霧となった少年は最悪の世代に数えられるようです。   作:地支 辰巳

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 新章突入です!


王下七武海編 過去の清算
相性様々、人生色々


 

「フフフフ、よく来やがったな。歓迎するぜお前ら」

 

 ドレスローザへと着き、この島の王宮に住んでいるドフラミンゴさんの元へと謁見する。本当に海賊をしながら王様をしているらしく、ドンキホーテ海賊団のみなさんの他、メイドさんや給仕さんなどが居て、違和感なく王様をしていた。

 

「今日からお世話になります。僕らが新世界に慣れるまでお願いします」

 

「若。本当にこいつらを住ませますか? 俺は信用出来ない」

 

 昔に会ったことのあるグラディウスさんが僕らに対して怪訝な疑いをかける。確か、僕らが昔ドフラミンゴさんの取引を邪魔したんだったから、こんなにも疑われてるのかな。あれは僕らの始まりとも言えるやつだから、どうしようも無いんだけど。

 

「俺が気に入ってるものあるが、モネとシュガーも呼びたがっているからな」

 

 僕たちの幹部全員とドンキホーテ海賊団の幹部全員がいるこの場所は艦長である僕が言うのも何だけど、結構重苦しい空気だ。そんな中、ドフラミンゴさんに名前を呼ばれたシュガーと呼ばれる少女が前へと出る。

 

「うん。あのマグメルって奴を殺したくてたまらないもん」

 

「名前変えても分かっちゃいますか。お久しぶりですね、えっと、今はシュガーでしたっけ」

 

 そのマグーの言動に違和感を覚える。知り合いなの? そういえば、本当に昔にマグーがドンキホーテ海賊団の新聞に反応してたな。日記にも書いてたから、よく覚えてる。でも、2人は知り合いの割には凄く険悪そう。

 

「みんな、言ってませんでしたね。私、ドンキホーテ海賊団のモネとシュガーと姉妹なんです。まぁ、3人とも名前は違いましたけど」

 

 その時のマグーの笑顔は何処か嘘っぽかった。こんなにも悲しげで嘘っぽい笑顔なんて、これまでしてたことあったっけ。僕が何か声をかける前にマグーはシュガーに連れられ、行ってしまった。こんなにもマグーを遠くに感じたことは初めてだった。

 

 

★ ★ ★

 

 

 ドレスローザに着いてから2週間が経過していた。その間、何だかんだで僕たちとドフラミンゴ海賊団の人たちは交流が上手くいっていた。お互いに適度な距離感を取り合っていて、人となりも何となく分かってきた。僕は気を使われているのか、ドフラミンゴさんと一緒になることが多かったけれど、意外に気品があって、思想も強かった。でも、マグーはシュガーとモネさんと一緒にいるみたいで全く会えてなかった。姉妹で水入らずの時を過ごしたいだろうから、邪魔はしないけど。

 

「エレカ。ドフラミンゴさんの仲間のみなさんはどんな感じ?」

 

「ハッ、どいつもこいつもつまんねぇ奴らだぜ。あのドフラミンゴってやつ以外は俺よりも弱いじゃねぇか?」

 

 エレカにとってはつまらない場所のようだけど、エレカの強さの基準に関しては僕も同じ意見だ。この海賊団はドフラミンゴさん以外は強さは一定な気がする。わざと合わせているようなそんな感じ。新世界だとそういう方が生きやすいのかな。

 

「エレカ、僕はいつかはこの場所を出る。その時期の見極めは任せるよ。エレカの勘とかは凄く信用してるから」

 

「ハッ、根拠ねぇこといってんじゃねぇぞ。俺の周りには誰も近寄らねぇからだろ」

 

 エレカの周りにはその気質を怖がって誰も近寄らたがらなかった。でも、その方がトリッキーな能力者が多いらしい、ドンキホーテ海賊団のみなさん相手には何かをやられる心配は少ない。無事に力をつけて出航出来れば良いな。

 

 

★ ★ ★

 

 

「おい! クソババア!!! もう一度言ってみやがれ。殺すぞ」

 

 王宮での廊下。その場所にはドンキホーテ海賊団のデリンジャーとジョーラの2人、そしてシオンとルッカが居たが、その雰囲気は最悪を通り越すものだった。

 

「その奇妙な瞳をこっちに向けないでと言ったざます」

 

「理由があっても許さねぇが理由を言いやがれ!!」

 

 いつもの静かそうな雰囲気は鳴りを潜め、ルッカは怒号の声をあげる。その表情は鬼気迫るものがあり、ジョーラとデリンジャーだけでは無く、後ろで黙っていたシオンもビクッとするものだった。

 

「み、三つ目族の目は心を読むとも言われる瞳ざます。そんなものを向けられて気分が良いはずないざます」

 

 その迷信とも言えるような根拠のない理由を言うジョーラにルッカは今度こそ胸ぐらを掴みにかかり、手を出さないまでも殺気立てて睨みつける。

 

「兄さん! 辞めてください。そんなことを言われても私は問題ありません。そんなことを気にしてたら、海賊ではいられませんから」

 

 ルッカとは違い冷静に対処するシオン。そこには、これ以上、ここでの確執が増えると、ルーファスやルッカ自身の立場を悪くする。そんな大人な考えの元、声をあげた。

 

「ジョーラ。もう良いじゃん。心なんて覗かれても困ることないでしょ」

 

「まっ、そうでござますね。では、ここらでお暇させていただくざます。せいぜい、次までにもっとアートになっておくことざます」

 

 言いたい事だけ言って満足したのか、2人は去って行った。その場に残ったシオンとルッカは今の状況をまた思い返し、幸先の不安を考え、座り込んでしまった。

 

 

★ ★ ★

 

 

 場所と時間は変わり、ドレスローザにあるカジノ。トランプのめくれる音、ルーレットの回る音が鳴る中、男の悲鳴が響く。

 

「イカサマ〜〜だすやん!!」

 

「そんなことないんじゃない? あたしだって本気でやってるんだから」

 

 怪しげ笑みを浮かべるカリーナに大金を毟り取られてるドンキホーテ海賊団のバッファローは唸ることと、叫ぶことしか出来ていなかった。イカサマを調べようにもここはバッファロー自身が仕切る賭場。自分がやっているイカサマがバレることを考えると大っぴらに調べることも出来なかった。

 

「まだお金あるんでしょ? 私たちは王下七武海になったばかりで納めるお金もあるからさ、手伝うと思っていいでしょー?」

 

 ニコニコとした笑みをしているアデルはその幼さを使って、甘えられるようにバッファローに言葉だけですり寄る。見よう見まねでカリーナの見習った技術だが、初めてにしてはよく出来ていた。

 

「も〜〜うない〜〜だすやん」

 

「ベービー5、貸して」

 

 ポーカー台を挟んでバッファローの隣にいるベービー5はバッファローの言葉に何を感じかは分からないが、喜ぶような顔を見せると、お金をどっと机の上に置く。

 

「さぁ〜〜勝負〜〜だすやん」

 

「とっとと、あきらめればいいのに」

 

 絶対に勝てるという笑みを崩さないカリーナも勝負を受ける。ポーカー勝負はお互いに引かない大勝負を繰り広げるが、その大勝負はイカサマまみれの汚れたものだった。バッファローは賭場を仕切っていることを活かして、ディーラーと結託し、強い数のトランプを優先的に貰っていた。対してカリーナはアデルを膝の上に乗せることで、隠し持った別のトランプを能力を使って増やして強制的にワンペアを作っていた。そんな攻防の末、いよいよ時間的に最後の勝負となった。

 

「絶対に〜〜勝つで〜〜だすやん」

 

 バッファローの役はフルハウス。もちろん、イカサマを使って揃えたものだが、カリーナはその自信満々のバッファローの顔を見ても笑みを崩すことは無かった。まるで、負けるはずが無いと確信しているように。

 

「これは私の勝ちですね」

 

 カリーナの揃っている役、それはフォーカード。イカサマにイカサマを重ねた結果、揃った役だが、周りに見ている人からすればそれは奇跡の役。誰も言葉が出なかった。

 

「こんなんじゃ、破産まっしぐらね」

 

 ベビー5も居なくなり、カリーナもアデルも居なくなった賭場には見るからに落ち込んでいるバッファローの姿だけが残った。

 

 

★ ★ ★

 

 

「なんですかこれ?」

 

「新世界の記録指針だ、もっておけ」

 

 また数日経って、ドフラミンゴさんから渡されたのは今までは一つだった記録指針が三つのついた記録指針だった。

 

「どうして、これを僕に?」

 

「新世界で海賊をやるには必須品だぜ?」

 

 確かにこのドレスローザまではいつの間にかあったドレスローザまでの永久指針があったから来れたけど、他の島に行ったりするんだったら、これは必需品だよね。ドフラミンゴさんの元へ一番最初に来て良かった。

 

「これもやるよ」

 

 ドフラミンゴさんから投げられたのはまだ読んでいない今日の新聞だった。そこにはトップの記事にルフィさんの記事が載っていて、また海軍本部に乗り込んで16回鐘を鳴らして、黙祷を捧げたらしいのだ。

 

「……生きていたんですね」

 

「フフフフフ、そうみたいだな。つくづく悪運の強い小僧だぜ」

 

 やっぱり彼は海賊王になる器を持った人間。僕らの世代で王となる人。でも、だからこそ、僕は彼に追いつくような人にならなきゃ駄目なんだ。

 

「ルフィさんも絶対にこの新世界に来ます。それまでに僕も強くならなきゃいけない」

 

 ドフラミンゴさんに覚悟を決めた目を向ける。僕が強くなる為にはこの人を頼るのが一番近道だと思う。確かに、ドフラミンゴさんの海賊団は歪なものだって、ここに来てからは思った。でも、それでも構わない。それぞれに形があるんだから。

 

「俺にお前を鍛えろってか?」

 

「ええ」

 

「フフフフフ、いいぜ。その方が面白え」

 

ドフラミンゴさんからの了承を得られ、僕たちは広い場所へと向かう。ドフラミンゴさんの能力と僕の能力は傾向も使い方も全く違う。でも、この海で何年も生き残ってきたんだ。学べることなんてたくさんある。

 

「お前のところの三つ目族居るだろ?」

 

「シオンですね。どうかしたんですか?」

 

「しっかり目を隠すように言っておけよ。新世界には危険なクソ婆さんがいるからな。フフフフ」

 

 ドフラミンゴさんの言っている意味は分からないけれど、わざわざ忠告してくれてるんだ。シオンにもしっかり言うことを覚えておこう。

 ……何か変だ。僕はこんなにも1人で成長出来た人間だったけ。

 

 

★ ★ ★

 

 

 ドレスローザのある一室。吹雪が吹き荒れ、中身も無いおもちゃ達が転がっているその部屋の中央に手を鎖に繋がれたおもちゃが膝をつき、下を向いていた。そのおもちゃがこの状況に怒っているように見えない。ただこの状況を受けている。そんな姿だった。

 




 この章はそんなに長くならない予定
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