霧となった少年は最悪の世代に数えられるようです。 作:地支 辰巳
求める力に危険あり
僕たちが偉大なる航路に入ってから数日が経った。1度は入ったことがある海だから、航海で苦労などはしていない。だから、この海に入ったからと言ってあまり新鮮味が感じられ無かったんだけど、先日、色々な繋がりを利用したり、作ったりして、闇に関わることに成功した。最新の情報や様々な勢力の知る上では大切なことだと思い、関わろうと決意した日から一年ほど経ってやっと闇と関われるようになった形だ。
闇と関わる上で、武器や人なんかを買うことも出来るけど、リスクとか僕ら自身の考え方によって、それは止めておこうと決定した。その上で、僕らが買うのは情報だ。
「初めての情報は何を買ったんですかールー?」
「うん。みんな集まっているみたいだし、これからの僕たちの行動を話すよ」
船内にある広い部屋の一室に僕合わせた主要なメンバー7人が揃っていた。これは人数が多くなったり、明確に目的を持てたりしたから、計画的に方針を決めて航海をしていこうということで、カリーナの提案により実施されている定例会議だ。日々の生活リズムはそんな変わらないから、集中している人もしてない人もいるけどあまり気にしてなんかはない。
「僕が買った情報はアラバスタにおける秘宝の情報だよ。それは豪水と呼ばれる飲めば力が得られる水らしくて、アラバスタ国外に出ることはほとんど無いらしい」
僕の情報は概ね好意的に受け入れられたけど、ヴィレムさんは少々疑問があるみたい。
「おいおい、そんな簡単に力って得られるものか?リスクなどもあるかもしれないだろ。誰が使うんだ?」
ヴィレムさんの懸念はもっともだ。しかも、アラバスタには七武海のクロコダイルが海賊狩りが多いらしく、危険も多い。でも、七武海や四皇になるにはこれくらいのことはしないと。
「多分リスクもあるかもしれない。でも、試すのも飲むのも僕だけだよ。水だってことは、リスクの毒があってもキリキリの力ならなんとか出来る可能性が高いから」
言ってて思ったけど、結果的に僕の力を上げることにみんなを付き合わせていることになってしまっている。でも、僕一人で行くのはそれはそれで何か違う気がする。
「それで今からアラバスタってとこに行くのか?永久指針も無いのに?」
「あるよ。昔、アラバスタに用があって買ったやつが一つ残ってる」
アデルは言ってから直ぐに部屋を出ると、ほぼ誰も使って無いけど、島に行くごとに買ったりした永久指針や海図の置いてある部屋からアラバスタの永久指針を取ってきた。
「うん。これを利用して行くつもりだけど、僕的には七武海の縄張りに安全策を取って船で行くよりも空から侵入しようと思ってる」
「はい。兄様を私がお運びいたします」
実はこの作戦は事前にシオンにだけは話を通していた。空を飛ぶだけなら僕もマグーも出来るけど、僕は若干風に左右されたり、そこまで長い距離は移動出来ないし、マグーには留守を任しておきたいから、一番適任なシオンに任せようと思った。
「俺に許可無しかよ」
「まぁ、それは構いませんけど、アラバスタに行くメンバーはどうするんですか?シオンに乗れる人も限りがありますよね?」
シオンに事前に聞いた感じだと、二人か乗れても三人が限界みたい。それを加味してメンバーはしっかり決めておいた。
「だから、僕も事前に決めたおいた。僕とシオンは決定として、後はカリーナを追加した三人で行こうと思う」
椅子をガタッといわせて立ち上がったカリーナはあまり乗り気では無いようで、ため息まで出していた。というより、この三人はベッジさんが指定した三人なんだな。この三人の組み合わせはバランスが良いってことなんだろうな。
「高い所好きじゃ無いんですけどねー。まぁ……お宝盗みってことで同行はしますけど」
なんだかんだ言って、同行してくれるみたいで嬉しい。もし、戦闘になった時の盗み出す担当にはカリーナほどの適任は居ないから。船には残りの四人と水夫のみんなが残っている。マグーやヴィレムさんがまとめてくれるだろうから、そこまで心配する必要はないかな。
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「じゃあ、行ってくるよ。適当に進んで、何かあったら連絡ちょうだい。僕からも何かあったら連絡するから」
獣型に変身したシオンの肩に僕とカリーナに乗ると、みんなに見送られながら出発した。
偉大なる航路は気候が狂いやすいから、他の海よりも危険だと言われている。だから、飛んでいる途中に嵐にさらされることが多かったけど、シオンが頑張ってくれて海に落ちることなく乗り切れていた。そんな感じで途中、途中見えた島で休んだりしながら進んで行き、とある島でアラバスタまでもう少しということを聞いた。そして、その島で僕は最新の新聞記事を読んだ。
その内容はクロコダイルが秘密結社バロックスワークスを作り、アラバスタを乗っ取ろうとしていたことが明らかになって、大きな被害の出る前に海軍本部大佐のスモーカーによって討伐され逮捕されたというものだった。
今から、行こうとしている国でそんなことが起こっていたのもびっくりだし、まさか本部の大佐クラスに王下七武海が破れるなんてことも驚いている。スモーカーって人が強かったのか、クロコダイルが弱かったのか、それとも何か別の要因があったのかは分からないけど、急ぐことに越したこと無いかな。
「カリーナ、シオン。今、アラバスタは混乱してる今がチャンスだと思う、もう出発しよう」
「え、何の混乱?」
「とりあえず、これ読んどいて」
まだ号外を読んでいなかったカリーナに号外を投げ渡しながら、僕の言葉を聞いて既に獣型に変身していたシオンにカリーナと共に飛び乗った。
「これヤバいですね」
「うん。大きな影響があると思う。あと、七武海の椅子も空くだろうね」
マグーに戻るのが遅くなってしまうと連絡しようかな。豪水を取り終わったら、僕が七武海に成るための催促をしに行きたいから。
「兄様。アラバスタが見えてきました。どの辺りに降りましょうか?」
ほとんどが砂漠で雨があまり降らないアラバスタだけど、どうやら雨が降ったようで、そんな匂いがしていた。
「とりあえず、一番栄えている王都に降りようか。出来るだけ目立たないようにね」
ゆっくりゆっくりと降りていくと、段々と町の様子が鮮明に分かってきて、崩れている町の建物がいくつもあるにも関わらず、町の人々の顔が何処か浮かれぎみで、ほんわかな雰囲気にまとわれていた。これを見る限り、クロコダイルが居なくなって訪れた表情なんだろうな。宮殿の門は閉じてはいなかったけど兵士が見張っていて、海軍すらも宮殿の中に入れていなかった。
「確かに、隙はいっぱいありそうですね。いつ忍び込みます?」
「少し休憩したら直ぐに侵入しよう」
僕らは苦労せずに侵入はしたいけども、自分達の仕業だとバレたい。多分、夜に侵入すれば、僕の能力も相まって軽々しく目標は達成は出来る。でも、それだったら僕らの侵入だとはバレない。だから、いつまで続くか分からないこの空気感の今、行くしかないんだ。
「じゃあ、さっそく行きましょうか」
少しの休憩を挟み、シオンの能力を使って宮殿の中庭に降り立った。凸凹な地面で二つある動物?の石像もボロボロになっていて、何かしらの戦闘があったことが分かる。いつまでもここにいても仕方が無いので、移動することにする。僕の経験上、国の宝物は大体位置が固まっていて、宮殿の外部の人からは知られない位置で、内部の人には分かり易い位置にするはずだ。
「相手の戦力は分からない。もしもに備えて固まって動こう。多分……地下にあるだろうから」
「兄様。2階から侵入するのなら危険です。強そうな気配が三つほどあります」
確かに。何個もの気配が2階に固まってる。シオンほどは分からないけど、大きい気配があるのも分かるし、避けて行くのがベストなんだろうな。
「うん。出来るだけそこに近づかないようにしよう。……行こうか」
警備はゴタゴタがあったせいか、元々なのかは分からないけどすごくザルで、簡単に窓から侵入することが出来た。その後も忙しいのか、警備と思われる兵士の人たちは慌ただしく駆け回るばかりで、こちらに気付く様子も無い。
「兄様。強そうなのが近くに迫って来ています。どうしましょう?」
「避けて行くことに損は無いから、避けましょうよー」
「いや、このまま気づかれずに僕らが盗んでも、クロコダイルの罪になるはず。それじゃあ、僕らの名は知れない。この辺で気づいてもらわないと」
その直後、廊下の角から緑色の髪をして、腰に三本の刀を携えた同い年ぐらいの男が飛び出してきた。その男は僕ら三人の顔を見ると、問答無用で刀を一本抜き、僕に切り掛かった。
「一体何の了見で、僕らにいきなり切り掛かってくるんですか?」
「殺気が漏れてんだ。てめぇら何者だ?」
この人も明らかにここの人じゃないけど、一体誰なんだ?アラバスタ王国が雇った用心棒?賞金稼ぎ?ってところなのかな?
「僕らはミスト海賊団。この国にあるお宝を取りに来ました」
このまま勝てるとは思うけど、苦戦しそうなこの人を相手にするのは時間がかかる。それに、まだ強い気配がある中でシオンとカリーナをこの先に行かせるのは不安があるので、ここは拮抗しそうなシオンに任せよう。シオンに負担をかけてしまうのが、申し訳無い。
「シオン。任せた」
「了解です。兄様。私にお任せ下さい」
「おい、待て!」
男は刀を一本口に咥え、二本を手に持って後ろに下がった僕を追いかけようとはしたけど、シオンが間に入ってくれた。
「兄様には一欠片も触れさせません。私が相手です」
「小太刀の二刀流か。相手にとって不足なし」
そして、男の三刀流とシオンの二刀流がぶつかった。
★ ★ ★
時と場所は遡り、ルーファス達が飛んで行ってから数日経ったミスト海賊団の船の上、マグメルは眠っていた。睡眠時間が特殊なマグメルはこうして寝ることが多く、ルーファスとカリーナ不在の船では最年長のヴィレムや古参のアデルなんかが指示を出していた。そんな時、オエステアルマダ号の正面から、小さなボートのような物がそこそこのスピードで迫って来ていた。
なんの偶然か、マグメルはそのボートが迫って来ている時、ちょうど目を覚ました。
「うん?この気配……強敵ですね」
「起きたか。どうします副艦長。あの船を」
寝起きにも関わらずマグメルの目は鋭く尖っていた。そして、懐に手を伸ばすと、ピストルを取り出して、その船に向かって容赦なく発砲した。
「ちょ、マグー姐。民間人だったらどうすんの?」
「いや、そんな訳無いですよ。私よりも強いはずですから」
そのボートのような船は器用に銃弾を避けると、そのまま大きくジャンプをし、オエステアルマダ号の甲板に飛び乗った。
「危ねぇな。当たったらどうすんだ?」
背中に白い髭をつけた海賊旗を背負ったその男は、帽子を少し上げるとニカッと笑った。
「おいおい、こいつは」
「ええ。私でも知ってますよ。懸賞金5億5000万ベリー、四皇、白ひげ海賊団2番隊隊長ポートガス・D・エース。大物がこんな場所に何の用ですか?」
ラフな格好をしているエースは甲板に乗った自身の船から降りると、マグメルの方へ少し近づいた。
「探している奴がいるんだよ。マーシャル・D・ティーチ。知らねぇか?」
「知りませんね。でも、強い奴なら目の前にいますよ」
口角を上げたマグメルは拳を武装色を纏うと、火を手に纏ったエースの拳とぶつかった。
そこまで本格的に麦わらの一味とは関わらないかな?