ひぐらしのなく頃に・短~中編集 作:フィリング【ハーメルン Ver.】
七夕の日にレナへの想いに気付く圭一のお話。
ちなみに、設定面では旧作に準拠していますが、悟史の事情を知るタイミングなど、微妙に差違も存在する点にはご注意ください。また、タイミングとしては祭囃し編のしばらく後となっています(世界観的にも基本的に祭囃し編から地続きです)。
(一体全体、どうしてこうなったんだ……)
夜色がゆっくりと広がる空の下、前原圭一は竜宮レナに手を引かれながら雛見沢村の沢へと向かっていた。
……と、こうしてシチュエーションだけを書き連ねれば、圭一だって何ら不満はない。心憎からず思っているレナと手を繋げながら歩ける展開なんて、普段から望んでも中々実現するものじゃない。それこそ、どこに連れてかれようとこの状況を堪能できただけで十分にお釣りが出るというものだ。
……いや、さすがにゴミ山の「お宝」の如く竜宮家にお持ち帰りされる途中の場合はさすがに勘弁してもらいたいと思い直す。そういうときのレナの目つきは冗談抜きに尋常とは言えず、「女子が男子を自分の家に連れて来る」という字面以上の「
話を戻すと、そもそも沢に向かうといっても、綿流し祭の終盤で行っているように綿を流す為ではなく、別の目的からであった。加えて、圭一とレナは二人とも浴衣を着た状態であった。圭一の方はまだ比較的控えめだったが、レナの着付けには相当気合いが入っており、いつもの状態でも十分な彼女の魅力に磨きをかけていた。
それだけであればまだ良い、いや、むしろ浴衣姿のレナを見られてむしろ眼福ものだったであろう。だが、ここで最も頭痛のタネとなっていたのは、沢に向かう二人を少なくない数の村人が見守っており、時には妙に生温かい視線を向けてくることであった。圭一だって一人の中学生男子である。意中の女の子と目的地に向かって歩いているところを周りにニヤニヤされながら見られた際に、その気恥ずかしさを隠せるほど成熟した精神は持ち合わせていなかった。
(本当に、どうしてこうなった……)
藍色が着々と塗りつぶしていく空を見上げているうちに、仲間たちの顔が思い出され、圭一は心の中でため息を再びつく。
分校を出る間際に見えた部活メンバー達(イベントを嗅ぎつけて来ていた詩音を含む)の笑いを必死にかみ殺したような顔は、彼の脳裏へ未だにありありと残っていた。いや、正確には魅音は微妙な表情をしていた。あと、まるで自分の息子が初めて彼女を紹介したときに母親が見せる表情をしていた新入りの羽入も、妙にイラッとするものがあった。
(普段はロクに働かない居候が、偶々良い仕事をしたときにドヤ顔をしているのを見てイラッとするような感情を抱いたのは何故だ……?)
オヤシロ様があうあうと言いそうな思考をそれ以上し始める前に、彼の手を引いていたレナが振り返って言う。
「圭一くん、もうすぐ沢の方へと降りる場所だよ! ボーっとしていると危ないと思うかな、かな!」
「あ、ああ……そうだな。ありがとな、レナ」
どういたしまして、とにこやかに答えつつも歩調のスピードを緩めようとしないレナを見ていると、圭一はあれこれと思い悩んでいるのは自分だけかと段々と思えてしまう。
全ての始まりは、半日前に遡るのであった──―
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
「七夕祭りィ??」
「そのとーり! ……ま、雛見沢は綿流し祭の方がメインだから、おじさんが企画するちょっとした催しって感じなんだけどね」
園崎魅音とそんな会話を交わしたのは、昭和58年7月7日の朝のことだった。
いつものような木曜日の朝だと思っていた圭一は魅音の発言に少し驚いていた。雛見沢村では綿流し祭の方が専ら取り上げられる為、てっきりそれ以外の行事は存在しないものかと思っていたのだ。
「七夕! 懐かしいなぁ……! 去年もみんなで短冊を書いたよね!」
圭一の後ろに座っていたレナがそう反応すると、
「おーほっほっほ! そうですわね、皆さんがあまりにも平凡な願い事しか書かないので呆れ果てた思い出がありますわ!」
「そう言う沙都子は〈今年はカボチャを食べずに済みますように〉と願っていたと思うのですよ~」
「り、梨花ぁ! 何を言っていますの!? 私がそんなしょうもないことを願う訳がないでしょう! だ、第一なんで一年前に書いた短冊の内容をまだ覚えていますのよー!」
「みー、僕は沙都子のことならなーんでも知っているのですよ~」
と、隣に来ていた北条沙都子と古手梨花の掛け合いが起こっていた。
(……迂闊だぞ沙都子、その発言は自分が書いたと自白しているようなもんだ……)
圭一が心の中で沙都子にツッコミを入れる横で、梨花は追撃の手を緩めていなかった。
「なんなら、沙都子がその短冊を誰にも見られないような場所にこっそりと飾ったのも知っているのですよ〜。沙都子のそういうところも僕はかわいくて良いと思うのですよ?」
梨花はそう言うと、そのままお決まりの「にぱー」でフィニッシュを決める。週刊誌並みの暴露を親友にされた沙都子は顔を真っ赤にすると、そのまま「梨花ぁ!」とぷんすかしながらリーク犯を追い掛け始めた。
もはやお馴染みとなった流れを眺めつつ、レナのかぁいいモードがもうすぐ発動する頃だと予想する。レナが二人をまとめて捕まえる光景がないと物足りなくなっている自分に苦笑しつつ、羽入の姿がそういえば見えないなと思って振り返ると、いつの間に捕まったのか、羽入は既にレナの犠牲となっていた。
(さっきまで俺や魅音の隣に居たはずなのに……なんて早業だ……レナ、やはり侮れんな……!)
そうしてレナの有するポテンシャルの高さに改めて驚いていると、お決まりの展開は終わりを迎えており、小学生組の三人はレナの頬ずりから解放されていた。そんな中、特にぐったりしていた沙都子が気を取り直すように、
「ま、まあ? 事実、カボチャは最近まで見ずに済んだのですし、効果はあるかもしれないのですのよ! ……それに、今年の短冊で改めて願えば、詩音さんの気も変わるかもしれませんし……」
と言った。もっとも、それは彼女に対する第二波攻撃のきっかけとなったのだが。
「あらー、そんなことを短冊に書こうとしていたんですか、沙都子? ねーねーは悲しいです」
「げっ、詩音さん!?」
沙都子は取り繕う術をもう少し学んだ方が良さそうだな、と圭一は思うのだった。もっとも、沙都子も圭一にだけは言われたくはないだろうが。
「これまではカボチャの料理方法に工夫を凝らしていましたけど、どうやらこれからは沙都子の意識改革も並行して取り組んだ方が良さそうですね」
「いやっ、カボチャはいやぁ……!」
「嫌だと思っているうちは食べられるものも食べられませんよ! 悟史くんの為にもねーねーは頑張りますからね!」
園崎詩音のねーねーモードも相変わらずだな……と感心しつつ、ここまで良いところがない沙都子へさすがに助け舟を出すかと思い、詩音に問い掛ける。
「そういや詩音、あっちの学校はどうしたんだ? ……って今更聞いても意味ねえか。わざわざ今日来たのはなんでだ?」
「お、圭ちゃんも察しが良くなりましたね~褒めてあげましょう。ただ、今日来た理由は皆さん分かり切っているはずですよ?」
そう言って詩音は周りを見渡すが、誰もピンと来てないようで、魅音を除いた全員がキョトンとした顔をしている。
「……ありゃ。お姉……、まだ話してなかったんですか? 段取りが悪いと後々苦労しますよ~?」
「……圭ちゃんに聞かれて、タイミングをみながら話そうと思っていたらあんたが来たんでしょうが……」
と、魅音は(特に関わっていない圭一と羽入以外の)周囲の顔を一瞥しつつ、言いたいことがありそうな表情をしていたが、これ以上は説明を遅らせても仕方ないと考えたのか、全員に向き直って口を開いた。
「諸君! 去年までの七夕祭りは確かにただ短冊を書くだけの小さな小さなイベントでしかなかった!
しかぁし!! 今年はひと味違うよ!! 何故ならば──―」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
魅音の発案をまとめると、こういった内容だった。
結論から言えば、今年もやること自体は「短冊に願い事を書く」、それだけである。
だが、いつもと違うのは、そこから分校の男子と女子の二グループに分かれる点だ。各グループには名前が伏せられた状態で相手グループの中で書かれた短冊が提示され、その中から最も良いと思われた願いの人気投票を行う──―といった具合である。
そして、自分が書いた願いが相手グループの中で最も票数を集めたときには魅音が用意した「豪華景品」が贈られるとのことらしい。なお、筆跡などで誰が書いたかを推測されないよう、自分の次の出席番号の人間に自分の願いを書いてもらうという手の込みようだった。
(なるほどな……)
一見すると単純そうな仕組みだが、そんなことはない。さすが魅音が考案しただけあって、なかなか一筋縄ではいかない内容であることを圭一は悟った。すなわち、自分勝手な願いを書いてしまえば当然ながら票は集まらない一方で、あまりに願いが「クサすぎる」と、これまたあからさますぎて敬遠されてしまう。そして、その中でちょうど良い塩梅を狙おうとすると、他に書かれた願い事との差別化が図れずに短冊が埋没してしまう──―
いやはや、周りの心理まで計算しない限りは票数を集められなさそうな仕組みを考え付く辺りが魅音が部長たるゆえんだと圭一は改めて感嘆する。もっとも、部活メンバーだけでなく他の分校の生徒達も参加する点、また、「あくまで「良い」と思った願い事を決めるイベントだからね! 別にみんなの願いに優劣をつける訳でもないから、気軽にいってみよー!」との魅音の意向から、今回のイベントに限っては罰ゲームはない点が普段の部活とは異なっていた。
(……普段の部活でもそれくらいの配慮をしてくれれば、俺も村を女装姿で練り歩かずに済んだと思うんだがな……)
まあ、過ぎたことを悔やんでも仕方がない。それに、村を巡る陰謀を部活メンバーや警察の大石さん達と一緒に打ち破ったあの大騒動からそこまで時間が経ったわけでもないことを考えると、魅音なりに疲労が抜けきっていない部活メンバーを気遣ったのだろうとも考え直す。
(さて、どうするかな……)
圭一だって七夕と聞いた際に思い浮かんだ願い事は幾つか存在した。だが、それらはただ単に短冊に書く為のものであり、とてもじゃないが今回のシチュエーションにはそぐわなかった。具体的には、
〈部活で連勝をあげたい〉
……票数を集められなさそうな上、新入りの羽入にすら現在のポジションを脅かされている現状が思い出されて虚しくなってきたので却下。
〈エンジェルモートの年間パスが欲しい〉
これも俗物的すぎるし、わざわざ短冊に書くよりも詩音と交渉した方がまだ可能性がありそうである。
〈世界平和〉
……少年漫画の主人公じゃあるまいし……
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
といった具合に圭一が悩んでいると、詩音が隣にやってきた。
「ありゃ、圭ちゃん、まだ書いてなかったんですか。決断するまでグズグズしているような男はモテませんよ~?」
「やかましい。そう言う詩音は情報収集か? 相変わらず抜け目ねえな」
「まあ、それは否定しませんけど」
(いや、否定しないのかよ)
と、正直な詩音に圭一が心の中で呆れていると、
「別にそれだけじゃなく、経験豊富な私から圭ちゃんにアドバイスしてあげようかと思いまして。変に悩むくらいなら、素直に願い事を書いた方が潔くてカッコいいと思いますよ。これ、結構マジです」
「……そう言って、俺に欲望に忠実な願い事を書かせることで男子側の短冊での票数を操作しようとしているんじゃないのか?」
「ええ、そういう思いもなくはないですけど」
「お前というやつは……」
と圭一が詩音に再び呆れていると、
「七夕に願いでもしないと叶いそうにない事だってこの世にはあるんですから」
「あ……」
そう言われた瞬間、圭一は詩音が悟史のことを指しているのだと気付いた。
あの大騒動の日、詩音はずっと行方不明とされていた思い人の所在を知った一方で、彼が今も疑心暗鬼の世界に囚われ、まだ当分は目が覚めることがないという新たな事実を突き付けられた。圭一やレナ、魅音は綿流し祭からしばらくしてその事実を知らされたものの、詩音と梨花、そして入江の意向で沙都子はこの件を未だ知らないままだった。
詩音の言葉の意味が分かると、それまで検討していた願い事の内容が急に恥ずかしいものに思えてきて、圭一は思わず謝る。
「悪い……変に勘ぐったりして、すまなかったな……」
「……いえ。私だって圭ちゃんをそんな反省させるつもりで言いたかった訳じゃなかったですし。それに、わざわざ星に願わなくても「あの人」はきっと帰ってくるって私には分かってますしね!」
詩音はそうして笑顔を浮かべると、
「お姉が考案したにしては珍しく罰ゲーム抜きのイベントなんですし、圭ちゃんも自分にとって何が大切かをじっくり考えてみてはどうです? こういう機会ってありそうでないもんですよ」
もちろん、豪華景品を譲るつもりもないですけどね! と言うと、詩音はそのまま圭一の席から離れていった。
(俺にとって、何が大切か……)
詩音の言葉を反芻しつつ、圭一は雛見沢にやってきてからの日々を思い返す。
大切でかげがえのない仲間ができた。多くの強くて頼れる大人たちと知り合うことができた。家族の大切さに気付けた。そして──―
(ちょっとクサいかもな……)
だが、今の圭一にはこれ以外思い付かなかった。それに、匿名である以上は圭一が書いたとは分からないし、どうせ選ばれもしないだろう。
そうして圭一は短冊に書く内容を決めると、内容のメモを次の出席番号の男子に渡し、自分は前の出席番号の男子から渡された願い事を短冊に書き始めた──―
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「傾注、傾注~!!! 投票は無事に完了したよ! という訳で、諸君!! お楽しみの結果発表といこうじゃないか! にしししし!」
魅音が教壇の方から呼び掛けると、おおー!! という声が教室中からあがる。この分校もなんだかんだ田舎の学校であり、他の生徒たちもイベントには飢えていたようだ。
「そんじゃ、チャキチャキやっていこうかね~! まずは男子の部からいこうか! 知恵先生、どの短冊が最も票数を集められたかの発表をお願いします!」
そうして知恵が手元にあるメモを見ながら発表しようとする。本来であればこういった役回りは発案者である魅音のものだが、今回は彼女も参加者側ということで、公平な立場である知恵が集計係となった。……というか、前にインサイダー取引を目論んでいた魅音を部活メンバーが軒並み警戒し、集計係は別の人間が、となったのが実情である。
(さーて、誰の願いが選ばれたのやら)
普段の圭一であればガツガツとする場面だが、今回は既に見切りをつけていることもあり、リラックスしながら知恵の発表を聞く態勢にあった。だが、発されたのは彼にとって予想外な内容であった。
「〈一日一日を周りと一緒に大切に過ごしていけますように〉……、この短冊が4票を集めてトップです!」
(え……えぇ、噓だろ──ー!! そんなことあるのか!?)
意外や意外、選ばれたのは圭一が書いた内容であった。リラックスモードを崩され、そのまま心の中で驚愕していると、
「へ……? そりゃ、随分また控えめというか、いい子ちゃんというか……」
「まったくですわ! もちろん大切なことだとは思いますけれども、さすがに無欲だと思いますわね」
魅音と沙都子が訝しんでいると、
「ううん、そんなことはないと思うかな、かな! 日々の大切さを知っていないと、こんな素敵な願い事は思い付かないとレナは思うな」
「みー、僕も一日の大切さを最近は色々と噛み締めることが多かったのですよ~とても良い願い事だと思いますのです」
「あうあうあう、ボクも同感なのですよ!」
と、レナに続いて、梨花と羽入も賛同する。この三人が票を入れたと思って良さそうだが、果たして残りの一人は……?
(……って、そんなことは今は関係ない!)
再び教壇の方を向くと、考案者に挙手するよう魅音が呼び掛けている最中だった。恥ずかしいことこの上ないが、このままでは埒が明かない。圭一はそう観念すると、渋々ながら手を挙げる。
「……その内容を考えたのは俺だ」
圭一がそう名乗ると、周りの視線が一気に集中する。そして、それは分校に居る各々の「え……本当に?」という思いを雄弁に物語っていた。柄じゃないのは分かっているが、さすがにその反応は失礼すぎると思うのだが……
「うーん、明日は雪でも降るかなぁ……」
「……圭一さん、頭を打ってしまわれたのですね……ごめんなさい、これからはトラップを控えてもっと優しく接しますわ……」
……寛容な俺でもさすがに怒るぞ。
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何はともあれ、男子側から圭一が選ばれた為、今度は女子側の発表となった。魅音はやたら不敵な笑みを浮かべると、自信たっぷりに知恵に発表を頼む。
「それでは知恵先生、女子の部で最も票数を集めた短冊の発表をお願いします!!」
「はい! 女子の方では、〈みんな幸せに過ごせますように〉……、この短冊が3票で首位でした!」
「そうでしょうそうでしょ……って、えぇえええ!!!???」
そうして魅音はテレビでたまに見かけるお笑い芸人の如く、見事なノリツッコミを決める。……あの様子だと、懲りずにまた何か企んでいたみたいだな……
「ウソぉ!? 〈雛見沢がこれからも繫栄しますように〉の願いは!?」
「は、はぁ……そちらは2票入ったので次点でしたが……」
「ちょっと集計結果を見せて下さい!」
そう言って魅音は知恵から集計結果が書かれた紙を受け取ると、
「〈みんな幸せに過ごせますように〉が3票、〈雛見沢がこれからも繫栄しますように〉が2票、〈雛見沢がこれから発展しますように〉が2票……」
「あ、それ、私が書いた願い事ですね」
詩音がそう反応すると、
「……え……?」
「え、いや、悟史くんが帰って来る日までに雛見沢がより先進的な場所になれば、きっと住みやすくなるかな~と思って書いたんですが……何か不都合でも?」
「う……いや、別に不都合は……」
そう濁すと、魅音は何かを誤魔化すように口笛を吹き始めた。
(あぁ……なんとなく見えてきたぞ……)
おそらくだが、魅音は一部の男子を買収して〈雛見沢がこれからも繫栄しますように〉への4票を確保しようと目論んだのであろう。男子、女子がそれぞれ十数人しかいない雛見沢分校で4票の存在は大きい。買収する人数があまり多くなってしまっても不正がバレやすくなる為、4人に留めたのだと思われる。
ところが、偶然にも詩音がほとんど似たような文面を書いてしまったが為に、買収した票が分散したのが事の真相だろう。小学校高学年である富田くんや岡村くんが特に反応していないところを見るに、低学年の子たちを懐柔したのだろうが、そのくらいの年齢の子どもに「繫栄」と「発展」の区別を求めるのは酷だ。
(ふ……魅音よ、策士策に溺れたな……)
圭一の頭にも真相が見えてきた頃には魅音も自身の計略が失敗したことを悟ったようで、なんとも言い難い微妙な表情で女子側の考案者に挙手を呼び掛けていた。そして──―
「えーっと、その願い事を考えたのはレナ、かな……かな?」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
「なるほど。確かにこれは「豪華」だろう。俺だって、受け取る分には不満はねえよ。だが、何もここで着なくてもいいだろ!!??」
「ダーメです。抵抗していないでさっさと着ちゃってくださいな。決断するまでグズグズしているような男はモテないって、さっきも言いましたよ~?」
「う……それは確かだが……それはそれにしても、詩音がこの場に居る必要はないだろ!? っていうか、異性が着替えようとしている場面ならもう少し恥ずかしがれよ!」
「あ、悟史くんのお世話をしてあげる中でそういうのはもう体験済みなので気にしないでくださいな。ほらっ、ちゃっちゃっと着替える!」
寝ている間に勝手に慣れられている悟史のことを不憫に思いつつ、これ以上は抵抗できないと観念すると、詩音に手伝われながら圭一は浴衣姿に着替えていくのであった。
魅音が用意した豪華景品とは、男女ペアの浴衣であった。どこから調達したのかは分からないが、知恵が感心していた辺りさぞかし良い品なのだろう。こういう辺りは、さすが園崎家といったところか。
問題となったのは、先の催しで選ばれた男女はこの浴衣を着た状態で一緒に雛見沢の沢に短冊を流しに行かなければならない、という催しの後半部分であった。魅音曰く「天の川に見立てた川に、織姫役と彦星役の二人が相手の願いを込めた短冊を流す──―なかなか素敵でしょ~」ということらしいが、なかなかどうして圭一にとってはハードルが高い内容であった。
確かに部活の罰ゲームで散々女装をさせられ、村人たちにも「あぁ、いつものアレか」と思われ始めている(それはそれでだいぶ思うところがあったが)圭一だったが、これはまったく別の意味で恥ずかしいものであった。部活の黒一点であり、エンジェルモートの店員たちともすっかり馴染んでいる圭一だったが、「そういう」状況への耐性はないに等しかった。
(このシチュエーションをこなすより、もう一度山狗部隊と闘う方が気が楽な気がしてきた……)
しかも、
(相手はレナなんだよなぁ……)
それこそ、相手役が目の前にいる詩音とかであれば圭一だって緊張せずに済んだであろう。だが、よりにもよって、こうしたシチュエーションで圭一が最も緊張する相手こそがレナであった。
(状況さえ違えば頭を撫でて紛らわすことも出来るのに……)
そうやって思い悩んでいると、着付けを手伝っていた詩音が半ば呆れた視線を向けつつ、
「うーん、圭ちゃんがあの短冊を書いたときにはもう大丈夫かと思ったんですがねぇ……」
「へ……? あの短冊って……あ、あそこで票を入れたのって!」
「そ、あそこで4票目を入れたのはこの私、園崎詩音ですよ」
そして、圭一の浴衣を整えつつ、詩音はそのまま続ける。
「実を言いますと、あそこで3票集めてた短冊は他にもあったんですよ? その中で私が
「どうしてそんなことを……」
「それじゃ逆に聞きますけど、圭ちゃんはレナさんが他の男子と一緒に沢に行くという結果になっても良かったんですか?」
そう言われ、圭一はハッとする。
「まあ、お姉と私の願い事があそこまで被るのは予想外でしたが……それでも、私から見ればレナさんのことを圭ちゃんが気になっているのはバレバレですよ。そこまで分かっていて、男子側で圭ちゃん以外が選ばれるようにするほど私も不粋な女じゃないです」
そして、詩音は最後に帯を整えながら、
「圭ちゃんは鈍い人ですからね……特別にもう一度だけ言ってあげます。こんな機会はそうそうないんですし、もっと素直に動いてみたらどうです?」
と圭一に数刻前の内容を再び投げかけた。
(そっか、そうだよな……)
はい、着付けは完了しましたよ、と詩音にポンと叩かれると、圭一は彼女に向き直り、
「悪ぃな、詩音。ここまで言われないと分からないなんて俺もどうかしてたな」
「まったくです。このお礼は、エンジェルモートの宣伝をまた手伝ってくれるだけでよしとしておきます」
「ハハッ、本当に隙がねえな……それだけでいいのか?」
「……そこまで言えるなら十分です。ほら、せっかく男前に着付けてあげたんですから、胸を張る!」
「イテテッ、そんな強く叩くなよ……」
そうして詩音と圭一が出発場所である分校の入り口に向かう頃には、既に夕暮れの時間帯になっていた。
入り口付近は既に生徒たちで賑わっており、圭一がそちらに視線を向けると、魅音と沙都子もその中に含まれていた。二人は圭一に気が付くと、
「おお! 圭ちゃん、なかなかどうして似合っているじゃないの~! いやー、馬子にも衣裳ってやつだね!」
「ええ、見違えましたわ! 普段もそれくらいシャキッとしてくれれば言うことないのですけれど!」
「……お前らはその余計な一言抜きに褒めることができねえのか……」
圭一が呆れていると、代わりに詩音が二人に質問する。
「レナさんの方はまだ終わっていないんですか?」
「今、羽入と梨花ちゃんが仕上げてくれているはずだけど……お、来た来た!」
そう言われて圭一も他の三人と同じように振り向くと、浴衣と見事に調和した姿のレナが梨花と羽入に付き添われてやってくるところであった。圭一が到着したときにも相応の歓声はあがっていたものの、レナが来た際の歓声はそれとは比べものにならないほど大きく、それはレナに浴衣がいかに似合っているかをそのまま表していた。
「おぉ……これは予想以上ですねぇ……レナさん、似合っていてとても素敵ですよ!」
「えへへ……詩ぃちゃん、ありがと」
レナはそこで圭一の方を向くと、恥ずかしそうに、
「け、圭一くん……そこまで見られると恥ずかしいかな、かな……」
「……ん……え、あ、あぁ! ご、ごめん、レナ! そんなに見ているつもりは……」
そこでようやく、圭一は想像以上に自分がレナに見惚れていたと気付く。心臓の鼓動も心なしか早まっていた。
思わず周りを見渡すと、誰もがやたら生温かい視線を向けていた。部活メンバーの面々はもはやニヤニヤを隠そうとすらしておらず、羽入に至ってはやけに慈愛を込めた目を向けていた。
耐えきれなくなった圭一が再びレナを見ると、その顔は真っ赤になっており、まるで
「い、行こ、圭一くん!!」
「お、おう!」
そうして、圭一はレナと沢に向かうのであった──―
二人を見送った分校の入り口では、魅音が溜息を付いていた。
「あーあ、本当なら私が圭ちゃんと沢に向かってたはずなのにな……」
「……お姉は策を弄しすぎです」
「げっ、詩音! あんた、やっぱり私の計画知ってて邪魔したんでしょ!」
「それは本当に偶然です。まさか、あそこまで願い事の内容が被るとは……お互い腐っても双子みたいですね……もっとも、ああして無理にシチュエーションを整えたとしても、それだけで圭ちゃんがホイホイ振り向いてくれたとは思いませんけどね~」
「う、うぅ……」
「まあまあ、別に圭ちゃんとレナさんが付き合うって決まった訳じゃありませんし。ちゃんと真っ向から圭ちゃんと向き合うつもりなら私だってそれなりに協力はしますよ」
「……うん。ありがとね、詩音……」
「まったく、この姉はこういうことになるとてんでダメなんですから……」
そうして魅音を慰めつつ、詩音は沢に向かった二人のことを考える。
(今回ばかりはさすがにお姉の自業自得ですからね……今夜だけはレナさんがどこまで頑張るかを見届けるとしましょうかね──―)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
こうして、時間は再び冒頭に戻る。
魅音が分校で何やら催しをするという情報をどうやら聞きつけたのが原因らしく、分校から沢に向かう道中では、ゲーム中の草むらでモンスターにエンカウントするが如く、数え切れないほどの村人と二人は遭遇するハメとなった。
分校でもそうだったが、刺激が少ない田舎ではイベント自体が珍しいらしく、ペアの浴衣を着た二人は見物するのには格好の対象だった。特に、顔見知りとなった刑事たちが乗ったパトカーと遭遇し、「んーふっふっふ、若いってのは羨ましいですねぇ」と大石にまで冷やかされた際には、圭一は雛見沢での情報伝達の早さを嫌というほど思い知らされるのであった。
そうこうしながらも二人は沢に到着し、いよいよ短冊を流す段階となった。だが、圭一には気になることがあった。
(……レナ、途中から割と平気そうだったな……)
そう、羞恥心を終始隠し切れなかった圭一と違い、分校を出てしばらくするとレナはいつもの調子に戻っており、村人や刑事たちにも平然と対応していた。それに、この沢に至るまではずっと早歩きのレナが圭一の手を引きながら来ており、考えようによってはこのイベントをレナがさっさと終わらせたがっているとも解釈できた。
(もしかしてだけど、レナはこのシチュエーションを嫌がっているのかな……)
考えてみれば、レナだって急にこんな状況に置かれたのだ。乗り気でなければならない道理などない。
(……それでも)
詩音にあれだけ発破をかけられたのだ。ここまでの道中は村人と遭遇しすぎたせいでそれどころではなかったが、沢で二人きりになれた以上はレナに対して素直に接しようと圭一は心に決める。そうやって圭一が考えていると、
「……圭一くん?」
「……ん? あ、あぁ、すまんレナ。ちょっとボーっとしていた。短冊を流さないとだよな。どこから流す?」
「あそこの岩の近くからがいいと思うかな、かな!」
「よし! そしたら、あっちに行こうぜ!」
そうして、岩の付近まで移動すると圭一はレナと短冊を交換した後、下駄を脱ぎ、水面に脚を入れる。
「んっ、結構まだ冷たいな。レナも気を付けろよ」
「うん、ありがとね、圭一くん」
そう言ってレナも同様に水面に入る。どうやら最初は冷たそうだったが、割とすぐに慣れたようで、少しずつ川の中を進んでいく。そうしてパシャパシャと音を立てながら、レナは圭一の隣までやってきた。
「それじゃ……流そっか……」
「あぁ……そうだな……」
そうして、圭一は浴衣が濡れないようにしながら屈むと、水面の方にゆっくりと手を伸ばし、レナが考えた願い事が書かれた短冊をそっと置くようにして川に流す。レナの方でも同時のタイミングで流したらしく、二つの短冊は寄り添うようにして、川のゆるやかな流れに身を委ねていた。
そうして次第に遠ざかる短冊を名残惜しそうに眺めるレナの横顔を見た瞬間、圭一は自分の中で一旦は収まっていた心臓の鼓動が再び早まったことを自覚した。レナは──―まるで本物の織姫が今宵だけ雛見沢の地に舞い降りたかのように綺麗だった。普段見慣れない浴衣姿であることはもちろん、水面に反射した月明かりが幻想的な雰囲気をより一層演出していた。
そして、圭一の視線に気付いたのか、レナが振り向いて優しい笑顔を向けたとき──―自分の心臓が、今までで一番大きな音を立てたことを圭一は自覚した──―
(あぁ、俺は……)
詩音に発破をかけられたことでさすがに気付いてはいたものの、この刹那はより「決定的」であった──―
(心の底からレナが好きなんだな……)
そう悟った瞬間、思わず声が出ていた。
「レナ」
「……ん、どうしたのかな、圭一くん?」
そう返されて圭一は自分がノープランであることに気付き、慌てて取り繕った。
「……このまま帰るのももったいないし、ちょっとそこの岩で休憩していかねえか?」
「うん……いいよ。レナももう少しだけこうしていたいって思ってたの」
レナに断られなかったことにホッとしつつ、圭一は岩の上に腰掛ける。レナも同じようにして隣に座り、二人の間には沢のひんやりとした空気が広がった。やや汗ばんだ肌をこの涼しい空気が気持ちしてくれていることを感じつつ、圭一は口を開いた。
「レナは〈みんな幸せに過ごせますように〉って願ったよな。レナらしい、良い願い事だと思ったぜ」
「うん……でも、本当はレナ自身が一番幸せに過ごしたいと思ってたのを「みんな」に変えて書いた願い事だったから……ちょっとズルかったよね。魅ぃちゃんに悪いことしちゃったかな……」
「は、はは……まあ、魅音のアレに関してはおそらく身から出た錆だからレナが気にしすぎることはないぞ……それに」
そこで、圭一はレナの方へと振り向く。
「本当は自分が一番幸せになりたくて、人一倍努力しているのに、こういうときに他人のことまで思いやれるレナはやっぱり優しいよ。それもとびっきりな。だからこそ、俺もあの短冊に票を入れたんだ」
これは余計な気持ちが一切入っていない、素直な圭一の気持ちだった。
幸せは有限である──―レナがそう言った際、圭一はその理由を初めは分からなかった。その後、レナの家庭の事情を知ったことで、明るく振る舞う裏で彼女が重ねている努力の存在にようやく気付くことが出来たのだ。その瞬間から圭一はレナに対して密かに尊敬の念を抱いていた。だが、一方で──―
「でもさ」
そんな彼女に対してだからこそ、そして、こういった機会だからこそ、圭一には言わなければならないと「気付いた」言葉があった。
「いつも全てを背負おうとしなくてもいいんだからな──―優しいレナは自分や他人のことでたぶん頑張りすぎちゃうんだろうけどさ、仲間をもっと頼ってもいいんだからな」
ちゃんと言わなければならない──―そう思うと、何故か言葉は淀みなく出てきた。
「魅音、沙都子、梨花ちゃん、羽入……それに詩音だって。いや、それ以外にもたくさんの大人の人たち。この前の大騒動を乗り越えた仲間なら、ちゃんとレナを助けてやれるからさ。それに」
圭一はレナの目を見つめる。
「俺は……俺はどんなときにでもレナの味方だから。優しすぎて頑張りすぎちゃうレナをいつでも助けたいと思っているからな」
そこまで言って、圭一はレナの頭を優しく撫でる。……いささか正直になりすぎた気もするが、ずっと翻弄され続けた一日の終わりにようやくいつものようにレナの頭を撫でられたのは自然と心を落ち着かせるものがあった。
レナは顔を少し赤らめると、
「……今なら、圭一くんがどうしてあの願い事にしたか、その理由が分かった気がするかな。……かな」
そう小さく呟くと、今度はレナの方から圭一に問い掛けてきた。
「圭一くんはレナと一緒に短冊を流しに来たの、嫌じゃなかった……?」
「い、嫌な訳ないだろ……!! むしろ嬉しかったというか……どうして、そう思ったんだ?」
「だって、村の人とすれ違う度に恥ずかしそうにするから……レナなんかと一緒に歩くのは嫌なのかなって……」
「いや、それは……」
なるほど、圭一の羞恥心をレナはそういう風に受け取ったらしい。これ以上言うのはだいぶ勇気が要ったが、詩音の顔がチラつき、圭一は思い切って言う。
「俺が恥ずかしがっていたのは……浴衣姿がすっごく似合っているレナと一緒にいるところを周りがはやし立ていたからであって……俺自身はレナと一緒に来れて役得だと思っているからな!」
顔を真っ赤にしながら圭一は言い切ると、今度はそのままレナに問い掛ける。
「そう言うレナこそ、他の村人に見られても平気そうだったし、ここに早く来ようとやたら急いでいたじゃねえか! ……レナは相手役が俺で嫌だったりしたか……?」
「そ、そんなことはないよ!! それだけはないもん……」
レナが断言してくれたことで圭一は少なくとも最悪の可能性は免れたと知ってホッとしたものの、レナの方はまだ何かあるようで、
「……け、圭一くんは気付かないかな、かな……?」
「……気付くって、何にだ?」
そう応えると、レナは一瞬「圭一くんばっかり素直になってズルい」とでも言いたいかのように膨れっ面をしたが、すぐに別の思いが浮かんだらしく、今度は少し悪戯っぽく圭一に問い掛けてきた。
「ねぇ、圭一くん。七夕の織姫と彦星は、一年に一度しか会うことを許されなかったけれど、この二人は不幸だったと思う?」
予想だにしなかった方向から質問がきてやや面食いながも、圭一はレナの問いに答える。
「どう……なんだろう。俺は、二人がやっぱり不幸だったんじゃないかって思うぞ。お互いに愛し合っているのに、一年にたった一度しか会えないなんて、やっぱり辛いんじゃないのか?」
「そうだね。そういう側面は確かにあるかもね。とても寂しかったのかもしれない、辛かったのかもしれない。それは否定できないかな、かな。でも」
レナは圭一の方を優しく見つめながら、言葉を続ける。
「レナは二人はきっと幸せだったんだとも思うよ。だって、再び会うことが許される七夕の夜の為、かけがえのないたった一夜の為に、二人はそれまでの一年間を相手を思い浮かべ、互いに一時も欠かさずに相手の事を想い合っていたんだろうから。周りからどう見えようと、二人はきっと幸せだったんだと思うよ」
そうやって語るレナの顔はとても幻想的で、圭一は視線を外せなかった。
「なんなら、レナは二人のことが羨ましいかな、かな。……レナにとっての彦星さんは天の川で隔てられていなくてもなかなか近づいてくれないから……」
「え……えっ?」
「レナにとっての彦星は目の前にいるよ」
「なっ……」
「圭一くん。圭一くんはレナのことを優しいって言ってくれたけど、レナだって好きでもない子を毎日待ってあげたり、お弁当を作ってあげたり、宝探しに誘ったりするほど優しくはないよ」
「ちょっ……レナ、それってどういう意味」
どういう意味なんだ、そう圭一が聞こうとする前にレナは顔を近づけ、頬にそっと口付けを交わす。
思いもしない形で会話を遮られ、呆然とする圭一に対し、
「さ、そろそろ戻らないと魅ぃちゃん達が心配するよ! 行こ、圭一くん!」
と、レナは岩から降りて駆け出していってしまった。思わず呆けてしまっていた圭一もそれを見ると慌てて、
「お、おい! ちょっと待てって……おーい、レナ!」
と追い掛け始める。
そんな圭一からは見えるはずもなかった。
言葉を紡ぎ終えたレナが川の中を走るときに上がった
──―百年という時間の河によって隔てられていた二人の間の距離は、星夜の下でゆっくりと縮み始めるのであった──―
なお、こちらのお話のシチュエーションについては、「07th Expansion」の公式掲示板である魅ぃ掲示板にも投稿された作品である涼権様の「乞巧奠ノ夜(リンク: https://web.archive.org/web/20071112124719/http://naderika.com/Cgi/log_cbbs/logcbbs.cgi?mode=red2&namber=25624&no=2 )」を着想元にさせて頂きました。
内容や展開などは大幅に変わっている為、純粋な元ネタとは言いづらいですが、このお話を書くきっかけとなったことには違いないので、リンクを掲示させて頂きます。