――“シャボンディ諸島”に辿り着いたディアンヌとキャンドラーであったが、そこで見たのは“前半の海”を制覇した海賊達がひしめき合っている姿だった。
“前半の海”を制覇してきた海賊たちは懸賞金5000万ベリーを優に超え、億超えの海賊もざらにいるため“シャボンディ諸島”にいる海賊たちは猛者揃いであった。
「いやー、強そうな海賊がいっぱい居るね」
「そうだな。だけど喧嘩売ったりするなよ。絶対に面倒くさくなりそうだからな」
「分かってるよ。それにそこまで喧嘩っ早い訳じゃないんだけどな〜。キャンドラー勘違いしていない?私は降りかかる火の粉を払ってるだけなんだから」
あー、でもあの時の海賊は私から襲ってたような気がするけど……うんきっと向こうが悪かったに違いない。それに相手は海賊だったわけだから襲われても仕方ないよね?
海軍の方は自分たちから行かないと私たちが捕まっちゃうから正当防衛だよね?えっ、違う?公務執行妨害?大丈夫だよ。あの時の私は特に手配書がまわってたりしてたわけじゃないから善良な市民だったのに向こうが仕掛けようとしてきたから……あれ?やっぱり私から仕掛けたから公務執行妨害かな?でもまあこの世界にそんな法律ないでしょ。
「降りかかる火の粉を払う?襲うの間違いだろ」
「なんか言った?」
「い、いやなんでもねェ」
はぁ、キャンドラーに言われちゃったよ。私襲ってのか……まあそんなの気にしないんだけどね!!だってそんな細かいこと気にしてたら海賊なんてやってらんないし、ストレスで禿げるからね。
「あんまり細かいこと気にしてると禿げるよ」
「んなッ!!?は、禿げるのか!?もう気にするの辞めようかな……」
なんかキャンドラーがブツブツ言ってるけど、それが禿げるって言ってるのに……うん。キャンドラーが禿げても私は見捨てないよ。…………多分。
「あれが“
「……人の“欲”が具現化したみてぇな物だな。自分の利益のために人を攫って奴隷にしちまってるんだからな!!……まあおれら海賊も自分の“欲”に忠実に動いてるだけだからそう変わんねけどな」
「そうだね。でも人の原動力なんてもんはほとんどが“欲”から来るものだし、仕方ないよね」
そう。人間なんてものは“欲”を満たすためだけに動いてる。だから人は海軍にだって海賊にだってなってしまう。海賊は単純に自分の欲を満たすために、海軍は自分の“正義”に従ってなんて傍から見たら善人みたいなことを言ってるけど、そんなのはクソみたいな偽善であって自己満足するためだけに動いてるだけであって、アイツらは市民のためだなんて考えちゃいない。もし考えてるなら天竜人みたいなクソ野郎どもを世界のトップになんか置いておくわけが無いからね。
そもそも世界に絶対的な権利なんてものは存在してはいけないと思う。もし存在していたとしてもそれは自分の実力で掴み取ってこその物だと私は思ってる。自分の“欲”しか考えない自分の血筋しか取り柄がないゴミ共が持ってるから腐敗していく。だから私は天竜人から人々を守れるような力を持ちたい……。
「……長、…ん長、船長!!」
「な、何!?」
「急に黙り込んでどうしたんだよ」
「ご、ごめんね。ちょっと天竜人への怨みが再燃しちゃってた」
「再燃?よく分かんねぇが“
どうしようかな……別に入ったとしても買わなきゃいいだけなんだけど、もし天竜人が居たりしたら速攻で手を出しちゃうだろうし、人が堂々と売られてるのを見るのは気分が悪いしなぁ……。
「今はやめておこうかな?」
「そうか、ならどうする?」
「賞金首の海賊でも狩ってお金を稼ごうかな?今ならまだ私たちの手配書はまわってないでしょ」
そう考えているディアンヌだったが、手配書は配られていた。なぜなら“シャボンディ諸島”は海軍本部のすぐ側にあるため手配書が配られるまでの時間にタイムロスはほぼ無いに近かった。そのためディアンヌの手配書は、“シャボンディ諸島”にいる賞金首を討ち取って稼いでいる賞金稼ぎの手に渡っていた。
「ねぇ、キャンドラー」
「なんだディアンヌ?」
「なんで私たちこんな大勢に追われてるの!!!」
「そりゃあ手配書が出回ってるんだろうな」
「なんでよ!!早過ぎない!?私たちが海軍船を襲ったのは、ほんの数日前だよ!!!」
「そりゃあ船長が戦った相手は海軍本部“少将”だったからな。そんなやつから逃げ切ったのが無名だったらすぐに懸賞金をかけるだろうからな。仕方ねぇだろ」
「キャンドラーはなんでそんなに冷静なの!!?」
『“巨腕のディアンヌ ”懸賞金3500万ベリー』
「おれには懸賞金がついてねぇからな。賞金稼ぎが捕まえるとしたら船長だけだろ」
「ずるいなぁ……そろそろ暴れてもいいかな?街から離れて来たし」
「そうだな。市民は見当たらねぇからいいんじゃねぇか?」
そう私たちは闇雲に逃げていたわけでないのだ!!……まあ最初は思った以上に多くの賞金稼ぎに追われてたからビビって逃げてたけど……そんなことどうでもいいんだよ!!市民がいるところで暴れでもしたら海軍が来てただろうし、それに市民に顔バレしたら買い物とかがやりにくくなるからね。
「やるのか?」
「うん!これまで私は巨大化の能力しか使ってなかったから、“幻獣種”と呼ばれる理由を見せつけてあげるよ」
「やっぱり“幻獣種”だったのか……」
「――“
私が地面を触ると賞金稼ぎが居る地面がまるで流砂のように変化して、地面が賞金稼ぎを動けないように拘束した。
そう私の能力の
よし!相手を拘束出来たから……
「逃げるよ!!」
「逃げんのかよ!!!」
「だって今賞金稼ぎを倒したとしても旨みがほとんどないでしょ?あるとしたらコイツらの持ち金だけど、見るからに持ってないでしょ……」
私たちを追っていた賞金稼ぎたちはボロボロの服を着て、武器と言えるものを持ってる奴も居るけどサビだらけの剣だし……きっとこの島に来る賞金首たちを倒す実力がないのに“金”が無いから賞金稼ぎをやってる貧乏人たちってところでしょ。
「貧乏人から取れるものなんてないんだから早く街に戻って買い物するよ」
「分かった」
――私たちは地面に足をとられて動けない賞金稼ぎたちを放っておいて街へと帰ってきた。
私たちは特に欲しいものとかはないのでブラブラと街を歩いていると街からとある声が聞こえてきた。
「なぁ知ってるか?“海賊王”がついに海軍に捕まったらしいぞ」
「ああ、それに不満を持ったらしい“金獅子”が単騎でマリンフォードを襲撃してマリンフォードの町を半壊させて捕まったらしいぞ」
「新世界の“四強”のうち二人がインペルダウンに沈むなんて誰も予想出来ねぇよな……絶対に新世界は荒れるな」
「えっ――!?」
いくらロジャー船長が処刑される未来を知っていたとしても、驚きが隠せなかった。あんなに強かったロジャー船長が……誰よりも自由を愛したロジャー船長が……自首をするなんて。
私は“金獅子”と同じようにマリンフォードを襲撃しようと思った。けど
「おい船長。マリンフォードを襲撃しようなんて思うなよ。あの“金獅子”でさえガープ、センゴクだけで止められたんだ。“金獅子”襲撃で守りが固くなったマリンフォードなんて落とせるもんじゃねぇ!!」
というキャンドラーの言葉で踏みとどまることが出来た。せめて船長の最期を見届けてあげようと思ったけど、処刑が“
――あれから五日が過ぎ“海賊王”ゴールド・ロジャーの死刑執行が行われる時を迎えた。
彼の死に際に放った一言は全ての海賊に夢を与え、海軍は頭を悩ませる原因を作った一言だった。
『おれの財宝か?欲しけりゃくれてやるぜ…探してみろこの世の全てをそこに置いてきた』
「ロジャー船長……私は貴方みたいに立派でカッコイイ海賊になります。この貰った“悪魔の実”に誓って」
こうして一人の海賊が改めて決意した。自分の初恋の相手に負けないほどの立派でカッコイイ海賊になることを……。
彼の死をもって世は大海賊時代を迎えた!!
――ロジャー船長の処刑から1ヶ月が経った。ディアンヌは1ヶ月間船の中で泣いて寝込んでいた。その間キャンドラーは“海賊王”の死亡をもって始まった“大海賊時代”で台頭してきた海賊の情報収集していた。
「船長……もう大丈夫なのか?」
「うん!!この世界を生きていく覚悟は出来たから」
「そうか……頑張ろうな」
「一緒にね」
「そうだな」
キャンドラー少し頬を赤らめているけど……君みたいなオッサンが頬を赤らめた姿なんて誰得なの!?いらないよ!!?オッサンの照れてるシーンなんてどの客層にも嫌がられるだけなんだけど!!
「“人間屋”に行くよ」
「どうしたんだ?急に考えを変えて」
「天竜人に買われるより私たちが救ってあげる方がいいと思ったんだよ」
「なら救いに行くか」
「うん」
――私たちは人間屋の多くがある1番から29番を目指した。そこは荒くれ者が集まる無法地帯だった。
「悪そうなのがいっぱい居るねぇ」
「そりゃあ“人間屋”の近くだからな。海軍がわざと見逃してる“人間屋”の近くなら捕まることはねェからチンピラ共が集まってんだろ」
「なんか良さそうな人は居ないかな〜?」
「チンピラを仲間にすんのか?」
「キャンドラーみたいな面白そうな人が居たらね。」
キャンドラーも出会った時はチンピラみたいだったけど、話してみれば過去に何かありそうだし、きっと私には面白い人を見分けられる力が備わってると思うんだよね……。
「あの檻にいる子滅茶苦茶可愛いんだけど!!?」
「ありゃあ、“人間屋”の商品だな」
「あんな可愛い子も奴隷にされるなんて……私が買ってあげようかな?あの見た目なら天竜人が来たら買っていくはずだし……」
「だが、見た目はいいが戦力にはならないんじゃないか?」
「別にいいんだよ。実力なんて私が修行をつけてあげればある程度は身に付くだろうけど、見た目はどうにもならないからね!」
「じゃあ話しかけてくるね」
あの子ホントに可愛い子だなぁ……食べちゃいたいぐらい。まあ今の体だと難しいけど……。
「ねぇ君はなんて名前なの?」
「――誰?」
「うーん、海賊?」
「――っ!?私を買うの?」
「買ってあげるよ」
「そう、ですか……」
「じゃあお金払ってくるね」
「……」
私は中に入ってお金を支払ってきた。向こうは少し吹っ掛けて来たけど少し腕を大きくして話したら値引きもしてくれた。優しい人だね!!
その後可愛い人を受け取ったけど、無言を貫いていたんだよね。名前だけは教えてくれたけど
「……ねえ名前はなんて言うの?」
「――ステラ」
「へぇ〜可愛い名前だね」
「おい!!ステラを離せ!!!」
「どうした急に殴りかかってきて青年」
「ステラを離せつってんだろ!!」
「へぇ〜……この子に惚れてんだ」
急に殴ってきた1個上ぐらい青年だったが、ただのチンピラにしては拳が鋭かったけど海賊にしては弱かったので、簡単に受け止めることが出来た。
この男磨けば光るね!なら仲間にするしかないでしょ!!
「君に提案があるんだ」
「興味ねえよ!!」
「君も私の仲間にならない?そしてステラを解放しない?」
「お前を倒してステラを取り戻す!!」
「はぁ……まだ実力差が分からないのかな?“
ディアンヌが巨大化させた腕によって殴られた男は“人間屋”の向かいにある家屋まで飛んで行った。
「私は親切で提案してるわけではないんだよ?だって海賊だもの。君が戦力になりそうだから見返りを提案してあげてる内に仲間になっておいた方がいいよ?」
「はぁはぁ……お前が守る保証なんてねぇだろ」
「そうだね。でも今の君に選択肢なんて一つしかないんじゃない?」
「……ひとつ聞いておきたいことがある」
聞いておきたいことってなんだろう?自分が置かれる待遇とかかな?それなら普通にキャンドラーと同じくらいにするつもりだけど……。
「お前は“
「金?えっ?待遇とかじゃなくて金?」
「ああ金だ」
「そりゃあそこそこは持ってるけど……大富豪ってほどは持ってないけど……」
「そうかなら大丈夫か……」
「なにが大丈夫か分からないけど、仲間になるの?ならないの?」
「仲間になる」
「そう……よろしくね!えーと」
「おれの名前は……テゾーロだ」
今回は仲間が増えた回でした。そもそもおかしいですよね新世界入りをしようとしている海賊が二人で航海しようとしていたなんて……まあディアンヌは戦力的には事足りてそうですが。
今回のタイトルである“愛と金”はテゾーロとステラのことでした!愛はテゾーロからステラへの気持ちであり、金はテゾーロが執着する物でした。
次回魚人島