霧となった少年は最悪の世代に数えられるようです。   作:地支 辰巳

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いよいよ開始です。思ったりよりも長くはならなそうです。


立っても良い場所

 

『処刑開始まであと3時間だよ。そっちは大丈夫そう?マグー』

 

『ええ、問題ありませんよ。ルーが居なくても何とか安定してます』

 

『それは良かった。僕は今から戦いに臨んでくるよ』

 

『……頑張って下さい。私も頑張りますから』

 

『うん……生きて帰るよ』

 

 僕は電伝虫をゆっくりとポケットの中に仕舞う。なんだか、湿っぽい通信になってしまった。……マグーが僕の居ない間に何かしようとしているのは薄々分かっている。だけど、マグーは自分が死ぬようなことは絶対にしない。だから、僕は戦争に集中するんだ。僕が死ぬべき場所はここじゃないから。

 

 布陣が完璧に完成した頃、海軍元帥センゴクさんによる演説が始まった。その内容はいかにこの戦争に意味があるかという内容だったけれど、最後に一つの爆弾が落とされた。

 

「お前の父親は!!海賊王ゴールド・ロジャーだ!!!」

 

 その言葉はここマリンフォードだけで無く、全世界に衝撃を走らせたものだろうと思う。だって、あの誰もが知っている人間の居ないとされた子供か生きていたんだから。でも、これで何で海軍が白ひげと戦争をしてまでポートガス・D・エースを処刑したがっているのか分かった気がする。ここで大航海時代を終わらせるんだ。その狼煙がこの処刑。

 

 その後もセンゴクさんの演説は続いたけれど、海兵の報告によって、正義の門が勝手に開いているという情報が入った。……こんなので大丈夫かな?戦争勝てるかな。いきなり七武海の称号が意味なくなるのは嫌なんだけどな。

 

「フフフフ、面白えじゃねぇかよ。そう思わねぇかよ、おい」

 

「海軍がこんなドジなことをするのは面白くもありますけど、自分たちの方の不手際なので、笑えません」

 

「フフフフ、そうかよ」

 

 何かと繋がりがあって、喋りやすい部類に入るドフラミンゴさんと隣あって会話をする。少しだけ狂気的な性格だとは思うけれど、こんな海賊時代を生きている大海賊なら、これくらいは全然常識の範疇だとは思う。それに、ドフラミンゴさんも何か嫌な過去を背負ったそうだから。

 

 そんなことを言っているうちに、正義の門から白ひげ海賊団の傘下と呼ばれる人たちがどんどんと入ってきた。どの人もここから見る限り個性的な人ばかりで、覇気も持っている。凄い。それから数秒も経たないうちに、湾内の海底から四隻の船が四方を睨むように現れ、大きな船に例の人が立った。

 

「おれの愛する息子は無事なんだろうな……!!!」

 

 四皇エドワード・ニューゲート。通称白ひげ。こんな離れた距離から見ているのに威圧感が凄い。これが……四皇の力、そして、覇気なんだ。立っているのが嫌になる。座り込みたくなるようなそんな力を感じる。ああ、僕はこの人の目の前に立って戦えるのだろうか。自信なんてものはとっくに消え去っていた。

 

 

★ ★ ★

 

 

「始まったみたいですね。さっ、行きましょうか」

 

「はい。兄さん、この船を頼みました」

 

 白ひげ海賊団に手を出すこと無く、戦争の開始を察知したマグメルは事前に決めていたメンバーと共にインペルダウンに向かうことにした。

 

「そんな心配しなくても大丈夫じゃないかな?だって、船に残るのはカリーナ、ヴィレム、ルッカにエレカだよ?余程のことがない限り、大丈夫だって」

 

「その通りです。私たちの方が心配なぐらいですよ。まぁ、行くことに変わりませんが」

 

「俺たちに任せてとっとと行きやがれ。誰も来やしなかったら、戦争に乗り込んでやるから、心配すんじゃねぇ」

 

 エレカの危ない発言にも動じることも慌てることも無く、マグメルは静かに笑うと、獣型に変身し、空へ舞う。その背にはアデルとシオンが乗って。

 

「マグメルさん。インペルダウンについてはどのくらいご存じなんですか?」

 

 インペルダウンに向かう空の上。マリンフォード辺りから出発した為、あっという間には着く距離ではあるのだが、情報共有も含める目的もあり、3人は話し合う。

 

「ぼちぼちですね。Level1からLevel5まである事は知ってますけど、どんな構造なのか、どんな警備なんかは全然知りません。でも、いけますよ。なんたって、私たちはミスト海賊団なんですから」

 

「うん、うん。マグー姐の言う通り。私たちが負けるなんてことはありません!」

 

「もう少し危機感を持って挑んで欲しいです」

 

 あまり深く考えていない二人と警戒を怠っていない一人という良いバランスを保っている3人は当初の予定通り時間があまりかからずにインペルダウンに着いていた。しかし、当のインペルダウンは門が壊れており、ボロボロの海兵が転がっている。さらに、海には破損ぎみの軍艦が漂っていた。

 

「……おかしい。これが普通の状態では無いはずです。……襲撃ですね」

 

 並々ならぬ状況にマグメルの目の色が変わる。それを察した二人も気を引き締め、覇気を漏れ出ながらも進んでいくマグメルへ着いていく。

 

「マグメルさん」

 

「分かってます。シオンはヤバい奴の気配がしたら、私に報告して下さい。アデルは現れた能力で距離を離して下さい」

 

「りょーかい。行こっか」

 

 三人は臆する事なく進んで行く。この先に誰が居ようと、その誰かを倒し、ユーシスを脱獄させ、仲間にするために。

 

 

★ ★ ★

 

 

 ついに始まった。この戦争が。グラグラの実の能力者の白ひげさんが空気にひびを入れ、大津波が襲ってくる。それを青雉さんが凍らせたことを皮切りに一気に戦いが始まった。ふぅー、胸を張らなきゃ。僕は王下七武海。ここに戦力として呼ばれているんだ。早々に死ぬなんてことは許されない。

 

「霧隠れ 疑雲猜霧(ぎうんさいむ)

 

 青雉さんが凍らせた湾内も含め、僕の体から発せられた霧がマリンフォード中に漂っていく。その霧は人を隠すほどの濃さは無く、足元に広がる出した霧だ。これで、下準備は大丈夫。役には立つはず。

 

「おい!何だこの白いのは。邪魔してんのか?!」

 

「これは特別な霧です。モリアさん。僕の見聞色を合わせた動きを感知出来る霧です。戦争では役に立つと思って、開発してきました」

 

「……真面目なものだ」

 

 うん、ミホークさんの言う通り、こんな準備をするなんて七武海の中でも僕だけだとは思う。でも、若輩者の僕はここまでしなきゃ。湾内からどんどんと攻めてくる傘下も含めた白ひげ海賊団の船員達。それを迎え撃つ中将達。こんなにも大勢の戦いなんて圧倒される。霧で感じる人々の動きも凄い感じる。

 

「フフフッ。何だやんのか。お前……」

 

「推しはかるだけだ……近く見えるあの男と我々の本当の距離を……」

 

 ミホークさんの大振りの斬撃を白ひげさんにたどり着く前に三番隊隊長のジョズさんが能力を使って止める。その出来た隙を逃さないよう黄猿さんが攻めるけど、それを一番隊隊長のマルコさんが止める。早々に頭を取りに行くなんて、海軍側は気合いが凄いけれど、本気で取れるとは多分、誰も思ってはいない。

 

「効くよい」

 

「ウソをつけ〜〜〜」

 

 黄猿さんからマルコさんにはまるで攻撃が効いていないらしく、情報を持っている海兵によれば、動物系の幻獣種らしい。マグーとは同じ種類の悪魔の実だけど、初めて見た。新世界の大海賊はそんな能力者ばかりなのかな?僕たちもこれから新世界に行くなら良い悪魔の実手に入れた方が良さそう。カリーナもヴィレムもエレカも食べたがらないけど。

 

「何だ、お前もやんのか」

 

「ええ。飛ぶ斬撃の練習がてらやりますよ」

 

 僕もまだまだ遠くにいる敵軍に対して、刀を構える。ミホークさんには勝てないけれど、追いつけるように頑張る。

 

鸊鷉破(へきていは)!!」

 

 小さな斬撃が飛ぶようにしていく。海兵達を抜け、しっかりと敵軍に命中する。さっきの霧を利用して当てたけれど、上手く飛んでくれて良かった。

 その直後、まるで地震が起こるような音が鳴ったと思うと、霧が大きく反応し、その巨体が見えた。

 

「な、なんですか、あれは」

 

「キシシシ!!!オーズの子孫!??白ひげの傘下にいたのかァ!!!欲しい!!!あいつの死体が欲しい!!!」

 

「フッフッフッ!!!ウズいて来るぜ……」

 

 あんな生物がこの世にいるなんて、戦争が始まってから、驚きばかりだ。でも、僕の感想とは違って、他の人たちは逆に興奮しているみたい。うーん、こんな大きな人が僕たちの所まで来たら、僕たちもただじゃすまないかも。

 

「エースぐん!!!今そごへ行ぐぞォオオ!!!」

 

 オーズ?らしいこの巨大な人に続くように白ひげ海賊団の人たちは湾内へと乗り込んで来て、僕たち、七武海の直ぐ目の前まで迫ってきた。

 

「僕もしっかり役割を果たします」

 

「霧細工 幾十指切り」

 

 何千といった霧の針を生成する。それを何とか味方の海兵に当てないようにしながら、敵軍に当てていく。うん、結構な数倒すことが出来た。いくら、白ひげ海賊団関係とはいっても、役職がない人はそこまでじゃないのかな。

 

「芳香脚!!!」

 

 そんな調整したりした僕の努力を無駄にするようにハンコックさんが海兵もろとも攻撃を加えていた。……薄々感じていたことだけど、他の七武海のみなさんと連携できる気が全くしない。

 

「熊の衝撃!!」

 

「ハァ……ハァ……せめで……七武海一人でも……!!」

 

 くまさんの一撃によって、瀕死寸前までに体力の削れたオーズさんは最後に七武海を倒すために僕とドフラミンゴさんの居るところに手を振り落としてきた。僕は自分の体を霧にすることで、防げた。ドフラミンゴさんの方は高く飛び上がり、オーズさんの足を切断した。

 

「角刀影!!!」

 

 追い打ちをかけるようにモリアさんの技がオーズさんの体を貫通し、倒れさせる。惜しかったな。もう少しで処刑台だったのに。でも、ここを通してしまったら、七武海の意味が無い。

 

「頂点に立つ者が善悪を塗り替える!!!今、この場所こそ中立だ!!正義は勝つって!?そりゃあそうだろ。勝者だけが正義だ!!!」

 

 ドフラミンゴさんの正論を聞きながら、僕はいよいよ迫ってきた白ひげ海賊団の人たちと直接対峙する。さっきまでは肩慣らし、ここからがいよいよ本番だ。

 

「おい、何だあれは……何か空から降ってくる!!」

 

 海兵に釣られるように空を見てみると……何かが降ってきていた。何あれ。

 




七武海で軽く会話出来る人がいない。
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