【リレー小説】ボクカノ 作:リレー小説実行委員会
触手に絡みつかれたミストラルの冒険者を置き去りにして24階へ昇ったハルキたち。
10階ごとに置かれた『休憩階』には程遠いが、この階は悪魔が少ないらしく彼らは束の間の休息をとっていた。なお着替える余裕もなかったのでハルキはまだ冒険者をだましていた時に着ていたゴスロリ服のままだ。
しかしその休息もハルキがふいにあげた大声で終わりを告げる。
「うわあああああっ!!」
「ハルキくん!?」
「どうしたんだい? ……まさか悪魔が?」
愛叶と巌は口々にそう声を上げブリトニーも顔をのぞかせてくる。そんな彼らが目にしたのは……。
「おいおいオーバーだな。そんなに驚かなくてもいいじゃないか、久しぶりに会えたから挨拶をしようとしただけなのに」
「耳元でいきなり息を吹きかけられて大声出さずにいられるか! それに何であんたがここにいるんだ!? 教授!」
耳を押さえながらもだえるハルキの隣には、病的と言えるほど色白で細身の男がいた。男は眼鏡をかけ白衣を身に着けており、いかにも不健康そうな研究者といった
「Oh!
「わたし以外のにんげんが、ハルキくんのお耳に息をふきかけるなんて……うぐぐ」
「教授……よくこんな所まで来れたね……ラボがあった10階からここまで悪魔が多い階もあったのに」
「おや、巌君じゃないか! 君も無事なようで安心したよ……雌豚どもの片方ぐらいは死んでくれるかと思っていたのだが、意外にしぶといな」
満面の笑みで巌に語り掛ける一方で女性陣に毒を吐く教授。彼は眼鏡を上げながらハルキに体を向けて言った。
「……さて、なぜ私がここにいるのかだったね。ここまで来たのなら君たちも一度は目にしていると思うけど、このダンジョンには至るところにワープ装置があってね。その中には一度足を踏み入れた階なら自由に転移できる装置があるんだ。下の階に戻ろうがダンジョンから出ようがね。研究データの持ち運びのために私が作った自信作だ」
「あのワープ装置の中にそんなもんがあるのか! それがあれば今からダンジョンを出ても――」
「悪魔の手掛かりもろくにつかめず外に出れば、サイエンサーにハチの巣にされるだろうけどネ」
そんなハルキを見て教授は気の毒そうに。
「ハルキ君もつくづく大変だね。君と雌豚の区別もつけられないロリコン大統領のためにこんな辛苦を味わう羽目になろうとは。私としてはこれを機に美人局なんてやめることをお勧めするよ。まあ君の綺麗な生足が見られるから女装はやめなくてもいいが」
その言葉にハルキは悪寒を感じ、思わずスカートを押さえた。その仕草は下手な女の子より女の子らしく今のハルキを見たら多くの男と一部の女が心を奪われるだろう。現に愛叶はハルキ君かわいいよー、と思いながら身をくねらせていた。
一方でハルキは、このホモさっさと生活習慣病で死んでくれねえかなあと思っていた。
しかしそんな彼を裏切るように教授は。
「おや、足が冷たいのかい? 冷え性かな? よければ体が暖かくなるストレッチを手取り足取り教えてあげようか。私自身健康には自信があってね。健康診断はすべて問題なしなくらいさ」
「えっ!? そんな見た目で健康診断引っ掛かってないのお前?」
意外過ぎる事実に教授の病死を願っていたハルキを始め、他の一同も驚きで目を見張る。病的と言っていいほどの色白と細身でとても健康には見えないのに。
そんな一同の前で教授ははははと笑いながら髪をかきあげる。彼なりに照れているらしい。
「まあストレッチはハルキ君の気が向いたらということで、そろそろ本題に入ろうか。……ここまで登って来たからそろそろ素材が集まってきた頃だと思うけど、今までに何か気になる物を拾っていないかい?」
「ああ……それなら20階に着くころに結構色々な物が手に入ったなぁ……どれも自殺にも使えないようなガラクタばかりだけどね……」
「どれもイー○や軌○シリーズみたいに宝箱に入っていたネ。それがどうしたノ?」
ブリトニーからの問いに教授は嫌そうな顔を見せるものの、彼女の問いに答えないと話が進められないと判断して渋々口を開く。
「……うん、以前にも言ったと思うがこのダンジョンにあるものはどれも悪魔の瘴気を受けて変質していてね。それを素材にして作った防護服は高い防御能力を誇るんだ。サイエンサーでもミストラルでもすでに運用が進んでいる技術だよ。君たちが集めてきた素材からでもそのような防護服が作れると思うんだが」
「防護服ね……そりゃ心強いけどほんとにガラクタばかりだぞ」
そう言ってハルキたちはダンジョン内で拾ったガラクタ、もとい素材をシートの上に出して教授に見せる。教授はそれをしげしげと眺めて。
「ふむ……いやいや、なかなかいいものが集まってるじゃないか! 特に大量に集まっている尻尾と羽なんてすばらしいよ! これだけでもいい装備が作れるだろう。このパイロットスーツも服の基礎部分には使えそうだな。この人形は何かのアイテムにするとして……こっちの半券はアイテムにも服にも使えなさそうだが、いや待て、瘴気を込めて変質させればあるいは……」
シートの上に並べられたアイテムを見て教授はぶつぶつと言いながら思案する。その姿はおもちゃに夢中な子供のようでそんな教授を見て巌とブリトニーは不意に零した。
「……こうしてみると悪魔もどきを使って多くの女性を殺してきた人とは思えないね……」
「Yes.ハルキよりよほど善人に見えるヨ」
そんな声を聞いて教授はアイテムから巌の方に顔を上げる。ブリトニーの方は眼中にない。
「いやいや、それは誤解だよ。大方、ハルキ君がその女装でどこぞの探索者からその話を聞き出したんだと思うが、このダンジョンに入ってくるような探索者が悪魔もどきなんかにやられると思うのかい?」
その言葉にハルキはうっとうなる。教授の言う通り、彼の噂はハルキが女装でダンジョンに潜っている他の探索者から聞き出したものだ。信憑性は実のところ全くなかった。
「まあ雌豚どもがこの世から駆逐されるべきだとは思っているから以前はああ言ったが、手塩をかけて作った
その話を聞いて一同は一理あると思った。
教授の女嫌いは度が過ぎているほどだ。出来れば関わりたくないと思っているほどに。そんな教授がわざわざ女を殺めたり実験材料に使ったりするだろうか?
そう思って首をひねらせる一同の前で教授は続けた。
「ただ、私はともかく彼女ならやりかねないかもしれないな」
「彼女?」
教授の口から出た言葉を巌が思わず復唱する。それに教授はうんとうなずいて。
「ミストラルの副首領でね。首領の一人娘だ。巨大企業のCEOとして資金調達を行っている父親に代わってミストラルの実権を握っている最高位の魔導師でもある。彼女なら大嫌いな
「ミストラルの副首領で首領の一人娘……そいつはこのダンジョンにいるのか?」
嫌な予感に駆られて思わず尋ねたハルキに教授は首を横に振った。
「いや、今はダンジョンどころか日本にもいないはずだ。だが彼女は以前このダンジョンに入った時に50階以上は踏破して転移装置にも
それを聞いて背筋がぞくりと震えるのをハルキは覚えた。
女好きの同性愛者で男嫌いのサディスト、彼女こそハルキにとって最悪の天敵かもしれないからだ。
ヒアデスさま、執筆お疲れさまでした♪
――――そしてグッジョブ! ミッションコンプリート☆
佐伯さまからの宿題だった“アイテムの活用”を、見事達成して下さいましたぁー! ありがとぉー☆
また今後、次以降のメンバーで、いったいどんなアイテムが出来上がったのかを書いていきましょう♪ これも楽しみです♪
今回も面白かったですぞヒアデスさま~っ!
しかも、しっかり設定を膨らませてくれましたし、更にお話に深みが出てきました♪
私的には、女好きの同性愛者で男嫌いのサディストな【ミストラルの副首領】さんが凄く気になっております。
次回以降、いったい誰がこのキャラを書くのか!? それも楽しみにしてますよ~♪
ではでは! 3番手お見事でした☆ ヒアデスさまありがとぉぉーーう!
(管理人)
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今回の話はここまでです。教授が作る装備については次のお通しラー油様にお任せします。
それではお通しラー油様、次回も頑張ってください。私も楽しみにしてます。
(ヒアデス)