霧となった少年は最悪の世代に数えられるようです。 作:地支 辰巳
あと、今回の話で登場する花の国の文化や食べ物は僕の予想と思いつきです。
花の国観光
2年の修行期間を経て、僕とマグーはこの修行をしていた島から出港した。ここの島の人たちは優しい人ばかりで、良くしてもらって中々に幸せな日常を送れていたと思っている。
そんなわけで、名残惜しい思いもありながらも、島を出て海へと出てきた僕とマグーは海図とか羅針盤を駆使しながらなんとか花の国に着く努力をしていた。
「ねぇマグーこんな感じで本当に大丈夫なの?」
「うるさいですねぇ。私だって航海士でも無いのにこんなことをするのは嫌ですけど、居ないんだから仕方ないじゃないですか!」
こんな風に僕たちはやいやい言いながらも、船を早く進むように動かしていた。そして5日が経って、もうそろそろ着くだろうと僕らが予想した頃にやっと目標の島が見えてきた。
「はぁーやっと島ですよー。もうルーは私に感謝して下さいね。7割方私がやったんですから」
「もちろん感謝してるよ。マグーが居なかったらこの船は目標通りに進まなかっただろうから」
「はいはい。分かれば良いんですよ。じゃあさっそく作戦を確認しますけど、まずは上陸してからは観光客の振りをして情報収集です。主に花の国が雇っている海賊の情報とか、国宝の情報を得たりするのを優先しましょう。で、そうですね〜大体3日後くらいに城へと忍び込みの開始ですね。まぁルーの能力なら簡単に侵入出来ると思いますけど、私は念のために城近くにいますから。それで私とルーが合流してここから出港して終わりです。分かりました?」
「分かった。しっかりと盗んで来るよ」
「期待してますからね」
こんなことで恩返しになるかは分からないけど、僕を助け出してくれた恩をここでやっと返せると思うと、今からでも少し楽しみになってくる。もし機会があったら僕が開発した新技なんかも披露出来ると良いな。
上陸した花の国は呆気にとられてばかりだった。僕がこれまで過ごしてきた全ての島よりも多くの人と彩りが派手な大きい建物ばっかりだった。どちらかと言うと、赤っぽい建物が多いようだった。
少し歩くだけでも、そこらじゅうからすごく良い匂いがしてきていたので、マグーと一緒に食べ歩きをした。僕も料理は少し出来るけど、こんな美味しくてちょっとピリッとする料理を食べたりなんかすると、これからも偶に食べたくなってしまう。誘う仲間の中に料理人なんかも欲しくなってきちゃうな。
食べ歩きなどをしつつも、周りの人達の様子を見ると観光客もいるようだが、それ以上にこの島の住民の方が多いみたいだった。話を聞くためにはこの島の人に聞かなければならなくて、効率を良くするためにマグーとは分かれて話を聞いて行くことにした。
マグー曰く、情報を集めるには裏路地か酒場に行った方が良いようなので、僕はとりあえずは酒場に向かった。
酒場はどこの島でも同じようなみたいで、昔の嫌な記憶にある酒場みたいで、嫌悪感を感じないことはないんだけど、割り切って情報収集をするために、初めにカウンターに座って、店員さんに話を聞くことにした。
「店員さん。あの、花の国で雇っているって言う海賊の話が聞きたいんですけど大丈夫ですか?」
僕が声をかけた店員さんはおっちゃんぐらいの年齢で、手慣れていて威厳がある感じの人だった。
「海賊?……あぁ八宝水軍のことか。まぁ教えてやってもいいが、注文をしてからにしてくれ」
店員さんも商売をしているんだから、ただ聞いて来るやつよりも、お客として聞いた方が嬉しいか。うーん。でも、僕あんまりお酒って得意じゃないからな。軽めぽいやつとこの島の名物にしようかな。
「えっと……じゃあ、度数の低いやつと水餃子ってやつを下さい」
「……分かった」
そこまで時間がかかることは無くて、注文したものは出てきてくれた。頼んだお酒は意外に度数が高かったけど、すごく色が綺麗だったし、水餃子ってやつも白くて体に優しそうだななんて思えた。食べてみても、この島の料理のレベルは高いなと思えるものだった。
「それで八宝水軍のこと教えてもらえるんですよね?」
「まぁ客だからな。はぁー八宝水軍はこの国で雇われている一応正確にはギャングなんだが、まぁ海賊だな。長い歴史があって、今は棟梁の十二代目のチンジャオが隠居してから、十三代目にサイが仮でしているな。一応言っておくが、喧嘩を売ろうとするなら、辞めておけよ。はっきり言ってチンジャオが隠居しているとは言え、下っ端の奴らですら、強いやつばっかりだからな」
どうやら八宝水軍は僕が想像している以上の海賊だったみたい。しかも、雇われているってことは僕が盗んでいるのが、バレた瞬間襲いかかって来る可能性もあるかもしれないのか。倒せるかな?いや、倒す必要なんて無いのが一番か……。
「それと……この島の国宝というやつについて教えてもらえませんか?」
僕が国宝のことを尋ねると、店員さんは苦虫を噛み潰したような顔をしたけど、ため息をつきながらも質問には答えてくれた。
「はぁ、お前さんもそれ狙いで来た口か?」
「いえ、別にそういう訳では無いんですけど」
「国宝を狙う海賊が偶に来て、それで八宝水軍なんかとやり合うから、町が壊れることもあるから迷惑してるんだよ。まぁ国宝については噂されている通りのことしか誰も知らない。悪魔の実だとか、この国を守る力だとか言われるやつだ。俺が生まれる前から言われる頃からある噂だから本当に存在するのかも分からないがな」
店員さんはそれっきり何も言わなくなった。多分僕が聞くよりも前からずっと国宝を狙いに来た海賊にこのことを聞かれてきたんだろうな。申し訳ないことをしちゃったな。
「おーかわいい女がいるじゃねぇか。しけた店かと思ったが、遊べる女がいるなら話は別だよなー!俺で良ければなんだって教えてやるから、遊ぼうぜ〜」
店が混んできたので、そろそろ帰ろうと思って、席を立った時に酔っている帽子的に海賊が絡んで来た。それに、僕のことを女と勘違いしているようだし、どうやって乗り切ろうかな。
「あの、僕男なんで、帰らせてもらっても大丈夫ですか?」
「そんな、俺が賞金首だからビビってそんな事言ってるんだろ?大丈夫だって、優しく扱ってやるからよ」
どうやら酔っているようで、僕が男だと言っても分からないようだった。優しく扱うって言って優しく扱う人間を僕は知らないから、信用も出来ない。でも、賞金首か。
「賞金首なんですか?じゃあ強いってことですよね?」
「あ?ああ。そらそうだろ。懸賞金300万ベリーだからな。そんじょそこらの弱小海賊には負けるつもりはねぇからな」
300万ベリーか。マグーが敵視していたドフラミンゴの懸賞金には、ほど遠いけど、自分が今どこのレベルにいるか知るには丁度良いかも知れない。
「じゃあ路地裏ぐらいで、お話しましょうか。僕も退屈してたんで」
相変わらず自他ともに認める上手い笑顔で、相手を誘ってみた。
「いいね。乗り気だな。おいテメェらとっとと行くぞ」
僕は海賊の船長と船員大体40人に囲まれながらも、大通りから外れて裏路地の雰囲気が暗い道に入って行った。そして進んだ先にあった広めのスペースがある場所に着いて、この人達を倒して自身の今のレベルを知る為に刀を抜こうとした。
「あれー、ルーを囲ってこんなところで何してるんですか?」
「あぁ?知り合いか?丁度良いじゃねぇか。俺たちはこの子と遊んぶんだ。お前もどうだ?」
「ぇ、嫌ですけど、気持ち悪い」
「チィ、断んなよ。一人じゃ物足りないって思っていたところなんだよ。おいその女も連れて来い」
マグーが断ったのにも関わらず、船長は懲りずにマグーを連れて来ようとした。でも、流石に、マグーと2年も一緒にいたらこんな時あいつがどんな行動に出るかぐらいは知っている。
「だから、嫌だって断りましたよね。私そんな事をする人は嫌いなんですよね」
マグーは拒絶の言葉を発するとともに、寄ってきた奴らに向かって発砲した。
「あぁ、痛え!何しやがんだよ。このクソ女が!」
「せっかく脇腹に打ってあげたのにギャンギャン騒が無いでくれません?ルーで遊ぼうとしているだけでも、不愉快なのに、その上一度は断った私を誘うなんて止めてくれませんか?」
やっぱりこうなっちゃった。マグーは残虐というかイカれているから、こういう時は真っ先に交戦的な選択をすることをしがちだ。理由を色々述べているけど、多分本当はあんまり本人的にはそこまで気にしてないんだろう。
「てめぇ舐めやがって。ぶっ殺してやるからな」
「やっぱりこうじゃ無いと面白くありませんよねー?さぁルーも一緒にやりましょ?」
「はぁ、分かったよ」
そこから僕とマグーが相手の海賊達とやり合ったんだけど、僕には攻撃が当たらなくて、マグーには接近した瞬間にどこかしら撃たれるから、こっちがほとんど攻撃側に移っていた。
何分かして、何人かは取り逃したけど、相手側の300万の船長を討ち取って、一応の決着は着いた。
「うんーすっきりしましたね。それで、何でわざわざこんな奴らについて行ったんですか?」
「やっぱりわざとだと気づいていたんだ。その船長が300万の賞金首だって言うから、自分の強さを確かめるためについて行ったんだ。マグーだって、適当な理由だったんだよね?」
「バレてましたかー。良い人はこんな場所に集団で来ませんし、何かクズの感じがしたんで、殺しても問題ないかなーと思いまして、腕が鈍っていないのかを確かめてるためにやっちゃいましたね。それより、これで300万ですかー?私とルーで余裕だったじゃないですか。これだったら二人で懸賞金2000万ぐらいはいけると思いません?」
確かにこれで300万だったら、僕たちはそれ以上ってことだから……うん。一人1000万ぐらいはつきそうな気がする。でも、まだ海賊旗とかは掲げていないから、海賊とは認識されないから、賞金稼ぎぐらいにしか思われないとは思う。
「いけるとは思うけど、二人で2000万だったらまだルーキーとも言えないから、まだまだだよ」
「それもそうですね。じゃあ得た情報の交換でもしましょうか」
僕とマグーはお互いの得た国宝と八宝水軍についての情報を交換した。マグーが言うには、八宝水軍は八衝拳というのを使うらしい。あと、今の棟梁のサイは僕たちと年齢の変わらない18歳らしい。ここから分かるのは、相手は基本素手で僕には攻撃が当たらずに、マグーは遠距離からの攻撃なので、当たる可能性が低いから、こっちに大分有利だってことだ。
「これなら、もし戦っても私たちにも勝ち目があるとは思いません?」
「相性は良いかもね。でも、隠居してるチンジャオと遭遇したら逃げることにはしよう。すごく強かったらしいから」
「分かってますよー。ああ、楽しみですよね。やっと狙っていた悪魔の実が食べれるなんて」
狙っていた悪魔の実が食べれると期待をしているマグーの顔はすごく緩んでいて、欲しかった物がねだってやっと買えると分かった子どものようだった。
「マグーは悪魔の実を欲しがってるけど、カナヅチになることはあんまり気にしてないの?」
僕も実際に2年の間に確かめたけど、本当に泳げないか試してみましょーとマグーに言われて川に入ってみたけど、見事に溺れてしまって自分が本当に泳げないだと嫌でも理解したということがあった。
「うーん。あんまり気にしませんね。泳げなくなるだけで、他の人には負けない力が手に入るんだったら、食べるしかありません?しかも、強い実のやつを」
「じゃあさ、マグー的に今から手に入れる悪魔の実がさ、どんなのだったら嬉しいの?」
「やっぱり、当たり外れが酷そうな超人系よりも、無敵な自然系や単純に強くなる動物系の方が良いんですよね。いや、でもですねー、動物系も物によっては私的に許せないのは食べたくないですね。まぁどっちにしても、国宝って言われてるぐらいなんで、強いって思っておきましょう」
「僕はマグーに似合うような実だったらなんでも良いかな」
「じゃあとびっきり強くて、可愛い感じのやつってことでー」
僕らはその調子で、2日間情報を集めて行き、いよいよ国宝を盗む作戦を決行する時になった。
次回は盗みに行きます。