轟轟戦隊ボウケンジャー Return−White.adventure   作:竜の蹄

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お久しぶりです‼︎
引っ越ししていたので忙しく、執筆も滞っていましたが、作業も無事に終わりました‼︎

今回は、更に次回へ戦いが長引きますが、どうかお付き合い下さい‼︎


task11 危険なプレシャス

 榎田はモニター室に腰を下ろしていた。モニターには、地下倉庫で激戦を繰り広げるボウケンジャーと仮面ライダーズの姿があった。

 その様子を眺めながら、榎田は手に持ったノート型パソコンのキーを手早く打ち込んでいた。

 パソコン画面には、よく分からない文字がカタカタ…と記入されて行った。その時、背後から扉が開いた。

 欲賀が息を切らしながら、突入してきたのだ。

 

「榎田‼︎ 此れは一体、どう言う事だ⁉︎」

 

 愛人の所に赴き、よろしくやっていた所に部下から「侵入者」の報告を聞き付けた彼は、慌てて戻って来たのだ。

 そしたら、案の定の事態となっていた。

 

「ああ、社長。お帰りなさい。ご覧の通りです」

「何を悠長に言っている‼︎」

 

 欲賀はカンカンに怒りながら、榎田に迫った。

 

「貴様‼︎ ワシの留守中に何故、こうなるまで手をこまねいていた⁉︎」

「手をこまねいていた訳ではありません。これは、チャンスだと思いまして……」

 

 激怒する欲賀を尻目に、榎田は落ち着き払って言った。

 

「チャンスだと⁉︎」

「そうです。ボウケンジャーと最近、巷に姿を現すディエンドなる戦士……この二人の対決を中継したらば、またとないビジネスチャンスだと思いまして……」

「ほう? ビジネス……金儲けか?」

 

 欲賀の目は卑しく輝く。この男は三度の飯より金、命と金どちらか、と問われれば迷わずに金を取る、と豪語する程の筋金入りの守銭奴である。

 

「この映像は闇社会に流し、生配信で中継しています。皆様方、表沙汰の娯楽には既に飽き飽きしている方々です。

 プレシャスを売り捌く以上の収益が見込めるかと……」

「ほほォ……考えたな。榎田……お前、相当に腹黒いな」

「恐れ入ります」

 

 榎田の説明により、すっかり欲賀は気を良くしていた。金儲けの話となれば、彼は目の色を変える。

 しかし、榎田の真意は違う。別に金儲けの為では無い。

 

「少し席を外します」

 

 榎田は部屋から出ていく。欲賀は、どれだけの収益となるか、と言う算用で頭が一杯で気付かない。好都合……と、榎田は内心で北叟笑んだ。

 部屋から出て、榎田はコツコツと廊下を歩いていた。眼鏡の奥にある両目は鋭く、そして冷たい。

 すると、影の中から何者かが姿を現した。

 

「やァ、さっきは迫真の演技だったよ。ミラージュ君?」

 それは、ジョルダーナ会長だった。人当たりの良い笑みを浮かべ、榎田を見ている。榎田は、ハァ…と小さく溜息を吐いた。

 

「ジョルダーナ会長……貴方が現れた時は流石に肝が冷えましたよ。この様な事は、これっきりにして下さい」

「いやァ、スマンね。是非とも会っておきたい者が居てね……彼等が、この任務に就くのを知ったから、ちょっと忍び込ませて貰った……」

「……あと、今はコードネームは止めて下さい。私は今、榎田大輔なんです……が……こんな格好で居るのも疲れますし……」

 

 と言うと、榎田は顔全体を掌に撫でた。すると、その下からブロンドの長髪をたなびかせた碧眼の美女の顔が現れた。

 ジョルダーナ会長は感心する様に見ていた。

 

「素晴らしい変装術だ……『Mirage(蜃気楼)』とは良く言った物だね……。正に、遠くからは見えるが近付けば姿を消す蜃気楼さながらでは無いか」

「お褒めの言葉、感謝しますわ。時に会長……会長が、是非とも会っておきたい者とは?」

 

 ミラージュは腰にあるベルトを緩めながら尋ねた。すると抑えられていた彼女の胸が押し出され、女性らしい括れた体型となった。

 

「彼女だよ……白瀬冬次郎の孫だ……」

「まさか、あの白いボウケンジャーが? 白瀬冬次郎の孫だったんですか?」

「ああ……。フフフ、明石暁め。中々、小賢しい手を使ってくれる。私の手が及ぶ前に、彼女をボウケンジャーに加えさせるとは……。余程、プレシャトピアを財団に渡したく無いと見える」

 

 ジョルダーナ会長は、片眼鏡を嵌めた右目を開く。しかし、その眼球は義眼であり本物では無かった。

 だが、その何も見ていない目は何かを捉えた様に見据えていた。

 

「しかし、奴が何をしようが無駄だよ。未来は私の中にある。白瀬雪歩、ひいては“私の右目”がある限り、財団がプレシャトピアに辿り着く未来は狂わない……」 

「会長……我々は貴方の命令には忠実に従います……。しかし、白瀬雪歩に其処まで執着なされるのは何故ですか?」

 

 ミラージュは分からなかった。会長は明らかに、白瀬雪歩に対して執着している。長きに渡り財団のトップとして世界に君臨して来た彼が、あの様な卵の殻を頭に載せたヒヨコに毛が少し生えた程度の小娘に執着するのか……?

 会長は、ミラージュを左目で見た。

 

「それは、これからの彼等が明らかにしてくれるだろう……見ていたまえ」

 

 そう言った会長の光を伴わない右目がギラリと妖しく輝いた。その先には、ボウケンホワイトの姿があった……。

 

 

 

 さて、ボウケンジャー達はディエンド率いる仮面ライダーズに苦戦を強いられていた。

 サイクロンはキックの猛襲でネイビーに襲い掛かり、ジョーカーは手に持った銃でバイオレットを狙撃した。ネイビー、バイオレットは応戦するが、如何せんディエンドに生み出された幻であるライダー二人に幾ら攻撃を仕掛け様が、ダメージが入っている様には思えなかった。

 ジョーカー、サイクロンは単体だけでも充分に強敵だ。更に、ディエンドも加わり、戦力は上々である。

 ホワイトはディエンドに向かって叫ぶ。

 

「ディエンド、もう止めて‼︎ 何で戦わなければならないの⁉︎」

 

 ホワイトの悲痛な訴えに、ディエンドは冷徹に言った。

 

「君がボウケンジャーである限り、私は君達と対立する事になる。ボウケンジャーから手を引き、プレシャトピアを諦めるんだ!」

「お生憎様! 手を引け、と言われて『はい、そうですか』と納得する様なら、冒険家なんて最初からやりませんわ!」

「右に同じだ‼︎」

 

 バイオレット、ネイビーも啖呵を切る。ディエンドは小さく溜息を吐いた。

 

「聞き分けの無い……ならば仕方がない! 多少、強引だが足の一本でも、使い物にならなくなれば、諦めざるを得ないだろう」

「……諦めないよ……‼︎」

 

 突然、ホワイトが呟いた。

 

「雪歩、お前…⁉︎」

 

 ネイビーは、幼馴染を見た。幼い頃から何度も見てきた姿だ。

 

「絶対、絶対、諦めない‼︎ プレシャトピアを必ず見つける‼︎ 相手が、ディエンドだろうとネガティヴだろうと私は絶対に負けない‼︎

 諦めるもんかァァァ!!!!」

 

 そう言って、ホワイトはボウケントンファーを振り回しながら突進した。バイオレットは呆れた様に肩を竦める。

 

「全く……‼︎ こっちの迷惑も顧みずに……‼︎ 行きなさい、雪歩‼︎ 貴方が倒されない様に、私が援護しますわ!」

 

 そう叫び、バイオレットは右手にフリーズライオットを、左手にサバイバスターと言う二丁拳銃で、乱射した。

 

「……たくよ……尻拭い役は何時も俺だ……‼︎ 上等だよ! お前みたいな猪突猛進バカ、放っておいたら何しでかすか分からねェ……‼︎

 だったら、とことん面倒見てやるぜ‼︎」

 

 ネイビーはバイアスワインダーを高速で回転させて、竜巻を起こした。バイオレット、ネイビーの援護により、ホワイトはダブル・ライダーの奇襲を抜けてディエンドと対峙した。

 

「勝負だよ、ディエンド!」

 

 ホワイトは左手にボウケントンファーを、右手にサバイブレード・ビームソードを構えて叫ぶ。

 対して、ディエンドはディエンドライバーを構えながら、余裕のある態度だ。

 

「きたまえ、ボウケンホワイト‼︎」

 

 白き冒険者と蒼き怪盗……二人は睨み合ったまま動かない。だが、先に動いたのはディエンドだ。

 

『ATTACK RIDE! BLAST!』

 

 装填したカードを読み取ったディエンドライバーは光弾を複数に渡り放った。しかし、ホワイトはその光弾をボウケントンファーで弾き落とす。

 

(な⁉︎ 弾いた⁉︎)

「こう言う使い方もアリでしょう⁉︎」

 

 ディエンドは攻撃を防がれた事に動揺するが、ホワイトはその隙を見逃さなかった。ディエンドの前にて飛び上がり、サバイブレードとボウケントンファーを振り下ろした。

 

「W.X.アタック‼︎」

 

 ブレードの刃が、ディエンドのマスクを斬り付けた。マスクは真っ二つに割れて、下に落ちる。マスクの下にある顔が露わになった。

 だが、その下にあったのは……

 

「へ?」

 

 マスクの下には、へのへのもへじで書いた案山子の様な顔が合った。

 

「に、人形?」

 

 ホワイトは呆気に取られるが、急に人形の顔がムクムクと膨張を始めた。咄嗟に、ホワイトは勘付く。

 

「皆、伏せて‼︎ 罠だよ‼︎」

「ああ⁉︎」

「どう言う事ですの⁉︎」

 

 ホワイトは慌てて後退し、サイクロン&ジョーカーと対峙するネイビー、バイオレットに叫ぶ。

 二人は訳が分からずに返すが、既にアドバルーン大にまで膨張した人形の頭を見て、ホワイトの意図を察した。

 三人は、その場に伏せる。が、その瞬間、人形の頭は凄まじい破裂音と共に爆発した。

 倉庫内に閃光と爆風が炸裂したが、ホワイトは顔を上げてみれば、爆風により棚が倒されると言う被害こそあれど、それ以外は殆ど無傷に等しかった。

 

「な、何なの?」

 

 ホワイトは立ち上がりながら部屋を見回すが、然程に被害は無かった。ネイビー、バイオレットも立ち上がる。

 

「恐らく、非殺生手榴弾や閃光弾の類いですわね。爆風と閃光こそ凄まじいけど、対象に致命傷を与える威力は無いんですわ」

「要するに、こけ脅しかよ。手の込んだ事しやがる」

 

「素晴らしい考察だ。流石はボウケンジャー、と誉めておこうか」

 

 声の方を見ると、ディエンドが居た。側にはサイクロンとジョーカーも控えている。

 ディエンドが指をパチンと鳴らすと、サイクロンとジョーカーは煙の様に姿を消した。

 

「消えた⁉︎」

「当たり前さ。彼等は私が召喚した幻影に過ぎないからね……。どうやら、テストは合格みたいだ」

「テスト⁉︎ どう言う意味だよ⁉︎」

 

 澄まして答えるディエンドに対し、ネイビーが怒鳴る。

 

「そう怒るな。君達が、メガ・プレシャスを手に入れられる程の器かどうかを試したかったんだ」

「……要するに、私達は貴方の掌の上で踊らされていた、とでも? 不愉快ですわ」

 

 ディエンドに自分達は品定めされていた様な言い回しに、明確な不快感を示すバイオレット。続いて、ホワイトが尋ねた。

 

「……ディエンド……貴方は私達の敵なの? それとも味方なの?」

「……強いて言えば、君達と敵対する意志は無いが……味方となるつもりもない……。私には私の計画があるのでね」

「……答えになってないよ‼︎」

「たった今、攻撃仕掛けて来た奴が言っても、全く信じられないぜ!」

 

 ディエンドのはぐらかす様な答えに対し、ホワイトとネイビーは激昂した。バイオレットも無言のまま、腹立たしげにディエンドを睨んでいた。

 

「信じる、信じまいは君達の勝手だ。だが、ボウケンジャーの諸君。そもそも、サージェスは君達が考えている様な“正義の組織”じゃ無い。寧ろ、サージェスの方が“悪”だと思える行動は目に余る」

「……サージェスが古代の財産を踏み躙っている、と言う考えかしら? それは一部の反サージェス派が唱える題目ですわ。サージェスの理念は、古代の遺跡やプレシャスの保護を目的としている組織……多少の強引さは、これまで黙認されて来ましたわ」

「……それは、昔のサージェスだ。今のサージェスには理念なんて存在しない。あるのは、プレシャスの齎す利益と民衆を管理するシステムだけだ」

「……⁉︎」

 

 ホワイトは、ディエンドの言葉に耳を疑った。

 

「どうした、ホワイト?」

「……おじいちゃんも同じ事を言ってた……。サージェスは、プレシャスの力で金を得る事と、人々を支配する事しか考えてないって……‼︎

 ディエンド……もしかして、貴方……おじいちゃんの事を知ってるの?」

「さあ、どうかな?」

 

 またしても、ディエンドははぐらかした。ホワイトは尚も詰め寄る。

 

「教えて、ディエンド‼︎ おじいちゃんは何処にいるの⁉︎ 今も生きてるの⁉︎」

「……まだだ。まだ今の君に話しても分からないし、現状が変わる訳でも無い……。だが、これだけは教えておく。

 サージェスは、メガ・プレシャスの力を軽視している。更に言えば、プレシャトピアを彼等は人類を豊かにする祝福の地と誤解している。プレシャトピアは人類が手を出したら最後、世界そのものを滅亡に導く災厄の地……決して触れてはならない禁断の箱(パンドラのはこ)なのだ……」

「プレシャトピアが……災厄の地? パンドラの箱? どう言う事⁉︎」

 

 ディエンドの言葉は、ホワイトには理解できない。プレシャトピアの探求は、祖父の悲願だった。祖父が半生を費やし、探し求めた幻の地だった筈だ……だが、ディエンドはプレシャトピアを見つける事は、人類の滅亡だと言う……。

 

「聞く耳持つな、ホワイト‼︎ 奴は俺達を騙そうとしてんだ‼︎ ありもしない作り話を並べ立てな‼︎」

「作り話かどうかは別にしても、この男の言う言葉に信憑性は皆無ですわね……。プレシャトピアの情報を私達、ひいてはサージェスに渡すまいと妨害しているとも考えられますし……」

 

 ネイビーとバイオレットは、ディエンドの言葉を信じないと言うスタンスを取った。だが、それも致し方無い。ついさっき、芝居とは言え本気で自分達を殺しにかかって来た男に、警告を促されても罠があると考えてしまう。

 ディエンドは肩を竦めた。

 

「言ったろう? 信じる、信じまいは君達の自由だと。私は君達に敵対しないし、味方もなる気は無い。だが……人を外見だけで判断しない事だ。心に奥底に隠されているのが、善意か悪意かを見極めるのが肝要だよ。

 君なら、それが出来る。白瀬雪歩……」

 

 まるで、自分に道を示す様な口振りをするディエンドに、ホワイトは黙って聞いていた。

 少なくとも、今のディエンドの言った言葉に嘘偽りは無い。彼の真意は図りかねるが、ホワイトはそう思えた。

 その時、ボウケンジャー達の背後の扉が勢いよく開いた。

 

「中々、面白いショーを見せてくれたよ。感謝するぞ、ボウケンジャー‼︎」

 

 それは欲賀剛と部下達だ。しかし、部下達は全員、人間では無くネガティブの戦闘員であるカースだった。

 

「そいつ等は、カース⁉︎ なんで、ネガティブの奴等を⁉︎」

 

 ネイビーが叫んだ。欲賀は悪辣に嗤った。

 

「我々のバックには、ネガティブが付いているのだ。だから、非常時に備え、カースを主力に採用しているのさ!」

「クッ⁉︎ まさか、ネガティブと組んでやがったなんて‼︎」

「ダークシャドウの下部組織、と言うのは事実だった訳ですわね‼︎」

「ネガティブと組んでいるなら、私達も手出し出来る! 覚悟して貰うよ‼︎」

 

 欲賀の台詞に続き、ボウケンジャーの面々は臨戦に備えた。欲賀は、ニタリと笑った。

 

「言いたい事は、それまでか⁉︎ さあ、カース共‼︎ ボウケンジャーを血祭りに上げろ‼︎」

 

 欲賀が命令するが、カース達は動かない。

 

「な、何をしている⁉︎ 早くやらんか⁉︎」

 

「無駄よ? そいつ等は、私の命令にしか動かない。ゴードムの末裔である私のね‼︎」

 

 背後から声がしたと思うと、彼の腹部を刃が貫いた。「グフッ⁉︎」っと、欲賀は口から血を吐き、倒れ伏す。

 後ろに居たのは……

 

「オーッホッホッホッホッ!!! ご機嫌うるわしゅう、格下冒険者達‼︎」

 

 そこに居たのは、ネオ・クエスターズの首領である呪術師ラアナだった。そばには、ツルギとドゴランも控えている。

 

「あ、貴方は……ネガティブの……ラーマ‼︎」

「だあァァァッ!!!」

 

 ホワイトの言葉に、ラアナは派手にズッコケた。

 

「そんな、マーガリンみてぇな名前じゃないだろ? 確か、ラーユじゃ無かったか?」

「それじゃ、ラーメンですわ。ラードですわ、確か」

「油みたいな名前だね」

 

「全部違うわ‼︎ あたしゃ、ラアナだよ‼︎ ラ・ア・ナ‼︎」

 

 名前を間違われた事に、ラアナは激しくツッコミを入れた。

 

「あ、そうか! で、ネガティブのおばさんが何の用? 私達、忙しいから早くしてね」

「ムキイィィィィッ‼︎ また、おばさんって言ったね、小娘がァァァ!!! アンタ、私を何回、おばさんって言えば気が済むのよォォォォ!!!」

 

 ホワイトの「おばさん」発言に、ラアナは地団駄を踏みながら激怒した。

 

「おばさんをおばさんって言って、何が悪いの⁉︎ それとも、おばあさん⁉︎」

「止めとけ、ホワイト。あれで気にしてんだろうし」

「あんまり、怒ると小皺が増えましてよ。私の通ってる高級エステ、紹介しましょうか?」

 

 宥めながらも、ネイビーとバイオレットも揶揄して来た。ラアナは、完全に頭に来た様だ。

 

「お、お、お、おのれ等ァァァ!!!」

「ラアナ様、落ち着いて下さい‼︎ 奴等とコントしに来たんじゃ無いでしょう⁉︎」

「ど、ドゴラ……」

 

 今に爆発しそうなラアナを、ツルギとドゴランは宥めた。その言葉に、ラアナはやっと落ち着きを取り戻す。

 

「いけない、いけない……奴等のペースに巻き込まれる所だったわ……。それより、ボウケンジャー‼︎ この前はよくも、私達を嵌めてくれたわね‼︎ 海底に沈んで、もう少しで海の藻屑になる所だったわよ!」

「いや、お前等が勝手に自滅したんじゃねェか……」

 

 ※task8、参照

 

「お黙り! 今回は、あんなヘマはしないわ‼︎ その為に、ローズ・ダン商会に大金叩いて、フェニックスの尾羽を手に入れさせたのだから‼︎」

「フェニックスの尾羽なら、アソコにあるけど……あれ⁉︎」

 

 ホワイトが振り返ると、背後にあったフェニックスの尾羽が無くなっている。それ所か、ディエンドも居ない。

 

「馬鹿共が‼︎ フェニックスの尾羽なら、吾輩の手にあるぞ‼︎ あれは、貴様等に見せた幻術さ‼︎」

 

 そう言ったツルギの手には、フェニックスの尾羽が握られていた。

 

「い、いつの間に⁉︎」

「いつの間に、だと? 一体、何時から……『フェニックスの尾羽が目の前にある』と錯覚していた?」

「ちょ、ツルギ……その台詞……」

「この台詞、一度、言ってみたかったのですよ‼︎」

 

 ツルギは嬉しそうに呟いた。何にせよ、プレシャスがネガティブの手に渡ったのは事実だ。

 

「フェニックスの尾羽をどうする気⁉︎」

「決まっているでしょう‼︎ フェニックスの尾羽には治癒能力がある‼︎ 世界に蔓延る数多の病原体を死滅させるワクチンの開発だって夢じゃ無いわ‼︎

 けどね……フェニックスの尾羽には、真の使い方があるのよ‼︎」

 

 ラアナの合図で、ツルギがフェニックスの尾羽を投げた。すかさず、ラアナはブツブツと呪術を唱えた。

 

「《我、ゴードムの呪術師ラアナの名の下に命じる! ゴードム名を冠する荒ぶる神よ‼︎ 今、此処に復活し、その大いなる力を示されん‼︎》

 

 キエエェェェッ!!!!」

 

 ゴードム語で、そう唱えるとラアナを中心に巨大な魔法陣が出現した。その魔法陣の中央を杖で突くと同時に、ゴゴゴ……と部屋中が揺れた。

 

「こ、今度は何ですの⁉︎」

「じ、地震か⁉︎」

「……来る‼︎」

 

 三人は体勢を保ちながら、事態の把握を図る。と、次の刹那、床を突き破り、巨大な顔が迫り上がって来た。

 

「な、何だありゃあ!!?」

「一先ず、逃げますわよ‼︎」

 

 バイオレットは叫ぶが、既に一つしかない出口は瓦礫に塞がれてしまった。このままでは、自分達は生き埋めだ。

 と、その時、ホワイトのアクセルラーが鳴り響いた。

 

「誰だろう?」

「今、電話に出てる場合か⁉︎」

 

 ネイビーは喚く様に言ったが、ホワイトはアクセルラーを通話にした。

 

 〜やあ、ボウケンホワイト。危機的状況だね〜

「ディエンド⁉︎ どうして、アクセルラーに連絡を⁉︎」

 

 通話して来た相手の声を聞いて、すぐにディエンドだと分かった。しかし、何故にディエンドが、アクセルラーに連絡して来たのか?

 

 〜問答している場合じゃ無い。助かりたいなら、私の指示に従う事だな〜

 

 ホワイトは考えた。ディエンドの言葉を信じるのが吉か、はたまた凶か……しかし、このまま手をこまねいていても、自分達が助かる見込みは0だ。

 ホワイトは意を決した。

 

「分かった‼︎ どうすれば良いの⁉︎」

 〜倉庫の奥に走れ‼︎〜

 

 ディエンドの指示を受けたホワイトは走り出した。

 

「ホワイト⁉︎ 何処へ行きますの⁉︎」

「皆も付いて来て‼︎」

「付いて来てって……ああ、もう‼︎ 行きますわよ、ネイビー‼︎」

「嘘だろ⁉︎ ディエンドの言う事を信じるのかよ⁉︎」

「じゃあ、此処で生き埋めになりなさい‼︎」

 

 ネイビーは、ディエンドを信用出来ないが、バイオレットさ言ってしまった。やむなく、ネイビーも後に続く。

 ホワイトは倉庫の奥に辿り着くと、何も無い壁しかない。

 

「行き止まりだよ⁉︎」

 〜それで良い。其処を君の得意なトンファーで叩き壊せ。そうすれば、外に繋がる〜

「此処、地下だよ⁉︎ 下手したら瓦礫が崩れて来ちゃう‼︎」

 〜此処から出るには、壁を壊すか、生き埋めになって救助を待つかだ。どっちもリスクを伴うが、選択は君に任せる。

 では、good luck‼︎〜

 

 それを最後に通話は切れた。ネイビーは壁を蹴る。

 

「何が、good luckだ‼︎ あの野郎、今度あったら、ぶちのめしてやる‼︎」

「今度、会えたら……ですわね。ホワイト、どうしますの? 私達の命運は貴方に掛かってますわ!」

 

 苛立ちながら怒鳴るネイビーに対し、バイオレットは冷静だ。かたや、つい最近まで一般人だった男、かたや冒険者として経験を豊富に積んだ女……危機的状況な時に程、性格は顕著になる。

 一方で、ホワイトはボウケントンファーを握り締めた。

 

「やるよ‼︎ 皆、下がってて‼︎

 

 オーバーヒート……クラァァッシュ‼︎!!!

 

 ホワイトのボウケントンファーが唸り、蒸気が噴き出す。そして、突き出された衝撃は壁に当たり、室内に轟音がこだました。

 そのショックで瓦礫の落ちる速度が強まった。だが、壁にも人が通れるくらいの穴が開く。

 

「よし‼︎ 行こう‼︎」

「全く……俺達は任務の度に死に掛けるのな……‼︎」

「次からは、遺書でも書いておきなさいな」

「次があったらな‼︎」

 

 ホワイトが一番に入り、バイオレットの皮肉に対し、ネイビーは皮肉で返した。三人が飛び込んだ先は下水道の中だ。下水の嫌な匂いが、マスクを突き抜けて鼻に刺さる。

 と、同時に自分達がさっきまで居た場所が完全に瓦礫に埋もれてしまった。

 

「ひゅー‼︎ あと少し遅けりゃ、全員、瓦礫の下敷きだったな……‼︎」

「クッ……酷い匂い……‼︎ 髪に染み込みますわ…‼︎」

「瓦礫の下敷きより、マシだよ」

 

 三人は口々に言いながら、出口を探す。バイオレットは、アクセルラーの探索アプリを開く。

 

「こっちですわ。マンホールから地上に出ましょう‼︎」

「分かった‼︎」

「……待てよ。どうやら、奴さん達は行かせる気無いらしいぜ」

 

 ネイビーが指を差すと、下水の中からカースが次々と現れた。どうやら、先回りして、待ち伏せていたらしい。

 

「通す気が無いなら……押し通す迄‼︎」

「はァ……全く、単純ですわね……。けど、今回は、それしか無いですわね‼︎」

「やるしか無ェってか‼︎」

 

 珍しく、意見が一致した三人は、サバイバスターを構える。迫るカース達を撃ち抜き、倒しながら走った、

 しかし、カース達は次から次へと湧き出て来る。

 

「バイオレット‼︎ 出口はまだ‼︎」

「あと、100Mですわ‼︎」

「キリが無ェ‼︎ 早く、出口に‼︎」

 

 全員を一々、倒していたら、いつまで経っても抜け出せない。ボウケンジャー達は通路を確保しながら、カース達を退けて行く。

 やがて、マンホールへ続くと思われる梯子が見えて来た。

 

「あれですわ‼︎」

 

 バイオレットは指差し、その梯子を全員に確認させた。ホワイトが先頭に昇り、マンホールの蓋に手を掛けるが……

 

「どうしよう。開かない‼︎」

「早く‼︎ 追いつかれますわ‼︎」

「おい‼︎ 何か、来たぞ‼︎」

 

 梃子摺るホワイトを叱咤するバイオレット。その時、ネイビーが声を荒げ、指を差した。何と、カース達と共に、ドゴランが現れたのだ。

 

「ドゴラァァァン……‼︎」

「さ、最悪だ‼︎ こんな所じゃ、まともに戦闘できねェ‼︎」

「どうしよう! 本当に開かないよ‼︎」

「ホワイト、少し退いて‼︎」

 

 バイオレットは、ホワイトを退かせると、フリーズライオットを構えた。撃ち出された光弾が、マンホールの蓋に直撃し、蓋は凍り付いた。

 再度、バイオレットがライオットの銃口で叩くと、蓋は粉々に砕け散り、出口が開く。しかし、ドゴランは真後ろまで迫っている。

 

「今よ‼︎」

 

 バイオレットの号令で、ボウケンジャー達は地上へと飛び出した。場所は、ローズ・ダン商会の前にある道路だった。

 

「こんな所に繋がってたなんて……」

「あ、ありゃァァ……‼︎」

「何、変な声出してますの?」

「あれを見ろよ‼︎」

 

 バイオレットのツッコミに、ネイビーは応える。すると、商会の建物が破壊されていき、中から灰色の身体に両腕が異様に長い巨人が姿を現した。両肩には、プロペラの様な物が回っている。

 すると、ラアナの声が響いた。

 

 〜オーホッホッホ!!! 見たか、ボウケンジャー‼︎ フェニックスの尾羽には、通常の倍以上のパラレルエンジンエネルギーを持つのさ‼︎ 其れに、このラアナの呪術を吹き込む事で、先代ボウケンジャー達に敗れ大地に還っていた、この巨神を復活させたのよ‼︎

 ゴードム文明が誇る巨神ゴードムをな‼︎〜

 

 ラアナの勝ち誇った狂笑が響き渡った。だが、巨神ゴードムは不動のまま、動かない。次は、ツルギが語り出す。

 

 〜ラアナ様、やはり動きませんよ。この巨神〜

 〜分かってる‼︎ 巨神ゴードムを動かすには、プレシャスであるゴードムの心臓が不可欠。如何に、フェニックスの尾羽と言えど、巨神の身体を構築するのに手一杯‼︎ だからこそ、お前の出番じゃ無いの!〜

 〜お任せあれ、ラアナ様‼︎ 我が忍科学の力を持って、眠れる巨神を呼び醒めせてご覧に入れましょう‼︎

 

 はァァァ……‼︎ ナンジャラモンジャラニンジャラオレオレオー‼︎〜

 〜その術名、必要なの?〜

 

 巨神ゴードムの中で、ラアナとツルギの漫才さながらな掛け合いが聞こえて来た。だが、次の刹那、巨神ゴードムの身体は光に包まれ、岩石で構成された身体が煌びやかな宝石に変わっていく。更に胸部に、巨大なプロペラに似た物体が現れ、V字を描く。左腕はクレーン車を思わせる形へと変化し、右腕も巨大な剣を思わせる形へと変化した。

 

 〜さあ、これで誕生だ‼︎ ゴードム文明の超科学と吾輩の編み出した忍科学の融合により生まれたツクモロボ、戦闘巨兵ゴードムツクモだ‼︎〜

 

 巨神ゴードム改め、ツクモロボ・ゴードムツクモは復活の雄叫びを上げた……。

 

 

 〜次回予告‼︎〜  

 巨神ゴードムをツクモロボとして復活させたネオ・クエスターズは、ボウケンジャーを叩き潰さんと襲い掛かる。

 ボウケンジャーも、ダイボウケンmk-Ⅱを発進させるが、彼等に勝機はあるのだろうか‼︎

 

 次回! 轟轟戦隊ボウケンジャー Return−White.adventure

 task12 逆襲のゴードム

 

 ラアナ「オーホッホッホ‼︎ 勝ったわよ‼︎ 私達の勝ちよ‼︎」

 雪歩「諦めないよ……‼︎ 絶対に……‼︎」

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