シャボンディ諸島ー
世界一巨大なマングローブ"ヤルキマン・マングローブ"が79本集ることで構成されており、島からはシャボン玉が発生している。そのマングローブの1つ、1番GRにある人間オークション会場にて前代未聞の凶悪事件が発生した。"麦わらの一味"の船長モンキー・D・ルフィが「天竜人」に危害を加えたというのだ。当然、その対応として海軍より、「軍艦」と「天竜人」が呼ばれることとなる。しかし、海軍元帥のセンゴクはとある一人の男にも協力を要請したのだった。
海底監獄インペルダウンー
プルプルプル、プルプルプル ガチャ、
「私だ」
オリバは電伝虫の受話器を取ると、かけてきている相手に向けて自らが出ていることを伝える。
「ハハハハハハッッッ!!」
シャボンディ諸島で天竜人が殴られたことを伝えられ、オリバは思わず腹を抱えて笑う。まさか、そんな天をも恐れぬ所業をするような人物がいるとは思わなかったのだ。笑い終わった次に、彼に浮かんできたのは、天竜人を殴った人物への興味だった。
「モンキー・D・ルフィ? ああ、ガープの孫か。つくづく、あの一族は面白いな」
その台詞で相手は愚痴を口にし始めるがオリバに気にした様子もない。
「で?私がシャボンディに行く必要はあるのか?大将が出向いているんだろ?誰かはわからんがね」
オリバはその愚痴を断ち切るように自らが出向く必要があるのかを聞く。
「レイリー?そうか、そんなところにいるのか」
オリバの表紙が喜悦に染まる。いまや、彼と真っ向から打ち合えるような強者など、この世界には微々たる者しか存在いない。その少ない1人の居場所を知ることができたのだから。
「それでは署長になりた.....あ 間違えました。お気をつけて、ミスター」
「ああ」
その言葉に頷いた1人の男は、ダンっ、と地面を蹴ると高速で回転しながらその体が宙に浮かぶ。
「ぬんッ」
気合いの言葉と共に彼は両足で空を壁があるかのように蹴り込んだ。ギュイン、と流星の如き速度で男は空を飛んで行った。
シャボンディ諸島27番GR港ー
港に1隻の軍艦が接近していた。港にいる海賊たちはその姿を見て慌てふためく。
「早く逃げなきゃ死んじまうぞ!!」
「どこへでもいい!!船を出せ!!」
海軍から、そしてその船に乗っているはずの海軍大将から逃げるために、この島から出港しようとする。
海賊に向けてなのか、突如として軍艦が島に向けて大砲を放った。1発、2発、そして3発。
「大砲撃って来たー!!」
「ウソだろいきなりィ〜!!」
海賊たちが驚愕の表情を海に向ける。
「イヤ....何か変だぞ1コ...」
望遠鏡を覗いていた海賊の1人が、軍艦の放った玉の1つがおかしいことに気づく。
「人が乗っている〜!!!」
「!!!?!?」
大砲の玉が炸裂する。
「ウソォ〜〜ォ!!!」
しかし、島に玉が触れようとする直前にその人影がかき消えた。そして、急に海賊たちの前に出現する。
「オー....こちらァ黄猿ゥー。 オー...到着しましたんでー応答ォ願います」
爆発した大砲の玉の爆発をシルエットに、目の前に海賊がいるのにも関わらず呑気に電伝虫に語りかける長身の男。彼こそがその存在によって海賊達を恐怖のドン底に突き落とす海軍が誇る絶対強者。3人存在する最高戦力の内の1人、大将"黄猿"であった。
港に海軍の軍艦が到着する。軍艦より海兵が出て来ては、島に存在する海賊を次々と包囲していく。
「海賊たちを討ち取れェー!!!」
「逃げろォ逃げろォー!!!」
「賞金首はいたる所にいるぞ!!億越えに注意せよ!!!」
その喧騒の中でゆっくりと歩みを進める人物が1人。
「オー...もしもし? こちら黄猿ゥー....... んン? おかしいねェ......」
勿論、海軍大将"黄猿"である。彼に傷をつけられる者などこの島にはいない。そう思っての行動であろう。実際のところ、彼に傷をつけられる人物などこの島にはごく僅かしかいなかった。
「...ま...万が一よ...万が一...おれが...あいつ仕留めたらおれの名は一気に.....」
「バカ言ってんじゃねェよ!!! 海軍の『最高戦力』だぞ!!!」
何を血迷ったのか、逃げていたはずの海賊の1人がその銃口を黄猿へと向ける。慌てて仲間の海賊が止めるが、耳を貸さずその海賊は銃を放つ。
「このォォ...!!!」
しかしその弾は命中している筈なのに、後ろへとすり抜けていった。
「おっかしいねェ〜〜....」
黄猿は未だに電伝虫に向けて語りかけている...がその電伝虫より返答の声はない。
「あり?あり??当たったぞ 今 絶対!! 脳天ブチ抜いたぞ 今ァ!!!」
「何かの能力者に決まってんだろ!!銃なんかきくか 逃げるぞ!!!」
当然だろう、悪魔の実を食べておらず覇気のみで大将の座についた人物もいるにはいたがそんなもの例外に過ぎない。海軍大将という強者へと至る者は基本的には能力者である。でないと能力者が多くを占める、新世界の海賊を相手取ることができないからだ。
海賊は能力者、おそらく
「ちょっとものを尋ねたいんだけど......」
「ギャ〜〜〜!!!」
ピュン、と黄猿が一心不乱に逃げている2人の海賊の前に移動した。
「『戦桃丸』って男を探してるんだけど ....あァわっしの部下でねェ...」
「ああああああああ~~!!!」
もちろん黄猿から逃げるため走っている海賊からしたらたまったもんじゃない。恐怖を、より一層濃くして逃げる足を更に速める。
「ーまったく....ものを聞いただけでしょうがぁ......」
「ギャア〜!!」
走り去る海賊達の背中を眺めながら、ブツクサと文句を言う黄猿。蹴り上げるように片足を上げる。足が瞬き、光の一撃がその片足より炸裂した。その一撃によりヤルキマン・マングローブは倒壊する。
「ちょっと黄猿さんやりすぎじゃないか!?」
「ヤルキマン・マングローブ折っちゃダメだろ〜!!!」
その被害を目にした海兵達が、不安を口にする。誰がどう見たってやり過ぎである。
「......こりゃあ〜 やりすぎたねェ〜」
「オー...ちょっとォー...ものを〜... 尋ねたいんだけどもォー....」
さて次の矛先はホーキンス海賊団船長"魔術師"バジル・ホーキンス。懸賞金2億4900万ベリー。
「頼むから逃げてくれ!!!」
「ホーキンス船長ー!!!」
船員が自らの船の船長に逃げるよう声をかけるが、ホーキンス本人は落ち着いており、占いを続けている。
「『戦闘』...敗北率.....100% 『逃走』成功率....12% 『防御』回避率.....76%」
「ちょっといいかねェ....."戦桃丸"という男を探してるんだけども」
「『生存』死亡率......!!......... 0% そんな男は知らない。他をあたってくれ...」
「いやあ それが...見つからないとなるとォ オー....ヒマだからねー... ーそんな時にまさか、こんな首を放っとくわけにはいかんでしょう」
「バジル・ホーキンス......!!」
「速度は..."重さ" "光"の速度で蹴られた事はあるかい」
海軍本部大将"黄猿" 本名ボルサリーノ。悪魔の実の能力は"ピカピカの実"。体は光となり、物理攻撃は無効となる(例外はある)自然系である。
黄猿は光の速さでホーキンスを蹴り上げる。ホーキンスは吹き飛ばされ、後ろの建物はその威力により倒壊する。
「船長ーっ!!!」
しかし、黄猿の攻撃はまだ止まらない。ピカピカの実の能力によるものだろう、指の先よりレーザービームを放つ。その光線に当たった建物は熱により溶ける。もはや、ホーキンスの体など骨すら残っていまい。
「さすがだ...想像の遥か上を行く...」
「おっかしいねェ〜.....」
しかし、ホーキンスの体はろくに傷を受けていなかった。
「ー『大将』相手にたった10体じゃ心許ないな......」
ホーキンスの腕から藁人形がドサドサ、と落ちる。ドサァと1人の大男が吹き飛ばされて来た。歩いてくるのはバーソロミュー・くま。
「あれは!....."怪僧"ウルージと.......バーソロミュー・くま!!!」
「ハァ...ハァ......!!まいった何て強さ...!!」
「まさか...あれは..."黄猿"!!!」
「...何という悲運...!!前方に『海軍大将』...後方に『七武海』 ゼェ.......ここまでか....!?」
倒れ伏すウルージは黄猿を見上げ、そう呟く。
「...そうでもないぞお前にはまだ死相が見えない」
「"北の海"のホーキンスか...ふふふ 敵ながら冗談でもありがたい......!!」
「!!?」
「何だァ!!?」
「また誰が乱入してきた!!!」
突如乱入して来たドレークがくまの顔面を蹴り上げ、くまの巨体は吹き飛び後ろの建物へと激突する。
「X・ドレーク!!!」
「なぜ!?」
「ドレーク少将...」
突如乱入してきたドレークを見て、黄猿が呟く。
「しまった..."黄猿"と出遭うつもりはなかった」
ドレークは黄猿を見つけ、己の行動を悔やむがもう遅い。
倒れ伏していたウルージが立ち上がった。その体は先程の3倍ほどに巨大化している。
「あァ〜〜.....」
「ずいぶんやられたが......さて本当に....希望があるのかどうか... ボチボチ反撃してみよう...!!!」
「!!?」
「ずいぶん痛めつけてくれなさったな... さっきまでの私とは思いなさんな!!」
「"因果晒し"!!!」
ウルージの渾身のパンチが炸裂する。先ほどとは打って変わって、勢いはウルージの方が上だ。胴体、顔、そして腹。間違いなくくまに痛手を与えている。
「今の今までくたばり損いだった男が.....巨大化した上にこの力...... ーどういうわけだ...!?」
ピュン!、くまの手から光の線が放たれた。ウルージの左胸を貫く。
「ぐわァっ!!!」
「熱つ」
ウルージが痛みに悶えて倒れる。
「あれは黄猿の"レーザー".....!!」
「尋常じゃねェ...!!この事態 たとえ億越えが3人いても『七武海』と『海軍大将』を相手に生きてられるわけねぇ!!」
海賊にとっての恐怖の象徴が2人。結果は見えている。海賊は絶望する事しかできない。
「ドレーク少将...ああ...元"少将" ソレの偵察じゃねえかァ?」
「戦ってみるといいよォ 内情を知っている分...絶望もデカイと思うがねェ」
「せいぜいお気をつけなすって......ヒヨッ子の諸君... 今はわっしもいるのでねェ...!!!」
くまがドレークに仕掛ける。
ドレークの体が変化する。腕は大きくかぎ爪も太く、歯には噛みちぎるための歯が生え揃う。その姿は恐竜。世にも珍しい「動物系」"古代種".....!!!
「ギャオオオ!」
ガブッ、古に生きた竜の顎がくまの顔に食らいつく。
「ガルルルルル!!!」
くまは顔をかぶりつかれてもなお、動じることはなく手をドレークに向けてかざす。
ギュイーン、手からレーザーが放たれた。ドレークの右肩をかする。
「ギャオオオ!!!」
流れたレーザーは後ろの建物に当たり、爆発する。
ドレークが後ろに下がる。痛みからか、身は縮み、体は人型に戻っている。
「ぐ........!!! .....ほォ...貴様にも赤い血が通ってるとは驚いた...!!」
ツー、とくまの頭から血が垂れる。
「!!!」
その戦いを眺めていた観客達は、不意に何かを感じとったように空を見上げた。
空より巨大な物体が飛来する。衝撃波で土砂が舞い上がり、砂埃で姿がよく視認できない。煙の中で人影がゆらりと動く。スタスタ、とこちらに歩いてくる。
「なっ?」
「まさか!?!」
「アンチェイン!?!」
現れたのは筋骨隆々の巨漢。四皇と渡りあう正真正銘の規格外。ビスケット・オリバ。
「私も混ぜてくれないか?」
その目は獲物を狙う狩人の如く、ギラギラと怪しく光っていた。
というわけでオリバの戦闘シーンは次回です。すみません。悪魔の実も次回で。