ出来ていないので不意打ちのマグマでダメージを受けました

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