(───⋯⋯う、眩しい。ここは、どこだろう⋯⋯やけに、黄金色に輝いてるけど)
(あれ、もしかして後ろ手に縛られてる⋯⋯? 何だか、左側の腹部が鈍く痛むけど⋯⋯何が、あったんだっけ)
(鉄格子も、黄金⋯⋯。牢屋にいるのかな。閉じ込められて───誰に?)
(思い、出さなきゃ⋯⋯えっと、確か⋯⋯⋯記憶喪失のカミュを連れてクレイモランを訪れたら、原因不明の黄金病が流行ってて⋯⋯黄金兵も度々襲って来るらしくて、そいつらが船でやって来て城下町を襲い出した時───)
(カミュが頭を抱えて痛がって、神父さんにカミュを預けて僕達は黄金兵を追い払おうとしたけど⋯⋯記憶喪失のカミュは僕に縋って、行かないで下さいって懇願するものだから⋯⋯他の仲間に黄金兵を任せて、僕はカミュの傍にいることにして───)
(そしたら急に左腹部に痛みが走って⋯意識が朦朧としていったんだ。その時、傍にいたカミュの声が微かに聞こえた気がして⋯⋯“ごめんなさい”って)
「───目が、覚めましたかジュイネさん⋯⋯」
「(⋯⋯! 鉄格子の向こうに、カミュが)」
「すみません⋯⋯ほんとはこんなことしたくなかったんですけど、キラゴルド様の命令であなたを───」
「キラゴルドって⋯⋯」
「クレイモラン一帯を支配している、六軍王のお一人ですよ⋯⋯。あらゆる物や人の黄金化も、キラゴルド様が広めているんです」
「どうしてカミュは⋯⋯そんな奴の命令で僕を」
「ジュイネさん達と出会う前に目が覚めた場所が、この黄金城だったんですよ⋯⋯。キラゴルド様は散々オレを痛めつけたあと、こう命じたんです⋯⋯。“勇者って奴を黄金像にしてこの城に飾ってやるから、勇者を連れて来い”って⋯⋯じゃなきゃもっと痛い目にあわせるって、脅されて」
「(震えてる⋯⋯記憶も戻ってないみたいだし、相当怖かったんだろうな)」
「キラゴルド様が、勇者の乗ってる船の船倉にオレを飛ばして⋯⋯腹を空かせて食べ物を漁ってたってことにしたんです。実際、腹はものすごく空いてたんですけどね⋯⋯黄金城では奴隷同然で、まともに食べさせてもらえませんから。逃げようとしたって無駄なんです⋯⋯目立たない箇所に黄金のマーキングがされてて、キラゴルド様の意思ですぐ城に引き戻されてしまいますから。命令に従う他、ないんです⋯⋯」
「⋯⋯なんて酷いことを」
「同情なんて、しないで下さい⋯⋯オレはこれからあなたを、キラゴルド様に献上して⋯⋯キラゴルド様は勇者を黄金像にして力の誇示のためにこの城に飾り立てるんですから⋯⋯」
「⋯⋯⋯⋯」
「今牢屋から出しますが⋯⋯妙なことは考えないで下さいね。あなたを後ろ手に縛ってる黄金の手枷は、一切の呪文を封じますし、何なら勇者の力だって⋯⋯」
「抵抗する気はないから、安心してよ。これ以上カミュが傷つけられるのは嫌だから」
「⋯⋯⋯⋯じゃあ、とりあえず立って下さい」
「うん⋯⋯、つっ」
「⋯⋯! もしかして、左腹部が痛むんですか」
「あ、大丈夫⋯⋯ちょっとだけだよ」
「⋯⋯⋯。キラゴルド様に、即効性の眠り薬を塗った短剣を渡されて⋯⋯それで勇者を不意打ちして眠らせて連れて来いって⋯⋯。そのあと回復アイテム使ったりするなとも、言われてて⋯⋯すみません」
「気にしなくていいよ。⋯⋯キラゴルドって、どんな姿をしてるのかな。やっぱり、黄金の⋯⋯」
「会ってみれば、分かりますよ⋯⋯変身しててもしてなくても、恐ろしいお方ですけど」
「⋯⋯⋯⋯」
黄金の玉座の間。
「───ようこそ、このおれの豪華絢爛な黄金城へ。ようやく会えたな、ユーシャ様」
「(えっ、玉座に座ってるのって子供⋯⋯女の子?)」
「おいテメェ、今おれの姿見てガキだとか思っただろ。こっちの方が仮の姿みたいなもんだぜ⋯⋯本当のおれは、もっとゴツくて強いんだからな!」
「き、キラゴルド様⋯⋯仰せの通り、勇者を連れて参りました⋯⋯」
「んなもん見りゃわかるわクソアニキ。つか遅ぇんだよ、モタモタしてんじゃねーよ!」
「ひッ、申しわけ、ありません⋯⋯!」
「(クソ、アニキって⋯⋯、カミュのこと?? 主従関係にしては呼び方がおかしい気が)」
「⋯⋯なに間抜け面してんだユーシャ様、そんなにおれと下僕のカンケーが気になるのかよ? いいぜ、特別に教えてやる。クソアニキは都合よくおれのこと忘れてるみてぇだがおれら実の兄妹なんだよな。反吐が出る話だけどよ!」
「カミュに、妹⋯⋯?」
「⋯⋯⋯⋯」
「はん、その様子じゃおれのこたぁ一切ユーシャ様には話してなかったらしいな。そりゃそーか、後ろめたいもんな? 実の妹を黄金化させといて五年間もほっぽっといた上に、自分は盗賊稼業を楽しんでたっつーとんでもねぇゲス野郎なんだからよ!!」
「──────」
「ショックで何も言えねぇか? そりゃそーだろうなぁ。しっかし何だってクソアニキはユーシャと行動してたんだ? おまえもよく仲間になること許したよな」
「カミュは⋯⋯預言者の言葉に従って、勇者に力を貸せば贖罪を果たせるって」
「⋯⋯⋯!」
「預言者⋯⋯ははっ、胡散くせぇ! そいつに言われなきゃ罪を償う気もなかったのかよ、ゲスの極みだな」
「ち、違⋯⋯マヤ、オレは───」
「うっせぇクソアニキ、貧乏臭い名前で呼ぶなっ。テメェに言い訳する権利はねーんだよ!!」
黄金の細い触手がどこからともなく表れ、カミュの片足に巻き付いて高所に逆さで釣り上げる。
「⋯⋯ッ!」
「どっかの貧しい親のいない兄妹はさぁ、雪深い場所で凍え死にそうになってたわけよ。それをバイキング共が拾ってくれたとはいえ、奴らからの扱いはまるで使い捨てのボロ雑巾みてぇだったな」
「⋯⋯⋯⋯」
「そんな中でも妹は度々バイキング共に逆らって、色々ちょろまかしてたんだが⋯⋯その度に手酷い罰を受けてな。そりゃもう口じゃ言えねぇこともされたぜ?」
「食い物もロクに与えられねぇし、力も出ねぇからクソアニキも妹を守りきれもしねぇ⋯⋯。それでも妹はアニキを責めもせず健気に生きてたわけよ」
「そんな時だ⋯⋯アニキが妹の誕生日にいわく付きのアクセサリを贈ったのは。バイキング共の隙を見てちょろまかしたんだとよ───それを身に付けるとあらゆる物に触れただけで黄金化させちまうっつう代物をな」
「その力は本物だったぜ⋯⋯生き物すら簡単に黄金化させちまうんだからな。今思えば、その力でバイキング共を黄金化させちまえばよかったのに、まぁガキだったから考え及ばなかったな」
「んでクソアニキは自分でそれ妹に贈っといてその力使うなとか言うんだぜ? 勝手な話だよなぁ。まぁそのせいで外れなくなって、アクセサリの呪いが妹自身に広がってあっという間に黄金化さ」
「クソアニキは短剣でアクセサリを破壊しようとしたが、強力な呪いの前で短剣なんざ脆く崩れた⋯⋯。手を伸ばし助けを求める妹の手をとろうともせず、あとは見てるだけ⋯⋯。怖かったんだろうなぁ、自分も黄金化に巻き込まれんのが。テメェのせいのくせしてよくもまぁ⋯⋯なぁ?」
「──────」
「んで完全に黄金化した妹を置き去りにして、五年間楽しく盗賊稼業してやがったわけだ。その間妹がどれだけ寂しくて絶望してたか、想像つかねぇだろうな。黄金化してても、心は動いてたんだぜ。溢れる憎しみにな」
「カミュが盗賊稼業をしてたのは⋯⋯君を救う方法を探してたからじゃ」
「あのなぁユーシャ様⋯⋯そういう擁護発言は要らねぇんだよ。まぁ何だ、クソアニキを含めたユーシャ様ご一行が魔王様を誕生させてくれたお陰で、魔王様の情けでおれはこうして六軍王の一人になり、黄金化の力も自由自在なわけよ⋯⋯。バイキング共は黄金兵にして散々コキ使ってやれるしなぁ、あっははは!!」
「マ、ヤ⋯⋯」
「あぁ? 今の話で記憶戻ったかクソアニキ。つかその名前で呼ぶなっつってんだろ、おれ様はキラゴルド⋯⋯この豪華絢爛な黄金城の主なんだからな!! クソアニキ、テメェは逆さ吊りにされたまま見てやがれ。今から目の前のユーシャ様を黄金化してやるからなぁ⋯⋯」
「⋯⋯⋯⋯」
「けどただ黄金化するだけじゃつまんねーな、それなりにいたぶってからにするか? 多少見栄え悪くなりそうだが、まぁ最終的に黄金化しちまえば何でも豪華に見えるだろ」
「⋯⋯てかユーシャ様、よく見りゃオンナみてぇな顔してんな。ユーシャが男じゃなきゃいけないわけじゃねーなら、おれでもよかったのによっ。ま、いいや。魔王様が誕生した世界の方がおれには住み心地いいからな!!」
黄金の細い触手が何本か後ろ手に縛られたままのジュイネに向かい、身体を幾度となく強く打ち付ける。
「⋯⋯⋯っ」
「つかさぁ⋯⋯聞いた話じゃ、生まれた国は滅ぼされたにしてもユーシャ様は16年間もまともな場所でヌクヌクと育ってきたんだろ? 羨ましいもんだなぁ⋯⋯おれなんて気づいたら貧乏暮らしな上にバイキング共にコキ使われてたんだからなぁ!」
バシバシと鞭のように鋭い黄金の細い触手が執拗にジュイネを打ち付け続け、所々衣服が裂け露わになった地肌は直接傷付けられ血が滴る。
「やめろ、マヤ⋯⋯!」
「るせぇ、クソアニキは黙ってろ!! おまえ、ユーシャっつうよりほんとに悪魔の子だよなぁ⋯⋯なんたって魔王様を誕生させて大樹は落下、多くの人間犠牲にして世界は崩壊の一途を辿ってるんだからな! とんだユーシャ様もいたもんだぜ!!」
「──────」
「ほらどーしたよユーシャ様、お得意のユーシャの力ってやつで抵抗してみろよ。生まれた時から持ってたっつうアザの力を使えば大体解決すんだろ? 元々大樹だか先代ユーシャの力だそうじゃねぇか、おまえ自身の力でもないくせに、よく我がモノ顔でユーシャ気取ってられんな!!」
大きめの黄金の触手がジュイネを薙ぎ払い、上部の壁に背中から激突してうつ伏せに落下し、ジュイネそのままぴくりとも動かなくなる。
「んだよ、クソつまんねーな。言い訳の一つくらいしてみろよ。図星すぎてグウの音も出ねぇのかよっ。⋯⋯気が変わった、黄金の勇者像なんざいらねーや。どーせユーシャはとっくに魔王様に負けてんだし、この黄金城に飾る価値もねぇな。───だからさっさとくたばれよ」
「!!」
幾つもの鋭利な黄金の細い触手がジュイネを串刺しにしようと迫るが、倒れているジュイネのすぐ前方の床に魔法陣が出現しそこから頑丈な岩石が現れ黄金の触手を阻む。
「あぁ⋯⋯? 今何しやがったよ、クソアニキ」
「ジバリアだ⋯⋯これ以上ジュイネに手出しはさせねぇ」
「けッ、逆さ吊りでイキってんじゃねーよ。そんなにあの失敗作のユーシャが大事かよ」
「ジュイネは失敗作なんかじゃない⋯⋯世界を崩壊の一途にしちまったなら、その世界を救うのも勇者だ。一人じゃ無理でも、仲間が居れば何とでもなる」
「───おれを救えもしないクソアニキとユーシャに、何が出来るってんだ」
「救うさ。⋯⋯その為にオレはこの五年間、マヤを救う方法を盗賊の身で探し求めてた。そんな中預言者から言葉を貰い、その預言通り地の底で勇者に出会い、オレは今⋯⋯贖罪を果たそうとしてる」
「預言で救われるなら世話ねぇや。じゃあおれの空白の五年間⋯⋯絶望と憎しみの五年間はどうしてくれるってんだ? おれは二度と貧乏生活に戻る気ねーぞ」
「マヤ、言ってたじゃないか。いつか、宝探しの旅に出たいって。⋯⋯一緒にすげぇお宝を見つけに行こうぜ、その為にはまず魔王を倒さなきゃなんねぇから、待っててくれ」
「あっはは⋯⋯救いようのないクソアニキ、勝手抜かしてんじゃねーよ。───いいぜ、そんなにユーシャと仲良く魔王様を倒したいならまずこの鉄鬼軍王、キラゴルド様を倒してからにしな⋯⋯!!」
少女の姿から見る間に黄金の装甲を身に纏った巨体の獣と化す。
『ほーら、逆さ吊りから解放してやるから、一人で役立たずのユーシャを守りながら戦ってみせろよクソアニキ!』
キラゴルドはカミュを何度かぶん回して片足に巻き付かせていた黄金の触手から解放し、うつ伏せにたおれたままのジュイネの傍に放り投げ、カミュは何とか体勢を立て直し着地する。
「(ジュイネ、痛い思いさせて悪かったな⋯⋯。命の大樹が崩壊した時は守れなかったが、今度こそお前を守って妹のマヤを───)」
『さぁ、二人揃って八つ裂きにしてやる⋯⋯!!』
「そうはさせんぞ!《斧無双》!!」
斧が空を舞い、キラゴルドの黄金の装甲にダメージを与える。
「グレイグのおっさん⋯⋯!? それに他の奴らも⋯⋯来てくれたんだな」
「全く、心配かけて⋯⋯事情は後で詳しく話してもらうわよ!」
「そうよん、水臭いんだから⋯⋯アタシ達がいるのも忘れないでねん!」
「ジュイネの回復はわしに任せるのじゃ⋯⋯《ベホマ》!」
黄金城の玉座の間にグレイグ、マルティナ、シルビア、ロウが駆け付ける。
「城下町を襲って来た黄金兵を倒した後、クレイモランの神父からカミュがジュイネを連れ去ったと聞いてな⋯⋯。黄金兵を縛り上げ、この場所を突き止めたのだ。どうやら記憶は戻っているようだし、ジュイネを鉄鬼軍王から守ろうとしているのだな」
「あぁ⋯⋯悪いな、グレイグのおっさん。連れ去っちまったのは記憶がまだ戻ってない状態でキラゴルドの⋯⋯妹の言いなりになってたからなんだ」
「妹、とな⋯⋯。とにかく、目の前の鉄鬼軍王は倒して良いのだな?」
「大人しくさせる為に遠慮は要らねぇ⋯⋯ただ、トドメは刺さないでくれ」
「⋯⋯了解したッ!」
「───う⋯⋯っ」
「気が付いたかの、ジュイネ⋯⋯! 相当痛め付けられたようじゃな⋯⋯」
「ロウ、じいちゃん⋯⋯カミュは」
「大丈夫じゃ、他の仲間と共に鉄鬼軍王の相手をしておる。⋯⋯さて、わしも加勢して来るがお主は休んでおった方が良いぞい。後ろ手を縛られておる二重の黄金の手枷は、今すぐ外せそうにないからのう。鉄鬼軍王さえ倒せば、自ずと外れるとは思うが」
「カミュ、マヤちゃん⋯⋯」
「───くッ、キラゴルドを倒して大人しくなるはずが、力が暴走しているようだぞ⋯⋯!?」
グレイグの声に振り向くと、マヤを覆っていた鉄鬼軍王としての装甲は頭部のみ失い、マヤが露わになっているものの、黄金の力が暴走し大きく太い触手があらゆる方向へ伸び辺り一面を破壊してゆく。
「くそ、このままじゃマヤが⋯⋯!」
「⋯⋯カミュ、僕が紋章の力で黄金の触手を抑え込むから、その隙にマヤちゃんを!」
キラゴルドが一度弱った事により後ろ手を黄金の手枷に縛られた状態から解放されていたジュイネは、左手の甲のアザから放つ勇者の光によって黄金の触手の動きを鈍らせ、その隙を狙ってカミュはマヤの元へ跳躍し、暴走した力で自らが黄金化するのも厭わずマヤを抱き締める。
───するとマヤは、貧しくとも兄と居る事を望み涙を流し、胸元のペンダントに滴ると黄金化の呪われたペンダントは砕け散り暴走も収まって、カミュの一時的な黄金化も解かれイエローオーブが零れ落ちた。
「あーぁ、バカアニキのせいで貧乏に逆戻りだ⋯⋯」
「そんな事ねぇって。いつか貴重なお宝を掘り当てて、楽させてやるからな」
「そんなん、いつになるんだか⋯⋯まぁ、おれもとことん付き合ってやるよ⋯⋯」
マヤはカミュの腕の中で意識を失いかけるが、ジュイネに申し訳なさそうに顔を向ける。
「勇者、様⋯⋯。ごめんな、散々痛めつけた上に⋯⋯とんでもなく酷いこと言っちまって」
「勇者様じゃなくて、ジュイネって呼んでくれるとうれしいな。⋯⋯正気じゃなかったにしても、君が僕に言ったことは間違っていないよ。だから、何も言い返せなかったし抵抗もしなかった。だけど僕は⋯⋯勇者として責任を果たさなきゃいけない。誕生させてしまった魔王を倒して、その後だって⋯⋯多くの人々を犠牲にした罪を背負い続けるから」
「ジュイネ⋯⋯あんた思い詰めすぎるなよ。あんたには、心強い仲間がいるじゃん。うちのアニキも言ってたぜ⋯⋯ジュイネは失敗作なんかじゃない⋯⋯世界を崩壊の一途にしちまったなら、その世界を救うのも勇者だ。一人じゃ無理でも、仲間が居れば何とでもなる。⋯⋯そうだろ?」
「うん⋯⋯ありがとう、マヤちゃん」
「ふぅ⋯⋯迷惑かけたクレイモランの人達にも謝りたいけど、めちゃくちゃ眠いや⋯⋯しばらく、寝かせて⋯⋯もらうよ───」
「お、おいマヤ⋯⋯!?」
「⋯⋯すぅ、すぅ」
「人智を超えた力を、まだ少女の身で使っておったのじゃ⋯⋯。その反動も大きいじゃろうから、暫くは目を覚まさんじゃろうな。命には別状ないから、安心せい」
ロウの言葉に安堵するカミュ。
「そうか⋯⋯。ならマヤはクレイモランの神父さんに預けて、オレはジュイネと一緒に魔王を倒す旅を続けるぜ。そうしねぇと、マヤとの約束も守れねぇからな」
「うん、頼りにしてるよ」
「セーニャと⋯⋯ベロニカの奴とも早いとこ合流しないとな。妹のマヤが元気になったら、会わせてやりたいし⋯⋯ベロニカとは、気が合うと思うぜ」
「そうだね⋯⋯(セーニャ、ベロニカ⋯⋯きっと無事だよ、ね)」
end