【リレー小説】ボクカノ 作:リレー小説実行委員会
生きるコト。 (hasegawa 作)
「いやいやハルキくん?
こーんなだんじょんで、オアシスなんかあるわけ…………ってほんとだっ!?!?」
「ちょっと二人とも……。
いくら何でも、そんな非常識な事が…………ってホントだッ……!?!?」
「待たれよミナノシュウ。
そろそろ幻覚でも見え始めたんじゃ…………ってホンマジャ!?!?」
「ヒュー♪ 嫌いじゃないぜ俺、そういうの!
全員ぶん殴るぞ……?」
イエーイ☆ みたいに拳をコツンと合わせる三人を、ハルキは殺意の籠った目で見つめる。お気楽なものである。
「おい、真面目にどういう事だよ? めちゃめちゃ木ぃ生えてんじゃねぇか。
ハワイみてぇなヤツが」
「砂もあるし、草も……。ついでに言えば、太陽が照ってるね……」
「日差しがきついワ。お肌が焼けてしまうワ。解せヌ」
「あ……でも、お水があるのはすごくいいことだよ。もう水筒も、すっからかんだし」
まだぼんやりとではあるが、いま目の前には泉らしき物が見える。
常夏の国にありそうな木々と、青々とした草に囲まれた泉。まさに砂漠を旅する者達が蜃気楼で見るような光景が、リアルにそこにあるのだ。
一瞬「こういうトラップ? フェイクの映像?」かと思った。
例えば散々ダンジョンを彷徨い、疲弊して思考能力が鈍った者達にオアシスの映像を見せ、まんまと近寄って来た所を「いただきます」とばかりにKILLような。
でもいくら4人が目を凝らしても、目の前にあるそれが偽物だとは思えない。太陽の日差しのみならず、何だったら涼し気な風まで吹いているのを肌に感じるのだ。
これはもう、疑り深いハルキをしても「あるんだからしょうがねぇ」って感じだ。バベルの仕組みなんざ知るか。
「あ、なんか
「あんだとぉ?!」
即座にザザッと身を隠し、気配を消す。
むりやり三人の頭を押し込んだので、「ぐえっ!?」という声がいっぱい聞こえた。ついでにブーブーと批難の声も。
「悪魔……ではないね。そんな感じはしないよ……」
「あぁ。そもそも
「めっちゃ寛いでるワネ。憎らしいほどバカンスしとるワ」
いま遠くに見えるのは、まさにグアムで身体を焼く芸能人みたいな人影。
キラリとグラサンが光を反射しており、庶民としては凄く「イラッ☆」とくる感じの姿。
「わたし、こーゆー人みたことあるっ。
ちびまる子ちゃんにでてくる、花輪くんだよっ」
「つーかアレ花輪くんじゃね? 髪型までそっくりなんだが。コスプレか?」
「ここバベルの20階なんだけど……。えらく気合の入ったレイヤーさんだね……」
「花輪=クンのレイヤーっているノン? 初めて見たわアタシ。アッパレィ!」
妙に関心してしまう。この状況も忘れて――――
世の中いろんな人が居るもんだ~と、変人共は自分を棚に上げた。
「あっ、ちょっと待ってろお前ら。ここで隠れてろよ?」
ハルキが瞬く間に〈シュバババッ!〉と早着替え。熟練の技を持って身支度を整える。化粧も一瞬で完了。
「――――こんにちは~☆ 瀬ノ宮ハルカ、17歳でぇーす♡♡♡」
「オーゥ。やりやがったあのヤロウ。死んだらイイノニ(ボソッ)」
ハルキは満面の笑みで、ダダダーっと向こうへ駆けて行く。
物陰に潜みながら見守る三人は、「どよーん」と額に影を落としている。先ほど花輪くんの話が出たが、まさに“さくら〇もこ”の絵柄だった。
「えっとぉ~♡ わたしここに迷い込んじゃってぇ~♡ すんごく困ってるんですぅ~♡」
「それは大変だったねぇベイビー♪ ボクが助けになるよぉ~う?」
「あれ花輪くんじゃない? ほんとにこすぷれ?(ボソッ)」
クネクネ腰を揺らすハルキと、もうまんま花輪くんにしか見えない人。
重ねてになるが、ここはバベルである。しかも20階だ。
「とりあえず~う、トロピカルドリンクでもどうだぁ~い?
冷たくてぇ美味しいよぉ~う?」
「ありがとうございまっすぅ~♡ ハルカ感激でっすぅ~♡」
「なんか喋り方似てない……? どっちも気持ち悪いんだけど……(ボソッ)」
三人が「どよーん」と見守る中、花輪くん(仮)がジュースを手渡そうとする。
その瞬間――――ハルキが閃光のように動いた。
「どっせぇぇぇえええーーーいッ!!!!」
「 ふぬごっ?!?!?! 」バッシャーン!
ハルキが放ったヤクザキックにより、花輪くん(仮)がドボンと泉に落ちる!
「――――オイ出て来いお前らッ!! 盗るもん盗ってズラかるぞッ!!!!」
「サイテーだわアンタッ!!?? でも背に腹は代えられナッシン!」
とりあえず3人が「わー!」っと物陰から飛び出し、ビーチパラソルのある場所へ駆け出していく。
「こんにゃろ! こんにゃろ! くたばりやがれ成金野郎ッ! 水底に沈めッ!」ゲシゲシ!
「ゴボゴボゴッ!? ゴボボボボッッ?! 死ぬ死ぬ死ぬッッ!!!!」バシャシャシャ!
「5日ぶりのメシにごじゃるマス! メシにごじゃるマス!」ガガガガ!
「あっ、これおいしいよハルキくんっ! たべたことないフルーツ☆」パクパクパク!
「栄養っ……! 栄養っ……! 栄養はえいようッ……!!」モゴゴゴゴ…!
――――地獄だ。
いまバベルの20階に、まごう事無き地獄が展開している。
「おい愛叶! 棒持ってこいッ!
「たっ、助けベッ!? ……助けベイベッ!? お願ッ……!!」
「あっ! ハルキ=クン! そいつのグラサンだけ取ッテ! アタシ使うカラ!」
「棒もってきたよー♪ えいえい! えいえい! しねー☆」
「生きてて良かったッ……! 本当に生きてて良かったッ……!
美味しいですお母さんッ……!!」
果物を食べ、飲み物を飲み、置いてあった生ハムだのクラッカーだのを貪る。
ダンジョンの弱肉強食の
「クソがぁーッ! こいつ中々しぶてぇよッ!?
おいブリトニー! 刀を貸せッ! あのパトリオットとかいうの!!」
「嫌ヨ! 錆びるじゃナイ!
お手入れ大変ナノ! ウンコでも投げときなさいヨ!」
「ごめんなさいっ、ごめんなさいっ!
うちには2ひきの犬と、ちいさいハムスターがいるんです! しんでくださいっ!」
「力が漲ってくるよっ……! 食べるってことは、生きるって事なんだねっ……!
今なら僕、元気に死ねそうな気がするっ……!!」
やがてドタバタしている内、散々ボカスカ殴られた花輪くん(仮)が、ゴボゴボいいながらターミネーターⅡみたいに沈んでいく。アイルビーバックの「b」の手をして。
「――――よっしゃあ! 逃げんぞお前らぁーッ!
持つもん持ってズラかれぇーッ! 人が来る前にぃぃぃいいいーーッッ!!」
「ざまぁみろセレブ!!
こんなトコでバカンスしてるから、そんな目に合うのヨ! オボエタカッ!!」
「ばーかばーか! まるちゃんのファンにあやまれーっ!
よくみたら、けっこうオッサンだったもん!! あやまればかーっ!」
「また会いましょうっ……! このご恩は一生忘れませんっ……!
でもお腹が空いたらまた来ますっ……!」
ハルキたちは「わー!」と叫びつつ、急いで21階への階段を登った。
(つづく)
すいません。出来たらでいいので、また花輪くん(仮)を出したげて下さい……。
あまりにもかわいそうで……w
(hasegawa)