あれから、特訓の日々は流れるようにすぎていった。体力強化のため特殊なマスクをつけて呼吸しずらくし十分間走り続けたり、個性訓練では出力や出す部位を微妙にコントロールすることで多様な放出の仕方を覚えた。耳郎の訓練にも余念はない。この期間、彼女に徹底的に柔術を教え込んだ。教えるのが父さんじゃなくて俺で良かったよ。あの人『受け身の訓練』とか言って我が子を崖から突き落とすからな(戦慄)。こんな方法ライオンしか採用せんわ。今の彼女ならある程度の武術経験者にも勝てるだろう。というか同級生とかならまず負けないと思う。もちろん、勉強も忘れていない。苦手な理系の問題などを、学校で成績の高い耳郎に教えてもらいながら試験対策を進めていった。さらに落語公演も大事だ。最初の頃は疲労で倒れそうになりながらも、狐の面と
そして迎えた、試験二日前…………
目の前には耳郎が油断なくこちらを見据え、構えている。
「ッ!」
彼女に掴みかかるがすんでで避けられる。そして彼女は伸ばした腕を掴み
「おっと。」
それを俺は投げられる瞬間
「そらっ!」
そして俺は軽めの衝撃波を放ち、彼女を吹き飛ばすが、
「ッッッッッッッ!!」
彼女はすぐさま反応して衝撃を最小限にし、受け身をとってすぐさま立ち上がる。ここまで流れで彼女は
「…………よし、今日の訓練はここまで!」
父さんの声が響き、構えを解くと
「~~~~はぁ~。」
へたりと彼女は座り込む。
「お疲れ様、耳郎。」
「アンタの方こそ。」
そこにスポーツドリンクとタオルを持った父さんがやってくる。
「はい、どうぞ。」
「サンキュ。」
「ありがとうございます。」
俺達は流れた汗を拭き取り、失われた塩分、水分を補給する。
「二人とも今日までの訓練。本当によく頑張った。」
普段は鋭い目付きを崩し、目を弓なりにして優しく微笑む父さん。
「衝、響香ちゃんの習得度は?」
「《柔》に関しては基本は全て叩き込んだ。だが《打》に関してはある程度しか教えてない。」
ぶっちゃけると耳郎は全体的にセンスがあるが《柔》に関しては抜きん出た才能があった。覚えが早く、何より力の
「だが硬化系の個性に対抗できるよう
「……そうか。よくやった。」
と短く言い頭を撫でてきた。
「……やめろ。もうそんな歳じゃねえよ。」
「なに照れてんの?」
「照れてない。」
「照れてんじゃん。」
「照れてない。(鋼の意思)」
「でもホントは?」
「照れてないです。(怒り)」
「わかったわかった。」
全く人をからかいやがって。………これはあとでお仕置きが必要ですねぇ(ゲス顔)
「そろそろ帰る時間だから二人とも、最後に言いたいことがある。」
お、締めの言葉か?父さんを見る。
「まず、雄英高校に受かることはゴールではなく。むしろ始まりにしか過ぎない。」
「……。」
「あそこでヒーローになるため何をするのか。するべきことは何よりか。さらにヒーローとして必要になること、全て学んでこい。」
「大丈夫だ。お前たちなら必ず合格できる。そのためにも、明日はしっかり体を休め、英気を養ってほしい。いいかい?」
「はい!」
「あぁ。」
次の日
電話~
『無事に訓練終われてよかったね。』
『あぁそうだな。』
『てかホントにハードだったね。』
『前よりかはマシだったけどな。』
『これよりひどいってどんだけよ。』
『比べるのも躊躇われるもの。』
『じゃあそんとき一番大変だったのは?』
『……正確には修行じゃねぇんだけど修行中メキシコに行った時変な宗教信じる麻薬密売組織の抗争に巻き混まれたこと。』
『……え?』
「えぇぇぇぇ!!」
『うわっ!びっくりした!うるせぇ!』
思わず叫んでしまったが仕方がないと思う。彼はたった今とんでもないカミングアウトをしたのだから。
「だ、大丈夫だったの!?け、怪我とかしてないの!?」
『大丈夫だから昨日まであんな訓練してたんだろ?』
「だ、だけど…」
『…へぇ…。』
「な、なに」
『もしかして心配してくれてる?』
…へ?
「……え?////あっ当たり前でしょ、//////だっ、だってそりゃぁ、」
『いやぁ、こんなに耳郎が心配してくれるなんてねぇ』
人が心配したってのにこれだ。絶対電話の向こうでニヤニヤしてる。
「も、もう切るから、また明日!試験落ちないようにね!」
『おう。お前もな。』
『試験落ちないでね!』
「おう。お前もな。」
そう言って電話を切る。本当は
俺をその神と呼びやがった奴らのことを。