和泉の提案を受けてから数週間後、イナセビャクヨウたちは今は空き室になっている、かつてタイタニアがチームの部屋として使っていた場所に集まっていた。デュオスクトゥムやマイトリート以外のウマ娘や、彼女らのトレーナーらしき人物も数名いる。
「そんじゃあ、ウマ娘はイナセの方に並んで書類に記名していってくれ、トレーナーは俺の方に」
和泉の声に、それぞれが列を作る。イナセビャクヨウの前に並んだウマ娘たちは、少し緊張した面持ちでそれぞれ「所属ウマ娘」の欄に自分の名前を書いていく。和泉の方では、同じように「所属トレーナー」欄に訪れていたトレーナー達が記名を行っていた。
「全員書いたな、そっちはどうだ? イナセ」
「こちらも大丈夫です……では、提出をしてきますので、今日はこれで解散で……スクとトリートさんは二人で並走トレーニングに行ってきてね?」
「は、はい」
「分かりました!」
二人に指示を出すと、イナセビャクヨウは和泉と二人、理事長室に向かう。
……和泉の言う、何人か声をかけているというのは、タイタニアが解散するまで所属していたウマ娘やトレーナー達だった。既に別のチームに移籍した者も少なくないが、そのまま個人トレーナーとしてウマ娘をコーチングしている者もそれなりにいた。それらに声をかけたのだ。
中には、和泉のようにイナセビャクヨウが現役の頃からタイタニアに所属していたトレーナーもおり、トレーナーとしての層は厚いと感じた。ウマ娘達も、クラシック級三人、シニア級三人とそれぞれバラけている。
「失礼します」
「許可! 入室したまえ!」
理事長室のドアをノックし、声をかければ秋川の声がいつものように聞こえる。二人は戸をあけ、一礼して中に入る。
「確認! 新たなチーム設立の申請だったか?」
「はい、松山先生の推薦状と申請書類はこちらに」
「うむ、たづな! 確認してくれ!」
「かしこまりました」
傍らにいたたづなに、イナセビャクヨウは書類と封筒に入った推薦状を手渡す。それを見てから、秋川は二人に座るように促した。
「……はい、書類等不備はありませんね」
「僥倖! では簡単に面談と行こう! どのようなチームにするつもりかお聞かせ願いたい!」
「……私は、あのような事件のせいで、走ることが叶わなくなりました」
イナセビャクヨウは、目元に触れつつ言葉を紡ぐ。そしてしっかりと、前にいる秋川を見据えて続ける。
「若いあの子たちに、私のような思いをさせたくはありません……だからこそ……タイタニアが掲げた「安全第一」を引き継ぎ、あの子たちが選手生命を長く続けられるような指導を行える……そんなチームに、していきたいと思います」
「承諾! その気持ち、しかと受け止めた! なるべく早く発足出来るように手配しよう! チーム名は!」
「チームオシリス」
そう答え、それに付け足すように言葉を繋げる。
「ペガサス座の恒星の周りを公転する惑星の名前です……自ら輝く星だけが、星ではありませんから」
ここに、新たなチーム「チームオシリス」が誕生した。
2021/11/11追記
ガイドライン改定が来ましたね。
とりあえず、少し考えましたが今のところ原作キャラに対するあれやこれはないので(負傷や死亡は今のところ自創作キャラのみなので)このまま進めようかなぁと思ってます。今後もガイドラインを遵守しつつ、少しでも楽しんで頂けるお話を書けるように頑張ります。何か問題がありそうな所があれば、こっそり教えて貰えると嬉しいです(´・ω・`)