轟轟戦隊ボウケンジャー Return−White.adventure   作:竜の蹄

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新作です!

今回で、ストック分が尽きましたので、次回から投稿が遅れがちになります‼︎
それでも構わない、と暖かく見守って頂ければ、幸いです!

では、どうぞ‼︎


task8 発動! 轟轟武装‼︎

「さァ……貴様も、宝石像になるが良い……‼︎」

 

 ゴールディは、ノシッノシッとホワイトの前に近寄って来る。仲間を立て続けに二人、失ったホワイトは呆然としていた。

 

「あ……嫌ァ……‼︎」

 

 ホワイトはサバイバスターをゴールディに向ける。しかし、無情にもサーベルで弾き飛ばされた。

 

「抵抗しても無駄だ……お前を助ける者は誰も居ない……心配するな? お前は死ぬ訳じゃ無い……生きたまま宝石像となって、俺様のコレクションとして永遠に輝き続けるのだ……‼︎」

「いやッ……いやッ……‼︎」

 

 ホワイト/雪歩は涙を流す。ボウケンジャーとは言え如何せん、元は民間人。絶望的な危機に立たされては、対応が出来ない。

 

「……怖がる必要は無い……仲間達と共に飾ってやるさ……! 仲間……俺様からすれば忌々しい限りだ‼︎

 俺様にも、かつては数多の仲間達が居た‼︎ だが、奴等は俺様を裏切りやがった‼︎ 俺様の持つ宝を掠め取ろうとしてな‼︎

 だから、皆殺しにしたよ……結果、俺様は命を落とし、こんな惨めな姿になっちまった……‼︎ だが、仲間なんか要らなかったんだ……俺様には宝が有れば良い‼︎

 今となっちゃ、まさに好都合って訳だ‼︎ 奴等は死んで魚の餌、反して俺様は生き延びて、宝は全て独り占め‼︎ ガーハッハッハッハッ!!!」

 

 ゴールディは高笑いを上げた。宝を独占……それが、かつての彼の首を絞める結果となった。彼が海賊に身をやつした理由は分からない。だが、少なくとも彼を慕い、共に旅をする仲間は居たのは間違い無かった。

 しかし、彼の眼中と頭には、宝を得る事と其れを独り占めする事しか無かったのだ。

 

「……間違ってる……‼︎」

「ああ?」

 

 ホワイトは小さく呟いた。ゴールディは首を傾げた。

 

「そんなの間違ってる‼︎ 宝を独占して、自分だけが良い思いをして、その後はどうする気⁉︎ 」

「ハッ‼︎ 考えた事も無ェな‼︎ 俺ァ、他人が持っている宝を奪い取る事が快感なんでな‼︎ 海賊にしたってそうさ‼︎ 別に好きでやりたかった訳じゃねェ‼︎

 海賊になった方が、効率良く宝を奪い取れるって踏んだだからよ‼︎

 獣が他の獣を殺して、ソイツ等の餌を奪い取って、誰かに文句を言われるかよ? それと同じさ‼︎」

 

 ゴールディは下卑な性根を晒した。彼は何にも理解していなかった。彼は心底に腐り果てた外道だが、もし、彼が宝を仲間と均等に分かち合う考えを持っていたなら、こうはならなかっただろう。

 だが、ゴールディは自身の欲望に忠実に従い、掠奪して手にした宝は全て自身の懐に仕舞い込んでしまった。

 その生前にあった底意地の悪さ、卑しい欲の為、死してなおプレシャスの力によって、歪な姿で生かされ続けていたのだ。 

 

「弱ェ奴は強ェ奴に何をされたって、文句は言えねェ! 弱肉強食こそが世の真理さ‼︎ 奪われたくなけりゃ、テメェが強けりゃ良いだけだろ⁉︎ 」

「……仲間に裏切られて……命まで落として……それでも宝が欲しいの⁉︎ 私は冒険が好きだけど、他人の幸せを踏み躙ってまで欲しくは無い‼︎

 おじいちゃんが言ってた‼︎ 富は人を豊かにするけど、幸せにはしないって‼︎ 私は冒険は好きだけど、宝なんか要らない‼︎」

 

 幼い頃、大好きな祖父が言っていた言葉……生きていく上で金は無くてはならないが、それを必要以上に掻き集めた所で、それは何の価値も無い。

 幼い雪歩は、サージェスが遺跡に踏み入り、宝を秘匿する様を心底から嫌っていた。 

 奇しくも、サージェスのやり方とゴールディは経緯こそ異なれど、似て非なる存在だった。

 

「宝の価値も知らねェ小娘が……聞いた風な口を叩くな‼︎

 だったら、最期に教えてやるさ……この世で最も価値のある物が何たるか……その身を持って知るが良い‼︎」

 

 ホワイトを嘲笑う様に、ゴールディの口が開く。すると、黒煙が立ち昇り始めた。ホワイトは心の中で謝る。

 

(紺君……菖ちゃん……なっちゃん……蒼太さん……影斗さん……おじいちゃん……ゴメンね……。私、駄目みたいだ……)

 

 大切な仲間達、大好きな人の顔が頭に浮かぶ……雪歩は目を閉じた。直後、目の前で爆発が起きた。

 

「ぐ……があああァァッ!!!!

「……エッ?」

 

 ホワイトは目を開けた。すると、ゴールディの顔から火が上がり、のたうち回っていた。

 すると、彼女の前に降り立つ一人の影……。

 

「ディエンド……?」

 

 それは、今日まで幾多と助けてくれた謎の戦士、仮面ライダーディエンドその人だった。

 ディエンドは振り返り、ホワイトに手を差し出す。

 

「まだ諦めるには早いぞ、ボウケンホワイト。君の冒険は、始まったばかりだ」

「助けに来てくれたの?」

 

 ホワイトは夢では無いか、とかぶりを振りながら、彼の手を握る。ディエンドは、そのまま彼女を立たせた。

 

「たまたま、さ……。私の行く先に、君達が現れる……プレシャスを追い求める私の前にね……」

「追い求めに? 貴方もプレシャスを探しているの?」

 

 その問いに、ディエンドは応えなかった。しかし、彼は背を向けながら……

 

「お喋りは後だ! 先ずは奴を倒さねばなるまい!」

 

 ディエンドは、ゴールディを差した。攻撃から立ち直ったゴールディは憎々しげに、彼を睨む。

 

「……やりやがったなァ‼︎ 貴様は何者だ⁉︎」

「通りすがりの仮面ライダーだ。覚えてなくて……構わないぞ」

 

 ディエンドは不敵だが、簡単なセリフを述べた。しかし、ゴールディの激昂させるには充分だった。

 

「仮面ライダー⁉︎ 舐めやがって‼︎ テメェも宝石像にしてやる‼︎」

 

 そう怒鳴ると、ゴールディはサーベルを振り回しながら突進して来た。しかし、ディエンドは華麗に躱すと、ディエンドライバーにカードを装填し構えた。

 

『ATTACK RIDE! BLAST!』

 

 ディエンドライバーから声から発せられ、銃口から幾つかに分裂した光弾が穿たれた。光弾は、ゴールディの身体に衝突し、爆発する。

 

「い…イッテェェェ!!!」

 

 先手を打たれたゴールディは苦痛の呻き声を上げる。しかし、彼は直ぐに体制を立て直し…

 

「おらァ‼︎ 隙ありだ‼︎」

 

 と叫び、サーベルを回転させながら、手投げ斧の如く投擲した。だが、ディエンドは別のカードを装填した。

 

『BARRIER!』

 

 次の瞬間、ディエンドマスクを模った光弾が放たれ、サーベルを弾き返した。

 

「ぬ……ぐゥゥ……‼︎」

「止めておけ。君如きじゃ、私の敵では無い」

 

 ディエンドは鼻で笑う様に言った。近づいても狙撃され、遠距離に持ち込んでも跳ね返されてしまう。全く隙が無い。

 すると、ディエンドは別のカードを装填した。

 

『ILLUSION!』

 

 今度は、ディエンドの数は分身した。一人が二人、二人が四人、四人が六人と増えて行く。

 

「な、何だこりゃァッ!!?」

「幻だ。だが、全て実体を伴う。避けてみろ‼︎」

 

 そう六人同時に叫ぶと、カードを装填した。

 

『BLAST‼︎』

 

 六人のディエンドが一斉に銃撃し、光弾が四方から襲い掛かる。ゴールディは逃げようとしたが……

 

「グアァァァッ!!!!!』

 

 一斉射撃を受け、ゴールディは煙を噴きながら倒れ伏す。と、その時、ネイビーとバイオレットの身体を覆う宝石が剥がれ落ちて行った。

 元の一人に戻ったディエンドは、別のカードを装填する。

 

『INVISIBLE!』

 

 途端に、ディエンドの身体が透けて行き、その場から見えなくなった。ネイビーとバイオレットは何が起こったか分からない、と言った具合で辺りを見回した。

 

「な、何だ⁉︎ 何が起こったんだ⁉︎」

「確か、私達は宝石像に……」

 

「紺君! 菖ちゃん!」

 

 ホワイトは、元の姿に戻った二人に駆け寄る。二人とも、何処も負傷していない様子だ。

 

「ホワイト? 一体全体、何があった⁉︎ てか、ゴールディは⁉︎」

「あ、あれは⁉︎」

 

 バイオレットの指差した方角には、倒れ伏したゴールディの姿があった。

 

「……まさか、ホワイト⁉︎ 貴方が一人で倒したの⁉︎」

 

 バイオレットは驚愕しながら尋ねる。ホワイトは首を横に振った。

 

「違うの‼︎ ディエンドが助けてくれたんだよ‼︎」

 

『はァ?』

 

 何が何だか、さっぱり分からない…と言った具合に、二人はハミングした。

 

「ガキ共ォォォォッ!!!!」

 

 突然、ゴールディが立ち上がる。全身に、ディエンドから受けた銃撃痕があったが、未だに悠然とした様子だ。

 しかし、さっきの攻撃でゴールディは、かなりのダメージを受けている。今、一気に畳み掛ければ倒せる……ホワイトは確信した。

 

「ネイビー! バイオレット! あと少しだよ! 一気に決めよう‼︎」

 

 そう言って、ホワイトはサバイバスターを手に構えた。

 

「……しゃーねェ……ちゃっちゃと終わらせるか‼︎」

「……全く……こっちの気も知らず……」

 

 ホワイトに促されるまま、ネイビーとバイオレットもサバイバスターを構える。狙いはゴールディ。

 彼は再び、口をパカッと開く。恐らく、煙を吐き出そとしているのだ。だが、彼の喉元あたりから煙が漏れ出て、発射できない。

 

「さっきの⁉︎」

 

 ディエンドの最初の攻撃で、ゴールディの喉が負傷、煙を上手く口内から吐き出せなくなったのだ。

 まごついているゴールディの隙を見出し、ホワイトはサバイバスターのトリガーを引いた。

 

「これで終わりだよ‼︎

 ジ・エンドシュート‼︎」

 

 ホワイトの合図で、ボウケンジャー達による一斉射撃が開始した。次々に撃ち込まれて行く光弾の雨、ゴールディは悶えながら後退して行く。

 

「ぐ…ぐおォォッ…!! 宝……俺様も宝が……‼︎ ううう……!!」

 

 最期まで宝への執着を口にしながら、ゴールディは海へと落下して行った。その際、彼の右胸にあるコスモハートが落ちた。

 ホワイトがそれを掴む。

 

「やったァァァ‼︎ プレシャス《コスモハート》ゲット‼︎」

 

 ホワイトは念願のコスモハートを掲げた。夕陽に照らされた石は、更に赤く輝いて見えた。

 と、次の瞬間、海賊船が大きく揺れ始めた。

 

「な、何だ⁉︎ 地震か⁉︎」

 

 ネイビーは困惑しながら叫ぶ。バイオレットは船から下を覗き見た。

 

「ネガティヴですわ‼︎」

 

 地震の原因はネガティヴだ。自分達の潜水艦で海賊船に体当たりを仕掛けて来たのだ。

 

 〜ほら、ほら‼︎ ディエンドも居なくなったし、今ならボウケンジャーも疲弊しているわ‼︎ 船ごと沈めて、プレシャスを奪うわよ‼︎〜

 〜ラアナ様……。我々、悪の組織なのに段々、やってる事が小物染みてる気が……〜

 〜ドゴラン……〜

 〜黙らっしゃい‼︎ 戦いは勝てば良いのよ、勝てば‼︎〜

 

 潜水艦の中の会話がダダ漏れだった。ボウケンジャー達は顔を見合わせ、どうしよう…と言った具合になった。

 

「どうする……あの人達?」

 

 ホワイトは尋ねる。最も、プレシャスを回収してしまった今、ネガティヴ達と交戦する理由は無いのだが、今まさに攻撃されている現状がある。

 

「どうする、って言われてもな……面倒だし、ちゃっちゃと倒して帰るか?」

 と、ネイビー。

 

「……賢明ですわね……」

 と、バイオレット。

 

 等と、話をしている時、潜水艦が再び突進してこようとして来た。更に間が悪い事に、沈没船のマストがメキメキ、と音を立てて崩れて来た。

 

「や、やべえぞ‼︎ このままじゃ、船が保たねェ‼︎」

「恐らく、船としての機能は既に無くなっているに関わらず、ゴールディがプレシャスの力で無理矢理、浮上させたのが原因ですわね……」

「ね、ねェ! あれ…‼︎」

 

 ホワイトが海を指差した。すると波を掻き分け、巨大な影が姿を現した。

 

『グオォォォォォォォォッ!!!!!』

 

 それは巨大化したゴールディだった。巨大な怪物と化したゴールディは再び、海中より復活したのだ。

 

「な⁉︎ あいつ、くたばって無かったのかよ⁉︎」

 

 ネイビーは目を丸くした。ゴールディは海に没し、プレシャスも回収した。つまり、あれはただの屍に戻った筈だ。

 

「……プレシャスの力が、ゴールディの中に残されていたんだ……‼︎」

 

 ホワイトは、あのゴールディはプレシャスによって肉体を再構築し動かしている、と言う仮説を思い出す。

 ともすれば、ゴールディの骸の中には、まだプレシャスの力が残っていたのかも知れない。奪われた一部であるプレシャスを取り戻す為に、再び襲いかかって来たのだろう。

 ゴールディは海賊船に近付くと、巨大化したサーベルを振り下ろす。

 

『返セェェ…‼︎ 俺様ノ……プレシャスゥゥ……返セェェェ…!!!』

 

 サーベルは海賊船を真っ二つに斬り捨てた。両断された船は左右に分断される。更にゴールディの攻撃により、ネガティヴの潜水艦も揺れ動く。

 

 〜ああ〜‼︎ ラアナ様! 潜水艦が航行不可能です‼︎〜

 〜な、何とかしなさいよ‼︎〜

 〜ど、ドゴラァァァン…‼︎〜

 

 ラアナ達も突然の事態に慌てふためいていた。しかし、その刹那、ゴールディの口から放たれた煙が潜水艦に直撃した。

 瞬く間に潜水艦は宝石像と変わっていき……倒れて来た海賊船のマストと共に沈んで行った。

 

 〜ああ‼︎ 沈没船のマストで潜水艦が沈没していく〜!!!

 〜いやァァァ‼︎ こんな形で人生のエンドなんて嫌よォォォォ‼︎〜

 〜大丈夫です‼︎ 大体、次回では元に戻ります‼︎〜

 〜メタな発言はやめんかァァァ……!!!〜

 〜ドゴラァァァ……‼︎

 

 意味の分からない断末魔を上げながら、ネガティヴ達はフェードアウトして行った……。

 残されたボウケンジャー達は……

 

「アイツ等、今回、対して悪い事してなく無いか?」

「原作でも、そー言う事があったから、気にしなくて良いんじゃない?」

「原作、って言うの止めなさい…!」

 

 と、アッサリ退場して行ったネガティヴに呆れ半分に感想を述べた。しかし、危機的状況には変わらない。

 ゴールディは再び、海賊船を沈めようとサーベルを振り上げる。

 

「拙い‼︎ このままじゃ、俺達も海の藻屑だ‼︎」

「どうしよう、菖ちゃん⁉︎」

「心配無用ですわ‼︎ そろそろ……来た‼︎」

 

 沈みゆく船に隣接する様に、ゴーゴークルーザーが停泊していた。  

 

「貴方達‼︎ 乗り込みますわよ‼︎」

 

 バイオレットの指示に従い、三人はクルーザーにダイブした。すると、遠隔操作で動くクルーザーは三人を乗せたまま、海を走り出した……。

 

「危なかったな……‼︎ もう少しで一緒に沈められる所だ……‼︎」

 

 ネイビーはデッキに座り込みながら、一息吐いた。

 

「でも、プレシャスは手に入れたし! このまま、ミュージアムへ帰ろう‼︎」

 

 ホワイトはコスモハートを見せながら、言った。しかし、バイオレットは…

 

「そうしたいのは山々ですけど……あっちは、許してくれなさそうですわ…‼︎」

 

 と、呟きながら振り返る。すると、ゴールディが信じられないスピードで追いかけて来るのが見えた。

 

「……野郎だ‼︎ くそッ、しつけェな‼︎」

「仕方ありませんわ‼︎ 陸地まで逃げ切りますわよ‼︎」

「どうするの?」

「海中では私達に勝ち目は無い! ならば、陸地に誘い込んで……‼︎」

「ダイボウケンか‼︎」

 

 バイオレットはスーパーアクセルラーのコマンドを入力しながら、ボイスで指示を出す。

 

「ゴーゴークルーザー! 最大出力‼︎」

 

 指示に従っつつ、クルーザーは高スピードで海を走り出す。ボウケンジャー達も振り落とされない様に、デッキにしがみ付いた。

 

「お、おいおい‼︎ 速すぎねェか⁉︎」

 

 ネイビーはバイオレットに文句を言う。バイオレットは…

 

「だったら、泳いで帰ります⁉︎ 死にたくなかったら、しっかり掴まってなさいな‼︎」

 

 と、怒鳴る。ホワイトは一人で…

 

「うわァァァ‼︎ 早い早い‼︎ 風が気持ちいい‼︎」

 

 と、興奮していた。

 

「バカ、立つな‼︎ 振り落とされるぞ‼︎」

 

 ネイビーはホワイトにツッコミを入れる。クルーザーはグングンスピードを上げて、陸地へと走って行った……。

 

 

 

 やがて、ゴーゴークルーザーは陸地まで辿り着いた。かなりのスピードを出した為、クルーザーの各部の外装が剥がれている。

 降り立った三人は、剥がれた外装を見て眉を顰める。

 

「新車を、早々に傷物にしちまったな…….。紅花さんに、どやされちまう……」

 

 ネイビーは溜め息を吐く。

 

「大丈夫だよ! 影斗さんが完璧に直してくれる……」

 

 ホワイトは影斗の名前を出した瞬間、ハッとした顔となった。そう言えば、ディエンドの声を聞いた時……何となくだが、影斗の声と似ていた事に気付いた。まさかとは思うが……

 

「どうかしまして?」

 

 バイオレットは、物思いに耽るホワイトに尋ねた。しかし、ホワイトは慌てて……

 

「な、何でもないよ‼︎ それより、菖ちゃん! さっきは助けてくれてありがとう‼︎」

 

 と、先程にバイオレットが自分を庇ってくれた事に対し、礼を言った。しかし、バイオレットはプイッと顔を逸らす。

 

「条件反射で身体が動いただけですわ。プロなら、あれくらいの状況くらい自分で対処なさい!」

 

 相変わらず、釣れない口調でバイオレットは切り捨てた。しかし、ネイビーは…

 

「……やっぱ、アンタさ……実はスゲェ優しいのな。ちょっと見直したよ」

 

 と、口を挟む。それに対して、バイオレットは慌てる。

 

「か、勝手に納得しないでくれます⁉︎ あと、貴方に見直された所で、全く心に響きませんわ‼︎」

「……まー、そのあれだ……。悪かったな、色々と……」

「〜‼︎ ふ、ふん‼︎」

 

 高飛車でプロ意識の高いリーダー気取りのお嬢様……それが、植村菖に対する感想だった。けど、その内には仲間を思いやる優しさと熱い想いが隠されていた……。ひょっとしたら、彼女のそんな一面を見抜いたからこそ、最上蒼太は彼女に釘を刺したかもしれない……。

 

 と、其処へ海面を突き破り、ゴールディが姿を現した。既に彼の目は虚ろで、身体も各部から崩れ始めている。

 

「プレシャァァァスゥゥゥ!!! 返セェェェ!!!」

 

 ゴールディは悪鬼の如き形相で吠える。ボウケンジャー達は、スーパーアクセルラーを手に取った。

 

『ハイパー・ゴーゴービークル、発進‼︎』

『発進シフトオン! ロコモーティブ‼︎ ジープ‼︎ スノウ‼︎ GO! GO‼︎』

 

 スーパーアクセルラーのキーに反応を受け、停泊していたハイパービークル達が集結した。

 ボウケンジャー達はビークルに搭乗し、合体準備に入る。

 

『合体シフトオン‼︎ ロコモーティブ‼︎ ジープ‼︎ スノウ‼︎

 ボウケンフォーメーション』

 

 ビークル達は合体フォーメーションに入り、ダイボウケンmk−Ⅱへと変形する。

 

「合体完了‼︎ ダイボウケンmk−Ⅱ ‼︎ スーパー・ファーストギアイン‼︎」

 

 ダイボウケンmk−Ⅱは手に、ゴートライウェポンを装備した。上陸したゴールディは、サーベルを構えて対峙する。

 

「グガァァァ!!!」

 

 サーベルを振り下ろすゴールディ。其れをゴートライウェポン・ピッケルで受け止めるダイボウケンmk−Ⅱ。

 だが、ゴールディの想像を絶するパワーに、ダイボウケンmk−Ⅱは押し倒されそうになってしまう。

 

「う、嘘だろ⁉︎ なんつーパワーだ‼︎」

「ゴートライウェポンを烈轟槍に切り替え……キャアッ!!!」

 

 ゴールディの胸部から発せられた煙が、両腕のゴーゴージープを宝石像とかえてしまった。済んでで、両腕を分離させる事で事なきを得たが、ゴートライウェポンも宝石の中に閉じ込められてしまう。

 

「クッソー!!! 武器を封じ込められちまった‼︎ 俺のゴーゴージープが……‼︎」

「諦めるには、まだ早いですわよ‼︎ まだ、こっちにはハイパー・アドベンチャービームがありますわ‼︎」

 

 バイオレットは、ネイビーを叱咤した。しかし、ハイパー・アドベンチャービームは三機のビークルのハイパー・パラレルエンジンが集結して、初めて威力を発揮する最後の切り札だ。

 今、ゴーゴージープが戦線から外れた以上、ハイパー・アドベンチャービームは半端なパワーしか発揮出来ないだろう……。

 なす術は無しか、と思われた時、ホワイトが突然、提案した。

 

「ゴーゴークルーザーもゴーゴービークルでしょ? 合体出来ないかな⁉︎」

 

 其れを聞いて、クルーザーの存在を思い出す。しかし、如何せん、ゴーゴークルーザーは今回の海底探査で初めて導入したビークルだ。

 つまり、ぶっつけ本番で使用しただけあり、まだクルーザーがダイボウケンmk−Ⅱと合体した際の行程はシュミレート出来ていないのだ。 

 要するに、どっちに転ぶか分からない、ある種の賭けとなってしまう。

 

「……果たして、ゴーゴークルーザーと合体して、あの化け物を倒せるか……」

 

 バイオレットは、かなり迷っていた。確かに今の状況下では、こちらに不利であるのは確実。ゴーゴークルーザーと合体した所、それで戦況が好手となるか悪手となるかは合体しなければ分からない。

 だが、ホワイトは自信満々に言った。

 

「大丈夫だよ! 思い立ったが吉日、その日から後は凶日って言うじゃ無い‼︎ だったら、今やろうとした事は間違いなく上手くいくよ!」

「……それこそ、何の根拠も無ェじゃねェか……だがよ! このまま、何もせずにやられるくらいなら、何かやって抵抗すべきじゃ無いか⁉︎」

 

 ネイビーも、背中を押す発言をした。此処まで言われたら、バイオレットも覚悟を決めるしか無い。

 

「……分かりましたわよ‼︎ けど、少し待って! クルーザーと合体出来るかどうかを調べますわ‼︎」

 

 そう言って、バイオレットはスーパーアクセルラーのビークルデータを開き、そのデータを解析し始めた。

 だが、敵はこちらの事情など待ってはくれない。サーベルを掲げ、ゴールディは突っ込んで来た。

 サーベルの一撃を受けて何とか持ち堪えるが、両腕が無い今、ダイボウケンmk−Ⅱは防御が取れない。

 

「くそッ‼︎ これじゃ成されるがままだ‼︎」

「……一か八か、やってみる‼︎

 ハイパー・アドベンチャー……ビーム!!!」

 

 ホワイトが操作して、胸部からハイパー・アドベンチャービームを放った。だが、ビームはサーベルで防がれたばかりか、一閃の下、消し飛ばしてしまった。やはり、パラレルエンジンが揃っていない状態で放っても、本来の力は出せない。

 

「バイオレット! まだか⁉︎」

「今やってますわよ‼︎ …………出ましたわ! 合体出来ます‼︎

 

 ゴーゴークルーザー! 合体‼︎」

 

 間一髪で、バイオレットはスーパーアクセルラーの合体コマンドを入力した。

 

『合体シフトオン! クルーザー! パワーオン‼︎』

 

 そのボイスと共に、クルーザーの船首部位、甲板部位が分離し3つのパーツに分かれる。と、同時にゴーゴーロコモーティブの胴体が前後反転し、背中が前になる。

 甲板の屋根部位が横にスライドし、その状態でダイボウケンmk−Ⅱの両腕に合体し、船首部位がロコモーティブの胴体に合体した。

 そして、両掌に当たる部分からスクリューが出現した。

 

『ダイボウケンmk−Ⅱ・クルーザー、合体完了! ファーストギアイン‼︎』

 

 新たな、ダイボウケンー水の力を操る巨大ロボットが誕生した。ダイボウケンmk−Ⅱ・クルーザーは、迫り来るゴールディと対峙した。

 

『グガァァァ‼︎』

 

 ゴールディは狂ったケダモノの様な奇声をあげて、ダイボウケンmk−Ⅱにサーベルを斬り掛かる。

 だが、その前にダイボウケンmk−Ⅱのスクリューが回転し、その場からジャンプした。サーベルは空を斬り、ゴールディは体勢を崩す。

 

「スカイ・ドロップキック‼︎」

 

 空中から着地する寸前、ゴールディの頭部にドロップキックを仕掛けるダイボウケンmk−Ⅱ。そのまま、仰向けに倒れそうになるが、スクリューの回転により再び直立した。

 ゴールディは不意打ちで倒され、焦点が定まらないながらも立ちあがろうとする。

 しかし、ダイボウケンmk−Ⅱはスクリューを後ろに回転させながら、猛スピードでゴールディに体当たりを仕掛けた。

 ゴールディは吹き飛ばされ、海岸へと叩き付けられた。立ち上がる間も無く、ダイボウケンmk−Ⅱは彼の前に立ちはだかった。

 すると、ダイボウケンmk−Ⅱの脚部が周囲の水を汲み上げ始める。そして、右掌のスクリューが高速で回転し始めた。

 

「ヘビーアクア……スラッシュゥゥ!!!」

 

 スクリューより吹き出した高圧水流が立ち昇り、巨大な激流の長剣となる。その水の剣は天高くまで突き上がると、右腕を振り下ろしたダイボウケンmk−Ⅱの眼前で、ゴールディの頭部から胴体に掛けて、一閃した。

 

『……グガ……! 此れが……仲間達の……力だと……⁉︎ 俺にも……こんな仲間が居たら……グガァァァ……‼︎』

 

 最後の最後で意識を取り戻したゴールディは、海賊として何も得られなかった事への無念か、仲間に恵まれなかった自分の業を呪ったのか……少なくとも、自身のして来た事への懺悔は感じられ無かった。

 そうして、ゴールディの身体は崩れ落ちて行き、後は土塊の様になった彼の身体が海へと還って行った……。

 

 

 

 闘いが終えた後、雪歩達は戦場となった海岸線を見つめる。雪歩は何処か腑に落ちない、釈然としない様な面持ちだ。

 

「何時まで、そうしてる気だよ?」

 

 紺亮は尋ねる。闘いが終わった後、何時もなら底抜けに明るい彼女の顔には何時もの笑みは無く、沈痛に黙り込んだままだった。

 やがて、雪歩は口を開く。

 

「……ゴールディは……幸せだったのかな……?」

 

 やっと絞り出した彼女の言葉は、ゴールディへの思いだった。

 

「……宝を得る事ばかり考えて……仲間に裏切られて、命も宝も無くして……復活しても、それはプレシャスの力による物で……。

 結局、何も得られないまま、二度も死んじゃって……ゴールディは幸せだったのかな?」

 

 その言葉に、紺亮は返してやる言葉が出てこない。彼女のいう通り、ゴールディの人生は最初から最後まで宝を得る事のみだった。

 しかし、彼が宝を得ても、それで命を落としたら文字通り『宝の持ち腐れ』以外、何物でも無い。

 そう言った意味では、ゴールディもまた、目に見える宝と見えない宝の価値に振り回された被害者だったのかも知れない。

 すると、菖が口を開く。

 

「……幸せの定義なんて、曖昧な物でしょう? 他人からすれば、下らない事でも当人からすれば、人生を賭ける価値のあるものかも知れない……。

 それに……私達は冒険者……。なら、私達にとっての幸せは、プレシャスを追い求める事なのでは?」

 

 それは、長きに渡り冒険をしてきた菖だから言える事だ。自分達は冒険者……冒険者は夢を追い求めずには居られない生き物だ……。

 夢の果てに何があるのか……そして、果てを見た時、冒険者はどうなるのか……其れは誰にも分からない……。分かるのは、冒険者は死ぬ瞬間まで夢を見続ける事だけだ……。

 

「ゴールディが夢の果てを見て、何を見出したか……それはもう分かる術は無いけど、少なくとも私達はまだ夢のスタート地点に立っただけですわ」

「……へェ……」

 

 遠い目をして語る菖を紺亮は、珍しい物でも見た様な顔で見た。

 

「何ですの?」

「……いやァ……アンタってさ、もっとリアリストな女かと思ってたけど……結構、ロマンチストなんだな……」

「どう言う意味⁉︎」

 

 紺亮の一言に菖は激昂する。だが、雪歩は振り返りながら言った。

 

「……そうだね‼︎ だって、私達の夢はまだまだ先だもん‼︎ ゴールに簡単に着いたら、 つまらないしね‼︎」

 

 さっきまでナイーブになっていた雪歩は、あっという間に立ち直っていた。紺亮も菖も、その切り替えた速さには目を丸くした。

 

「切り替えが早い事……」

「根が単純だからな……」

 

 呆れ混じりに呟く二人を他所に、雪歩はプレシャスを取り出す。

 

「此れを転送しちゃおう‼︎ 菖ちゃん、お願い‼︎」

「はいはい……『プレシャスアプリ』起動‼︎」

 

 菖はスーパーアクセルラーを翳し、プレシャス《コスモハート》をミュージアムに転送した。

 何はともあれ、無事に任務は終了しました。

 

「……さ、用事は済みましたわ。帰りましょう、雪歩」

「へ?」

 

 菖の言葉に雪歩はキョトンとしていた。菖は怪訝な顔で振り返る。

 

「何ですの? まだ何か?」

「……今、私の事、名前で呼んだよね……」

「だから?」

 

 相変わらず、つっけんどんな口調の菖。雪歩は嬉しそう笑う。

 

「嬉しいよ! 菖ちゃんに名前で呼んで貰えた‼︎」

「な、何を子供みたいな事で喜んでますの⁉︎ 当たり前でしょう、仲間だったら!」

「……ほほ〜……」

 

 その様子に、紺亮はニヤニヤする。

 

「……貴方は、何をニヤニヤしてますの⁉︎」

「いやいや……ちょっとは素直になったじゃねェか? そうしてると、普通に可愛げのある女だな、アンタ……」

「〜‼︎ 黙りなさい‼︎」

 

 紺亮の顔面を取り出したハリセンで張り飛ばす菖。紺亮は顔を抑えながら悶える。

 

「グオォォ……顔がァァ……‼︎」

「……全く……付き合ってられませんわ‼︎」

 

 そう言って、菖はプイッと歩いて行った。雪歩は後を追い掛ける。

 

「待ってよ〜、菖ちゃ〜ん‼︎ もう一回、呼んで〜‼︎」

「……テテ……! マジで手加減しろよ、あの暴力女……! て、お〜い! 俺を置いてくなよ〜‼︎」

 

 紺亮は顔を抑えながら、2人を追う。その様子を高台から見つめていたのは、影斗だ。三人の様子に微笑ましげだ。

 

「……まだまだ前途多難だが……彼等は、これからが成長していく中途だ……僕は何時も、君を見守っているからな……雪歩……」

 

 意味深に呟きながら、影斗はバイクに跨る。エンジンを蒸そうとした時、ふと顔を上げる。

 

「……そう言えば、何か忘れていた様な……。ま、大した事じゃ無いだろう」

 

 そう言って、影斗はバイクを走らせて夕焼けの照らす道を走って行った……。

 

 

 

 その頃……

 

「ねェ……ツルギ……」

「はい、ラアナ様……」

「私達……何時になったら、帰れるのかしら?」

 

 ゴールディの攻撃で海底に沈んだネオ・クエスターズ達……ゴールディの死で宝石像から解放されたが、肝心の潜水艦が故障して動かないのだ。

 

「……さァ……運良く潮流に乗れば、帰れますが……」

「……運がなければ?」

「……このまま、海の底……」

 

 ポツリとツルギの言った言葉に、ラアナは喚き散らす。

 

「冗談じゃ無いわよ‼︎ こんな湿っぽい海底で朽ち果てて行くなんて、ゴメンよ〜‼︎」

「ちょ、ラアナ様‼︎ 暴れないで下さい、こんな狭い船内で‼︎」

「ど、ドゴラァァァン!!?」

 

 暴れ始めて手に負えないラアナを、ツルギとドゴランは宥めるが、ラアナは聞く耳を持たない。

 

「きィィィ‼︎ 覚えてらっしゃい、ボウケンジャー‼︎ 次会った時、タダじゃ済まさないんだからァァァ……!!!」

 

 そうして、海底にラアナの捨て台詞が木霊した……。

 

 

 次回予告!

 

 次なるボウケンジャーの目当ては、プレシャスを裏で取り引きする密輸組織とコンタクトを取る事だった!

 だが、その任務の最中、菖は自身の忌まわしい過去に直面し、更にネガティヴの襲撃を受けてしまう…‼︎

 

 次回! 轟轟戦隊ボウケンジャー Return−White.adventure

 

 task9 密輸組織を追え‼︎

 

 ???「俺は、お前を許さないぞ‼︎」

 菖「な、何で貴方が⁉︎」

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