わしは本当に幸せもんだ!
本当にありがとうございます!
特に「恋する錬成師は世界最強」の執筆者である見た目は子供、素顔は厨二さん、同小説の前書きにこの作品を紹介して下さり誠に光栄に思います!ほんっとうにありがとうございます!!!
物語はトータスに移ります。少し長いですがお付き合い頂ければ幸いです
ではどぞ!
教室を包み込む強烈な赤い光。
それが更に光を増していきあたりが真っ白に染まり何も見えなくなる。眩しさに目を閉じると同時に奇妙な浮遊感に襲われる。
この感覚に疑問を持つ前にあたり一面の白光が黄色、そして赤とかわりやがて光が収まっていく。先程までの眩しさが残像効果を引き起こし、周りが暗黒で視覚が機能しない。仕方がないので耳を頼りにあたりに注意深くしていると
「うっ…痛ってぇ〜」
「一体何なんだよ…これ」
「こ…ここは?」
クラスメートの声がポツポツ聞こえてきた。そういえば恵理は大丈夫だろうか。と妹の心配をしていると
「ゆ、ゆー君!?大丈夫?」
恵里がこちらの方に駆けつけてきた。
「あ、あぁ大丈夫。それより、恵理は大丈夫か?あと他の人達はどうなった?」
「場所は…何処だろう、なんか教会のような大きい所。鈴も他の子も無事だよ」
「そうかよかった」
互いの無事を確認ししばらくすると徐々に視覚が治っていく。光が網膜を通り光神経細胞が刺激される。その瞬間、思わず言葉を失ってしまった。
高さ20m程の大天井と奥行きが50mはある側の壁に、ミケランジェロやボッティチェリが描いたような巨大な宗教画が飾られ、それはノートルダム大聖堂のよう。そして視線の奥には女のような顔立ちで筋肉質な体つきをした人の絵が最奥の壁の真ん中に飾られている、どうやらこの人物が教会が崇拝している神のようだ。その手前の玉座に豪奢な服装をしたダン○ルドアが座りその両隣に修道服の女が一人ずつ並んでいる。
まるでドラ○エのセーブ&ロードをする教会に来たかのようだなぁ……ん?
そんなことを考えてふと思った。思い立ってしまった
俺たちはもしかすると、いや確実に異世界に迷い込んでしまったのだと…
***
「みんな落ち着ついて!全員の無事を確認し点呼を行う!雫頼んだ!」
「わかったわ!みんな点呼するからその場を動かないように!」
流石は天之河。臨機応変に対応し役割分担をおこなう。
「シ、シズシズゥ!ここどこぉ?何がどうなってんのぉ?」
急激な環境変化に困惑する鈴。それを雫が大人の対応をする。
「大丈夫よ鈴、みんな混乱してるのは同じだから。下手に動くと更に大変になるから今は動かずじっとしてて。大丈夫よ私がいる。」
「シズシズゥ〜」
優しくそう言った雫の言葉に安心したのか、鈴はへニャと座り込み泣いてしまう。
それが当然だろう。よくわからない場所に強制的に連れてこられ、敵対勢力と戦えというのだから。そしてこれは某国が先進国の技術者を拉致するのと等しいのだ。
そんなことを考えながら二人を眺めていると、先程まで玉座に座っていた豪奢な衣装をまとったダン○ルドアな老人が何やら話し始めた。
「ようこそ『トータス』へ勇者様、そしてご同胞の皆様」
老人は続ける
「お待ちしておりました。私は聖教教会教皇のイシュタル・ランゴバルドでございます。用意はできておりますどうぞこちらに。」
勇者とそのご同胞…か。やはり、最近良く見る異世界転移ものってやつか。まさか現実になるとはな。ところで異世界っていうのはどういう枠組みなんだろう、地球とは別の星って意味なのか?それともゲームのような仮想世界に迷い込んだ的な?もしかして別宇宙とか?考えただけできりがない。
なのでとりあえず今は教皇聖下とやらのいいなりになり、指示された通りについていく。
そこにはホ○ワーツの大広間のような3つの長机があった。その内1つの列にクラスのそれぞれが座る。教皇が机の端の特等席に、その両側にそれぞれ天之河と雫、その隣に坂上と香織が座る。因みに俺の両隣は恵理に遠藤、その隣には南雲がいた。鈴は香織の隣にべったりくっついている。
「さて、お飲み物は行き渡ったでしょうか。さぞ混乱しているでしょう。一から説明致しますので最後までお聞きくだされ」
告げられた教皇聖下のお言葉にクラスメートは耳を傾ける。
彼曰く、この世界は『トータス』という地球とは異なる世界らしい。我々をここへ召喚したのはこの世界の創造神エヒトによるものであり、この世界の上位存在である我々は、ここの住人より優れた力を持っているのだとか。この世界は大きく3つの種族に分かれており、そのうちの人間族と魔神族が戦争状態にあるのだという。数年前、魔人族側が魔物を従える術を身に着けたため人間族側は劣勢に追いやられ更には滅亡寸前の危機にまで陥ってしまった。そこで創造神でありここの教会の唯一神でもあるエヒトは、このままではまずいと思ったらしく我々を召喚するに至ったのだ。
話を一通り聞き終わると、今まで黙っていた愛ちゃん先生は怒髪天を突く勢いで教皇聖下に言い放った。
「ふざけないでください!一体何の冗談ですか!あなた達のやっていることは誘拐です。そして先程のお話、あなた達は私の生徒達に戦争をさせようと言うのですか!?そんなの絶対に許されるべきことではありません。えぇ、先生は絶対に許しませんから!」
机を両手でペチンと叩ききゃんきゃんと叫ぶ愛ちゃん先生は教育委員会も黙る先生の鑑。そんな彼女の様子にクラスメートは温かい目で見守っていた。
そう、召喚された我々が魔人族に立ち向かい、人間族の救世主となれと言っているのだ。平和主義国家であり、兵役義務さえない日本人にとって戦争とは縁遠いもの。生徒たちが、異世界で勇者として召喚され浮き足立っている中、先生だけがその真意に気づきいち早く反論したのである。頼もしいかぎりである。
すると隣にいた遠藤が挙手をして質問を投げかける。
「あの、僕達を召喚できるなら、その逆もできるんじゃないんですか?」
「そ、そうだよ!喚べるならかえせるだろ!」
「残念ながらそれは無理にございます。あなた方を喚んだのはエヒト様であり、我々にそのような力はございません。」
生徒達は何とかしてひねり出した反論を無惨にへし折る教皇に阿鼻叫喚する。
「あなた方が帰還できるのもエヒト様の御神託のみなのです。」
さらなる追撃により意気消沈するクラスメート。しかしそんな葬式の雰囲気は、バンと両手で机を叩いた一人の男の、次の言葉で一変する。
「みんな、イシュタルさんに言ったってしょうがない。彼にだってどうしようもないんだ。俺は、戦おうと思う。この世界は俺たちに救いを求めている。差し出された手を握るのは当然のこと。みんなそう思わないか?」
「お前ならそう言うと思ったぜ」
「元の世界に帰るためならしかたないわね。私もやるわ、光輝」
「龍太郎、雫…」
天之河による名スピーチによって坂上と雫が賛同する。
「し、雫ちゃんがやるなら私もがんばるよ!(フンスッ」
「香織…」
続いて香織も賛同し天之河の気持ちが高揚する。その他の生徒たちも次々に賛同し、愛ちゃん先生がそんな〜といった具合に眉毛を八の字にする。すっかり場の雰囲気が変わってしまい、どうしたものかと佑輔は顎に手を当てる。
『先程から黙って聞いていたが、この話にはどうも引っかかるところがある。戦争の英雄になってほしいところまではいい。だが、一から説明するといったものの、肝心な戦争の原因を話していない。大まかとはいえ説明が抽象的過ぎるし、環境が違いすぎる人間族領に領土拡大するのもおかしい。虐殺目的にしてもわざわざ他国まで行って攻め込む必要はないはずだ。故に魔人族が戦争を仕掛けてきたのとはまた別にあると考えられるのだが…まあここらへんの歴史的経緯は追々どこかで勉強するとして。後、帰還できるかはエヒトの裁量により決まるという言葉。これは、エヒトが何らかの方法で外界の様子を至るところまで見通せるということを意味する。どこから見ているのかは知らないが確約がない以上魔人族を倒せば地球に返してくれるというのは期待薄と考えておこう。とりあえず今わかることはこの2つだが、日を重ねるに連れてわかることも増えてくるだろう。ん?』
長らく思案していた佑輔を心配する恵理。そっと頭を撫でるとフヘヘと笑い少しニヤけてしまう。この笑顔、守りたい。
そんなことを思っていると、生徒たちはそれぞれ用意された部屋に行こうと席を立ち始めていた。佑輔たち兄妹はまだ座っていた鈴と南雲の方に行く。
「鈴、南雲。なんか急に壮大な話に迷い込んだよね」
「ね〜、なんか愛ちゃんも戦争反対とか言ってたけど、やっぱり鈴たちは戦争に行くことになっちゃうのかなぁ…怖いよ」
「天之河君のあの発言で一気に話が進んだもんね。彼は戦争っていう自覚あんのかね。」
「でもさゆー君、恵理達にはなんかすごい力があるんだよねぇ?それで一気に解決チャンチャンに、ならないかな?」
恵理は自分たちに特別な力があることが気になって仕方がないらしい。力を使うことで簡単に敵を滅ぼすことができると考えているらしい。そこに南雲が恵理に意見を言う。
「特別な力だけじゃ一筋縄にはいかないから神様が僕達を呼んだんじゃないかな」
「たしかにそうだよねぇ。鈴はこの先どうなると思うぅ?」
「鈴は…みんな戦争に行っちゃって…みんな帰ってこないなんてことになったら…鈴は…鈴はぁ…」
再度泣き出してしまった鈴を佑輔は背中をさすりながら振り返る。教皇達は、さっきの天之河の発言により彼ががこの集団のリーダーであると認識した。そのとき教皇が、普通の人には分からない程に片側の口角を上げたのを佑輔は見逃さなかった。
書くのはやはり難しいのぅ