色々伏線を張っていきますが回収するのはいつになるかわかりません
そこは悪しからず。
たった一夜で何人の人に呼んでいただけるなんてめっちゃ驚きです!
感想もしていただき本当にありがとうございました!!!!
ではどぞ!
無駄に広い3階建ての洋館の一室にたたずむ8人の間に冷たい風が流れ込む。
メイルが発動した大魔法“予現推録”は8人全員を震撼させた。
「め、メル姉!どういうこと!?今までにそんな魔法使ったことないよね!?ねえ!」
「これはどういうことだ!詳しく説明しろ」
「僕もミレディとラウスに同感だ。今すぐその魔法について教えてもらおうか。」
驚きを隠せない金髪少女。それに乗じて禿頭の男と黒衣の青年が説明を乞う。黒衣の青年の発言から金髪少女はミレディ、禿頭の男はラウスと言うらしい。
そう、この8人は長い間共に旅をしたりあらゆる闘いをくぐり抜けてきた戦友、それを通り越した固い絆で結ばれたもはや家族と言ってもいい間柄。阿吽の呼吸で息を合わせた見事なまでの連携プレーはお手の物。お互いの技術や使える魔法は全て熟知していた。それにもかかわらず未だ知られずにいたこの奥義と言っても過言ではないこの大魔法を見て8人は驚きを隠せなかった。
「それは今までに使ったことがないからよミレディちゃん、今説明するわ」
それをのんきな口調で返答するメイル。そして彼女による説明が始まったのだった。
***
「え、何それチートじゃん」
「見事なまでの化け物であるな」
ミレディと袴の初老、ゴンちゃんなる人物が真顔でのたまう。
メイル曰く、この魔法は自身の持つ治癒の最上位魔法、再生魔法を応用したものであり、
黒衣の青年が録画していた記録映像のように、過去を映し出せるなら、未来を映し出せるのではないか?とのこと。みんなに話さなかったのはこの魔法は世界の因果を崩壊させるほどの危険を伴っていたから。しかし今や仲間が8人だけとなったこの地下の奥底ならその影響も少なく済むのではないかと思ったらしい。
ここにいる8人の殆どは魔法のエキスパートで日夜大魔法を生み出し続ける強者。
そんな彼らだからこそこの魔法がいかに危険で化け物じみたものであるかを誰よりも理解していた。
「それですなわち、ここにて迷宮の攻略者の鑑賞会を催すわけか」
「少し違うわ。未来は常に変わりゆく物。だから、その可能性のある人物をみて、私たちに何が足りなかったのか、その子達が必要になるだろうものを私たちが作っていく。それだけの話よ」
「....そこまでのことを考えてましたのねお姉様、感服いたしましたわ」
「「「メイルって考えるんだ」」」
そんな訳のわからないことを言っていると、大広間の床全体に映し出された光が徐々にはっきりとした形をなしてゆく。
カメラのピントがぼやけた状態から徐々にあってゆくように形ができあがったそれは、16歳の一人の少年の姿であった。
***
夢を見た。
それはいつもと変わらない
誰かが訳のわからない格言じみたセリフを自分に語りかけるだけ。
そんな夢を見るようになったのは一体いつからだっただろうか。
そんなことを考えながらいつものようにベッドから這い出て両親と双子の妹の恵理に朝の挨拶をする。
父親のクッキングベーカリーで作った小さな食パンをプレミアムな粉のコーヒーを飲みながら朝のニュース番組を眺める。
今日の特番は表参道に新しくできたミートパイ専門店についてのようだ。女子アナが楽しそうに行列に並ぶ女子高生に次々とインタビューを行う。その店はミートパイ専門店なのにも関わらずキャラメルラテが人気らしい。
店員に哀れな気持ちを抱きつつ身支度を調え恵理と学校へ行く。
自転車で最寄り駅まで行きそこから一時間に何本もある快速に乗り込む。
「さて、次の総理は誰になるか...」
選挙権があるわけでもない高校一年生が座席に座りながら中年のおっさんのように新聞を見て呟く。
「こいつ前にカネの問題になったばかりだって言うのに出馬かよ、また買収でもして総理になるって魂胆か。クソだな」
そんなことをブツブツと独り言をしていると
「お兄ちゃん相変わらず独り言が凄いね、隣のキャリアウーマンがドン引きしてるよぉ?」
「うっ、それはきついな。でもそれは俺のせいじゃなくてこの出馬する議員がクソなせい」
「相変わらずそういうの見るの好きだねえ。佑輔おじさん!ニヤァ」
「おじさんゆーな」
そんな兄妹の、癖のある会話をしている内に電車は高校の最寄り駅に到着し、二人で学校まで歩いて行った。
学校に着くとポツポツとクラスメートが教室にいた。
佑輔達はいつも電車の時間が他の人より少し早めの電車に乗るからだ。
速すぎず遅すぎず。それが自分の心を焦らすことがなく安心させてくれるのだ。
「そういえばさゆー君」
「どしたの恵理ちゃん」
バッグを机の横に置いて教科書を引き出しに入れる。
恵理は小さい頃からずっとゆー君と呼んで後ろをついてきた。
昔は鬱陶しいと思ったりしたが、今では少しかわいく思える。因みに俺は二人きりのときは恵理ちゃんと呼んでいるが、学校では恥ずかしいので学校では恵理と呼び捨てしている。
「ゆー君って友達いないの?」
ババーンと効果音がついたような衝撃的なセリフは佑輔をピシャ、グサァさせた。
「な、何でそんなこと言うのかな!?恵理さん!?」
「だってクラスメートと休み時間に談笑しているところ見たことないから」
恵理は同じクラスだからそういう所を見られることは十分にあり得る。しかし面と向かって言われるとショックを受けざるを得なかった。
「そ、そんなことないぞ!確かに友達が少ないのは認めるけどいないわけじゃない!断じて」
「じゃあ誰?」
「え、あ...すz「鈴以外ね」 な!?......え、遠藤とか」
鈴とは、谷口鈴のことで、恵理と一番の親友だ。
恵理と仲が良いため自然と鈴とは仲が良くなったのだ。
そして、遠藤は遠藤浩介のことなのだが...
「誰それ僕の知らない人?そんな人クラスにいないよ、他クラスかな」
「まさかここまで影が薄いとは...」
そう、彼は陰が薄すぎるのだ。薄すぎるが故にクラスメートに認識すらされなくそれだけでなくコンビニの自動ドアにすら認識されないのだ。ここまでくると一種の呪いである。
そんなことを考えていると、どこかでシクシクとすすり泣く聞き覚えのある男の声が聞こえた気がした。
遠藤お前...