ジュイネ
「ふぅ⋯⋯」
ベロニカ
「⋯⋯ジュイネ、あんた疲れてるんじゃない?」
ジュイネ
「え、そうかな⋯⋯」
ベロニカ
「あたし特製の滋養強壮薬でも飲んで、元気出しなさいっ」
ジュイネに小瓶をサッと差し出すベロニカ。
ジュイネ
「な、何だかすごく毒々しい色してるけど⋯⋯?」
ベロニカ
「失礼ね、良薬口に苦しって言うでしょ? 見た目もそれっぽいだけよ」
ジュイネ
「そ、そっか⋯⋯じゃあ、頂きます⋯⋯ゴクゴク」
ベロニカ
「⋯⋯どお?」
ジュイネ
「ん⋯⋯あれ、見た目に反して美味しい⋯⋯?」
ベロニカ
「あら、そう? 良薬口に苦しのはずだけど⋯⋯まぁ美味しいからって効かないわけじゃ───」
ジュイネ
「うっ、うぅ⋯⋯?!」
両手で自分の身体抱えるように苦しみ出すジュイネ。
ベロニカ
「ど、どうしたのよっ?」
ジュイネ
「かっ、身体中が急に熱くなって、溶けそうなくらいに⋯⋯っ」
ベロニカ
「ちょ、ちょっと大袈裟ね⋯⋯! 失敗したのかしら⋯⋯そんなはず⋯⋯とにかくセーニャ呼んだ方がいいかしら⋯⋯?」
ジュイネ
「うわあぁぁ⋯⋯!?」
ベロニカ
「えっ、何?! ジュイネの身体中から光が溢れて、眩し⋯⋯っ」
グレイグ
「お、おい! どうしたのだ、ジュイネの叫ぶような声が聞こえたが」
少し離れた所から駆け付けるグレイグ。
マルティナ
「何があったの⋯⋯!?」
ベロニカ
「あ、あたしにも何が何だか⋯⋯って、あぁ?!」
ジュイネ
「??(きょとーん)」
マルティナ
「ジュイネが、縮んで⋯⋯服が、逆に大きくなってダボダボだわ⋯⋯??」
グレイグ
「ジュイネ、大丈夫か⋯⋯?! 一体何故このような───」
ジュイネ
「おっきなおじさん、だぁれ?」
グレイグ
「な、なぬ、おじさん⋯⋯? いや確かにお前からすればおじさんなのだろうが⋯⋯ちょっと待て、俺の事が判らないのかジュイネ?」
ジュイネ
「ぼく、おじさんのことしらないよ。お母さんから、こわいおじさんにはついてっちゃダメって言われてるんだ」
グレイグ
「怖い、おじさん⋯⋯(ショック)」
マルティナ
「グレイグ、落ち込んでどうするのよ。ジュイネは幼児化してしまったんじゃないかしら⋯⋯?」
ベロニカ
「あー、もしかしてあたしの時と違って精神まで幼くなっちゃったのかしら⋯⋯しかも最近の記憶まで失ってるし。やらかしちゃったわ⋯⋯」
マルティナ
「えっ、ベロニカ⋯⋯どういう事かしら」
セーニャ
「ど、どうなされたのですかジュイネ様⋯⋯!?」
ロウ
「何じゃ何じゃ、どうなっておるのじゃこれは⋯⋯?! ジュイネが、我が孫が幼くなっておるぞ!?」
ジュイネ
「あっ、テオじいちゃん! ⋯⋯じゃない」
ロウ
「ふおッ? テオ殿と言えば、ジュイネの育ての親であったな⋯⋯わしに、似ておるのかな?」
ジュイネ
「うん⋯⋯でもテオじいちゃんじゃないよ」
ロウ
「それは⋯⋯そうじゃな。寧ろわしは、お主の本当のおじいちゃんなわけじゃが」
ジュイネ
「ほんとうのおじいちゃん⋯⋯? よくわかんないよ。お母さんは⋯⋯? エマは、ルキはどこ⋯⋯?」
不安げな幼いジュイネ。
セーニャ
「お、お姉様⋯⋯ジュイネ様はまさか」
ベロニカ
「ごめんセーニャ⋯⋯あたし攻撃呪文は得意なのに、セーニャみたいに調合関係は上手く出来ないみたい。ジュイネに滋養強壮薬をあげたつもりが、幼児化させちゃうだなんて」
マルティナ
「調合関係が得意なセーニャなら、ジュイネを治せるんじゃないかしら⋯⋯?」
セーニャ
「いえ、この場合寧ろ薬の効き目が無くなるのを待った方がいいですわ。余計に薬を与えてしまうと、却って悪くなる可能性がありますから⋯⋯」
ジュイネ
「おうち、かえりたい⋯⋯。けどこの服おっきくてうごけないよ⋯⋯」
ダボダボの袖をワタワタさせている。
マルティナ
「今のジュイネに合う子供服を探してあげないとね⋯⋯、近くの町で調達しましょう。⋯⋯さぁジュイネ、私が抱っこしてあげるわ」
グレイグ
「それならば、私に任せて下されば⋯⋯」
マルティナ
「グレイグ、あなたジュイネに怖いおじさん認定されてるじゃない。ダメよ」
グレイグ
「うぐ⋯⋯ッ」
ロウ
「グレイグよ、そう気を落とすでない⋯⋯。わしとて、やはり育てのおじいちゃんには敵わんのだからのう」
グレイグ
「ロウ様⋯⋯」
マルティナ
「⋯⋯私は赤ん坊の頃のジュイネは知っているけれど、幼少期のジュイネは知らないのよね。こうして幼い頃のジュイネを抱っこ出来るなんて、ある意味夢のようだわ」
ジュイネ
「お、お姉ちゃん⋯⋯あんまりつよくだっこしないでよ、くるしいよ⋯⋯」
胸元に埋もれ、もがくジュイネ。
マルティナ
「あ、あらごめんなさい。つい可愛くて力が入ってしまったわ」
ベロニカ
「マルティナさんには好評のようだけど、グレイグやロウおじいちゃんには酷だったかしらね⋯⋯」
セーニャ
「ふふっ、幼少期のジュイネ様はとても愛らしいですわね⋯⋯。普段のジュイネ様も、可愛らしいところがありますけど⋯⋯! ふふふ、私も抱っこして差し上げたいですわ⋯⋯」
ベロニカ
「ある意味成功なのかしら、あの滋養強壮薬⋯⋯」
マルティナ
「───さぁ、今のジュイネに合う子供服を着せてあげたわ。どうかしら?」
グレイグ
「姫様⋯⋯それは、女の子用なのでは」
ジュイネ
「ぼくはおとこだよ! おんなのこの服なんてやだよっ」
着せられたフリフリのワンピがお気に召さない幼少ジュイネ。
マルティナ
「あっ、ごめんなさい、可愛いと思ったのだけど⋯⋯そうよね、男の子だものね。長袖とズボンにしないと───今度は、どうかしら」
ロウ
「ふむ、男の子らしい服装になったわい。これならよいじゃろ、ジュイネや」
ジュイネ
「うん! ⋯⋯あとは、ぼくの村に帰りたいんだけど」
グレイグ
「ジュイネの、育った村は───」
ベロニカ
「(一度焼き払われて、復興途中とは流石に言えないわね)」
ジュイネ
「どうしたの、おっきなおじさん。ぼくの村は、イシの村っていうんだけど」
グレイグ
「う、うむ⋯⋯その村まではここから遠いから、おじさんが肩車をしてジュイネを連れて行ってあげようか」
ジュイネ
「かたぐるま⋯⋯おじいちゃんがよくしてくれた遊びだ! じゃあやって、おっきなおじさん!」
グレイグ
「あぁ、もちろんだ。⋯⋯そらッ」
ジュイネ
「うわっ、たっかーい!! おじいちゃんの時よりずっとたかいよ、おじさんっ!」
セーニャ
「ふふっ、無邪気で楽しそうですわねジュイネ様」
ロウ
「わしももう少し若ければ、今のジュイネを肩車してあげられるんじゃがなぁ⋯⋯」
マルティナ
「ロウ様、無理はなさらないで下さい。腰に来ますから」
グレイグ
「⋯⋯怖くはないか?」
ジュイネ
「へいきだよ、ぼくおとこだもんっ」
グレイグ
「そうだな⋯⋯強くなれよ、ジュイネ(いや、もう十分なほど強いか⋯⋯)」
ジュイネ
「うん、ぼくつよくなるよ! ⋯⋯そうだ、おっきなおじさん、なまえなんて言うの?」
グレイグ
「グレイグ⋯⋯、グレイグだ。よく覚えておいてくれ、ジュイネ」
ジュイネ
「くえいぐ⋯⋯??」
グレイグ
「ち、違う⋯⋯グレイグ、だ」
ジュイネ
「うん、わかったよクレイグ! おっきなおじさんはこわいんじゃなくて、つよくてやさしいんだねっ」
グレイグ
「⋯⋯そう思ってくれるのならば、嬉しい限りだ」
ジュイネ
「よーし、ぼくもクレイグみたいにつよくてやさしいおとこになるぞっ!」
グレイグに肩車されたまま、小さな拳振り上げる幼少ジュイネ。
グレイグ
「(グレイグ、なんだが⋯⋯まぁ幼い子供だから仕方ないか)」
ベロニカ
「⋯⋯何かそうしてると、グレイグがジュイネのパパみないねっ?」
グレイグ
「パパ⋯⋯?!」
思わず声が裏返る。
ジュイネ
「パパ⋯⋯、クレイグはぼくの、パパだったの?」
グレイグ
「いや真に受けないでくれジュイネ、お前にはれっきとした立派な父上が───」
マルティナ
「そうね⋯⋯けど今だけならジュイネのパパになってあげてもいいんじゃないかしら」
ロウ
「うむ⋯⋯アーウィンがしてやれなかった事をするのは決して悪い事ではないぞ」
グレイグ
「⋯⋯⋯⋯」
ジュイネ
「パパの髪って、ぼくより長いんだね!」
肩車されながらぐいぐいする。
グレイグ
「こ、こら、髪を引っ張るのはやめなさい⋯⋯!」
ジュイネ
「えへへ、ごめんなさーい」
セーニャ
「微笑ましい親子の光景にしか見えませんわ⋯⋯!」
ベロニカ
「グレイグって強面だけど、子煩悩そうよねぇ」
ジュイネ
「ねぇパパ、このまま村まで走ってよ! おじいちゃんはもういないけど⋯⋯お母さんにパパができたよって教えてあげなきゃ!」
グレイグ
「(なッ、なんと⋯⋯ペルラ婦人が俺のつ⋯⋯いやいや、ここは村に向かう振りをして何とか遠回りを)よ、よしジュイネ、しっかり掴まっていろよ⋯⋯!」
ジュイネ
「あははっ、わーい! はやーいっ!」
マルティナ
「⋯⋯⋯⋯私がママになってもいいのに」
ロウ
「な、なんじゃて??」
マルティナ
「いえ、何でも」
ジュイネ
「⋯⋯うーっ」
グレイグ
「む⋯⋯? どうした、ジュイネ」
呻くような声に走るのを止める。
ジュイネ
「寝たくないのに⋯⋯ねむくなってきた⋯⋯」
グレイグ
「そ、そうなのか? 無理をするな、眠いなら眠ればいい」
肩車から降ろし幼少ジュイネを横抱きする。
ジュイネ
「もっと、パパと遊びたい⋯⋯」
眠気まなこを擦るジュイネ。
グレイグ
「目が覚めたら、また遊んでやるから⋯⋯だから、安心して今は眠るといい。俺が⋯⋯パパがちゃんとジュイネを守ってあげるから、な」
囁くように言い聞かせる。
ジュイネ
「うん、パパ⋯⋯グレイグ、僕とずっと一緒に、いてね⋯⋯」
グレイグ
「(⋯⋯!? そう言ってジュイネがすやすやと眠り始めた途端、身体中から光が───)」
マルティナ
「どうしたのグレイグ、ジュイネは⋯⋯! あっ」
ジュイネ
「───⋯⋯すぅ」
ベロニカ
「元の姿に戻ってるわ! あたしの滋養強壮薬⋯⋯もとい幼児化薬の効き目が切れたみたいね」
セーニャ
「良かった⋯⋯のでしょうけど、もう少し幼児化しているジュイネ様を見ていたかったですわ⋯⋯」
ロウ
「まぁその気持ちも判らなくはないが、元に戻ってひと安心じゃわい」
マルティナ
「⋯⋯ねぇベロニカ、あの薬、また作れないかしらね?」
ベロニカ
「えっ、元々滋養強壮薬のつもりで作ったのに、意図せず幼児化薬になったやつだからまた出来るかどうかは分からないわよ?」
マルティナ
「そうよね⋯⋯変な事聞いてごめんなさい」
ベロニカ
「(よっぽど幼児化したジュイネが気に入ったのね⋯⋯また今度試してみようかしら、何てね)」
ジュイネ
「ふぁ⋯⋯ん、あれ⋯⋯僕??」
グレイグ
「起きたか、ジュイネ」
ジュイネ
「ふえっ、グレイグ⋯⋯?! どうしてこんな間近にっ(しかも横抱きされてるし)」
グレイグ
「やはり覚えていないか⋯⋯まぁその方がいいのかもしれんが」
ジュイネ
「え⋯⋯? 僕、何かやらかした⋯⋯??」
グレイグ
「気にするな、大した事ではない」
ジュイネ
「き、気になるよ⋯⋯! 教えてよ」
グレイグ
「フフ⋯⋯また今度な」
ジュイネ
「な、何それ。というか、そろそろ降ろしてくれない、かな⋯⋯」
グレイグ
「体調は悪くないのか?」
ジュイネ
「何だか、頭がぼーっとしてるけど⋯⋯大したことないよ」
グレイグ
「ふむ⋯⋯ならばまだこのままにしておこう」
ジュイネ
「へ、平気だってば⋯⋯! みんな見てるし、恥ずかしいから⋯⋯」
グレイグ
「⋯⋯パパの言う事は聞くものだぞ」
ジュイネ
「え、パパ⋯⋯??」
グレイグ
「すまん、今のは忘れてくれ」
ジュイネ
「もう、何なのさ⋯⋯!?」
【ぱふぱふ⋯⋯?】
ジュイネ
「はぁ⋯⋯」
ベロニカ
「⋯⋯ジュイネ、あんたまた疲れてるでしょ?」
ジュイネ
「そんなことないよ、全然平気だよ」
ベロニカ
「なーに強がってるんだか。⋯⋯ほら、あたし特製の滋養強壮薬飲みなさいっ」
ジュイネ
「⋯⋯ま、また幼児化しちゃうんじゃないの?」
ベロニカ
「失礼しちゃうわね、あれはある意味成功例なんだからいいじゃないのよ。今回はアレンジ加えてみたから幼児化はしないはずよ」
ジュイネ
「じゃあ、どうなっちゃうの⋯⋯?」
ベロニカ
「意気地無しねぇ。それでも勇者なわけっ? 四の五の言わず飲んでみなさいって!」
強引に手渡してくるベロニカ。
ジュイネ
「前と違って毒々しい感じじゃない、綺麗な薄紫色してるけど⋯⋯(グレイグの髪色みたいだ)」
ベロニカ
「ほら、一気に飲みなさいグイっと!」
ジュイネ
「う、うん⋯⋯(何だかベロニカに人体実験されてるような)」
ベロニカ
「⋯⋯⋯どう?」
ジュイネ
「うーん、あんまりよく味が分からな───ゔっ」
ベロニカ
「あ、やっぱり来ちゃったみたいね」
ジュイネ
「む、胸が痛い⋯⋯っ」
ベロニカ
「その痛みを乗り越えれば大丈夫なはずよ⋯⋯! がんばりなさい、ジュイネっ」
ジュイネ
「ど、とういう、こと⋯⋯っ??」
グレイグ
「⋯⋯おい、何をしているのだ。ジュイネが苦しそうだが、ベロニカ⋯⋯また何か飲ませたんじゃなかろうなッ?」
ベロニカ
「滋養強壮薬よっ! 苦しそうって言っても前より激しい感じじゃないから大丈夫だとは思うんだけどね⋯⋯」
グレイグ
「ジュイネ、具合いはどうだ?」
ジュイネ
「うん⋯⋯痛みは薄れたけど、何だか胸が圧迫されて少し苦しいっていうか」
グレイグ
「胸か⋯⋯胸!?」
思わずジュイネの胸元を凝視するグレイグ。
ジュイネ
「⋯⋯あれ、何か膨らんでる。えっ、これって」
ベロニカ
「───幼児化じゃなくて今度は、胸を育てちゃったみたいね。うーん、別にそこ狙ったわけじゃないんだけど⋯⋯」
マルティナ
「⋯⋯あら、どうかしたの?」
ジュイネ
「ま、マルティナ⋯⋯」
マルティナ
「ジュイネ、両腕で胸を押さえてどうしたのかしら。そこが痛むの?」
ジュイネ
「痛むというか何と言うか、その⋯⋯」
マルティナ
「───見せてみなさい」
ジュイネ
「わっ」
マルティナに両腕を強引にこじ開けられる。
マルティナ
「まぁ⋯⋯いつの間にこんなに育ったの? 私といい勝負じゃないの⋯⋯かなり目立つわね」
ジュイネ
「べ、ベロニカがまた滋養強壮薬を飲ませてくるものだから⋯⋯」
マルティナ
「⋯⋯ベロニカ、貴女ジュイネの胸を育てたかったのかしら?」
ベロニカ
「やだぁ、そんなわけないでしょマルティナさん。ちょっとした手違いよ、手違いっ」
セーニャ
「お姉様ったら、また貴重な素材を使ってよからぬ調合をしたのですね⋯⋯」
ロウ
「わしならピチピチバニーになりたいのう⋯⋯!」
カミュ
「じいさん遂に呆けちまったか?」
シルビア
「ベロニカちゃんたら、イタズラもほどほどにしなきゃダメよん?」
ベロニカ
「イタズラっていうか、よくラムダの長老にあたしの調合薬は劇物って言われてるんだけど⋯⋯勇者のジュイネなら耐えられるんじゃないかと思って」
カミュ
「人体実験されるジュイネの身にもなれよベロニカ⋯⋯」
ジュイネ
「胸が膨らんじゃったせいかな、息苦しいや⋯⋯」
マルティナ
「上着の前を開けたらどう? 少しは楽になるんじゃないかしら」
ジュイネ
「うん⋯⋯」
上着の留め具を外していくと、より胸の膨らみが露わになる。
グレイグ
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
マルティナ
「グレイグ、貴方ジュイネの膨らんだ胸元を凝視し過ぎじゃないの?」
グレイグ
「そ、そのような事は⋯⋯ッ」
マルティナの指摘に慌てて目を逸らすグレイグ。
カミュ
「お前の胸膨らんでもそんなに違和感ないの何なんだろうな」
人差し指で一度、片側の胸を軽く突っつく。
ジュイネ
「ちょっ⋯⋯?! そ、そんなことしないでよカミュ⋯⋯」
恥ずかしげに身体逸らすジュイネ。
カミュ
「あ、わりぃ⋯⋯ついいつもの調子で接しちまった」
ベロニカ
「あんたサイッテーね! 人の胸をいきなり突っつくなんてっ」
シルビア
「そうよ~、いくら相棒同士でも急に出来ちゃったモノに断りもなくお触りするのは礼儀に反するわよん!」
セーニャ
「カミュ様⋯⋯ちょっと軽蔑致します⋯⋯」
カミュ
「だから悪かったって、そんなつもりじゃねーから」
マルティナ
「そんなつもりって⋯⋯どんなつもりだったのかしら?」
拳をポキポキ鳴らすマルティナ。
ロウ
「ふーむ⋯⋯羨ましいのう、わしも人差し指くらい触れてみ───」
マルティナ
「ロ・ウ・さ・ま?」
シルビア
「不潔よ、ロウちゃんったら!!」
ロウ
「じょ、冗談に決まっとるじゃろう⋯⋯!? わしの孫にそんなセクハラ紛いなどせんわいっ」
グレイグ
「(カミュの言う通り、ジュイネの胸が膨らんでもそれ程違和感がないのは何故だ⋯⋯やはり、女子寄りの顔立ちをしているからだろうか)」
マルティナ
「ねぇセーニャ、貴女の調合薬で治せないかしら。このままだとジュイネが男性陣に何をされるか判ったものじゃないわ。カミュは相棒と称して無自覚に何するか判らないし、ロウ様は言うまでもないし、グレイグも目が危険よ⋯⋯!」
カミュ
「⋯⋯⋯⋯」
ロウ
「⋯⋯⋯⋯」
グレイグ
「⋯⋯⋯⋯」
セーニャ
「確かに私は調合は得意ですけど、ジュイネ様のお身体の中でお姉様の調合薬と妙な化学反応など起きたら目も当てられない事態になりそうですわ⋯⋯ここは、お姉様の調合薬の効果が切れるのを待った方が得策かと」
シルビア
「さらに大きくなっちゃったりしたら大変だものねぇ⋯⋯」
ベロニカ
「うーん、今度はアレを試してみたいんだけどしばらく無理そうね⋯⋯」
カミュ
「お前懲りねーのな」
ジュイネ
「ぱふぱふ⋯⋯」
マルティナ
「え?」
ジュイネ
「僕もマルティナみたいに、ぱふぱふ出来るってことかな⋯⋯」
マルティナ
「何を言い出すのジュイネ、それは私のお色気スキルよっ? 胸が膨らんだからって、そんな所に目醒めなくてもいいのよ」
ロウ
「ジュイネよ、赤の他人にするのは許さんぞい! まずは身内のわしに───」
マルティナ
「ロウ様は黙ってて」
回し蹴りで沈めるマルティナ。
ロウ
「チーン⋯⋯」
カミュ
「相棒のオレならされてもいい───」
ベロニカ
「わけないでしょっ!!」
メラガイアーを放つベロニカ。
カミュ
「」
グレイグ
「⋯⋯⋯⋯」
マルティナかベロニカに沈められるのを恐れ、黙り込むグレイグ。
シルビア
「ジュイネちゃんの場合、アタシみたいな乙女スキルになるんじゃないかしらっ?」
セーニャ
「ぱふぱふに拘らなくても、その方がいいと私も思いますよ」
ジュイネ
「でもせっかくだからしてみたい⋯⋯される側とどう違うのか⋯⋯」
真顔のジュイネ。
グレイグ
「(最早、ぱふぱふ極まっているな⋯⋯)」
マルティナ
「そこまで言うなら⋯⋯グレイグで試してみたらどう?」
グレイグ
「はい喜んで───え"ぇッ?!」
ジュイネ
「いいけど⋯⋯お互い立ったままだとやりにくそうだね、背の高さの関係で」
ベロニカ
「それはほら、グレイグが両膝を付けばいいのよ」
グレイグ
「⋯⋯⋯⋯」
シルビア
「ほらぁ、ご指名よグ・レ・イ・グ? 覚悟決めて行ってらっしゃ~い!」
シルビアが背中を押す。
グレイグ
「ほッ、本当に俺でいいのかジュイネ⋯⋯?」
ジュイネ
「いいよ⋯⋯だってグレイグもぱふぱふ大好きなんでしょ⋯⋯? それとも、僕が相手じゃやっぱり嫌かな⋯⋯」
グレイグ
「そんな事はない⋯⋯膨らんだお前の胸でぱふぱふされるなど光栄だ⋯⋯」
両膝を付き諸手を広げジュイネを迎え入れる姿勢をとるグレイグ。
セーニャ
「何でしょう、随分独特な雰囲気ですね⋯⋯」
ベロニカ
「静かに見守りましょ、セーニャ⋯⋯」
マルティナ
「⋯⋯⋯⋯」
ジュイネ
「じゃあ⋯⋯行くね。心の準備はいい⋯⋯?」
グレイグ
「勿論、いつでも構わない⋯⋯」
ジュイネ
「ぱふ、ぱ───」
マルティナ
「やっぱりダメよ! ジュイネに私のようなお色気技は使わせられないわっ!!」
グレイグの後頭部に膝蹴りを食らわせるマルティナ。
グレイグ
「ぐふッ」
シルビア
「あら~、マルティナちゃんがジュイネちゃんとグレイグにけしかけたんじゃないのよ~?」
ベロニカ
「待って! ⋯⋯うつ伏せに倒れたグレイグの顔に、ヒットしてるわよジュイネの膨らんだ胸のど真ん中」
セーニャ
「ジュイネ様も仰向けに倒れられて⋯⋯気絶してらっしゃいますよっ?」
マルティナ
「ぱふぱふ未遂、という事にしておきましょう」
気絶してるグレイグをジュイネの上から引き離すマルティナ。
グレイグ
「ふ、フフフ⋯⋯ぱふ、ぱふ⋯⋯」
シルビア
「やぁねぇグレイグったら、夢の中で気持ちよくジュイネちゃんにぱふぱふされてるのかしら」
セーニャ
「私もたまに魔物さんからぱふぱふされるんですけど、挟まれる感じは確かに気持ちいいですわよね⋯⋯男子の方々ほどうっとりはしませんけど」
ベロニカ
「メスっぽい魔物は襲う人間の男女どっちだろうと見境ないからね」
シルビア
「アタシには効かないわよ~? でもオスっぽい魔物には
ぱふぱふじゃなくても魅了されちゃうのよねぇ」
マルティナ
「⋯⋯あら? 膨らんでいたジュイネの胸が萎んでるわ! ベロニカの薬の効果、意外と早く切れてくれて良かったわ⋯⋯これでぱふぱふをする側に目覚める事もなくなるでしょう」
ベロニカ
「(うーん、もう少し持続してたら面白かったわね。⋯⋯なーんてね)」
end