【リレー小説】ボクカノ 作:リレー小説実行委員会
「ダンジョンにスマホはないよ?」
「あれだけ危険だと言ったノニ、危険地帯に飛び込むんデスカ?」
「そうか、ハルキくんも自殺に興味を…」
きょとんとした顔で口々に語る三人。
どうやら、ここにいる理由もわかってないようだ。
「俺たちがなんで結界の外に居るのか忘れたか!?
さっきまで狼狽えていたのはどこへやら。ハルキはまるで正統派主人公みたいなことを吐き捨てた後、叫び疲れたのかそこらへんにブルーシートを敷いて座る。
そして、持っていた荷物から水を取り出し、グイッと飲み干した。
「いいか? 俺たちがこんなところにいるのは、全てサイエンサーってやつらのせいなんだよ」
「え!? それはほんとなの!?」
「ああ。本当だ」
そう返事をして、ハルキは突然回想に入る。
「そう。それはある夏の日のことだ」
「どうしたんだい……急に回想を初めて……」
無視しながら、続ける。
「それは、丁度お盆の時期だった。俺は麦わら帽子をかぶった白ワンピースの無垢な少女を演じて、夏休みを無為に過ごしてるオスガキ共に
「のっけからクレイジーデスね……」
ここから、壮年のロリコンと500文字くらいは使いそうな恋愛ドラマがあった訳であるが、無駄に長くなるのである程度省略。
「こうして、俺はオッサンから貢がれたプレゼントを売った金で、
本題はここから始まる。
巌と一緒に飲んだ次の日。ハルキは目が覚めると両手を縛られており、黒服の男に連れられている最中だった。
スマホがあったのなら悪魔を呼び出していただろう。だが残念ながら、スマホは没収されてしまっていた。
そして、サイエンサーの幹部だと名乗った偉そうな人の下に、連行されてしまったのだった。
『オイお前、これに見覚えはないか?』
幹部の男がリモコンを操作した途端、部屋の壁に展開されたスクリーンに、ある映像が流れた。
――――裏切ったな!! 私の気持ちを裏切ったなああああああああ!!
――――てめえのようなオッサンに惚れるメスガキがいるかよバァァァカッ!!
――――ねぇ、どんな気持ち? 自分のことが大好きだと疑ってもなかったオンナノコに、散々罵倒されて振られる気持ちはぁ!! ギャハハハハハハハハハハハ!!
そこには、昨日ハルキがこっぴどく振ったオッサンが、周囲の状況を一切気にせずに、情けなくハルキに縋りついているという光景が上映されていた。
『これは、昨日ロリコンのオッサンを振った時の……?』
『……そいつは……我らが組織のトップなのだ』
『は?』
『誠に遺憾ではあるが……その御方が……我らのトップなんだ……っ!!』
『嘘だろ!?』
サイエンサー。
西暦2100年代の世界において、最大の科学力を持つ組織である。
その技術は、悪魔が跋扈するようになってからも障壁を張ってその侵入を防ぎ続けているほどだ。
ハルキもまた、その障壁の中で暮らしているから、その組織の名は必然的に知っている。
『たまたま引っ掛けた相手が、あのサイエンサーの親玉とか冗談じゃねぇ……!!』
結界という現代の生命線を握っているということは、その時点でサイエンサーは強い権力を持っているのと同義だ。今この世界に生きる人間は、この組織の力を借りなくては生きてはいけない。
『クソッ!! じゃあ何だ!?
あのオッサンは、俺がこっぴどく振っただけなのに組織使って仕返ししてんのかよ!?
冗談じゃねぇ!! やっていい事と悪いことがあるだろ!!』
『無論、そいつがただ振られただけであったなら、我らもこうして女装癖の変態野郎を尋問することはなかったのだがな……』
だが、事態は深刻なのだ。幹部は続ける。
『貴様があの御方を振ったとき、間の悪いことにあのミストラルの密偵が近くに紛れていたのだ。
……この壁の映像は、その密偵が撮影したものだ』
ミストラル。西暦2100年代の地球において、サイエンサーと勢力を二分する組織。
サイエンサーとは真逆に、魔法を信仰しており、悪魔が蔓延った世の中でも魔術結界で人々を守っている。
『その後、この映像はミストラル全体にバラ撒かれ、全体に共有された。
……つまり、我らサイエンサーのトップがロリコン野郎だということは、もう敵方の誰もが知っているのだ……!!』
サイエンサーのトップはロリコンである!! このスキャンダルは瞬く間にミストラル全体に広まった。
恥も外聞もなく幼女*1に縋りつくオッサンの面白映像は、ヤツらミストラル構成員の間で大流行。彼には“ロリコン大統領”という愛称がつけられ、今もこの映像を素材に
『貴様のせいで!! 我らは"大ロリコン帝国"と呼ばれるようになってしまったのだ!』
ミストラル、驚異の魔法力であった。
『しかもあのゴミ……!! 新たな扉を開き、ロリコンM豚野郎になって、毒舌幼女アンドロイドを開発してしまう始末…!!』
サイエンサー、驚異の科学力であった。
『分かるか? 貴様のせいで我が組織は壊滅の危機だ!!
ミストラルとの戦争や悪魔との戦いがあるのに、我らが組織の士気はズダボロじゃないか!
一体どうしてくれる!?』
『結局お前らの八つ当たりじゃないか!!』
『だから貴様には、この混乱を引き起こした責任を取ってもらうぞ!!』
『はぁ!? それ俺に責任無くない? あのオッサンの性癖がミストラル全体に拡散されただけだろ!?』
『その発端はお前だ! ……わかるか? 貴様がロリコンM豚野郎を誘惑しなければ、我らがロリコン科学カルトグループと呼ばれることはなかったのだ!』
『オイオイ。仮にもアイツは、お前らのリーダーなんだろ? 下半身のコントロールくらいしとけよ』
『ええい黙れ!! これ以上無駄口を叩けば、貴様をミストラルの工作員扱いで即刻処刑してやるぞ!!』
『冗談じゃねえ! オッサンを散々おだてまくって貢がせたり、甘い声で誘惑してその反応を内心であざ笑ったり、その気にさせてプロポーズさせた後、こっぴどく振っただけだろ? なんでそれだけで殺されなきゃならねんだよ!!』
こうなったら……媚びを売るしかねえ!! 突然ハルキの纏う雰囲気や、口調が一変した。
『……ごめんなさい。サイエンサーのみなさまがひどいことになったのは……、ワタシがいけないことをしちゃったからなんですよね……? ほんとうに……ごめんなさい……』
内心を隠しながら、演技を行う。
彼が生来持つ、ソプラノからアルトまで自在な声質と、140㎝台の低身長、演技の経験から身に着けたあどけない幼女の動き、そして素の状態でも女性だと思われる圧倒的美形。
これらの組み合せによって一時的に幼女になり、相手の庇護欲を誘発させる______
『処刑されそうになった途端に猫かぶるんじゃない!!』
______が、とりつく島もなかった。
チッ…。
『オイ! いま舌打ちしただろお前!!』
『あ、やべっ』
『ええい、わかった!! 貴様には罰として、
『はあ!? バベルって……あの悪魔の本拠地って言われてるトコか!?』
バベルとは、悪魔出現の際に東京に出現した巨大な塔である。
そこには人間の力では到底撃破不可能な悪魔が、これでもかと集まっているという。
そのうえ、東京には結界はなく、ダンジョンの外でもそこら辺に悪魔がうろついている。
『そうだ。貴様には、そこに逝って悪魔攻略の手がかりを探してもらおう』
つまり、ハルキに告げられたのは、事実上の死刑宣告であった。
……まあ普通の人間ならば、ここで自分の死を覚悟していただろう。だがしかし。ハルキには”悪魔使役アプリ”がある。
悪魔の力を使って戦えるのならば、攻略自体イージーモードだ。ちょっとした旅行と変わらないだろう。
アッぶねえ~☆ もし死刑とかだったら俺は死んでZE☆ やっぱ神様ってのは、俺みたいな美しいやつの味方なのかねえ♪
ハルキは内心で安堵する。だがこのまま一人でサイエンサーのパシリをやるのは癪だ。
そう考え、ある一計を案じることにした。
『わかりました。……でもその代わりに』
息を吸って、続けた。
『一人で行くのは嫌なので、友達も連れて行っていいですか?』
どうせ不幸になるなら、みんな巻き添えにしてやる――――
割と最低な思考で、
「……という訳で。俺たちはダンジョンを攻略するまで帰れねえんだ。
ほらお前ら、ダンジョンに向かうぞ。ぼさっとすんな」
話を終えたハルキが、ふと3人の方を見ると……何やらみんなの反応が無い。
一体どうしたというのだろう? さっきまで、修学旅行中のオスガキみたいにフリーダムに過ごしていたというのに。
そして、少しの間を置いてから、ブリトニーが静かに刀を引き抜くのが見えた。
「カイシャク致す! ソコニナオレ!!」
砂原さま、執筆お疲れ様でした♪
もう超おもしろかったZE! ぐっじょぶ☆
私は前回、あえて彼を“回し役”にあてていましたが……、これで主人公ハルキくんのキャラクターがバッチリ定まりましたね!
――――清々しいほどのクズっぷりッ!!!!
友情に厚いのか薄情なのか、もうよく分かんないネ!(笑)
ちなみに、私は当作品の管理人(投稿者)という立場から、ハメの仕様により【感想コメント】を投稿する事が不可となってますw チキショウめぇ!w
なので今後は、こちらの場をお借りしまして、皆様がご投稿くださった作品に感想を書かせて頂きますのでね~。
ではではっ! 改めまして2番手お見事でした♪ 砂原さまありがとぉ~う☆
(管理人より)
◆砂原石像さまのページ◆ https://syosetu.org/user/146269/