霧となった少年は最悪の世代に数えられるようです。   作:地支 辰巳

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色々とお披露目回です。





戦人さん、snサマーさん誤字報告ありがとうございます!


裏の世界の正義と悪

 先日、ベッジさんに頼まれた仕事を果たすため、僕たちはその臓器売買業者がいる島に来ていた。そこで、今僕とカリーナとシオンはその島の宴会場のような場所で働いていた。

 

「はぁ、あまりやる気が出ないなぁ」

 

「ウシシ、いいじゃないですか、お似合いですよ?」

 

 僕の今の服装は接客用の服装で、素肌を出す部分が多いくせに変装用のメガネをかけているので、一目みるとだらしない女子だと勘違いされるみたいな格好だった。そのせいで、二十歳を超えたのになんども客に女の子と間違われている。

 その点、カリーナの格好は踊り子のように適度に肌を見せつつも、それが客相手に見せる年齢不相応な妖美な表情と合っていて、僕よりも年上なのではないかと思えるようだった。

 

兄様(あにさま)は何を着てもおしゃれです!」

 

 シオンのフォローは嬉しいけど、お世辞じゃないんだろうかと思わずにはいられない。ここで、最後にシオンの服装を見てみると、一見白や銀などのシオンと同じ髪の色に合わせただけの地味めの服かと思いきや、目元ギリギリまで隠れた髪も相まって、その服装が逆にシオンを浮世離れした存在に見せていた。

 

「それより、兄さんやマグメルさん、アデルが選ばれなかったのは何故なんなのでしょう?」

 

「アタシは分かりますよ。マグメルは大雑把で笑顔が下手ですし、ルッカは男なんで売り上げが期待出来ない。アデルはまだ子供ですから」

 

 多分、カリーナの予想通りで、ベッジさんも同じように考えて、僕たち三人を情報収集に配置して、マグー達三人を船での待機に指名してきたんだろうな。

 

 「まぁ、とりあえず情報収集に戻ろうか」

 

 僕たちがこんな風に宴会場で働きながら情報収集しているのは、ベッジさん曰くこの島にある臓器売買業者の支部の詳細な位置の特定と何か秘策が出来るタイミングを見計らう目的があるかららしい。ベッジさん個人でも相手のことを調べてくれているみたいだけど、相手が相手だから苦労しているみたい。

 

 

★ ★ ★

 

 そんなこんなで一週間ほど働いた結果、臓器売買業者の支部は病院の建物にあることが分かった。その結果、宴会場で働くのはこれ以上の収集は見込めないとのことで辞めることになった。だから、もうあんな格好をすることは無いと思ったんだけど……。

 

「ルー。あれ、まだその服装のままなんですかー?」

 

「……うん。この格好の方が相手も油断するだろうからって」

 

 支部の居場所が分かったので作戦の決行日を確認しに、もうこの島に来ているベッジさんと話し合いに行った。その時に決行日が明後日なことと、僕の服装を含む宴会場組の格好の指定と、革命軍が来るかもしれないことを言われた。

 

「革命軍ですか、へぇー。なんか信用が無いみたいで、嫌ですね」

 

「混戦狙いらしいから、信用が無いわけでは無いと思うけど」

 

 革命軍が来るという情報は前々から革命軍が臓器売買業者を潰すとは言っていたらしいから知っている人は多いみたい。僕ももっと裏の世界に踏み入れた方が良いのかもしれない。

 

「革命軍か。俺は会ってみたいな。不幸な境遇な奴が多いんだろう?」

 

「泥棒してた時に見たことありますけど、存在感がありすぎる人しかいませんでしたよ?」

 

「まぁ、革命軍の人たちからすればこっちは敵に見える可能性がある。手加減はしなくても良いから、全力でやろう」

 

「うん。やれるだけやろう」

 

 みんなやる気みたいだ。ここまで人から受ける依頼で大きいのはこれからも無いかもしれないので、僕も思う存分やりたいとは思う。

 

 

★ ★ ★

 

 

 いよいよ決行日になった。みんな装備は万全だし、やる気も充分。……僕とカリーナとシオンは服装もこの間の服装。作戦では、服装を変えた三人が正面から入って行っていくのを見届けたベッジさんが病院に火を付ける。そして、そこから出て来る戦闘意識がある人たちを殺していくという流れだ。結構人数が多いらしいので、無理しない程度に倒しつつ、上手く革命軍を利用する方針らしい。

 

「じゃあ、三人とも上手く火がつくまで頑張ってくださいね」

 

「うん。頑張るよ」

 

 さっそく僕ら三人で病院の受付に向かった。見たところは普通の病院だけど、僕がマフィアに連れて行かれた所も一見は普通の建物だったから、裏の世界では偽装するのが普通なのかな?そんなことを考えている内に、受付についていた。

 

「本日はどのようなご用件でしょうか?」

 

「いやー別に用とかはないんですけどね。ちょっと用事があったので、来たんですよ」

 

「は、はぁ。そうですか」

 

 カリーナの時間を引き伸ばすような演技で、受付の人は混乱してるみたいだ。このまま時間を稼ぎつつ火が回るのを待とう。

 

「あの、ご用がないなら帰っていただいてもよろしいですか?」

 

 受付の人がイライラしてきた頃。段々と焦げ臭くなって来た。それに気づいたのか、病院内が徐々に騒がしくなってきて、明らかに表側では無い人たちが部屋や階段から出てきた。

 

「おい!火が付いていやがる。そいつらじゃねぇのか!?」

 

「ガキの女三人だ。殺さない程度に痛めつけてやる」

 

 出て来た各々がピストルやサーベルを持って、大した確認もせずに襲いかかってきた。ベッジさん。全然油断なんかしてくれないし、猛烈に怒っているんだけど。でも、これくらいの人数だったら僕でも。

 

「兄様。この高さだと私の能力的に厳しいです」

 

「うん。大丈夫。ここはとりあえず僕が相手をしておくから、二人は外に出てて」

 

「霧細工 備中攻め」

 

 平らなカーペットのような霧を生み出し、それをここら一帯の敵に向かわせる。そして、その霧で相手の首や体中を締め付けて気絶させる。隙はそれなりにあるけど、少ない能力のエネルギーで使える便利な技。強者相手には使えないとは思うけど。

 受付ぐらいに居た敵は大体一掃することが出来たので合流するために外に出てみると、他の出口から来たのか大勢の敵達が報復のために、分かりやすいように黒の服装に身を包んだベッジさんや部下の人と僕の仲間とすでに戦っていた。そして、もうすでに港の方には何のマークも書いていない大きな船が停まっていて、そこからそこまで数は多くないが、存在感が一般人とは異なっている人たちがどんどん島に上陸して戦闘を始めていた。

 

 バラバラに行動するのはまずいかな?一度みんなを集めて再度二手に分かれるのが安全で効率が良いだろうし、そうしようかな。僕は自身の行動指針をみんなに伝えるべく、目に見える範囲で作戦開始直前はマグーとルッカと一緒に居たアデルの所に向かった。

 

「アデル。マグーとルッカが何処行ったか知らない?」

 

「ルー兄、マグー姐は強者の匂いがします!とか言って港の方に行った。ルッカはシオンが心配だーって言いながらルー兄が来た方向に行ったよ。みんな勝手ばっかりだよね」

 

 ルッカがシオンの元に向かったのならば、とりあえずは安心かな。そっちにはカリーナも一緒にいるだろうし。問題はマグーなんだよね。マグーが強いのは知っているけど、革命軍の具体的な強さは分からないから、やられる可能性も否定出来ない。連れ戻すのはかなわなくても、様子は見に行こう。

 

「アデルはシオンとルッカとカリーナと合流して。僕はマグーと合流してくるから」

 

「ん、了解。気をつけてね」

 

大暴れしていないといいけど。

 

 

★ ★ ★

 

 

 革命軍が島に上陸をして、さあ、戦闘を始めようかとしていたところに、上空から急接近してくる獣が居た。その獣はスムーズな作戦完了のために散り始め、大きな穴のようなものが出現した革命軍がいる中心へと着地した。

 

「だ・れ・が・強者ですかね」

 

 この場所の雰囲気には全く似つかわない笑顔を浮かべながら、その獣、マグメルは言葉を紡ぐ。だが、対照的この場にいる革命軍達の表情は凍りついていた。それもそうだろう。いきなり空から降りてきて、危ない言葉を口にする女。警戒しない方が無理がある。

 

「こいつは!」

 

「知っているのか?」

 

「ええ、ハックさん。手配中の海賊、狂虎マグメルです。懸賞金は5600万ベリー」

 

「そなたは敵か?」

 

 誰が相手だろうと、敬意と警戒を忘れない。それが革命軍の百段ハックの流儀であり、生き方だった。だがそれも、獣相手には意味をなさないのかもしれない。

 

「私は敵ですよ?でも、臓器売買業者には関わってはいませんし、そんなことはどうでもいいじゃないですか。とりあえず、強い人は今の内に名乗り出てください。数よりも質のほうが大事ですから」

 

 マグメルは脅しをかけていた。無駄な犠牲を出したくなかったら、強い奴と戦わせろと。それは作戦を最少の犠牲で成功させたい革命軍には重要なことだった。そして、このマグメルの問いかけにハックが応じようとした時、それよりも早くマグメルの前へ出る青年がいた。

 

「その役目。俺が引き受ける」

 

「ちょっと、サボ君何を言って」

 

「サボっていうんですね、良いですよ。強者の匂いがすると思っていたんですよ」

 

「みんな。ここは俺に任せて先に行ってくれ」

 

 サボの強気な言葉と実力を知っているからか、他の革命軍のメンバーは、うなずき合いマグメルを超えて島の内部へと進んで行った。ハックはサボの隣にいる少女に目を向け、彼女が動かないことを悟ると、先へと進んだ.

 

「あなたも残るんですかー。名前は?」

 

「コアラ。問題、ないよね?」

 

「全然大丈夫ですよ。楽しめそうならなんでも」

 

 サボとコアラが構えた瞬間、マグメルは一瞬でサボの目の前に移動した。そして、そのまま銃の引き金を引いた。そこから出た弾をサボは最小限の動きでよけると、手を黒腕へと変えた。

 

「竜爪拳 竜の息吹」

 

「ヤバ」

 

 サボは黒腕と化した腕の両拳をマグメルの心臓へと押し当てると内部から粉砕した。マグメルの体はそのまま勢いよく吹っ飛ぶと、民家へとぶつかり民家を倒壊させた。

 

「おえ、死ぬかと思いましたよ。絶対これ骨折れてますって」

 

 だが、マグメルはとっさに獣型へと変身したおかげで急所がずれ、なんとか生き残ることに成功していた。

 

「マジか。今ので仕留め切れなかったのか」

 

「でも、サボ君。あの姿って」

 

「ああ、動物系だな」

 

「そうですよ。良い一撃お礼に詳細も教えてあげます。私の悪魔の実はネコネコの実 幻獣種モデル窮奇です」

 

「そして、仲間内以外で、こっちの変身を見せるのはあなたたち二人が初めてです」

 

 マグメルの体は四足歩行の獣から、段々と獣の体表を残しながらも二足歩行になっていき、最終的には獣のような牙を持ち、背中にまるで天使のように翼を生やした、凶暴さと慈愛を併せ持ったアンバランスな生物がそこに誕生していた。

 

「これが私の人獣型です」

 

 

 

★ ★ ★

 

 

 その頃、まるで棺桶のような船が一人の男を乗せて、この島へと流れ着こうとしていた。

 




棺桶みたいな船って一つしか無いよねって話
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