この作品ですが、執筆後に何カ所か大きく訂正しているので再度読み直してくださると嬉しいです。当初の予定ではヒロインをえりりんと鈴だったんですが、作者の推しが変わり鈴からシズシズに変わりました。誠に勝手ですが配慮の程よろしくお願い致します。
それと共に大きな変更を致したほど、本当に申し訳ございません。
今回は図書館で借りた本に書かれたこの世界の地理と表向きの歴史についてです。かなりち密に設定を盛り込んだのでマジで自信作です。ぜひ感想をよろしくお願いします!
後半は競技場でのひと時です。
ではどぞ!!
佑輔は7冊ほど本を借り自室に戻る。部屋には紅茶ならぬ藍茶という青いお茶のTea Bag(決して間違えないよう敢えて英語表記とした)がルームサービスとしておいてあったため湯を沸かしティーカップに入れ早速本を読み始めることにした。因みに恵理は同じ部屋で今もベッドで寝転びながら本を読んでいる。僕はさすがにまずいと思い別の部屋に移るよう説得したのだが、あろうことか高校生にもなった女性が床をゴロゴロと転がりながらいやだいやだと地団駄を踏みやがったのだ。部屋の専属メイドの目の前で。さすがに部屋からポイ捨てするわけにも行かないので他の部屋より一回り大きい二人部屋に変えてもらった。よかったねゆー君と、ニシシと笑ったのを見てすっかり許してしまった。全く、妹の笑顔より恐ろしい物はないなと感じた今日この頃である。
借りてきた本は、『全トータス地図及び各国名所一覧』,『エヒト様と地形創造』,『トータス危険地帯一覧とその地理的背景』,
『エルバート神話』,『反逆者と暗黒時代』,『トータス全史記(聖教教会史録部認定)』,『反逆者の爪痕』である。
これらを読むことにより地理的要因による歴史的背景を紐解くことができた。
内容は以下のようなことであった。
まず、『全トータス地図及び各国名所一覧』というのは世界地図と観光雑誌を掛け合わせたものに近く、国ごとの地図とすべての国の観光名所をランキング形式にまとまったものである。この本のすごいところは魔法により毎年のランキングが変動するということだ。1位は数百年前から不動でハイリヒ王国の神山で、2位はオルクス大迷宮、3位は湖畔の町ウルである。神山は毎年登山客が絶えないようだ。しかし『トータス危険地帯一覧とその地理的背景』によると神山は七大迷宮に並ぶ世界有数の難所で死亡者が後を絶えないとのこと。七大迷宮とは神代の少し後である今からおよそ2700年前に、神に挑戦した8人の反逆者が建造したとされる古代遺跡群である。だがそれらの製作の意図は不明、なぜ反逆者が8人なのに7大迷宮と呼ばれているのかも不明という、未だ多くの謎に包まれた遺跡である。そんな7つの遺跡群はは強力で狡猾な魔物の巣窟であり、今まで何人もの挑戦者を葬ってきた。7つの内4つは“オルクス大迷宮”“ライセン大迷宮”“グリューエン大火山”“シュネー氷雪洞窟”という名前らしいが、後の3つは失伝し名称も位置も知られていない。他にも危険地帯はいくつも存在し、紺碧の大地と呼ばれる一帯はなんと高さ何百メートルものマグマが吹き荒れる大地溝帯*1であるらしく、周辺の人々はエヒト様のお怒りによってもたらされた神代の大地獄として恐れられている。
神山の話に戻すと、これは地球でいうところのエベレストと考えていいようだ。この山は聖教教会の総本山であり、我々が召喚された場所でもある。
『エヒト様と地形創造』によるとこの山は元来エヒトが最初に降り立った場所であり、世界を見渡せるこの地で世界創造を行い、人の子を作り給うた。この地を山脈の一角として川を流し、そこから大陸を横断する大峡谷に合流させることでその周りに集落ができるよう促した。
川と峡谷の接合部はナイアガラの滝を連想させる巨大な滝を形成しておりそれはそれは神秘的で美しかったという。
しかし、人間から堕ちた人種である獣人族と魔人族によって峡谷に流れる美しい水が汚れそれを飲んだ人間族は一瞬にして滅亡の危機に陥ってしまった。それを見て哀れんだエヒトは汚れた水を涸らし川をほかの場所に流れを移動させた。汚れた原因は、魔人族や獣人族の膨大な体内魔力による新陳代謝により排出されたアウフ鉱石と呼ばれる悪魔の石が水中に大量に溶けだしたことによる。これにより魔人族及び獣人族は忌み嫌われるようになったといわれている。尚、水を涸らしても峡谷の底にこびりついてしまったためエヒトの粋な計らいにより魔力が作用しないようにしたんだとか。
現在、その一帯はライセン大峡谷と呼ばれ、その周辺では魔法を使っても魔力が霧散するようになっている。しかしどういうわけなのか、その一帯のどこかにライセン大迷宮があるといわれたりしているようだ。又これは地球でいうグランドキャニオンに相当する。
続いて大陸北東部にウルと呼ばれる町には大湖があり、これにも伝説が存在する。エヒトが神山に降り立ったとき、同時に他の4人の神も世界各地に降り立ったといわれている。エヒトを含めた5柱の神々が大地創造を成し遂げ人々に平和と安寧をもたらした後、自分たちの役割を終えたことに満足し、エヒトを残した4人がこの世界から離れていった。5柱ともに仲が良かった故、友を失った悲しみはエヒトの心をえぐり、悲しみのあまり百年もの間涙を流し続けた。その結果何もなかったその地に湖ができ商業の都として人々が栄えるようになった。ちなみに湖の味は少しだけしょっぱいそうだ。
大陸東端には樹海が広がっていおり、ここは獣人族が本拠地を置いていて、五柱の内の一柱が降り立った場所である。この神は人々が忌み嫌う獣人族を分け隔てなく愛し敵対心を持つ人間族から守るために深い霧を作り出す魔法をかけた。この世界から旅立つとき、その神は自身の意思の一部を組み込んだとある樹を植えた。その樹は生き生きと成長し千年かけて巨大になり、神山に次ぐ高さを誇った。しかしその数千年後、世界滅亡を企てた反逆者と神々による地形を変えるほどの大規模な戦闘により大樹は枯れてしまったのである。ちなみに大きく変わってしまった地形というのは直径5キロにも及ぶ“ミーディタンクレーター湖”と呼ばれる巨大な湖のことである。その湖に大樹の水分や養分、そして魔力が溶け出してしまったと推測される。
今度は大陸西端に位置するグリューエン大砂漠は大地創造時には美しい草原だった。これは地球と同じ成因で、海岸沖の寒流により上昇気流が発生せず雨が降らなくなることで砂漠化したものと考えられる。海岸から近いため空気は湿っているため霧が出ることもよくあるようだ。
長くなってしまったがこれが地理的背景に伴ったトータスの歴史である。
***
これを調べ終えたときには朝を迎えていた。
しかし、たった一日でこれだけの量を調べることができたのはスキル学術Ⅰのおかげだろう。
これは一度読んだものを記録するだけでなく内容理解の速度を上げることもできるようだ。
このままいけば学者として優遇されること間違いなしだろう。
一週間後、オルクス大迷宮と呼ばれる反逆者の作ったとされる迷宮で実践訓練を行う予定なので、知識を十分に蓄えていけば役立てるのではないだろうか。
これらの本を読んでわかったことはいくつもあり、また神話部分を除いて科学的にみておかしいところがいくつもある。これだけで論文5つは書けるほどにあるが今は時間がないので時間ができたらゆっくり書いていこうと考えている。
眠気が襲ってくる...ああ、談話メンバーはどのくらい調べたのだろうか。特にはじめは僕よりすごい量調べているんだろうなあ。恵理はもうとっくに寝ているかぁ....。眠い...翌日の特訓は宝物庫から武器を新調して本格的な戦闘訓練があるけど...まだだいじょうぶだよね。それまで少し休むとしよう....
***
バーン王立競技場
「よしでは始めるぞ~って佑輔はどうした?まだ見当たらないんだが」
「ゆー君は遅れてくるそうです。あ、来たあ」
「遅れてすみません、えっとメルド団長」
「お前大丈夫か?クマがひどいし目が血走ってるぞ」
よろよろと走ってきた佑輔の状態異常が思いのほかひどいものだったのでメルドは少し心配になっていた。こんな状態で訓練を受けさせたら確実に倒れるにちがいないと。
「ちょっと夜更かししてしまって...ですが回復薬?これほんと良く効きますねえ。これ飲んだのでもう大丈夫です!」
「おいおい途中でぶっ倒れたりすんじゃねえぞ?俺の責任になりかねん」
「ぜ、善処します...」
「ちょっと、あなた大丈夫?無茶して借りた10冊読破でもしたの?本当体壊したら私たちも困るんだから健康管理はちゃんとしてよね?」
「7冊だけどね。忠告痛み入るよ八重樫さん、本当面目ないです」
「雫でいいわ。これ終わったらゆっくり休むこと、いいわね?」
「ありがとうママ」
「誰がママよ!!」
死にそうな目をしながら雫と会話していると誰かが割って入ってきた。
「おい中村!雫だけじゃなくメルドさんにまで心配かけさせるのはやめろ。お前の体調管理でクラスの士気を乱されるのは困るんだ。本を読んでたと言ってたが、そんなことするより訓練をする方がよっぽど有意義なんじゃないか、どうなんだ!!」
「はい、今回ばかりはぐうの音も出ません」
「今回ばかり?お前はいつもそうだろう。以前から横目で見ていたが高校生としての自覚がまるでない。先祖のルーツか何だか知らないけどクラスだけじゃなく地域の人たちにまで迷惑をかけるのは都立高校の恥だ!」
「ちょっと光輝それは言い過ぎよ。中村君もごめんね、こんなバカはほっといて少し休んできたら?」
「雫の言うとおりだ。さすがに団長という責任の立場にあるものにとって教え子の体調管理は私の責任になる。ここはおとなしく休んで来い。回復したらまず俺んとこに来い。武器を新調してやる。」
「ではお言葉に甘えて...ほんとうに申し訳ございません」
そういって佑輔はまたよろよろと立ち去る。
「おい恵理、おまえは佑輔の妹だったな。あと雫、二人で自室まで連れ添って行ってくれ。」
「「は、はい!」」
そういって2人はふらつく佑輔の肩を組んで自室へ戻っていった。
武器新調は次回です。
ミーディタン→ミイディタン→ミリディタン→...
そうです、地形の名付け親はあのドM女王です