【リレー小説】ボクカノ   作:リレー小説実行委員会

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一巡目
はじまり。~起承転結の”起”~ (hasegawa 作)


 

 

 

「えいっ!」

 

 荒廃したアスファルトに、いくつもの破片が散らばる。

 耳をつんざくような固い音と共に、瀬川ハルキの愛用していたiPhoneが、地面に叩きつけられた。

 

 そう、粉々に砕け散ったのだ。

 他ならぬ、自身の“妹分”の手によって。

 

「ふぅ、あぶなかったぁ~。これであんしんだよね」

 

 まるで「一仕事終えました」とばかりにパンパンと手を叩き、彼女がニッコリ笑顔で振り返る。

 頭にあるラノベのヒロインみたいに大きなリボンが、ファッと元気よく揺れた。

 

「あ、ごめんねハルキくん。iPhoneこわれちゃった♪」

 

「――――お前ぇぇぇッ!! 愛叶(あいか)ぁぁぁあああーーッッ!!!!」

 

 人類の秩序が崩壊して以来、荒れ果てて見る影も無い街。太陽の光を遮る、白く濁った空。

 そこに瀬川ハルキの怒鳴り声が、大きく轟いた。

 

「えっ、お前なにしてんの? マジ何してんの?

 こんな物の無い時代に、一体なにしてくれてんの? マジでマジでマジで」

 

「あ、あはは……。ごめんねハルキくん、手がすべっちゃったの」

 

「いやいやッ! お前『えいっ』って言ってたじゃん! 振りかぶってたじゃんかッ!

 ギュッと目ぇ瞑って、力の限りに叩きつけたろうがッ! 地面によぉーッ!!」

 

 つい先ほど、愛叶の「ちょっとかしてー?」というお願い事を聞き、「ほいっ」と何気なく手渡してやったiPhoneは、いま彼らの足元で、無惨な姿を晒している。

 文明が崩壊したこのご時世、貴重な電子機器であり、もう直すアテすらも無いソレは、二度とハルキの為に役目を果たす事は無いだろう。永遠に失われてしまったのだ。

 この部品や鉄屑くらいは、どこぞの物品交換所に持っていけば、小銭にはなるかもしれないけれど。

 

「ゆるしてハルキくん! おこらないで! ねっ?

 ほら、かわりにわたしの宝物あげる。はいどーぞ☆」

 

「ヒュー♪ こいつは上物だぜぇ~♪

 こんなデッカイどんぐりは、今まで見た事がねぇ……って要らんわぁーーッ!!!!」

 

 見事なノリツッコミの後、どんぐりを放り投げる。地平線の彼方まで。

 かのヒ〇オ・ノモ選手をも彷彿とさせる、素晴らしいフォームだ。メジャーリーガーだって夢じゃない。

 

「どうすんだよお前ッ!? アレにはなぁ、大事なアプリ(・・・・・・)が入ってたんだッ!

 iPhoneがなきゃ、悪魔を使役出来ねぇし、身を守ることも出来ねぇだろうがッ!!」

 

「そ、それがこまるんだもん……」

 

 ハルキは知る由も無い。

 その“悪魔を使役する”という機能こそ、愛叶がiPhoneを壊した原因であるという事を。

 

 未だ16才と年若く、人の世で暮らしていく為に、これまで隠し通して来た事だが……、実は彼女は普通の人間ではなく、淫魔(サキュバス)という種族なのである。

 あのiPhoneで悪魔使役アプリを操作され、もし淫魔である自分の身に、何か起こったら困るし。

 

 いやむしろ、ハルキが自分以外の悪魔を使役する(・・・・・・・・・・・・)なんて事は、やきもち焼きな彼女にとって、とても容認できる事ではないのだ。

 

 想い人であるハルキは、いつも綺麗に女装しては、世の哀れな男性たちを弄んだり、金品を貢がせたりするのが趣味という、大変に度し難い人物である。

 ただでさえ【男を(はべ)らかす】という、同性とはいえ“恋敵”が沢山いる状況なのに、この上悪魔まで侍らかす? こんな可愛いお嫁さん(私)がいるのに?

 

 そんな事は、絶対許せない。

 騙して捨てる用の男達はともかく、自分以外の悪魔がすり寄る所なんて、もう想像もしたくない。

 彼の隣にいるのは、自分だけで良い。ハルキくんと結婚するのは、この愛叶なんだから。

 

 今も眼前では、ハルキがもう錯乱しながら頭を抱えている。こんなん絶対死んじゃうと。

 その光景を見守りつつも……、愛叶は自身の大きなおっぱい(Gカップ)の前でギュッと両手を握りしめて、「ふんす!」と荒い息を吐くのであった。

 

「おいやべぇぞコレ。身を守る手段がゼロじゃねぇか。

 今のご時世、もうそこら中にモンスターがウヨウヨしてるってのに。

 あっ……そうだブリトニー! お前はiPhoneを持っt」

 

「何にごじゃるカ? アタシはいま、TEA()を点てるのに忙しいんだケド?」

 

「――――ちきしょう駄目だ! こいつは江戸時代かぶれだッ!!」

 

 地べたにブルーシートを敷き、その上で機嫌良さげにサッサと茶を点てていた女性が、「?」とばかりに振り向いた。

 彼女の名はブリトニー・クロサワ。

 ハルキ達の仲間であり、いわゆる“エセ日本文化”をこよなく愛する、アメリカ国籍の人物である。

 

「iPhone? エレキテル・カラクリ?

 あー壊しちゃったのネ。残念だわアイカ=チャン……。

 貴方は器物破損で、ウチクビゴクモンに処されモウス」

 

「処されねぇよッ! いつの時代だ馬鹿ッ!!」

 

 ちなみにこの人は、通りすがった人が思わず振り返ってしまう程、煌びやかな美人である。

 長いブロンドの髪、セクシーでグラマラスな身体、落ち着いた雰囲気。そのどれもが世の男性たちを魅了して止まない。

 

 だが彼女は今、以前【ウズマサ・シネマ・ヴィレッジ】にてイソイソと買って来た、お侍さん的な“安っぽいちょんまげカツラ”を被っていたりする。

 その頭部こそ、ちょんまげカツラで覆われているのだが、うなじや耳元からは、長いブロンドの髪がナイアガラの滝のように流れ出しているので、とてもワケの分からない見た目となっている。

 

 人の好みというのは千差万別だが、今の彼女を見てプロポーズを申し込もうとする猛者は、きっと限りなく少ないんじゃないかと思われる。

 いくら美人であっても、こんなヤツと関わりたくない。というのが一般的な印象だ。

 

 ちなみにであるが、彼女は一切のエレキテル・カラクリ(電子機器)を使わないし、所持していない。その崇高なる主義によって。

 

「iPhoneがなければ、矢文(やぶみ)を送れば良いじゃナイ。

 墨と筆を貸してあげましょうカ?」

 

「いらんッ! 今は死ぬか生きるかの瀬戸際なんだよッ!

 通信手段の問題じゃねぇんだッ!」

 

「Oh……、サムラーイの子孫たるモンが、そんな狼狽えオッテ。

 貴方、それでも日本人? 腰の刀は何の為にあるのヨ?」

 

「――――携えてねぇよッ!! お前だけだそんなのッ!!」

 

 彼女は岐阜県に旅行した折りに、「カタナ ツクッテ クダサーイ」とばかりに関の刀匠のもとを訪れ、本当に刀を作って貰ったという過去がある。

 法律とか所持資格とか、色々どうなってんだって話だが……、実際に彼女は今、その腰に刀を携えているのだから、考えたって仕方ない。

 

「クソがッ! こいつらどうしようもねぇッ! ファッキンワンダフルだ!

 おい(いわお)! お前ならiPhoneくらい持っt」

 

「入水自殺って……、けっこう難しいんだね……。

 持ってた荷物、ぜんぶ流されちゃったよ……」

 

「 何してんだお前ぁ!?!? 勝手に死ぬなって言ってんだろうがッ!! 」

 

 後ろを振り向いてみれば、そこには服をずぶ濡れにした、ガリガリの日本兵みたいな男の姿が。

 彼の名は“剛力 巌”。その強そうな名前の割には、今にも死んでしまいそうなほど貧弱な男である。体重なんか30㎏台だ。

 

 ハルキの友人であり、とても優しいヤツではあるのだが、困ったことに自殺志願者であり、事あるごとにすーぐ死のうとするのだ。

 普段は猫を被って、男をだまくらかすのが日常のハルキにとって、彼は唯一と言ってもいい親友であるので、死んでしまうのは非常に困る。

 

「ぜ、全部? お前っ……荷物を全部なくしたのか!?

 こんな物の無い時代にッ?! 世界が荒廃しちまった、このご時世でッ?!」

 

「いやぁ……次はもっと上手くやらなきゃね……。

 イメージトレーニングは完璧だったんだけど、足が滑って川に落ちちゃったんだ……」

 

「どーすんだよ?! たとえ水ん中から拾ったって、水没したiPhoneなんか使えねぇよ!

 俺達もう何も出来ねぇじゃんかッ!! 死んじまうぞオイッ!!」

 

「ハルキくん……死は恐れる物じゃなく、受け入れる物なんだよ……?

 死ぬと書いて、現世からの解放と読むんだ……。

 きっと今の僕らに必要なのは、iPhoneじゃなく100円ショップの剃刀で……」

 

「やかましいよッ!! お前もう金輪際100均に近づくんじゃねぇぞ!

 行ったらブン殴るぞッ!!」

 

「Heyイワオ=クン! 自殺したら冥途(ヘブン)に行けないヨ?

 我らの神は、自刃を禁じてごじゃりマス。南無さんたまりあ」

 

「おぉブリトニー! 言ってやってくれ!

 こいつ目を放したら、すーぐ死のうとしやがんだよ!」

 

「まぁハラキリ~は別だけどネ? サムラーイには特殊な許可が出ているワ。

 あ、アタシ隠れ切支丹(キリシタン)にゴザッタ。神って言うてシモタwww」

 

「――――やっぱり黙っていろッ!! お前じゃ無理のようだ!!」

 

「しんじゃダメだよ、いわおくん。

 ほら、わたしの宝物あげるから☆」

 

「――――どんぐり好きだなぁお前ぇぇーーッ!!!!

 お前のポケットどんぐり天国か! どんぐりの妖精か!」

 

 ブルシットとばかりに天を仰ぐ。お前どんぐり貰って自殺を思い留まったヤツ、一回でも見た事あんのかと。

 もうこの場に、頼れる者なんて居ないのだ。信じられるのは己の力のみ。

 

 今まで本の中でしか見た事が無かったような、未知のモンスターが当たり前のように跋扈する、文明社会が完全に崩壊してしまったこの東京の街で、自分は生き抜かなければならない。

 こんなお荷物みたいなヤツらを……命に代えても守るべき大切な仲間を、3人も抱えたままで。

 

 

「もう良いよ! 分かったよこの馬鹿共がぁーッ!

 仕方ねぇから出発すんぞお前ら! あのダンジョン(・・・・・・・)によぉ!」

 

 

 そうハルキが怒鳴り声を上げると、3人はキョトンとした表情のまま、彼に問い返す。

 

 

 




↑このカギカッコの部分から、会話シーンの続きをお願いします。


 エメトさまゴメン! iPhoneは無しでいこう!www
 俺達に抵抗の術があってはいけないんだッ! 人類は無力なんだッ!(作品テーマ的に)

 それでは皆様、これからよろしくお願いします♪
 おもいっきり楽しんでいこう☆ 好きにやってしまえッ!!w


 ◆hasegawaのページ◆ https://syosetu.org/user/141406/

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