アルトリア+キャストリア=最強アカデミア   作:天神茶々

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 2話分まとめて書いていたら、気がつけば1週間以上投稿できてなかった……。
 というわけでお待たせしました、前後編に分けての投稿になります。
 続きは多分明日、遅くなっても明後日には投稿するつもりです。

 それではどうぞ!


聖剣の担い手VS氷の使い手 1

 今のところ、 わたしが立てた作戦は順調に進んでいると言っていい。

 

 開始直後に2人を狙い、わたしが轟君の相手をする。

 そして、障子君はビルの中で尾白君と葉隠さんが相手をする。

 本当はこれ以上2人をビルの前で釘付けにできないと判断した時点で、屋上からマルミアドワーズの力で地上まで降りるつもりだったのだが、そこは些細な問題だ。

 

 尾白君か葉隠さん1人だとわからないけれども、2対1なら間違いなくこちらが有利。

 それに、障子君に勝つための策も用意してきた。

 

 ただ、1つだけ順調に行ってないと言えることがあるとするならば、

 

「ちょっと、想定より攻撃の規模が大きすぎると思う!」

 

 ここに至るまで、一体どれだけ迫りくる氷を聖剣で迎え撃っただろうか。

 何度目かわからない剣戟と氷壁のぶつかり合う音を聞きながら、想定以上の激戦に呼吸が乱れているのを感じていた。

 

 もう既に30分以上戦っているような気がするけども、戦闘訓練が終わってない以上それだけ長い時間が経っているはずはない。

 むしろ、まだ戦闘が始まって3分も経っていないのではないだろうか?

 

 それでも、その10倍以上の時間戦っていると錯覚するほどの厳しい戦いを強いられていることだけは確かだった。

 

 全てが波のように速く激しく、掠るだけで行動不能になりかねない凶悪さも持った氷の一撃。

 範囲も広くて避けにくいだけでなく、次の攻撃に必要なタイムラグも短くて攻撃に転じることが出来ていない。

 

 わたしは聖剣の斬撃とマルミアドワーズの力で氷を破壊して逃げつつ対処できているが、これが尾白君や葉隠さんだったら一瞬で詰んでいただろう。

 もしかすれば、初めての戦闘訓練がたった数秒で敗北に終わっていたかもしれないと思うと、その恐ろしさに体が震えてしまいそうになる。

 今年度の雄英高校推薦入試合格者、上位の中でも特別だなんて色々予想していたけど、その予想に恥じない強さを轟君は持っていた。

 

「でも、そろそろ逃げるだけの時間は終わり。氷の対処にも慣れてきた……だから、今度はこっちの番!」

 

 この短時間で何度も襲ってきた氷を切り裂き、今度は逃げるのではなく前へ踏み出して轟君の居る方へと走り出す。

 そしてあっという間に轟君のいる場所にたどり着き、無防備な右側にマルミアドワーズの側面を叩き込む。

 魔力という謎の力で生まれた聖剣だが、重量は鉄の剣と変わらない。

 だから、ハンマーのような打撃武器と同じように使えば相手に十分なダメージを与えられる。

 

 そのはずだったのだが、

 

「……正面から来るってのが見えてれば、凍らせて防ぐことは簡単だろ」

「推薦枠って凄いんですね本当に……!!」

 

 マルミアドワーズが、轟君の体を捉えるその直前。

 右手から放たれた氷がマルミアドワーズの大部分を飲み込んで、聖剣の一撃は容易く防がれる。

 

 こちらの速度なら先に攻撃を当てられると思ったのだが、そう上手くは行かないらしい。

 これ以上近くにいても凍らされるだけと判断し、氷から抜けそうにない聖剣から手を離して後ろに跳ぶ。

 しかし、その選択を轟君は許さない。

 

「逃がすか!」

「――ッ!」

 

 ほぼ至近距離からの氷の波。

 それらは瞬きをする間もなく放たれ、わたしを凍てつかせんと言わんばかりに襲いかかる。

 氷を破壊するための聖剣は、さっき手放してしまったせいで手元にない。

 新たな聖剣を用意することはできるが、氷が速すぎるせいで防御には確実に間に合わない。

 

「――でも、わたしだって!」

 

 ここで終わるわけにはいかないと心の中で叫び、後ろではなく右に跳んで氷の届く範囲から逃れようとする。

 今まで何度か横にも広がってくる攻撃も使ってきてはいたが、今回はわたしを一瞬でも速く捕まえるために、氷の範囲をほぼ直線に絞ってリソースを速度に回している可能性がある。

 わずかに与えられた時間でそう判断しての行動だったが、

 

「……これで終わりだ、ペンドラゴン」

 

 直線という予想は的中したが、やはり氷の速度には勝てず、何とか全身は避けられたものの左半身が凍ってしまって動けない。

 それをこちらの詰みと判断したのか、轟君は右手に氷を溜めながら近づいてくる。

 おそらくは、完全に行動不能になるまで全身を凍りつかせるつもりだろう。

 

 もしもそうなってしまえば、相手チームはこちら2人を捕まえるという勝利条件に王手をかけることとなり、そして決着はすぐにつくことになる。

 ここまで戦えば、尾白君と葉隠さんでは轟君1人にすら勝てないと嫌でもわかる。

 最悪の場合、このまま屋上からビルごと凍らせて全員行動不能にして訓練を終わらせかねない。

 

 ――そんな終わり方には絶対させてたまるもんか。

 

 歩いて向かってくる轟くんを睨みつけ、動かせることのできる右手を振り上げて魔力の繋がりをイメージ。

 可及的速やかに、けれど間違いを起こさぬよう慎重に。

 己の力の限りを尽くし、即座に工程を終わらせてわたしは叫ぶ。

 

「さすがに、2回目の攻撃には間に合うから! 聖剣の矢よ降り注げ!」

 

 出現させたのは、開幕直後に見せたときと同じく、上空で切っ先を向ける何十本もの聖剣。

 上げた右手を振り下ろし、銃弾のように襲いかかる聖剣を、轟君は自らを氷で覆って盾にして防御する。

 

 だが、こうして聖剣を使ったのは轟くんへの攻撃が目的ではない。

 

「――!? 俺じゃなくてその氷か!」

「もしも轟君が防がなかったら死んじゃうでしょ……間違って人に当てないように、狙いを定める練習は雄英に入る前からずっと死ぬ気で重ねて来たんだから……!」

 

 轟くんと彼を守る氷ではなく、わたしを動けなくしていた氷に向けて放った聖剣は次々とそれを粉々にしていく。

 残った部分は新たに右手に出した聖剣と、マルミアドワーズの身体能力で跡形もなく砕ききり、自由になってすぐに今度こそ轟君から距離を取る。

 

 聖剣を構えて、呼吸を整え、ようやく危機的状況から抜け出したと内心ホッとしてしまうけれども、すぐに気持ちを切り替える。

 まだ戦いは終わっているわけでもなく、むしろ状況は悪化していると言っていい。

 

「何とか仕切り直しには持っていけたけど……」

「今度は逃さねぇ、今まで以上の全力で行かせてもらう!」

「やっぱり出力を上げてくるよね!」

 

 力の強さに任せて振るっただけの一撃では今の氷壁は壊せないと判断し、即座にマルミアドワーズの代わりの聖剣に魔力を通す。

 その聖剣の名はカリバーン。

 かつてアーサー王が引き抜いたとされる剣と同じ名を持つこれの力は、言ってしまえばスケールダウンしたエクスカリバーだ。

 さすがに威力はエクスカリバーより抑えめだが、その分少ない魔力で連射しやすいという特徴を持つ。

 

 黄金に輝く聖剣と波のように襲いかかる氷壁がぶつかり合い、激闘の音が絶えることなく戦場に鳴り響く。

 このワンシーンだけ見れば互角に見えるかもしれないが、さっき追い込まれていたようにわたしが劣勢だ。

 

 氷壁を作り攻撃する轟君と、聖剣を振るうわたしとでは一回の行動に必要なリソースが違う。

 魔力で聖剣を出現させ、更に追加の魔力で聖剣の威力を高め、そしてそれを全力で振るわなければ防御は成立しない。

 それに対して、轟君は氷を生み出して放つという動作におそらく余り労力を割いていない。

 わたしに使ってきた大量の氷壁が、そう判断せざるを得ない証拠だ。

 

 正直な話、このまま戦闘を続けていれば、不覚を取ってこちらが負ける可能性も十二分に高い。

 

 どうにかしたいが、そのための打開策も切り札も、ましてや轟君に隙はなくて――、

 

「――!? あれ、は……?」

 

 一瞬、視界に予想外の光景が写ったことで動きを止めてしまったが、すぐにその事に気がついて我に返り、再び防衛戦を再開する。

 しかし、少しだけ方針を変えて、捕まらないよう距離だけは意識して徐々に近づいていきながら。

 

 

 ――ところで話は少し変わるが、この超人社会で個性を持って生まれてくる人たちは、大抵その個性を使いこなせる体質を持って生まれてくる。

 

 

 たとえば、No.2ヒーローのエンデヴァー。

 強力な炎を操る個性を持つ彼は、同時に炎に対して非常に耐性が強い体質でもある。

 そうでなければ、炎の技を使う度にエンデヴァーは重度の火傷を負う羽目になり、ヒーローどころか個性を使うことすらままならないだろう。

 

 もちろん、緑谷君のように個性に体が耐えきれないようなケースも存在するが、正直それは珍しいケースだ。

 

 だから、わたしはさっき見た出来事を信じられなくて、そしてわざわざリスクを犯してまで確認しようと考えたのだ。

 その出来事こそ、

 

「やっぱり、体が寒さで震えてる。轟君は自分の氷の寒さに体が耐えきれてないんだ」

 

 

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