霧となった少年は最悪の世代に数えられるようです。   作:地支 辰巳

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 いよいよレイド戦です


途方もない強さを求める者

 

 地響きと聞き間違うような大きな音がグラン・テゾーロの中心から響く。その音と中心部から感じる大き過ぎる覇気を感じ、ミスト海賊団の幹部の面々はその場に向かう。それぞれが別々の場所に居たということもあって、その場所に辿り着くのは少々の差異があり、一番初めについたのはいち早く見聞色でその接近を感じとり、獣型の最高速で着いたシオンだった。

 

「これほどの覇気を持つあなたは誰なんですか?」

 

「俺はダグラス・バレット。この海で最強となる男だ! この船、いただくぞ」

 

 煙の中から現れたのは黒い軍服に身を包んだ筋肉質で強大な覇気を身に纏っている元ロジャー海賊団の船員、ダグラス・バレットだった。バレットはお手並み拝見という名目で瞬間的にシオンの元までくると、その鍛え上げられた拳を振るっていく。とっさに防ごうとしたシオンだったが、バレットの拳に比べてるとシオンの翼は貧弱であり、容易く黄金の塔へとその体をぶつけられる。

 

「シオン!! てめぇ! 殺す」

 

 着いた瞬間にシオンが吹き飛ばされるのを目撃したルッカは相手が誰かも確かめず、勢いのまま縄を長く伸ばす。その何重にも絡まり、伸びた縄はこれまでルッカが伸ばした中で一番の長さだった。

 

「悪惡縄 小魂(こだま)!!」

 

 相手がバレットで無かったのなら、その攻撃も致命傷はなっただろう。しかし、相手のそのバレット。攻撃はかすり傷にもならず、逆に縄を掴まれる。

 

「この船はおれのものだ。どきやがれ」

 

 容易くバレットはルッカをシオンと同じ黄金の塔へと投げ飛ばす。ルッカとシオンは戦闘不能になるほどのダメージは受けなかったものの、バレットとの実力差をその身で感じることになった。

 

「こんなものか。ここにいる海賊は」

 

「ハッ!! あいつらが弱かっただけだ!」

 

獅子青龍刃(ししせいりゅうじん)!!」

 

 龍が通った後のような長い一列の斬撃がバレットを襲う。皮膚をかすっていくその攻撃を受けて、エレカの強さを認識したのか、バレットは大きく笑みを深くする。

 

「悪くねぇ。だが、おれに勝つには足りねぇな」

 

 その巨体から出せるとは到底思えないほどのスピードでエレカに近寄ると、黒々と光る腕をエレカの鳩尾へと振るう。それをエレカは刀で受け切り、ダメージを逃すことには成功した。

 

「おもしれなぁ! まったくよ!!」

 

 覇王色を威嚇するようにバレットへと向けるエレカ。しかし、バレットも同じように覇王色を出していき、エレカの覇王色を圧倒する。エレカも負けじと覇王色を放つも、バレットの覇王色は強大で競り負けるのは時間の問題だった。

 

「シオン!!」

 

「ええ、兄さん!」

 

「黒縄 閻魔地獄道(えんまじごくどう)!!」

 

豆蜂撃ち(まめはちうち)

 

 黒く禍々しい気配を纏わせる縄を放つルッカと獣型で回転するような動作のままバレットに突っ込むシオン。2人は力の差を充分に味わったが、そんなものでは2人は終わらなかった。2人の攻撃はエレカとの戦闘中だったバレットに直撃したが、大きなダメージになっている様子には無かった。

 

「ナイスだてめぇら!」

 

獅子重付刃(ししじゅうふじん)!!」

 

 藤虎にやられた重力攻撃を再現するように上から押しつぶすように刀を振り下ろす。しかし、そもそもが原理が違うこともあったためか、バレットが硬すぎるからか、バレットはニヤッと笑う。そして、順々に3人を圧倒的な力で殴りさり、一時的に立つことさえも出来なくさせる。

 

「おれに勝つならもっと強いやつを呼んだくるんだな」

 

「あんたに艦長を呼ぶまでも無い!」

 

 柄に似合わず果敢に突っ込んでいくカリーナを鬱陶しがるバレットの顔面にユーシスの殴りとともに衝撃がささる。その攻撃を他の攻撃よりも嫌がったバレットはカリーナを掴み、ユーシスの方に投げる。

 

「おいおい、先攻しすぎんなよ。どうせ、大きなダメージは与えられないんだからよ」

 

「やってみなきゃ分からないだろ」

 

「あたしもやるなきゃ死ぬならやるから」

 

 ユーシス、カリーナ、ヴィレムというこの海賊団の中でも頭脳面を担う面々は初撃こそ勢いに任せた攻撃を放ったが、今は少し距離を取りながら様子を見守る。

 

「ルーファスとマグメルは何してるんだ?」

 

「後ろで待機! それがベストでしょ」

 

「ここで俺らが敵のパターンを引き出して、次に繋ぐってことだ」

 

「まぁ、作戦は及第点だろ」

 

 やる気を見せたヴィレムとともに3人を戦いを再開するようにバレットに向かっていく。バレットの注意を惹き、牽制する為にカリーナは正面に立ち、絶妙な距離感を保っていき、それに乗じるようにユーシスとヴィレムは側面からの慎重な攻撃を続けていく。ヴィレムが小さいながらも傷を負わせていく中、ユーシスはここぞというところで的確に大きな攻撃を当てることで比較的バレットに効果的な攻撃となっていた。

 

「二重衝撃!!」

 

 弾けるようなその衝撃の攻撃にバレットの体が揺らされる。ユーシスの衝撃は覚醒前の攻撃も覚醒後の攻撃も、どちらもが内部にもダメージを与えるもので、バレットのような外からの攻撃には強い人間にはよく効いていた。

 

「あまり調子に乗るなよ」

 

「調子には乗っていない。俺らはいつだって全力で相手をするだけだ」

 

 世界政府の使う剃に酷似する技だが、その何倍もの早さでカリーナに近づき、拳を振るっていくバレット。だが、それを読んでいたのか、ユーシスがその間へと入り、両手の籠手でその攻撃を受けきる。しかし、技自体の余波は相殺出来たわけでは無いので、ユーシスの体は地面に叩きつけられる。

 

「ッ! ヴィレム!」

 

「あいあいさー!!」

 

「この距離なら外さねぇ!」

 

「排撃!!」

 

 背後からのヴィレムの武装色を纏ったサーベルの一撃と鳩尾に放たれるユーシスの衝撃貝と排撃貝の同時攻撃。いくら、四皇に負けず劣らずの力を持っているバレットだと言えども、それに無傷で耐えることは出来ずに血反吐を吐いてしまう。

 

「力は1人が這い上がる為にあるもんだ。おまえらがやっているものは弱さの現れだ!」

 

鎧合体(ユニオンアルマード)!!」

 

 何処からか現れた潜水艦のようなものとグラン・テゾーロにあった黄金やガラクタなどが合体していき、その内にバレットは乗り込む。それはバレットのガシャガシャの実の能力で作られた無敵の要塞と言えるようなもので、まさに孤高をその身に表したものだった。

 

「おれの強さ俺1人の為だ。仲間を作ることは弱さに繋がる!!」

 

 新たなバレットの巨大な身体から出される薙ぎ払いに3人は吹き飛ばされ、体のあちこちに傷を作っていく。その戦線から離脱した3人と変わるように巨大な要塞に身を包んだバレットの前に立ちはだかるは新たな3人。

 

「おれの邪魔をするなら死ぬ覚悟を持つんだな」

 

「海賊なら海賊らしく奪って下さい。僕らはそのくらいの覚悟ぐらい出来ますから」

 

「私たちに勝てるならだけど」

 

「しっかりサポートするから、頑張ってきてねルー兄とマグー姐!!」

 

 満を辞して登場したこの船のトップにバレットの体が心が足掻く。バレットからすれば、このグラン・テゾーロを奪うことは計画の前段階に過ぎず、自分が強くなる為の足掛かりに過ぎなかった。だからこそ、やっと決着が着くだろうことになるルーファスの登場は渡りに船だった。

 

「ロジャーほどの力をおれに見せてみろ!!」

 

「海賊王ほどの満足感をあなたに与えることは僕には出来ません。でも、あなたを倒すことぐらいなら出来ます」

 

「鷺落とし!!」

 

「魚人空手 五千枚瓦正拳!!」

 

「ちゃんとするからねー」

 

黄金の踊り(ゴールデンダンサー)!!」

 

 ルーファスが上から攻め、マグメルが真正面から攻める。アデルは中距離でバレットの気を引きながら、妨害工作をする。黄金出来た様々な物がバレットの近くに飛ばされ、視界の妨害と装甲を削っていく。ルーファスとマグメルの同時攻撃もその覆われた装甲に並ならないダメージを与えていく。

 

「霧分身 七転八苦」

 

「李陵風!!」

 

 ルーファスが分身して、その刀でバレットの装甲にダメージを与えていく中、マグメルは風を巻き起こし、アデルの増やした黄金で出来た道具の数々をバレットの全身に当てていく。

 

「そんな攻撃で俺の装甲を破れると思うなよ」

 

 バレットの言葉通り、3人の技はバレットの装甲に大きな傷をつけることは出来ずに徒労に終わる。しかし、そんなことで諦めるほど生ぬるい海賊生活を送っていない3人は再び動き出す。

 

「良いこと思いついたから!!」

 

 アデルは可能限り接近していき、バレットの装甲の腕に触れる。すると、アデルの手にはバレットの装甲と同じ腕が握られていた。そんなものを何秒も持てるほどアデルの体は強く無く、バレットの元の腕へと投げつける。

 

「よし!!」

 

 アデルの叫び声と共にバレットの装甲が崩れ落ちていく。それをバレットは予測出来ていなかったのか、一瞬呆気に囚われるも、持ち前の戦闘IQと能力を使って、直ぐに新しい腕を生成する。

 

「やるじゃないか雑魚が。おれを超えれるものなら、超えてみろ!」

 

「アデルだけに良いとこ見せる訳にいきませんよね。やりますかルー」

 

「こうやって戦うのも久しぶりだね」

 

「李徴」

 

「霧隠れ 黄霧四塞 国之狭霧神」

 

 覚醒状態になり、四つ足になるマグメルと黄金の巨人が背中に現れて黄金の霧を出し続けるルーファス。覚醒してるとは思わなかった2人が覚醒していると理解したバレットは侮りを捨て、喜びの溢れる笑みを2人に向ける。

 

「覚醒したところでおれには勝てない」

 

「おれの覚醒はおれだけのものだからな!」

 

 意味が分からない理論の元、もっと他のガラクタを回収していき、巨大化していくバレットとその装甲。その装甲は巨大化したことになり、先ほどよりもより強固で突破出来ないものとなっていく。

 

「ルー。突破出来ますよね」

 

「やるしか無いんだ。僕らにはまだまだ余力が残ってるから」

 

「山月拳!!」

 

「青鷺火堕ち!!」

 

 互いに最強クラスの技を出していくルーファスとマグメル。2人の技は範囲、威力ともにトップクラスであり、どれだけ武装色をその装甲にまとったバレットでもそれを止めることは敵わなかった。

 

「何だと!?」

 

 追い討ちをかけるように破った装甲の箇所に攻撃を続けていく2人にバレットも新たに腕を生成していき、その腕を使って破壊されないように2人に対する攻撃を続けていく。それは2人の耐久が持つか、バレットの装甲が耐えるかといった勝負だったが、バレットの重い一撃とともに2人の距離は離される。

 

「はぁ、はぁ、そろそろ覇気が」

 

「つらいですね。私もこの姿を維持するのが辛くなってきました」

 

 急激に力を使い続け、弱った2人に追い討ちをかけるようにバレットの腕が押しつぶすように振り下ろされるが、2人に落ちる直前、2人の身体が縄に絡め取られる。

 

「お前の相手は俺だ。落とし前つけてやるよ」

 

「私はここで負けるわけにはいきませんから」

 

「ルー兄! マグー姐! ここは私たちが時間をかけぐから、2人はトドメをお願い!!」

 

 ルッカにシオン、アデルに加えて、ヴィレムもカリーナがルーファスとマグメルの前に立ち、時間稼ぎを買って出る。ここに5人による第四ラウンドが開始された。




 次回で決着がつきます
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