霧となった少年は最悪の世代に数えられるようです。 作:地支 辰巳
比較的最後の方に始まったチョッパーとシオンの対決は互角と言った勝負だった。シオンの素早い蓮撃もチョッパーはその硬い防御力で防ぎ切り、チョッパーの攻撃をシオンはその素早さを使い、避け切っていた。その攻防が意味することは2人して相手のことを強敵だと思ったということだった。
「おれは医者だから! みんなのところに行かなきゃいけないんだ!」
「それはこちらも同じです。私たちの医者も戦っていますから」
「百舌鳥刺し」
「椋鳥の荒事」
続けていくシオンの連続攻撃にもチョッパーはそのカンフー的な弾き方で直撃を避け、上手くカウンターを合わせていった。その状況にシオンも危機感というものを抱いたのか、獣型へと変身し、空へと飛び上がる。
「私は勝たなければならないんです。私の恩義を果たすために!」
「
そのシオンの三つ目が悲しみに溢れているのを感じ取ったチョッパーの動きが少し止まるも、それに構うことなくシオンはまるでマグメルが風邪を巻き上げる時のように竜巻のような斬撃を繰り出す。いくら、チョッパーでもそれは耐えることは構わないと判断し、自身が開発したランブルボールを噛む。
「怪物強化!!」
「椰子!!」
その斬撃の竜巻にもものともせず、チョッパー最大の技がシオンの体に直撃する。いきなり襲ってきたその攻撃にシオンの体は耐えられず、人型へと戻り、血反吐を吐きながらも、チョッパーを睨む。
「いい気にならないで下さいよ」
「どうして、そこまでするんだ。死ぬぞ!」
「貴方と一緒にですよ。信頼する人を勝たせるために努力をする。それは何もおかしなことではないです」
チョッパーだって自分がシオンの立場なら、同じことを言われていただろう。だが、チョッパーには自覚が無かった。自分がいつもしていた事がどれだけ狂気的なことだったか。だが、もし、そんな自覚を新たに得られたとしてもチョッパーはここを通すつもりは無かった。
「おれは、おれだって麦わらの一味だ! 絶対に負けない」
覚悟。シオンという敵にしては美しいほどの覚悟を見せてきたことに対して、チョッパーも自分がこれまで無意識にしていた覚悟を決めるということを改めて決める。
「良い目になりましたね。私も本気でやります。兄さんや兄様に申し訳が立ちませんから」
「
またも飛び上がったシオンはまるでエレカが何重もの斬撃を飛ばすように翼と刀、そして嘴の5つを使って、何百もの斬撃を降らせる。だが、覚悟を決めたチョッパーにはそれを耐えきり、シオンに攻撃を届かせるだけの胆力があった。
「おれの攻撃も届くぞー!」
その宣言通り、チョッパーの巨大な爪はシオンを叩き落としたが、それに怯むことなく、シオンは人獣型へと変身し、刀をあの構えにする。
「化け物同士、倒される時は同じです」
「燕大返し!!」
チョッパーの攻撃に合わせるように繰り出されるはシオンがルーファスから習った大技。その技はチョッパーの爪を弾き飛ばすと、何の躊躇いも躊躇もなく、チョッパーの身体にいくつもの傷跡を作っていく。チョッパーのこれまでの人生ではついたことのない傷。それは先ほどの技も相まってチョッパーを人型へと戻していくものだった。
「貴方は強かった。ええ、強かったです。ですが、刀相手には慣れていなかったみたいですね」
シオンの推察通り、この勝利はシオンが刀を使っていたというところが大きい。そして、シオンは進んでいく。自分が勝つ舞台へと。いや、自分がもっとも信じる人が待つ場所へ
わたあめ大好きチョッパー
VS
凶鳥シオン
勝者シオン
★ ★ ★
「シハハハ、おいおいジンベエ! 俺に勝てると本気で思ってるのか?」
「ああ。わしはこの一味に入ったばかりの新入り。ただでやられる姿は見せれん」
チョッパーとシオンの戦いのように刀と拳の対決だが、ここは先ほどとはレベルが違った。種類問わず多くの覇気が舞い、力と力のぶつかり合いで周囲の地形が崩れる。他に誰も立ち入ることの許されないそれはまさに強者の戦い。誰も入ることなど許されなかった。
「
「七千枚瓦回し蹴り!!」
エレカの力いっぱいに振り下ろされた二刀もジンベエは回し蹴りで止めてみせる。それにエレカは強者の勝負ということでわくわくが止まらず、ジンベエも仁義という心よりも内に秘められた凶暴性が顔に出る。
「いいじゃねぇか! いいじゃねぇか! 俺にもっとその顔を見せろよ!」
「いいや、ルフィの元で落ち着く為にもここでわしのこれを削ぎ落とす!」
「ハッ! つまんねぇこと言ってんじゃねぇよ。人の本能はそれだ。何処までもそれを持っていきていくしかねぇんだよ!!」
「白金獅子終焉斬!」
武装色、覇王色ともに纏われた一撃にジンベエでさえ一瞬の冷や汗をかいてしまう。しかし、長年海賊として生き残ってきたジンベエは冷静に構えると、強力なカウンターを合わせる。
「魚人空手 奥義 武頼貫!!」
エレカのその一撃はジンベエの放った一撃によってギリギリ逸らされ、ジンベエの拳から放たれた圧縮された衝撃波のようなものがエレカの体を襲った。
「ハァ、ハァ、いいじゃねぇかよ。やっぱてめぇには俺と同じ才能があるぜ」
「そんな才能わしには必要ない。捨てれるものなら捨ててやるわ」
「シハハハ、そんなんでこの先やれるか楽しみだぜ」
エレカとジンベエはいつの間にかサニー号の周辺まで戻って来ていた。いつの間にか戻ってきたことにジンベエは少々呆気に取られるも、エレカはニヤニヤ笑っており、意図してここに連れてきていたを示していた。
「俺とてめぇは相性悪いからよ」
その視線の先にはさっきまでのエレカとジンベエのように拳と刀で辺りに影響与えるほどの戦いを続けているマグメルとゾロの姿があった。ジンベエと戦ったことでも自分の生きている意味というのを実感していたエレカだったが、ゾロでもそれを変わりないだろうというのは直感していた。
★ ★ ★
「おいおい、二体一で勝とうなんて卑怯じゃねぇのか?」
「ヨホホホ、海賊の世界に卑怯なんて言葉は無粋じゃありません?」
「……そりゃそうだ」
ブルックと近距離でサーベルを鳴らしあい、ウソップと片腕に持ったボウガンで銃撃戦を繰り広げる。そんな芸当が出来るのは銃と剣の両方を高レベルで操ることが出来るヴィレムだから出来ていたことだった。
「夜明曲・クー・ドロア」
「そんな攻撃受ける訳にはいかないよなって」
「嵐脚!!」
ブルックの飛ばされた斬撃にもヴィレムは焦ることなく、対処していく。はっきり言えば、ヴィレムはああは言っていたが、この勝負に勝てると踏んでいた。役割がはっきりしている2人の相手だからこそ、ある意味やりやすかったからだ。
「ブルック避けろ!!」
「緑星 ドクロ爆発草!」
味方にまで警告したことから、味方にまで被害を及ぼす毒か爆発する類いなのだと察したヴィレムはそれを逆手にとり、避けようとするブルックの体を掴み、その攻撃に当てさせる。
「卑怯なんて言うなよ。俺はここでやられるわけにはいかないんでね」
その攻撃で弱ったブルックに対して追撃のようにサーベルを振るっていくヴィレム。いつもの彼よりも容赦のないその攻撃の数々。それは暗にヴィレムがルーファスがやられてしまうことを心配しているからであった。本人も自覚がなく、無意識にやっていることだったが、ウソップとブルックからすれば、怒っているようにも見えていた。
「緑星」
「狙撃手は近づいたら、打てない。それくらい分かってから狙撃手をしたほうがいいぜ」
骨が欠ける音とともにブルックがやられたことにも大きく動揺する前に自分のパチンコを構え直すウソップ。それに感心するヴィレムは目の前まで近づいてそのパチンコを壊そうとするも、ウソップの目はまだ死んでいなかった。
「そんなこと分かってんだよ!」
「爆ボックリ!!」
自分が巻き込まれることも気にしていないように放たれる爆発を生む植物。至近距離にいたヴィレムはもちろん、放った本人であるウソップまでそのダメージはきた。
「ハァ、ハァ、まさか自爆覚悟なんてな。まっ、おかげで勝利はこっちのもんだ」
しかし、そこは伊達に医者をしていないヴィレム。上手く致命傷になりうる部分を避け、何とか戦闘不能になることを回避していた。ウソップの自爆覚悟の攻撃でウソップはやられ、先ほどブルックを倒したヴィレムはこの戦場から離れていこうとする。しかし、足を踏み出そうとした直後、足が凍る。
「おいおい、もっと骨を砕いておくべきだったか?」
「行かせませんよ。貴方は命にかけてもここから逃しませんよ」
「なら、死ぬ気で止めるんだな」
ボウガンを何本も打ち込み、ブルックの骨を折ってていくも、ブルックはいつまで経っても倒れる兆しが見えなかった。そんなことをしている内にどんな耐久をしているのか、ウソップが立ち上がり、ヴィレムを大きく睨む。
「ここで俺らが負けたら、他のみんなに顔向け出来ないんだよ!!」
「ええ! 貴方は絶対に倒します!」
「俺はそんな警戒するほどのやつじゃないんだけどな!」
「緑星 衝撃狼草!!」
「絵描き唄一節斬り」
両サイドから同時に襲ってくるその攻撃にもヴィレムは恐れることはせず、ウソップの弾にボウガンを投げて、ボウガンを犠牲にしながら防ぎ、ブルックの攻撃は凍ることも覚悟で受け切る。
「あんまり年長者舐めちゃいけないぜ」
「私の方が年上です!」
ギリギリという音を立てながら、競り合う2人だったが、その2人の内ヴィレムを狙うようにウソップの新たな弾が射出された。
「火の鳥星!!」
それは受けてはならないそんな感覚に襲われたヴィレムはブルックとの競り合いを制し、ブルックを上から下に切り裂き、振り向くも、その弾はもう避けられない距離まできており、せめてとヴィレムはサーベルを投擲し、ウソップの脇腹を貫通させる。
「……報いか?」
しかし、その弾が直撃したヴィレムは燃え上がっていく。幸いにして、火は直ぐになくなったものの、ヴィレムが直ぐに立ち上がることは出来なかった。そして、3人ともがそれぞれの船長の顔を浮かべながら意識を手放していった。
ソウルキングブルック&ゴッド・ウソップ
VS
隠し手ヴィレム
相打ち
基本的な実力に加えて、相性も大きいです