霧となった少年は最悪の世代に数えられるようです。   作:地支 辰巳

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 今更ですが、オリジナル悪魔の実が多いです


 戦人さん誤字報告ありがとうございます。


超えるべき壁達

 

 なんだかんだで、馴染めてきたこの船なんだけど、今、よく分からないことになっている。目的地だと思っていた場所が海軍基地でその基地が燃えちゃってる。ルフィが言うにはガスパーデの仕業らしいだけど、私もそう思えた。ガスパーデの居場所が分かんないけど、何かチョッパーの鼻で分かるみたい。ほんとかなー?シカじゃなかったけ?

 

「ねぇ、どうしてガスパーデを倒したいの?」

 

 チョッパーが鼻でガスパーデを探してる間、暇になっていた私の近くにナミが来た。てか、言ってなかったけ?私が倒した理由。ま、言ってもいいか。

 

「私の故郷はガスパーデに無くされた。お兄ちゃんもお母さんもお父さんも全員殺された。だから、あいつを殺したい。みんなの供養をするために」

 

「海賊のことは嫌いにならなかったの?」

 

「ううん。私のことを助けてくれたルー兄とマグー姐も海賊だから、別に嫌いにならなかったかなー。二人とも私にとってヒーローみたいなもんだし」

 

「そっか、ならいい」

 

 ナミの顔はスカッとした笑顔だった。何でだろう?私のことを心配?してくれたのかな?なんか、ミスト海賊団以外の人に心配してもらうなんて、お兄ちゃん以来だから、ちょっぴり嬉しいかも。

 その後も、サンジからご飯をもらいながら、チョッパーの鼻で探して当てるの待つ。何かあるごとにサンジは私のことをレディって呼ぶけど、何で?そんなレディなんて呼ばれた事ないから、こそばゆい感覚を感じちゃう。カリーナからオシャレの方法でも聞こっかな?

 

 

 そして、いよいよ見えて来た。マジでチョッパーの鼻で見つけられたし。ルー兄とマグー姐から聞いた感じだと、私の居た街で修理を受けていた船らしい、珍しい蒸気船が今見える距離にある。武者震いが凄いし、色んな考えが巡ってくるけど、やることに変わりない。ガスパーデをぶっ殺すだけだもん。

 

「ルフィ。私が先にやるけど、良いよね?」

 

「おう!分かった」

 

 ルフィがガスパーデの船へ能力で移動するのに捕まって行く。めちゃくちゃ危ない移動だけど、これが手っ取り早い。雨が酷くなっているのと関係あるかは分かんないけど、ガスパーデの船は止まっていた。ルフィには雑魚の相手をお願いして、私は先にガスパーデの前へと向かう。

 

「次から次へとなんなんだ。てめぇらここが誰の船か分かってんのか」

 

 ガスパーデの前へ立つ。何か地面に誰かが倒れてるみたいだけど、気にしない。私と同じようにガスパーデに挑んだ人だろうし、負けちゃった人に用は無い。

 

「私のこと。覚えちゃってたりします?」

 

「知らねぇな。覚える価値のねぇ餓鬼のことは覚えねぇ主義でな」

 

 少し強めに舌を噛んじゃう。悔しいけど、しゃーないことだとは思う。ここで、私のことを覚えさせたらいいだけだし。

 

「私の名前はアデル・バスクード!!八年前にあんたに故郷を滅ぼされた者だ。ぶっ殺す!!」

 

 久しぶりにカッコつけて大きい声出した。あまりの私の大きい声にビビったみたいで、既に倒れてた人も体を揺らして、私に視線を向けてきた。

 

「てめぇも仇討ちか。あん?……そういうことか。兄弟そろってご苦労なことだな」

 

 兄、弟?誰と誰が?いや、嘘。嘘に決まってる。あいつの視線がこの倒れてる人に向けられてても、倒れてるこの人が私の方へ何かを訴えるように見ていても。

 

 ……信じられないなんて……無理。……生きてたんだ?お兄ちゃん。嬉しいし、恥も外聞も捨てて抱きつきたい。でも、どうしてこんな場所にいるの?私の覚悟が揺らいでしまうじゃん。

 だけど……海賊として生きてきた私はもうお兄ちゃんの知ってるアデルじゃない。だから、ごめんね。私はもうあの頃みたいに抱きつけないよ。

 

「仇に負けたお兄ちゃんなんて、知らない。私はお前だけを倒して、前に進む」

 

「兄と違って、おもちゃぐらいにはなってくれるんだろうな!」

 

 ルー兄にもマグー姐にも……お兄ちゃんにも、恥じない戦いをしなきゃ。このために生きてきたようなものなんだから。

 

 

★ ★ ★

 

 

「おい、元海軍なんだよな。場所とか分かんないのかよ」

 

「おいおい、分かるわけないだろ?海軍基地なんてそれぞれなんだからよ」

 

 ルーファスから海図を探す任務を託された俺達は走る。ワンチャンあるかと思って、ヴィレムに聞いたが、全く役に立たない。これじゃあ、見聞色で周囲を警戒してるシオンにもっと負担をかけるじゃねぇかよ。

 

「兄さん!前に誰かいます!」

 

 シオンが叫んだ声のおかげで、なんとか角を曲がる前に止まれた。そして、シオンの言う通り、カツカツという音を響かせながら誰かがゆっくりと近づいて来る。油断はしねぇように全員武器を構える。

 

「ウッ」

 

「シオン!!!!」

 

 ガンって音がしたと思ったら、壁が削れて何かがシオンに刺さりやがった。ふざけやがって。誰かしらねぇが、人の妹に手出してただで済むと思うなよ。

 

「おい!誰だ!何処に隠れてやがる!」

 

 壁を見ても、床を見ても、誰もいやしない。何処だ何処から攻撃してきたんだ。

 

「兄さん、私なら大丈夫ですから、落ち着いて下さい」

 

「……ああ。分かったよ」

 

 シオンに言われて深呼吸を少し挟むと、先ほどまでしていた足跡がすぐそこまで来ていた。

 

「カカカ、落ち着けい!攻撃したのはわしじゃ」

 

 現れたのはその口調とも似ても似つかない俺と年齢の変わらない女子だった。だが、こいつの目は狡猾で獰猛な禿鷹のようで、こいつがシオンをやったということは直ぐに分かった。

 

「また、大物かよ」

 

「こいつは誰なんだよヴィレム」

 

「こいつは──」

 

「それには及ばん。わしの名前はシャルバード。雇われたらなんでもする傭兵じゃ。超人系テツテツの実でもあるぞ」

 

 意味が分からない。こいつは何で自分の能力を明かしたんだ?ハッタリか?いや、ハッタリにしては能力が具体的過ぎる。何の為か分からない。だが、やることは一つだ。

 

「こいつの相手は俺がする。三人はルーファスの命令を遂行してくれ」

 

「いえ、私も」

 

「シオン。無理はするな。俺にもかっこつけさせてくれ」

 

「年長者の俺も参加するぜ。偶には活躍しねぇとな」

 

 全員の意図を察したカリーナはシオンを連れて、ここから急いで離れる。探し物なら、カリーナに任せとけば大丈夫だろ。後は俺とヴィレムがこいつを倒せるかどうかだ。

 

「何で自分の能力を言ったんだ?」

 

「わしが勝つことが決まっておるからよ!」

 

 壁から出る?突き破るように銀色の気持ち悪い触手のようなものが伸びて来る。ヴィレムがさっそくボウガンで打ったようだけど、柔らかそうに見えて、キンッと響かせ弾かれた。

 

「鉄はやわらかい時も硬い時もあるからのぅ。そう簡単に突破出来んよ」

 

「だったら!」

 

 壁から出ている触手を全て縄で捕らえる。器用に動いているようだが、何とか動きを合わせて、全てを捕らえ切る。これで、あいつを守るものは無くなった。

 

「ヴィレム。やれ!」

 

「本当、可愛げの無い坊ちゃんだぜ」

 

 口では文句を垂れつつもヴィレムはシャルバードに向かって何発もボウガンを放つ。これでいけるはずだ。

 

「カカカ、舐めてもらっては困るな。テツテツの実は一度触れた鉄を全て操る。そんな攻撃程度防げるわ!」

 

 奴の胸の辺りから液体状の鉄が出てくると、それが盾のように広がっていき、ボウガンの矢を全て防ぎやがった。俺たちはこいつに勝てるのか?いや、シオンを傷つけたこいつだけは絶対に俺の手で倒してやるよ。

 

 

★ ★ ★

 

 

 余裕の笑みを浮かべているマグメルの前で特定のリズムを片足で刻んでいるのはユーシス。野生の犬のような睨みをきかせながら、マグメルへ問いを投げかける。

 

「あんた、どれくらい強いんだ?」

 

「そんな直球に聞く人は初めてですよ。まぁ、少なくとも革命軍とも戦える実力は持ってます」

 

 自分がいつも似たようなことを言っているということは棚に上げつつ、マグメルは問いに答える。そして、ユーシスも革命軍に所属していただろうと思い、軽く煽る。

 

「お前、革命軍のやつと戦ったのか?」

 

「ええ、サボとコアラって子と。中々楽しい時間でしたよ?」

 

 その発言をした途端、少し離れた位置にいたユーシスがマグメルでも反応出来ないほどの速さで目の前に来ると、流れるようにマグメルに殴りかかる。

 その速さに対応出来なかったマグメルは殴られた瞬間に普通とは違う音がし、そのままの勢いのまま、少し吹っ飛ぶ。

 

「やりますね。ただのパンチじゃありませんね」

 

「ああ。俺はタメタメの実の溜め込み人間。温度だろうが、ダメージだろうが、なんだって溜め込むことが出来る。それを出すことも」

 

 ユーシスの能力を知ったマグメルは面倒という感想しか出てこなかった。マグメルのスタイルは基本銃を撃つことだが、それは雑魚戦用。強そうな相手にはネコネコの実を使った力強い攻撃を使う。そうなれば、ユーシスの能力的に自身も多大なダメージを負うことは必須だった。

 

「何故、それをわざわざ私に言ってくれたんですか?不利になるだけじゃないですか」

 

「俺は卑怯な戦いなんてしない。正々堂々戦う」

 

 マグメルは笑いそうになる。それは真剣にこちらを見つめているユーシスからは混沌としていても何か芯のあるものを感じ、初めてルーファスと会った時に感じたルーファスの歪さと同じようなものだったからだ。そして、マグメルは容易く決意する。

 

「アハハ、そうですか。決めました。あなた、私達の海賊団に来ませんか?」

 

 全く要領を得られない返答にユーシスは只々戸惑う。マグメルとしても、こんな誘いをしても来るわけないとは踏んでおり、力で叩き潰してから、もう一度誘ってみるつもりだった。

 

「何言ってるんだ。俺がお前らの仲間になるわけないだろ。俺は親父にまだまだ返せてないんだよ」

 

「まぁ、屈服させればいいだけの話ですから」

 

 話を終えたというのをお互い感じたのか、さっきと同じようにマグメルに捉えられない速さで近寄り、武装色を纏った拳で殴る。それを読んでいたように、マグメルは殴られる箇所に武装色を纏い、ダメージを防ぎ、膝蹴りでユーシスをえずかせる。

 

「はぁ、はぁ、これでまた溜まったぞ」

 

「本当、面倒臭い能力です」

 

 

★ ★ ★

 

 

 相手の能力を考察するという意味でも様々な攻撃を繰り出そうとしているけれど、僕が踏むところ踏むところの木が折れていって、その隙を逆に狙われる。それに、いつもよりも動きにくい気もして、エンドルフさんの攻撃をもろに喰らっていた。

 

「そろそろ分かったか?私の能力が」

 

「まだです。そして、解かなきゃ負ける」

 

「そうだ。私の悪魔の実が分からないなら、お前は死ぬことになる」

 

 この人は多分、悪魔の実なんて無くても強い人だ。刀を振るうことに全くの迷いが感じられないし、受け止めた時の重みも違う。

 場所を変えるために、壁を壊して足元が石を加工して出来た場所に行く。もちろん、追ってきた所を狙ったりもしたけれど、ほとんど防がれる。

 

「鶴の舞」

 

 わずかな希望をかけて技を繰り出すが、今度は踏み込んだ瞬間に、滑って転びかけて技を出せなかった。

 

「あきらめろ。大人しく切られた方が楽だ」

 

「いつもよりも、動きにくい気がします。これも貴方の能力ですか?」

 

「体の変調はそれだけか?」

 

「ええ、それだけです」

 

「やはり……無理か」

 

 何故この人は僕の体調を気にしたんだろう?しかも、パーカーから水が垂れてきて手のひらまできた。そんなに汗はかいてないと思うんだけど。……いや、違う。これは……あの人の能力だ。

 

「やっと……分かりました。貴方の能力が」

 

「ならば、答え合わせといこうか」

 

「貴方の能力は物を湿らせることが出来る悪魔の実です。木がいきなり崩れたのは湿気で一気に腐ったから。石で滑りそうになったのもそのせいで、動きにくいのも服が酷く湿っているから。最後に僕の身体を気にしたのは、湿気での体調の変化によるマイナスがあるから。どうですか?」

 

 僕は捲し立てるように自分の考察を発表する。これで、間違っていたら、恥ずかしいし、僕の死は確定したようなものになる。エンドルフさんから目を離さず、僕は答えを待つ。

 

「正解だ。他の海賊よりも頭が回ると言われるだけはあるな。私の食べた悪魔の実はシメシメの実。所謂、ハズレの悪魔の実だ。本来は体力の消耗が激しかったり、体調も悪くなるんだが、お前は霧だから効かないようだな」

 

「だが、ここからどうやって勝つ?」

 

 上のパーカーを脱ぐ。これを着たままだといつまで経っても、動きが遅いままだから。ここからの対策は全く考えていないけれど、床に気をつければ何とかいけるはず。

 

「上裸か、考えたな。その傷と墨はなんだ?」

 

「これは僕の二度と負けないという誓いの傷と僕の人生そのものを象徴している刺青です。この二つに誓って貴方に勝ちます!!」

 




 ウルージさんの悪魔の実と被りそうな予感

 超人系テツテツの実
 触れた鉄を操れる能力。素材が違うこと以外、ゴルゴルの実と変わらないが、手に入りやすさや加工のしやすさはゴルゴルの実よりも勝っている。ただし、耐久性などは思ったよりも高くは無い。

 超人系タメタメの実
 自身に影響したものを溜められる能力。ダメージを溜めれば衝撃波として放出することが出来る。満腹感や熱や寒さも溜められて、応用性などは抜群であるが、何かから影響を受けなければ能力は意味が無い。

 超人系シメシメの実 覚醒済み
 自身の周りを湿らせることが出来る能力。能力はオンとオフとしっかりと出来るが、湿らせることしか出来ない悪魔の実なので、当たりとは言えない悪魔の実。生物、無生物に関わらず湿らせることが出来るので、工夫のしようはある。
 
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