霧となった少年は最悪の世代に数えられるようです。   作:地支 辰巳

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アラバスタと世界政府編今回で終了です!


食物連鎖

 僕は自身の能力について初めて知った事がある。それは同じような悪魔の実であるスモーカーさんには僕の霧の攻撃が一切通用しないということだ。そして、スモーカーさんの海楼石が仕込んであるらしい十手を伴わない攻撃も僕には通用しなかった。

 

「てめぇの能力厄介だな……霧か」

 

「ええ、そういうスモーカーさんは見たところ煙みたいですね」

 

 僕の霧よりも重く拘束能力を持って広がれる性質が特徴のようだけど、スモーカーさんはその特性が僕には効果が無いことが分かって、あまり能力を使ってこなくなった。僕の霧の刃などもスモーカーさんには全てがすり抜けてしまっていて、僕も能力を使用しなくなった。その結果、僕は刀で、スモーカーさんは十手だけでの勝負になった。これじゃあ、クロコダイルさんにどうやって勝てたか上手く測れないかな。

 

「スモーカーさん!ルーファスの持っている刀は大業物の晴嵐です!しなやかさが特徴で、軽さが武器の刀です。数百年は行方が分からなかったはずなんですが……私も加勢します!!」

 

「たしぎ、他の奴らも下がってろ!!!他の奴らも手出すなよ。こいつは危険だ」

 

 スモーカーさんは他の海兵達を庇うかのように前へ出てきて、僕に対してさっきよりも大きく、気を引くかのように攻撃を加えて来た。……この人は海兵の鑑ですね。自分のことよりも他の人のことを優先して、自分を犠牲にする。こんな人に救ってもらったら別の良い人生もあったのかもしれない。

 

「西の海で大人しくしてやがった奴らがこんな場所で何してやがる!!」

 

「目標が出来たので、偉大なる航路に来たまでです。それに、この辺りにいるのはアラバスタから豪水を盗み出したからです」

 

 僕の言葉に反応したのか、スモーカーさんの顔は段々と険しくなっていった。アラバスタに思うところがあるんだろうか……いや、せっかくクロコダイルを倒して、解放した国を荒らされたのが気に入らないんだろう。

 

「てめぇは今のうちにやっとかねぇとクロコダイルのようになるんだろうな」

 

 それは光栄な事として受け取っても良いのかな?元王下七武海と似ているのが、単純な戦闘能力で比べられているんだったら良いんだけど、性格で似ているんだったら何とも言えない気分になる。クロコダイルさんがどんな人かは知らないけど。

 

「啄木鳥突き 重解放!!」

 

 改めて振るう僕の刀。だけど、その技も十手を前にカンと音を響かせ、軌道がズレてしまった。武装色も纏っていたんだけど、この十手、思ったよりも硬いみたい。

 

「てめぇは絶対に逃がさねぇぞ」

 

「いや、大体の目的は達成しました」

 

「鶫大断ち!!!」

 

 武装色によって黒く染まった横一閃の斬撃がスモーカーさんの十手に向かって放つ。いくら、海楼石が入っている十手だとしても能力者が使用してるので、その全てに海楼石が入っていることは無いだろうから、この攻撃を止め切れはしないと思う。その僕の予測が当たったみたいでパキンとという音と共に、十手は真ん中辺りで折れた。

 

「ルーファス!目的の物はゲットしたから!」

 

「流石です。カリーナとシオン」

 

「いつの間に仲間が侵入していたんですか!?」

 

 たしぎと呼ばれていたスモーカーさんの部下が刀を構えてカリーナの元へ切り掛かりにいった。その速度は一般の海兵よりも速いと思うけれど、カリーナの強さを侮らない方が良い。

 

「ウシシ、危なかったですよ。あたしだって生意気に海賊やってませんから」

 

 たしぎの一太刀をカリーナは少し下がり、足を伸ばして刃物を仕込んだ靴で受け止めた。参謀とは名ばかりの受け止め方だとは思うけれど、この際はカリーナが怪我をしなかったことを嬉しく思おう。

 

「僕は王下七武海、四皇になって死ぬ男です。僕のことを覚えておいて下さいスモーカーさん」

 

 僕が濃い濃い霧を出したのを合図にシオンが獣型に変身して、僕とカリーナを連れて空高く飛び立った。

 

「兄様。これからどちらに向かいましょう?」

 

「うん。このまま盗ってきたばっかりの永久指針が示す方向に向かって進んでいって。僕らが向かうのは聖地マリージョアだよ」

 

 僕が進んでいく道は修羅場しか無いかもしれない、西の海で自由気ままに海賊をやっていた方が楽しかったのかもしれない。でも、僕はそれでも進んでいくともう決めたんだ。

 

 

★ ★ ★

 

 

 聖地マリージョア。所謂この世界を造ったと言われる天竜人が住んでいる場所。普通に生きていたら一生ご縁なんて無い場所なんだけど、僕は今そこにいる。警備は思ったよりも厳重では無くて、普通の街と変わらなかった。天竜人に手を出したら海軍大将が来るということで警戒も薄くなっているんだろうな。

 カリーナとシオンを聖地マリージョアに入るか、入らないぐらいの所で待っていてもらうと、僕はパンゲア城と呼ばれる城の窓まで飛んで行った。そこは既に七武海を決める会議中だったんだけど、窓の所に誰かいたんだ。

 

「我らが一味の名は……黒ひげ海賊団ご記憶くださいますように」

 

 え、この人も自分の海賊団の宣伝をしに来たのか?黒ひげ海賊団なんて聞いたことも無いけど、僕と同じ考えをしている人がいるなんていることの方が驚いた。いや、それよりもこのままこの人に宣伝をさせたままじゃいけない。ここでいかなきゃインパクトが薄れてしまって、2択になった時に黒ひげ海賊団が選ばれてしまう。

 

「ちょっと待って下さい。僕らのことも記憶に置いてもらいます」

 

「次から次へと誰だ貴様は!」

 

 片脇にヤギを連れている人の怒号がここに響いた。この人なら、新聞で見た事がある。現海軍本部元帥仏のセンゴク。あの伝説の時代を生きた凄腕の海兵だ。近くで見ると迫力が直に伝わってきて、つい凄んでしまう。

 

「そいつはそこのラフィットと同じ西の海出身の海賊だよ。名前はエルドリッチ・ルーファス。ドフラミンゴ。あんたの方が知ってるんじゃないのかい?」

 

 ドフラミンゴさん……。マグーと初めて会った島では彼の部下をやってしまったんだよね。この人がその事を覚えていたら、多分僕に対して怒りの感情の抱いているんだろうな。仕方なかったとはいえ申し訳ない。

 改めて部屋の中を見回すとドフラミンゴさんの他に、聖書のような本を抱えた王下七武海のバーソロミュー・くまさんや、まさかここで会うとは思ってもみなかったけど、ミホークさんもいる。ここにいる人が全員に襲われたらひとたまりのないな。

 

「フフフフ、まぁな。懸賞金4800万ベリー、自然系キリキリの実の能力者。俺も昔、ビジネスを邪魔されたからな覚えてるぜ。ミホークの野郎からも生き残ってやがるからな。面白ぇ、七武海に入れちまおうぜ!」

 

「お前の一存では決めれん。だが、評価出来る点はある。これから次第だな」

 

 センゴクさんの一声により、僕の話題は強制的に終了された。ミホークさんは一言もしゃべってくれなかったけど、多分気分じゃ無いとかだろうな。僕の死はしっかり見届けるとは言ってくれたし。

 

「僕たちミスト海賊団もご記憶下さいますようお願い申し上げます。では」

 

 大きく霧を発生させるとその中に紛れて、僕はパンゲア城から姿を消した。手応えはほどほどにあったと思う。黒ひげ海賊団と競うことになりそうだから、後々の為にリサーチぐらいはしとかないとな。

 その後、無事にカリーナとシオンと合流して、聖地マリージョアを後にした。帰るために、マグーに連絡を取って大まかな場所を把握したので、そこに向かってシオンに飛んでもらった。

 

 

★ ★ ★

 

 

「やっと、戻って来ましたか。随分長旅だったみたいですね」

 

「ごめん。でも、その分、色々と収穫はあったよ」

 

 全員甲板に集まっていたので、自分達であったことを話し合った。マグーの方はあの白ひげ海賊団のポートガス・D・エースと戦ったらしい。僕も人のことは言えないけど、本当に無茶をすると思う。そのエースさんが探していたマーシャル・D・ティーチという人物も相当強い人物に違いない。

 

「そういえば、襲いかかってきた海賊を倒したら、良い情報と物をゲットしたんです。アデル」

 

「これだよ、ルー兄」

 

 アデルによって投げられたのは永久指針だった。その永久指針にはハンナバルという文字が彫ってあったけど、僕は聞いたことも無い島。

 

「実は、その島では何でもありの海賊達によるレースが開催されるらしいんですよ。その名もデッドエンドレース。面白そうだと思いません?」

 

「参加して優勝したら、何かもらえるとかあるの?」

 

「優勝賞金は3億ベリーだけどな、海軍も張っている可能性があるんだぜ?」

 

「3億ベリー!!!それは参加するしかありませんね!最近、何かと入り用ですからねー」

 

 3億ベリーという値段に釣られたカリーナの猛烈なアピールとただ海賊相手に暴れたいマグーの決定により、半ば強制的に行くことが決まった。どうせ、懸賞金を上げようと思っていたから、丁度良いのかな。

 結構な長旅をしたということもあって、僕とシオンとカリーナは先に寝させてもらおうと思ったんだけど……。

 

「兄様!!!何か来ます!」

 

 シオンが柄にも無くいきなり大きな声を出し、空から甲板に何かが着地した。

 

「よぉ、元気か?」

 

 その陽気な声とは裏腹にその人、ドフラミンゴさんはいつかの日に受けたドン・チンジャオにも引けを取らない。いや、勝るほどの覇王色の覇気を発揮した。その覇気に水夫さん達はもちろんのこと、アデルやカリーナ、ルッカも気絶してしまい、シオンに至っては苦しみながら倒れ込んでしまった。意識があり、無事なのは僕とマグーとヴィレムさんだけだ。

 

「ドンキホーテ・ドフラミンゴ……」

 

「随分大層なご挨拶ですね」

 

「フフフフ、そう怒るな。俺はお前らを招待しに来たんだ」

 

 敵船に乗っているのにドフラミンゴさんは全く余裕を崩さず、笑みも絶やさなかった。それが、妙に不気味で言いようの無い恐怖を僕に掻き立てた。

 

「貴方があのドフラミンゴですか。私マグメルって言います。一応お礼は言っておきますよ」

 

 お礼?何のことだろう……取引に使う悪魔の実を盗んだことの嫌味なのかな。流石、マグー。僕は少しビビってしまっているけど、全くそんな様子が見られない。

 

「おいおい、それで、王下七武海が何処に招待しようってんだ?」

 

「何も今すぐって訳じゃない。新世界にあるドレスローザに来たら、歓迎してやるって話だ」

 

 そういえば、ドフラミンゴさんが国王になったと昔新聞で見た覚えがある。それがドレスローザだったのか……そんな国に僕たちのようなルーキーを招待するなんてドフラミンゴさんが余程暇なのか、何か裏の事情があるように思えてならない。

 

「分かりました。一応招待は受けておきます。僕たちもいつかは行く機会があると思うので。でも、何故僕たちを招待したんですか?」

 

「フフフフ、目をかけてやってんだ」

 

 何処かはぶらかされた風だけど、そこまで問題は無い。どうせ僕たちが行くことになるのは一年後とかになるだろうから今すぐ気にすることも無いのだから。

 

「せいぜい生き残ってみろ!!!餓鬼ども」

 

 空を掴むように飛んで行ったドフラミンゴさんは直ぐに見えなくなった。彼がこの為だけに来たというのならそれはそれでおかしいけれど、ドフラミンゴさんならそれがありえると、この短い時間会っただけの僕も感じることだった。

 でも、少し変だな。マグーならこういう時に仕掛けるはずなのに今回は何もしていない。ドフラミンゴさんだけにある言いようの無い恐怖感を感じてしまったからなのかな。

 




マグーのドフラミンゴに対する思いは追々具体的に書いていきます。

次回からデッドエンド編にいきます。結構色々変えるかも。

モクモクの実とキリキリの実はこんな感じの相互互換という解釈にしました。
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