一ヶ月後、勇者御一行は訓練開始から圧倒的に強くなった。これまで各個人のスキルに磨きをかける訓練を重点的に行ってきたが、やはり神の使徒として召喚されるだけのことはあり、その成長ぶりは神殿騎士達を驚愕させた。
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天之川光輝 17歳 男 レベル:15
天職:勇者
筋力:500
体力:500
耐性:500
敏捷:500
魔力:500
魔耐:500
技能 : 全属性適性・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・剣術・剛力・縮地・先読,高速魔力回復・気配感知・魔力感知・回復魔法・言語理解
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白崎香織 17歳 男 レベル:10
天職:回復術師
筋力:300
体力:300
耐性:300
敏捷:300
魔力:300
魔耐:300
技能:回復魔法・光属性適性・剣術・物理耐性・先読・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・言語理解
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八重樫雫 17歳 女 レベル:15
天職:剣士
筋力:390
体力:456
耐性:312
敏捷:388
魔力:348
魔耐:348
技能:剛力・縮地・気配感知・剣術・言語理解
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谷口鈴 17歳 女 レベル:15
天職:結界師
筋力:300
体力:300
耐性:300
敏捷:480
魔力:300
魔耐:348
技能:剣術・結界魔法・結界術適性,言語理解
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坂上龍太郎 17歳 男 レベル:15
天職 : 拳闘士
筋力:790
体力:625
耐性:536
敏捷:480
魔力:300
魔耐:348
技能:拳術・剛力・縮地・物理耐性・気配感知・剣術・言語理解
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このようにおよそ6倍もの成長を遂げた勇者御一行だが、中村兄妹はというと…
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中村佑輔 17歳 男 レベル:10
天職:学者
筋力:350
体力:360
耐性:10
敏捷:70
魔力:4150
魔耐:35
技能:u5$no*4w∇ζ・杖術・剣術(細剣)・魔力吸収・学術書Ⅱ・学術書Ⅰ・精神の宮殿マインドパレス・魔素操作
トータス語
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中村恵理 16歳 女 レベル:10
天職:降霊術士
筋力:230
体力:470
耐性:610
敏捷:590
魔力:1030
魔耐:2570
技能:洗脳・霊視・剣術・降霊術・闇属性魔法・光属性魔法・精神状態術・言語理解
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え?恵理さん?なにそれ怖すぎなんですけど!!?
ステータス10倍とか明らかに勇者超えなんですけど!?それにスキルになんか洗脳とか加わってんだけど!そんなの教えてもらってもないし知らないし?実は我が妹はめっちゃ凄い子なんじゃ…(色んな意味で)
僕のステータスに関してはみんなと同じ6倍に成長してるけど耐性については元々が低すぎて腹の足しにもならないという…スキルに関しては習ってもいないのに杖術が加わったりバグったような文字の羅列が加わったりで色々大変なことになった…。あと学術書Ⅱが加わったから後で精神の宮殿で読んでこよう。…耐性がゴミすぎて突っつかれただけで死にそうだ
そして問題なのは南雲はじめのステータスである
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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:1
天職:錬成師
筋力:10
体力:10
耐性:10
敏捷:10
魔力:10
魔耐:10
技能:錬成・言語理解
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そう、何一つ変わらないのだ。この一ヶ月の間、はじめは人一倍の努力、いや、天之川光輝の数十倍は努力してきたと言ってもいい。それなのに一向に全数値に変化がないのだ。あまりの報われなさに嫌気がさしてくる。いくら成長しないとはいえ1,2は変化すると思っていたがこれはあまりに異様だ。その結果にいつもの談話室でメンバーは驚愕し悲嘆した。
また、訓練開始から一ヶ月後にオルクス大迷宮に潜ることを予定としており、その日がいよいよ明日に迫っている。勇者御一行は基礎力がついたため問題ないがはじめだけが成長しないということで南雲はじめの参加をひどく懸念していた。
「やっぱ参加しないほうがいいよ、そのステータスだとあまりに危険すぎる」
「そうだよね、けどそれが決定事項だから仕方ないよ」
「はっきり言うけど足手まといにしかならないんだよ、上は何を考えてるんだから」
「はっきり過ぎて辛い」
「だ、大丈夫だよはじめくん!はじめくんは心が強いんだから!」
「慰めになってんのかなぁ」
「取り敢えずメルド団長に再度南雲くんの不参加を要請するよ。それでもだめならこのメンバーで南雲くんを全力で守ろう」
「「「「「「了解!」」」」」」
「でもなぜ戦力にならないレベルの人を参加させるのかな」
はじめの境遇に酷く悲嘆に暮れていた遠藤が呟いた。
「……」
佑輔は驚いた表情で遠藤の方を向いた
「ど、どうしたんだよ驚いた顔してこっち向いて」
「お前…」
「な、何だよ」
「…いたのか?」
「………………………………泣いていい?」
「いやまて、そもそもいつからいた?」
「最初からいたよ!!!」
「いやでもいつもミーティングに参加してなかったろ?」
「参加してたわ!!このときも!!あのときも!」
遠藤は一つ一つの会議を思い出しながら皆勤賞であることを説明した。
「いや悪かったよ、まさかずっといるとは思わなかったから」
「いや悪いわ!理由にもなってないわ!存在そのものを否定するやつに何が…何が……待って僕存在してるかすらわからなくなってきた」
遠藤存在してるか問題はしばらく白熱していたが結局考えるだけ無駄という結論に終わった。
「とにかく!南雲くんを守ることを第一としてかんがえる!それに異論はないね?それじゃ解散!」
なんともしまらない形で終えた会議であった。
✻ ✻ ✻
自室に戻ったはじめはベッドに座って思案していた。
『僕はいくら頑張っても成長しない…か…。だめだめ、みんな必死に僕のこと考えてくれてるんだ、こんなことでくじけちゃいけない……でも、辛いな……』
会議のときは笑顔をみせて大丈夫と言ってはいたが、誰よりも辛いのははじめ本人なのである。
結局必要なのは知識よりも力そのものなのである。
コンコン
すると自室の扉からノックがきこえた。
どうぞと言うとそこに入ってきたのは白崎香織だった。
「こんな夜遅くにどうしたの?早く寝ないと明日に支障を来しちゃうよ」
「私は大丈夫だよ、ちょっと話したいことがあって」
「明日のこと?」
「うん」
「さっきも言ったけど僕なら大丈夫だよ神殿騎士からお墨付きを貰ってるんだ」
「お墨付きなんかじゃないよ!教会の考えてることはわからないけど良いことじゃないのはわかるよ!」
「そっか…」
「うん……あのねはじめくん」
「うん」
はじめが優しげな眼差しを向けたことを確認した香織は話し始めた
「明日の迷宮攻略、やっぱり辞退してほしいの」
「え?」
「もちろんメルド団長の許可がなきゃ辞退はできないけど、病欠とか理由をつけて」
「優等生の君がそんなことを言い出すなんてね」
「からかわないでよ!けど、私はすごく心配なの。昨日夢を見たんだ」
「うん」
「はじめくんが居たんだけど……声を掛けても全然気がついてくれなくて……走っても全然追いつけなくて……それで最後は……」
「最後は?」
香織は今にも泣き出しそうな顔をしながら震えた声で言った
「……消えてしまうの……」
「……そっか」
はじめは変わらず優しげな眼差しで続けた
「それなら」
「え?」
「それなら、僕を守ってくれないかな?」
「…うん、さっきみんなで決めたこと…だよね?」
「うん、僕のことをこんなにもみんなが大切にしてくれる、これだけでもとても幸せなことなんだ。みんなが守ってくれるほど心強いものはないよ。」
「…」
「でももし」
「え?」
「でももし、僕のことを、特別に思ってくれると言ってくれる人がいるのなら…それは、白崎さん、いや、香織がいいな」
「え////」
「あ、ごめん気持ち悪いよね!今の撤回するから許して「嬉しい」…へ?」
「嬉しいよはじめ君、そんなふうに言ってくれて////分かった!私がはじめ君を守る!だから…だから、ね?………私のそばにいて」
「…うん」
「じゃあねはじめ君!また明日!頑張ろうね!」
「ま、また明日…」
そう言いながら香織は自室に向かって走り出した。
あの時もこの時も遠藤はいたのです!
カオハジ尊い…