霧となった少年は最悪の世代に数えられるようです。   作:地支 辰巳

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今年最後の投稿です。これからも、こんな感じの投稿速度ですが、来年以降も宜しくお願いします。良いお年を。


女狐拾いし災難は

ロビンさんが目指しているアラバスタのエターナルポースを手に入れた僕たちは、今いる島からアラバスタに向けて出発した。

そうして、何日か海の上を進んでいたのだけど、この船に向かって小さな船が接近して来るのが見えた。

 

「アデル。あの船に誰か乗っているか見てくれない?」

 

近くに居たアデルに手に持っている望遠鏡で見てほしいと頼んだ。捨てられた船か、もしくは救援を待っている船かもしれない。僕たちは海賊だけれども、そのくらいの人助けは出来るから。

 

「あ!甲板に女の子が倒れてるよルー兄」

 

「よし。マグー聞いたよね?少し助けに行ってくるよ」

 

昔からの癖なのか、マグーは寝ている時大体意識が若干ある時が多い。だから、甲板の上で晴れた日の日光を浴びながら寝ているマグーに声だけはかけておく。

 

「はいー聞こえてますよー。罠かもしれませんから気をつけて下さいね」

 

マグーの返事を聞いた僕は船から飛ぶと、そのまま空中を飛びながらその小さな船に降り立った。船をパッと見る限り、この子以外に人は居なくて、部屋も大きめのやつが一つだけあるだけだった。

 

とりあえずということで、僕はまだ少し幼そうだがボロボロの白いシャツとズボンを着ていて倒れているその子に声をかけてみることにした。

 

「えーと、大丈夫ですか?聞こえたら返事して下さい」

 

声をかけながら、その子の体を少し揺すってみた。そうすると、その子は直ぐに意識が戻ったようで顔を少しずつ動かして、僕の方に顔を向けた。

 

「う、うーん……あれ?あなたは誰ですか?」

 

「僕はルーファス、海賊をやってる。この小舟に乗っている君を見つけたから、大丈夫かどうか確かめに来たんだ。君の名前は?」

 

「あ、あたしはカリーナ。嵐に会ってこの辺を彷徨っていたの」

 

カリーナと名乗ったその子は、顔を引き攣らせた笑みをしながら、汗をかいているようだった。多分、僕が海賊だと知ってビビってしまっているんだろうな。見る限りアデルよりは年上みたいだけど、まだまだ子供みたいだし。

 

「とりあえず、怖いかも知れないけど僕の船に乗ってよ。何処かの島まで送るよ」

 

「本当?殺したりしない?」

 

「うん。約束するよ」

 

僕は未だに上手く出来ていない笑顔を向けながら返事をした。これで、少しは僕のことを友好的な人間だと認識してくれるといいんだけど……。

 

「じゃあ、この船も一緒に乗せて欲しいな」

 

「え、どうして?結構ボロボロだよ」

 

「え、えっと。これ、お父さんの形見なんだ。だから、一緒に乗せて欲しいなと思って」

 

そうか。形見なのか……じゃあ乗せるしか無いな。僕も形見なんかは持ってこれば良かったな。そんな時間も余裕も無かったから無理だったけど。

 

「分かった。この船ごと乗せるよ」

 

出来るだけこの小舟を僕たちの船に近づけると、ロビンさんに声をかけて、小舟を甲板に乗せてもらった。外から見たら結構目立ってしまうけど、どうせ僕たちは海賊だから目立っても問題は無いと思う。

 

そして、カリーナが簡単な自己紹介をみんなにしていた。相変わらずマグーは警戒心が強かったけど、それ以外は特に何も無かった。

 

 

★ ★ ★

 

 

カリーナが僕たちの船に乗ってから数日が経過していた。その間も何事も無かったけど、カリーナが自分から積極的にみんなに話しかけている光景なんかはよく見られた。そんなカリーナとの仲がそれなりに深まったなぁと思えていた時、嫌な気配を一瞬感じた後、大きく船が揺れた。

 

「う、みんな大丈夫!?」

 

僕が直ぐに部屋から出て、甲板の状況を確かめようとしたら、すでにこの船の隣に厳つい感じの海賊船?がそこにあった。

 

「ルー下がってて下さい。こんなよく分からない奴ら、私だけで充分ですから」

 

「ジャララララ。そんな釣れねえこと言うんじゃねぇよ。女一人からお宝奪うのなんてつまらねぇからな」

 

厳つい船に乗っているその大男は見たことが無いけど、ヤバい奴のオーラというのが溢れ出ている感じがした。このまま戦うことになるなら、船が壊れたり、汚れたりしないために、少し先に見える島で戦うことにしようかな。その時間を稼ぐついでにも情報収集もしておこう。

 

「貴方達は誰なんですか?僕たちの船を狙った目的があるなら教えて欲しいですね」

 

僕は中に居たから分からないけど、甲板に居たはずのマグーがこんな近くまで船の接近を許すことなんてほとんどあり得ない。何かしらの仕掛けがあるはずなんだ。それを知らない限りは真正面から挑むのは得策じゃない。

 

「俺はトレジャー海賊団のマッド・トレジャー!ここに来た目的は盗まれた俺たちのお宝を奪い取りに来た!」

 

「宝?僕たちは貴方達から宝を盗んだ覚えはありませんけど」

 

その大男は甲板にいた僕含めた5人の中から、カリーナを指差すと高らかに宣言するような声を出した。

 

「ジャララララ。てめぇらそいつから何も聞いてねぇのか?こいつが俺たちのお宝を全部盗んで、俺たちから逃走中だったということをよ」

 

そうか、カリーナはこいつらから逃げる為の足にするために僕の船に乗り込んだんだ。それじゃあ、この小舟は形見じゃなくて、お宝が乗っているから船に乗せたかったのか。意外に演技派な子だな。

 

「止めろ!マグー」

 

つい考え事をして気づかなかったけど、あの男の言葉を聞いたマグーがカリーナに対して銃を向けていて、発砲する直前だった。

 

「どうして止めるんですか?この子は私たちに明確に嘘をついたんですよ?嘘をついた代償ぐらいは払わせないと、私の気が済みません」

 

「だからと言って、やる必要は無い。明らかに僕らに敵意を持っている人間が他にいるんだから」

 

僕の必死の説得や表情が伝わってくれたのか、ゆっくりと銃を下ろしてくれた。そして、僕はマグーに殺意を持った銃を向けられて、腰を抜かしてしまったカリーナの元へ行き、手を差し出した。

 

「なんなんですか、これ」

 

「僕なりの和解の方法だよ。でも、この手を取ったカリーナにはこの船に乗り続けるか、とっとと逃げるかという二つの選択肢しか残らないけどね」

 

「ウシシ、まだあたしがこの船に乗って居られる選択肢ってあるんですね」

 

カリーナは自然に笑った。それは、この数日間乗っていた間にも見せていた笑顔と同じで、この船で自然に笑っていてくれたんだと分かるようなものだった。

 

「うん。僕の船は海賊船だけど、その人にとっての居場所にぐらいにはなりたいから」

 

「あたしが乗ったらまた騙すかも知れませんよ?」

 

「やったことには責任がかかることを分かってくれれば良いよ。僕は少なくとも碌な死に方をしない事は分かっているから」

 

僕は海に出てから何人殺したんだろうな。それでも、僕がやりたいことをやってそうなったんだし、死ぬ直前か死んだ後にしっかりと責任はとるつもりだから。

 

「ウシシ、じゃあ、あいつらを倒してくれたら仲間になってあげますよ」

 

「いいよ。元から僕はそのつもりだから」

 

僕の言葉を受け取ったカリーナは、手を取って立ち上がってくれた。その目に多少なりとも僕らへの信用を置いて。

 

「艦長さん!後ろ」

 

ロビンさんの言葉で後ろを振り向いた僕の方に、鎖が向かって来ていた。なんとか対応ぐらいは出来る距離だったから、刀で誰も居ない所に鎖を弾いた。

 

「ジャララララ、中々やるじゃねぇかよ」

 

「鎖を出す悪魔の実ですか……」

 

「そうだ!俺はジャラジャラの実の鎖人間。お前を殺すぐらい容易なんだよ」

 

「じゃあ、やってみて下さいよ」

 

ちょうどその時、両方の船が近くに見えていた島に刺さるように着いた。その影響で船が揺れてしまったが、その隙を突くように僕は相手の船に乗り込み、マッド・トレジャーに切り掛かった。

 

 

★ ★ ★

 

 

ルーファスがマッド・トレジャーを島の方へ引き付けながら戦ってくれている間、マグメルは相手の船を見て、強い人が居ないかを観察をしていた。

 

「さて、誰が強いですかねー?」

 

しかし、観察の途中、マグメルは殺気を感じた。誰かに狙われている。そう直感したマグメルは咄嗟に体を移動させた。すると、さっきまで、マグメルが居た場所の空気が切れたように見えていた。船の接近にマグメル自身が気づかなかったこともあって、相手に能力者がいるとマグメルは容易に想像していた。

 

「出て来て下さいよ。そこにいることは分かってるんですよ」

 

それはマグメルからすれば、何の確信も無いただのハッタリようなものだった。しかし、相手からすればそれは分からない。だからなのか、何も無い所からサングラスをかけてピンクのパーカーを着た男が姿を現した。

 

「ヘイ、良くワカッタナ。オマエ、ナマエは?」

 

カタコトの言葉をマグメルは疑問に思いながらも、律儀に答えるのが礼儀か思い答えることにした。

 

「私はマグメルです。貴方は?」

 

「オレはサイコ・P。イロイロの実でハイケイと同化スルゼ」

 

わざわざ敵に対して能力を明かしてくれるサイコ・Pに対してマグメルは感謝しながらも、しっかりと作戦と対策を練っていた。

 

「いざジンジョウに勝負だ」

 

サイコ・Pは基本スタイルである刀を構えたまま、スプレーで自身の体を隠した。

これに対して、マグメルはもちろんどこにいるかなんて分からない。だが、銃を二丁構えると、剃で自身を加速させて動き回りながら、銃を撃ちまくっていた。

 

だが、しかしここら一帯を撃ちまくっても、当たっている感じはせず、弾は虚空を行くのみだった。埒が明かないと思ったマグメルは一度剃を止め、その場で目をつむり精神を集中させていた。

 

それは、ずっとして来た見聞色の覇気を身につける修行と同じことをしていて、その修行のおかげで、覇気をあと少しという所で身につけられる所まで来ていたマグメルはこの戦いで開花させることを今決めた。

 

そして、マグメルがじっとしていることに気づいた、壁にへばりついていたサイコ・Pはマグメルの背中から段々と近づいて行った。これを卑怯だと言う声もあるだろう。しかし、サイコ・Pも船長の為に勝たなければならないこの戦いにそんなことを気にしている余裕は無かった。

 

「ふぅー。段々と見えて来ましたよ」

 

そしてこの開花させれなければ、死んでしまうかも知れない。そんな危機的状況でマグメルの覇気は開花させられていった。この甲板の上という狭い範囲ながらも、完璧に味方、そしてサイコ・Pの位置を特定していた。それが、例え自身の後ろであっても。

そして、サイコ・Pの刀がマグメルに向かって振り落とされた。

 

「驚きましたか?私自身も少し驚いていますよ?だって貴方の位置が分かった上に、その攻撃を腕で止めているんですもん」

 

サイコ・Pの刀は、振り向いたマグメルの薄くまだまだ狭い範囲だが、黒くなった腕をクロスした所で止められてた。

 

「ナゼ止められてるんだ?シカモ俺のイチが……」

 

「海の強者が使える技術ですよ。まぁ、一応感謝はしておきますね」

 

マグメルは一気に腕に力を込めて刀を弾き、ガラ空きになったサイコ・Pの体に向かって大きな蹴りを放った。

そして、蹴られたサイコ・Pは大きく吹き飛ばされ、甲板の手すりに頭を打ち付け気絶した。

 

「5年ぐらい修行して、出直して来て下さいね」

 




これで、一応意識的な覇気の取得が出来ましたね。

アニメスペシャルを見ても、トレジャー海賊団ってどのくらい強さなのかいまいち分からないんですよね。個性は全員強いんですけどね。
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