ルパン三世 Little Little Phantom Thief   作:火影みみみ

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再びオリ回 短め


ブッキング

「怪盗NUEだぁ? 誰だそりゃ」

 

 そう聞き返すのは帽子を深く被った男、世界的銃の名手である次元大介。

 彼は慣れた様子で愛用しているS&W M19を分解し、整備している途中であった。

 

「知らねーの? 今巷を騒がせてる新人の怪盗だよ。最初はイギリスを中心に活動してたみてーだが、その後は方針転換でもしたのか世界中に出没するようになりやがった」

 

 赤いジャケットを纏った猿顔の男、ルパン三世はそう言って新聞を投げ渡す。

 

「おっとっと」

 

 急ぎ愛銃を置き、それを受け取る。

 

「何何……ほー、アメリカにソ連、中国にドイツ、日本にエジプトまで行ってやがるのか、こりゃ大したタマじゃねーか」

 

 で、それがどうしたよ?と彼に新聞を読みながら問う。

 

「いやな、今回狙うはずだったお宝がよう。どうもその怪盗も狙ってるらしいんだわ」

 

 ルパンがテレビをつけると、そこではいつもの番組を変更して臨時ニュースを発信していた。

 

『今回世界的大泥棒、怪盗NUEの犯行予告が届いたのはこちら、ガルズカンパニー所有のガルズタワービル、その最上階に展示されている【バステトの瞳】なのです』

 

 バステトの瞳、それはエジプトのとある遺跡から発掘された二つのグリーンスターサファイアのことを指す。

 遥か太古の昔に作られたとされるそれは一つ凡そ700カラットと規格外の大きさとその輝かしさを誇り、紆余曲折を経て現在の持ち主、企業家ガルズ・アルメハウザーの手に渡ることとなった。

 

「だがこのガルズって野郎にはちーっとばっかし黒い噂があってよう。なんでも自分の競争相手になりそうな輩はどんな手段を以ってでも潰してるとか、家族を誘拐して強引に会社を手放させてるとか、実はナチスの生き残りだとかまあ色々だわな。ただ、NUEの野郎が盗みに入るってことは真っ黒だったってことだ」

 

「なんだ、随分とその怪盗の肩を持つじゃないか。知り合いなのか?」

 

「いんや全然これっぽっちも」

 

 そう言って肩をすくめる。

 

「一回気になって調べたこともあったがよう。猿の髑髏の仮面をつけたぼろい黒ローブの泥棒ってことしかわかんなかったんだわ。国籍年齢性別血液型全部わかっちゃいない。手口に関しては丹念に下準備をしてから予告状を出した日に盗みに入るパターンが多い。そのくせ悪人から盗んだお宝には興味がないのか、空き地に適当に放置されていたり、不当に奪われたものは元の持ち主に返したりしてるそうだ」

 

「まるで鼠小僧でござるな」

 

 壁際で瞑想していた和服の男、十三代目石川五ェ門がふと呟く。どうやら悪人から盗む行為とそれを弱者に還元する行為から連想したようだ。

 

「なんだそら、じゃあ何で盗みなんてしてやがるんだ?」

 

「さあな、けどこのままじゃお宝を先に盗まれちまうのは確かだ。だからさ」

 

 突如、慌てた様子でアナウンサーが速報を伝える。

 

『ここで新たなニュースが飛び込んでました! なんとあの大泥棒、ルパン三世から予告状が届き、何と彼もこのバステトの瞳を狙っているとのことです!!』

 

 「ちょっと予定を繰り上げることにした」と告げるルパン。

 

「おいおい大丈夫か? 確か予定じゃ準備にまだまだ時間がかかるはずだったろ」

 

「ああ、だがそんなことも言ってられなくなったからよー、今回はちょっと五ェ門に頑張ってもらおうと思ってな」

 

 そう言って五ェ門に向かってウインクする。

 少し嫌そうな顔をしながらも、彼が話した作戦を了承する五ェ門であった。

 

 

 

 

 

 

「え嘘なんで!?」

 

 同日同時刻、テレビに向かって叫ぶ少女の姿があった。

 もちろん先に予告状を出した怪盗NUEこと加藤千代女である。

 

「えーえーえーっと、予告状を出した時点じゃ誰も狙ってなかったよね? たまたま被った? ……そんなわけない。ということはつまり、あっちがわざと被せてきたってこと? 何で?」

 

 そう結論づけたが、理解はできずにいた。

 落ち着くために、再びニュースに目を向ける。

 

『今夜、バステトの瞳をいただきに参ります ルパン三世』

 

 日程こそ指定したものの、時間が指定されていない。

 ルパンにしてはシンプルだと彼女は思った。

 

「違う、指定しなかったんじゃなくてできなかったんだ。私がいつ盗むか分からなかったから」

 

 例えば午前0時と指定したとしても、それよりも先に盗まれては意味がない。

 事実彼女もそれより早く行動を起こす予定だったし、彼女の予想もやや当たりといったところか。

 

「となると、これは私への挑戦状ってことよね。『どちらが早くお宝を盗み出せるか勝負しようぜ』って所かしら……。となるとちょっと荒っぽい手を使うしかないなぁ。展示室から社長室までの最短ルートを設定し直さないと。ああそれと峰不二子はいいとしても他の二人が厄介すぎるからそっちも対策も大急ぎでやらないと」

 

 あちらこちらへと走り回る彼女。

 その様子だけ見れば年相応の少女なのだが、これが世界を股にかける怪盗の姿にはとてもじゃないが見えないだろう。

 

 そして、奇妙な偶然により同日に盗みに入ることになった二組。

 彼らの窃盗計画はこの後奇妙な一致を見せることになるのは、まだ誰も知らない。




Q:どうしてイギリスを出たの?
A:飽きたから

Q:今時代はどれくらい?
A:凡そ1980年代 イメージ的にはPart2あたり
 ただし、サザエさん時空よろしく、時代は進んでも歳は取らない模様

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