転生者が〝V〟になった。   作:とくめいぃぃぃ

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四話

4話

 

「DiscordのIDを送るの忘れてた」

 

そうコラボ相手と打ち合わせをする為に必要になるDiscordのIDをDMでやり取りしていた時に交換し忘れていたのである。俺は急いで送ろうとTwitterを開くと30分程前に相手方から来ていたので、レスポンスが遅れた事を謝る一文を添えて俺のDiscordIDを返して、送られてきたIDを入力してフレンド登録を済ました。

数分後。コラボ打ち合わせの時間になったのを確認した俺は相手方のVtuber__ロイドさんのDiscordへと掛ける。数秒と経たずに通話が繋がったと同時に挨拶の言葉を口にする。

 

「こんばんわ。アリア・ローゼンです」

「......」

 

先に挨拶をしたが全く反応が返ってこない。まぁ、お互いSNS上でやり取りはしたものの実際に通話を介して話した訳ではないし声を聞いて話すのは緊張する。俺だって文字を打って意思疎通するのは多少の緊張はあるけど、相手を不快にさせないように考えて送る為そこまで緊張感に襲われる事なく出来る。

しかし、リアルタイムで相手と話す通話の場合は相手の声と反応がリアルタイムで返ってくるから、下手な事を言ったら怒られるかもと不安になって言葉を発しづらくなるので、すぐさま反応されずとも別に文句を言う必要はない。ただ返ってこない時間が増えていくたびに俺の方もなんかやっちゃったのかな?と不安になってしまう。

 

「あ、あ、聞こえてますか?」

「はい、聞こえてます」

「すいません。私のVCがミュートになってました」

「そうでしたか。返ってこないから少し不安でした」

 

これを機に目的であるコラボ配信の打ち合わせが多少言葉に詰まりながらも始まった。先ず話したのはどちらのチャンネルで枠を立てるかについてだ。これは業界のコラボ配信を行う際にある問題でVtuberに限らずどの配信者でも起こりうるので、気をつけてください....と運営が言ってたのを思い出した私は枠の話を上げる。

 

「配信の枠何ですが、お互いのチャンネルで立てませんか?映る絵も違いますし」

「ああ、確かにそうですね。そうしましょうか」

 

此処で自分の枠だけでいいんだ!と言われずにさくっと決まったのは素直に嬉しい。次に配信日時やどれくらいの配信をしていくのかになった。

 

「教える時間とそれを実践する時間を合わせて二時間くらいは__」

 

掛かると言おうした私に被せるように驚きの声を発するロイドさん。

 

「え!!2時間も!?」

 

まぁ、そうだよね。向こうが上げている動画やアーカイブの時間をチラッと見た感じ五分以内の動画がほとんどで、一番長いのだとギリギリ一時間を越えていない。

この時期は一時間以上の配信を行うVtuberがほんの僅かで、ウチは『ゲーマーズ』の人達や同期のクール系を売りにしている彼女と箱内最初の男性Vtuberの人を除くと俺ぐらいで、他箱ではごく稀に越えるくらいだ。

だから驚く声を上げるのは仕方がない。だが彼女が教えて欲しいと言ったこのゲームは一試合:30分掛かる。どんなに早くとも20分はかかってしまうのだから『教える1試合、実践1試合』にするとして、それを見ている視聴者的に物足りなさを感じてしまうだろうから、2時間で配信しようと考えている。.....てか、その事を言ってねぇじゃん。

 

「あ、それとですね。1試合が約30分程ありまして、いざ教えて実践となるとどんなに頑張ってもこれくらいの時間が必要なんですよ」

「なるほど、そういう事なんですね。確かにそれだとマズいですね.......分かりました、2時間配信しましょう!」

 

その後、配信日時を来週金曜18時に設定し、30分前にはDiscordに集まりどのように進行するか確認してコラボ配信を行いましょうと言って、打ち合わせはこれにて終了した。

 

 

 

 

翌日。俺は大きい輪を描く欠伸をして、眠たげに瞼をパチパチさせて高校までの通学路を歩く。昨日は打ち合わせが終わった後にP〇BGを朝食の時間までやり込んでいた為、一切睡眠してないのだ。.....まぁ、徹夜をした俺が悪いんだが、この眠気をどうにか無くせないものか。このままだと自分の席に着いた途端寝てしまう自信しかない。

 

「ああぁ...ねむぅ」

「お姉様!おはようございます!」

 

物凄く眠い時に面倒な奴に声を掛けられてしまった。この女子生徒___羽田優花は何をトチ狂ったのか俺をお姉様と慕ってくる。何が面倒なのがというと、俺の側を通り過ぎようとする男子生徒に威嚇したり、近づくな!と騒ぎ立てる等々上げればキリがない程面倒事を巻き起こしてくるのだ。そもそも何を以て俺を慕うようになったのかが思い返す限りでは慕いたくなるような功績を挙げた訳でもないし、彼女に何かをした訳でもない。

 

「ん、おはよ」

 

とりあえず挨拶をされたので返しはする。だって、挨拶されたら返すのは人としてのマナーだし、返されなかったら私自身ちょっと寂しく感じるから......という考えでやっただけなのに、眼の輝かせて喜色に満ちた笑顔を浮かべている彼女は気持ち悪さを越えてドン引きしている俺の腕にもう一度大きな声で挨拶をし、俺の左腕にしがみついてくる。

 

「はい!おはようございます!」

 

最初の何回かは歩きづらかったが、ここ最近では慣れてしまい普通に歩くのと何ら変わりなく羽田と共に通う高校へと向かう事が出来てしまった自分が嫌になる。それから学校に着くまでの間さっき上げた面倒事を羽田が起こしつつも、何とか俺が通う高校へ到着し学年事に分かれている校舎の所で羽田と別れた。

下駄箱でローファーから校内履きに替えて三階にある教室へと向かう途中、同学年の他クラスの人が俺を見かけた途端小さな声で神崎さんだ!と芸能人にあったかのような様な眼で見てくる。三年間も一緒だったのに飽きもせず囃し立てるのは悪口を言われてるようで気分がよくない。本当に登校しただけでこんなに精神的に疲れるのは可笑しいと思う。

 

「......はぁ、疲れたぁ」

 

そう呟きながら教室に入って席に着く。時計を確認するとホームルームまでは5分から10分と僅かな時間しかないが、机に顔をうつ伏せにするだけでも大分変わる。その前に一限目の準備をしておく事で、ホームルーム後と一限の間の時間もうつ伏せられるって訳だ。

結局一限目前まで顔を伏していた俺は登校時よりは幾らか眠気が吹っ飛んでおり、気持ち身体が軽くなったようになった所で一限目担当の教師が入って授業開始のチャイムが鳴り響き、学級委員の開始の号令と共に教師が持って来た教材を片手に授業が始まる。

 

授業終了の声を上げる前に鳴ったキンコーンと昼休み開始のチャイム音と共に教室から食堂へと駆け出す男子生徒数名を横目に教師は気にもせず、終わりの号令をするように指示し学級委員は言われた通り行う、フライングした生徒を追うように走る生徒を見ていた私はお母さんに作ってもらった弁当箱と水筒を取り出す。

 

「今日は何だろう」

 

弁当箱に詰められた中身に胸を膨らませて開くと、白米と卵焼きにウィンナー等々の弁当と言えばの品々が入っていた。こういう弁当は大きな外れがない。

いざどれから食べようかなと悩んでいると__

 

「お姉様!一緒に食べませんか~?」

 

羽田がお弁当箱を抱き抱えてやって来た。毎度の事とは言え、今日こそは一人で楽しく昼食が摂れるのではないかと、思ってしまうが....そろそろ諦めらめた方がいいのか?と思いつつ了承すると羽田は俺の他にいる生徒に一礼をし、教室内へと入ってるのを後目に近くに在った机とを俺のとくっ付けて、椅子を対面に置いておく事で隣に羽田に座られせないようにする。

 

「今日も一緒にお昼を摂れるなんて感激です!」

「そう」

「実はですね。お姉様の為にデザートのアップルパイを焼いて来たのです」

「ありがとう」

 

うーん。こうガツガツと距離を詰めてくるタイプの人間は前世の時から苦手......というか戸惑ってしまう。別に誰かの相手をするのが苦手って訳じゃないけど、誰かといた時間よりも一人でいた時間が多い分、自分のペースで行動するに慣れているから乱されると思いながら昼休みを過ごした。

それからあっという間に放課後となり、各々が所属する部活に向かう人もいれば俺と同じように帰宅部の人は駆け足で教室を飛び出して行った。因みに羽田は風紀委員会があるとかで、一緒に下校出来ない事を嘆いていた。

 

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