ルパン三世 Little Little Phantom Thief 作:火影みみみ
最近のお気に入りはPart4ダヴィンチ関係全般とPart5の探偵回です。
私が一番最初にこの世界に疑問を抱いたのは、両親が切っ掛けだった。
私には前世の記憶があり、比較的幼い頃から聡い子供だったからか、この世界の異常性に早期から気づくことができた。
それらを上げていくので一先ず黙って聞いてほしい。
まず第一に、私の両親は忍者である。
そう、忍者。しかも現役の。ただし父は抜け忍と言われているらしいが。
最初に聞いた時は頭がおかしいのかな? と少しばかり思ったけれど、その時は赤子だったので特に何もできなかった。
私も凡そ3歳くらいまでは普通に育てられたけれど、その後の生活は一変した。
まず私も両親から忍者の修行を受けることになった。
凡そ正気とは思えなかったものの、私の存在自体だいぶファンタジーなので渋々受け入れることにした。
その後は忍者生活の中でいささかの衝撃とともに、この世界が生前よく見ていたルパン三世のいる世界だと知った。そりゃ忍者いるわ……。
そうして過ごすこと幾星霜、というか十年ほど。
修行中に雷に撃たれて目が赤くなったり、その影響か髪が白くなったり、変な能力が生えたり、任務についたり、免許皆伝したりしたけれど、一番困ったのつい最近のアレかな。
「「一人前になったからこれからは一人で生きなさい」」
要約すればこんなことを両親に言われた。正気ですか(転生して数度目の疑問)??
いやまあ確かに忍びの世界は過酷で苛烈ですけれども、獅子は子を谷底へ突き落とす的な育成法だけでは物足りませんでしたか父上&母上。
まあ言われてしまっては仕方がない。そう割り切って私は英国に来た。特に理由はない。
パスポートはないのでもちろん密入国である。今はルパンシリーズでも割と古い時代のようで、忍び込むのは簡単だった。
どのくらい古いかといえば、パソコンが全然普及してない時代と言えばわかりやすいかもしれない。
一人で英国観光していると、とある新聞記事が目に入った。
『ルパン三世、ロンドンに現る!!』
デカデカと一面を飾り、ルパンがロンドンにて何かを盗んだとか書いてあった。
「そうだ。泥棒しよう」
そう気軽に決めてしまったあたり、だいぶ私もこの世界に毒されてしまったらしい。
早速私はターゲットを探す。いくら泥棒とは言え罪のない人から盗むのは些か良心の呵責があった。……いや泥棒の時点で割とアウトだけれども。
しかし私は運がいいことに、近くに悪徳貴族がいることを突き止めた。
裏を洗ってみると、黒も黒、洗濯でも落ちそうにもないくらい真っ黒だったのでここから盗むことに決めた。
幾度の潜入で、時代にしては最新よりだが21世紀程ではないのでかなり余裕だった。
ルパンに倣って予告状を出すことは決めていたが、正直お宝のレベルはどれも似たり寄ったりだったので、面倒だけれども全部盗むことに決めた。
海に面した洞窟を見つけたのでここから金庫というか宝物庫まで直掘りすることにした。
作業は順調に進み、通路が完成したところで予告状を出す。
どうせなら派手にと周囲一帯のマスコミにも流す。一回やってみたかったんだよねこう言うの。
そのついでに報道ヘリの底に少し仕掛けもする。
時間になれば箱の糊が剥がれ、中にしまってある犯行完了のカードがこぼれ落ちる仕組みだ。そのカードには事前に調べた悪行を羅列してあるおまけ付き。
そうして日が沈んだあたりで本格的に犯行を開始する。
まず宝物庫の端、監視カメラの死角になる真下の床を切り抜く。
次に事前に撮影していた写真を監視カメラに貼り付けて、後はもうやりたい放題。
適当に作った偽物とお宝をすり替えて、そのまま待機させていたクルーザーに積み込む。
後は証拠隠滅のために洞窟の天井にダイナマイトを仕掛け、盗んだお宝の山に腰掛ける。
もうそろそろかなーっと足をふらつかせて待っていると、騒がしい足音が聞こえる。
やっと来たかと飛び降り、導火線に火をつける。
正直に言えばこれは完全に蛇足である。
完璧にやりたいのならば待つ意味はないし、さっさと爆破して逃げればいい。
だけどそれじゃロマンがない。
怪盗というものは姿を見せつけてなお華麗に逃げ切る、そう私は信じている。
ルパン三世や怪盗キッド、古くは二十面相やセイントテールなど、私の知る怪盗は皆そうしてきた。ならば私もそれに倣おう。
用意してあった仮面とローブは完璧。
再度お宝の上に腰掛け、相手を出迎える。
案の定子爵は私に注目して天井に気づかなかったので、丁寧に教えてあげる。爆発間近だと。
カウントダウンを告げる。その方が強く印象を与えることができるし、何よりカッコイイから。
ダイナマイトは爆発し、計算通りに私の周囲を除いて洞窟を埋め始める。
もうここには用はないので、さっさと帰ることにする。
こうして私の初怪盗仕事は十分な成果をあげることができた。
盗んだお宝は元の所有者がわかる物は返却し、悪事の証拠は直接英国警察に叩きつけておいた。
しかし所有者死亡したものやどこからきたか分からないお宝は仕方ないので私のアジトに保管することにした。一応いつどこで盗んだのか詳細に記録しておこう。
……。
…………。
………………ああそうそう。最後に私がどうしてNUEなんていう名前にしたのか記しておこう。
ぬえと言うのは日本の妖怪“鵺“のことだ。
頭は猿、体は狸、手足は虎で尾は蛇という怪物だ。正体が分からない妖怪としても知られている。
怪盗名を決めるときにこれ以上に私にぴったりの物はないと思った。
正体不明は怪盗に相応しい性質だし、何よりそのさまざまな動物を継ぎ接ぎしたような存在が私そっくりだからだ。
予知能力を持ち、正体不明のエネルギーの直撃を受け驚異的な身体能力を授かり、風魔と伊賀忍者の子孫で斬鉄剣と同じ素材の小太刀を両親からプレゼントされ、凄まじい治癒能力がある私。
だから私はNUEになった。
様々な才能を押し詰められ、歪であるがこの世に生を受けた私。
だからこそ、私はこの世界を楽しもう。
怪盗NUEとして、この人生を謳歌しよう。
「キャラファイル」
・加藤千代女 その2
通称“ごった煮娘“ 風魔の抜け忍と伊賀忍者の子供。
修行中に局地的に発生したオルゴンエネルギーが直撃し、身体能力がかなり強化され、瞳が赤くなった。
しかし影響はそれだけでなく、その際に遺伝子が傷ついたのか予知能力と回復能力を発症、ついでに髪が白くなった。
一人前になった証に斬鉄剣と同じ素材の小太刀を授かる。
銃の扱いは良い方、本人は知らないが歌とPC系の技能も天才的。
名前の由来は風魔忍者説のある加藤段蔵と武田忍者説のある望月千代女から、伊賀成分は斬鉄剣くらいしかない。両親によると望月千代女のような立派な忍びになってほしいという願いが籠っているらしい。