転生者が〝V〟になった。   作:とくめいぃぃぃ

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一話

1話

 

体感一秒経たずに意識が戻った俺の前に映ったのは画質の悪いテレビだった。放映されている番組はいつもよりも若々しく最近は見なくなった芸を行っているお笑い芸人のコントに両手を叩く欧州風の外人夫婦を見て、物凄い違和感を感じていた。もう一度テレビの方へ視線を向けるとその番組を映しているテレビは地デジ化によって無くなったブラウン管テレビでしかもよくよく見れば番組に出演しているお笑い芸人が赤と青のジャージを着ているあのコンビだった。その事から俺が転生した西暦は恐らく2003年から2006年くらいだと推測する。

 

この事から俺が転生した作品が全く思い当たらない。

 

だって、あの二人が登場する作品は強いて言えば『こちら〇飾区亀有公園前派出所』ぐらいしか出ない。あの作品ぐらいしか出ているのを覚えている.....というのも朧げだけど、エンディングに出てたのは確か。

とりあえず今いる家を探索する為に立ち上がろうとするが、全然立てなくて出来ても尻をほんの少しだけしか浮かせる事しか出来なかった。一生懸命に立とうとしている俺に気が付いた夫婦は頑張れとエール飛ばすだけで手を貸してくれなかった。どうしてこの夫婦__両親は必死に立とうとしている俺の手助けをせずに応援をしているのか。まぁよくある二次小説の転生モノである赤子になっているからだろう。

 

 

そんな転生直後から早16年後。俺__神崎聖は高校三年生となった。転生特典として貰った数々のモノがしっかりと機能した...と言うのも変だが、特典である容姿もジャンヌダルク・オルタになってたし、勉強や運動も前世とは比べ物にならない程すらすらとこなせる様になっており、未だに俺が転生した作品か推測するヒントさえも一切に見つからないし耳にも入ってきてない。

 

話は変わるがここ最近頭を悩まされている事がある。学校の放課後によく校門前で名刺を突き出してスカウトしてくる男性が後を絶たない。そのほとんどが聞いた事もない社名だったので特に反応もせずに通り過ぎて帰っているが、家のポストにも似たような物が何通か届き始めた。

 

そんな日々を過ごしている俺は自室へと階段を上っている途中にお母さんに声を掛けられ足を止める。

 

「聖!ちょっとこっち来て」

「何?」

 

お母さんに呼ばれたので階段を下り、リビングルームへと足を入れる。そこに居たのはスーツを着たお父さんと見知らぬ女性が座っていた。もしかして何かしらの問題を学校で起こしてしまったのかと内心ビクつきながら、二人の対面の席に着く。

 

「....あぁ聖。別に叱ろうという訳じゃない。ただお父さんの仕事を手伝ってもらいたいと思ってな」

「?」

 

お父さんが話すには傘下の子会社が行おうとしているプロジェクト『VRhine』という名称のVirtualYoutuberグループの一員として活動して欲しいとの事。

 

「そのVirtualYoutuberというのは何ですか?」

 

知ってはいるが今は2018年。世間的にそこまで有名ではないし、俺が存在を知った2021年のような一万人を超える数のVirtualYoutuberは活動してないからね。

 

「そりゃそうだよな。そこから説明しないとって言ってもお父さんも全部知っている訳じゃないから、名取さんに聞いてくれ」

「では、神崎さんに代わって名取が説明させていただきます。VirtualYoutuberというのは大雑把に言いますと与えられたアバターを通して配信活動する人の事を言います。そして___」

 

そう話を区切って鞄からホッチキスで止められた資料をテーブルの上に置いて話の続きを話し始める。

 

「これが先程話に出したアバターの立ち絵ですね。神崎さんから貴女の話を聞いてこのアバターがぴったりだなと思いお誘いしている訳です。それと聖さん以外にもこのプロジェクトを参加する人はいるので、一人でやらされる事はありません」

「話を聞いてみてどうだ?ちゃんとフォローするし、困った事があったらすぐに対応するぞ」

 

前世ではちょっと興味があったものの色々大変という話を聞いてただの視聴者でいたからなぁ....一応受けて置こうかな。別に配信回数が少ない人もいたし、配信頻度が低くても文句は言われないだろう。

 

「分かりました。その話を受けようと思います」

 

俺がVirtualYoutuberになると決まってからは時間の進みがあっという間に初配信まで経過した。俺の他に初配信する人は五人いて、全員女性という如何にもオタク君を狙い撃ちしたとしか思えなかった。それで初配信のトップバッターは委員長キャラのアバターを与えられた人で、俺は最後のオオトリとして他の人がどんな風に初配信を行っているのかを視聴している所だ。

それから俺以外の初配信が終わり、自分の初配信動画か公開されるまで一分を切った。撮影時はカメラに向かって、自己紹介とどんな物が好きなのかや今後どんな配信をしていくのかを話していたが、変な事を口走っていなかったか不安になってくる。そして公開された俺の初配信動画は多少詰まってはいたが可笑しな点は恐らくない筈だ。

一応Twitterでどういう感想を持ったかを配信感想タグで検索を掛けると『透き通る声でめっちゃいい』『声がいいな』俺の声しか褒められていなかった。VirtualYoutuber__Vtuber黎明期は大体こんなもんだろうし、今後の配信内容に興味を示す視聴者なんて一人いるかいないかぐらいだろう。それと俺に与えられたアバターの設定は『不良の元シスターで教会を追い出され、楽して稼ぎたいと思い配信を始めた』で、名前が『アリア・ローゼン』というものだ。一人称が『俺』、粗雑な口調という元男性である俺からしたら何ともやりやすいロールだった。

 

 

 

 

初配信から数日後。後にオンラインバトルロイヤルの火付け役と言われるFPSゲーム『Player〇nknown's BattleGrounds』_『P〇BG』を第二回目の配信でプレイしていた。

 

「お、まんまとエナドリ引っかかるなんて馬鹿だなぁ」

 

ドン勝ハウスの階段下に回復アイテムを落として拾おうとするプレイヤーをkillしていた。こんな小学生みたいな罠に掛かるのは発売してからまだ半年も経過しておらず、俺が行った幼稚な罠に面白い程に引っ掛かる相手プレイヤーを嘲笑いながら物資とkillを稼いでいた。そんな俺のプレイにコメント欄では『おぉ?』『すげ』しかなく、私に関するコメントたまーにしかされてなかった。まぁ俺は前世の時はRom勢だからコメント欄の動きに対して変に理想がたかいのかもしれない。

今後こう視聴者と対話して如何にも配信者!みたいな風にゲームをしたり、所属している人と一緒にゲームしたいがこういう男性やるようなジャンルのゲームをしそうな人は今の所いない....というか誘えないし誘われない。いずれかはそういう人が出来る事を祈りつつ、一人寂しくやって行くとしよう。

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