巨人の村の娘は人間   作:UMI0123

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タイトルの中将とは誰でしょうか!!


“中将”

 ――近くにいた海賊に喧嘩を売ったディアンヌとキャンドラーであったが、思っていた以上に人が多かったので時間が掛かってしまった。

 海賊同士の争いだと思った市民が海軍に通報したためすぐそばに海軍の船が来ていた。

 

「おいおい、近くまで海軍の船が来ちまってるぞ!!」

 

「うーん……喧嘩売ろっか

 

 いつかは海軍に喧嘩売ろうと思ってたし、それが今になっただけだよね……海軍の船1隻だけだから勝てるよね?まあ捕まってもどうにかして逃げれるよ。私の能力は海軍に知られてない筈だし……

 あー、でも強い海軍が乗ってたら逃げることすら難しいかも……ガープとかいう海軍の中将とかが来たらどうやっても逃げれない……。

 

「ねえキャンドラー。ガープって海兵知ってる?」

 

「当たりめェだろ!?アイツは最凶最悪の海賊“ロックス”を“海賊王”と共闘して打ち倒した“英雄”だぞ!!?知ってるに決まってるじゃねぇか!!」

 

「ロックス……今名を挙げ始めてる個性的な海賊たちを一つの海賊団としてまとめあげてた海賊界のカリスマ『ロックス・D・ジーベック』ってことを解散少し前にロジャー船長から聞いたことがあるけど、当事者でもないキャンドラーがなんでそんなこと知ってるの?」

 

「……まぁ色々あったんだよ」

 

「そう……」

 

 この反応はきっと過去に何かあったんだね……。今は聞かないでおくけど、いつかきっと自分から話せるように信頼を築いていかなきゃね。

 まあまず近付いてくる海軍をどうにかしてからなんだけどね……よし!!覚悟を決めよう!!!

 

「数で負けてるんだから先手必勝で海軍船に乗り込むよ!!」

 

「おいおい、そりゃあ流石に無謀だぜ!?海軍はそこそこ強ぇのが多数居るし、強ぇ奴は相当だぞ!?さっき話したガープクラスが数人居るんだぞ!!?もしガープクラスの奴が乗ってたら速攻でお縄だ!」

 

「大丈夫だよきっと。だってここは“前半の海”だよ?そんなところに海軍本部の最高戦力がいるわけないじゃん」

 

「だが……」

 

「ゴチャゴチャ言ってないで早く行くよ!!海軍はクソだから私たちのことを確認せずに攻撃してくるよ」

 

「ぁー……分かったよ。行けばいいんだろ行けば」

 

「よろしい!じゃあ行くよ!!!」

 

 私はキャンドラーを何とか説得して海軍船向かって跳んで行った。跳んでる途中にキャンドラーって六式の“月歩(げっぽう)”を使えるのか心配になったけど、心配は要らなかったみたい。

 キャンドラーは“月歩”を使って私のことを追ってきた。彼の使う“月歩”は一歩一歩が私より跳んでいた。

 酒場の時も思ったけどキャンドラーの行動から私より弱いって思えないんだよね……なんか力を使うのに躊躇してるって言うか、力を無意識にセーブしちゃってるみたいな……。

 

 

 

 

「なんだお前ら!!」

 

「か、囲んで潰すんだ!!」

 

「私相手に囲んで攻撃なんて通用しないよ!!」

 

 そう言ってディアンヌは右腕を“悪魔の実”の能力で巨大化させて振り回した。

 その攻撃は海軍船に乗り込んだディアンヌ達を捕まえようとしていた海兵をいとも簡単に吹き飛ばしてしまった。

 しかし海軍大佐などの実力者はそこまで吹き飛ばされず踏みとどまっていた。

 

「なんて力だ!?しかしこれほどの実力者が賞金首ではないなんて……元賞金稼ぎか何かなのか?」

 

「ガハハハ……!!船長は賞金稼ぎなんかやって無かったぜ!!」

 

 ディアンヌの正体について考察していた“大佐”を後頭部を右腕で殴り飛ばした。その右腕は“武装色”の覇気によって黒く染っていた。

 

「お、お前は――お前みたいな奴なぜこんな所に……」

 

 大佐が気絶寸前に呟いた言葉はディアンヌの耳に届いてはいたのだが、いちばん重要なところは聞こえていなかった。

 大佐の気絶と共に船の奥から他の海兵とは一線を画す実力を感じ取れた二人は緩み始めていた気を引き締めた。

 

「あらら……いい女だな。だが海兵に攻撃するってことは敵ってことでいいよな。……連行させてもらうぞ。」

 

「こりゃあヤバそうな相手だが、どうすんだ船長」

 

「逃げられなさそうだし迎え撃つよ!」

 

 

『海軍本部“少将”クザン』

 

 

「敵なら容赦せずいくぞ。

“アイス(ブロック)両棘矛(パルチザン)』!!!

 

 クザンは自分の周りを冷気で冷やして氷の矛を生み出した。その槍は三本あり、その矛全てがディアンヌの方へと矛先を向けていた。

 

「お前も能力者か!!?“巨人の石殴(ディアンヌのグーパン)”!!!

 

 ディアンヌはまた右腕だけを巨大化させて、迫り来る三本の矛を殴った。前回と違ったのは今回は“武装色”の覇気を纏っている事だった。

 そんなディアンヌの強力な攻撃を打つもクザンの矛を一瞬で壊すことは出来ずに数秒の隙がディアンヌに生まれてしまった。

 

「横がガラ空きだぜ、“アイスタイム”!!」

 

「やっば!」

 

 右腕を振り抜いてしまったので右の横腹をクザンに触れられてしまった。

 クザンが触れたところからディアンヌの体が凍り始めていった。

 

「いや〜、少し舐めすぎてたよ。海軍本部の“少将”がここまで強いとは思ってもなかった」

 

 遺言とも思える言葉を残してディアンヌは全身を凍りつかせてしまった。

 

「で、船長が目の前で凍ったのに動かなかったお前はどうすんだ?」

 

「……」

 

「あくまで無言を貫き通すのか。なら大人しく捕まってくれ!!」

 

「大人しくするのはお前だ!!」

 

「――ッ!!危なかったな。だがどうやって抜け出した」

 

「敵に教えると思ってる?」

 

「普通は……言わねぇよな」

 

「まあ私は普通じゃないから言うんだけどね。その理由は私が“動物(ゾオン)系”の能力者だからだよ!!」

 

「やっぱりそうだったか」

 

「でも私“武装色”の覇気を纏ってたはずなのにダメージ負ってなくない?」

 

 ディアンヌは“武装色”の覇気を纏った右腕を大きくしてクザンの上半身を全体的に殴ったはずなのだが、ディアンヌは全くもって手応えを感じていなかった。

 それもそのはず。クザンは“見聞色”の覇気によってディアンヌが“武装色”の覇気を纏って攻撃してくることが見えたので体を流動させて避けたのだった。

 

「“自然系(ロギア)”はそんなもんだ」

 

「へぇ〜……知らなかったよ!!」

 

 ディアンヌは話すと同時に右腕を振りかぶった。その攻撃は巨大化した腕ではなく普通の状態の腕だったため、今までとは違う腕のサイズの攻撃に距離を見誤ったクザンは攻撃をモロに受けてしまった。その攻撃でクザンは吹き飛んで行った。

 

「おい船長!!そろそろ引き時だぜ。向こう岸に海軍船が見える。騒ぎを聴きつけたらすぐに向かってくる!!この船を破壊してから逃げるぞ。この船を破壊したらアイツもすぐには追ってこれねぇだろ」

 

「はぁ……決着はまたの機会だからそれまでに“大将”にでもなっておいて。それに勝った私に箔が付くから。あっ!私の名前はディアンヌだから!!!」

 

「お、おい待て!!」

 

 すぐに立ってこちらに来ようとするクザンだったが、ディアンヌが海軍船を破壊するのが一足早かった。

 

「ガハハハ…!!この船を何とかしねェとおめェの仲間が海に落ちちまうぞ!!!」

 

 この船に乗っていた海兵たちはクザンを除き全員気絶しているので、真っ二つに割れた海軍船から落ちようとしていた。

 クザンが仲間を助けようとしている間にディアンヌ達は先程潰した海賊が乗っていた船に乗り込んで逃げて行った。

 

「あらら…逃がしちまった。体力をかなり使うが仕方ねぇか。氷河時代(アイスエイジ)

 

 海兵が船から落ち始めていたので、海に手を漬ける時間がなかったので手のひらで空気を凍らせて海まで氷を伸ばし、そして海を広範囲で凍らせた。

 その行動のお陰でディアンヌ達を逃がしてしまったが仲間を一人たりとも失うことがなかったので、クザンの判断は世間的には良かったと言える。

 

 

 

 

「逃げることは出来たがおれも船長も賞金首になっちまうぞ?」

 

「そんなの分かりきってる事だよ。私は“ロジャー海賊団”の見習いだったからその事実がバレた時点で懸賞金は付けられるんだから、自分の功績で付いた方が気持ち的に嬉しいでしょ」

 

「いやまあそうだが……」

 

「ちっちゃいことは気にするなそれ○○○○○○○○」

 

「ん?なんて言ったんだ」

 

「あらら…伏字になっちゃった。これは若い人には分からないのネタだよ」

 

「おめェも充分若ェじゃねえか」

 

 そっか今の私は充分若いか……ネタ古臭いかな?今は○○○○ゴレライとかかな?でも私が死んでから結構経ってるはずだからこれも古臭いのか……。

 

「急に黙り込んでどうしたんだ?」

 

「ごめんごめん。自分のネタの古さを改めて理解してただけだから」

 

「ネタ?なんでもいいが次の島は何処を目指せばいいんだ?とりあえず海軍船から離れるように進んできたが…」

 

「とりあえずはシャボンディ諸島を目指して、そこで色々考えよ」

 

「分かったぜ船長!!」

 

 一応“新世界”入りはするとして仲間が一人しか居ないからもう少しぐらい欲しいんだけど……奴隷でも買えば即戦力の仲間が手に入るのかなぁ……でもなぁ奴隷売買に手を出したら天竜人のクソども同じになっちゃうしなぁ……。

 まあ奴隷どころか食糧を買えるほどのお金がないから行くまでの道中で海賊を襲ってお金を奪うことは決定してるんだけどね。

 

「なあ船長」

 

「なに?」

 

「あの海兵の能力って……」

 

「“悪魔の実”の中でも珍しいとされる“自然(ロギア)系”の“ヒエヒエの実”だろうね」

 

「“自然系(ロギア)”か……強ぇな」

 

 改めて思えば海軍って凄いよね。“自然系(ロギア)”より珍しいとされてる“幻獣種”が一人とその“自然系(ロギア)”が四人も居るなんて……珍しい“悪魔の実”を強い奴に与えてるのか、それとも珍しい“悪魔の実”を食してるから海兵になったのか……考えるだけ無駄か。

 でもこれだけは言えるか強い奴の周りには強いのが集まるって。それが人だろうと“悪魔の実”だろうと……ね。

 

「船長!前方から海賊船が来るぞ。迎え撃つか?」

 

「……私が乗り込んでくるよ!すぐ終わらせてくるけど船番よろしく!!」

 

「お、おい待てって、もう行っちまった。」

 

 

 

 

「ふぅ…やっぱり前半の海だからそこまで骨のあるやつは居ないね」

 

「ガハハハ…!!船長が強ェだけだろ!!!船長とクザンとかいう海兵みたいな実力者が前半の海に居るのがおかしいんだよ!!」

 

「うーーん、早くクザンみたいな奴と戦わないと体が鈍っちゃうよ」

 

 海軍本部“少将”クザンとの戦いから一月が経ったが、あれ以来ディアンヌは自分と互角レベルの実力者とは出会えてなかったので体が鈍り始めていた。

 しかし仮の目的地としていたシャボンディ諸島が見えてきたので、きっとディアンヌの体の鈍りは解消されるだろう。

 そこにはディアンヌが最も嫌う天竜人がたまに居ることがある。もし“天竜人”が偉そうに練り歩いていたら殴り飛ばして、海軍本部“大将”が来ることは確実なのだから……。

 

 

 

 

「おー!!見えてきたね。“前半の海”で名を上げた海賊達が“新世界”入りを目指して集まる島……シャボンディ諸島!!!

 

「船長金は十分あるんだ。仲間を増やそうぜ!!流石に新世界じゃあ二人だけだと心許ねぇ!」

 

「そうだね……面白そうな人が居たら誘ってみるよ」

 

 

 

 ――二人が入港を始めた時、海軍本部では会議が行われていた。その会議の議題とは海軍内でも上位の実力者であるクザンから逃げ切ったディアンヌのことであった。

 

「――そのディアンヌとやらは全く情報がないのはホントか?」

 

「ええ。全く見覚えがない実力者だったんで、手配書やら警戒人物書やらいろいろ調べたんですが、ディアンヌのデの字も出てきませんでしたよ」

 

「もしや……なあクザン、そいつの髪はツインテールじゃなかったか?」

 

「あれ?ガープさんの知り合いかなにかですか?」

 

「ああ、ワシが追っていたとある海賊の見習いだったぞ」

 

「おいおい!!ガープ!お前が追っていた海賊なんて一人しかいないじゃないか!!」

 

「そうだ、そのディアンヌという奴は“ロジャー海賊団”の見習いだった

 

「はぁ……クザンを退ける実力があって“ロジャー海賊団”の“元見習い”となったら賞金をかけるほかあるまい」

 

 ――元見習いのディアンヌは今この時を持って政府に海賊として認められたのだった。

 この時入室が許されていたもう一人の中将が少し顔を顰めていたのだが誰も気づかなかった。

 

「体が巨人みたいになる“悪魔の実”の能力を持つディアンヌか……」

 

「何か言ったか?―――」

 

「……いえ何も」

 

「そうか」

 

 そう言った男は普通の巨人族より少し大きい巨体を持っていた。




 ディアンヌの実力としては今のクザンに一歩劣るぐらいでしょうか?一発攻撃を入れられただけで、全体的に押されてましたし……戦闘経験の差でしょうか?
 今回のタイトル「“中将”」とはクザンではなく最後の謎の男でした!!その男が誰なのか!!

 次回愛と金

ここから先は言い訳なので読まなくても大丈夫です。
 少し間を空けてしまいましたが、なんとか書き終わりました。間を空けた理由はテスト期間だったので……というのは建前でスマ○ラにハマってました!!ホントにすいませんでした!!!

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