轟轟戦隊ボウケンジャー Return−White.adventure   作:竜の蹄

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新作が出来あがりました‼︎
急ピッチにての完成なので指摘等があれば、お願いします‼︎


task12 逆襲のゴードム!

 一方、サージェスミュージアムでは……

 

「蒼太さん、蒼太さん‼︎ あれって‼︎」

 

 サロン内で、菜月が画面に映るゴードム・ツクモを指差していた。蒼太は、別画面から見ていた。

 

『巨神ゴードムか……厄介な物を持ち出してきたな……! あれは手強いぞ‼︎』

 

 蒼太も戦慄した。巨神ゴードムの強さは、かつてボウケンジャーとして戦った蒼太や菜月も嫌という程、知っている。

 かつては、ゴードム文明の大神官ガジャに操られ、結成したてだったボウケンジャーを梃子摺らせた存在だ。

 ましてや、今回はネオ・クエスターズのツルギによって、ツクモロボとしてパワーアップしているのだ。

 幾度かの戦いを経て、実績を積んだ今のボウケンジャー達と言えど、苦戦を強いられるのは必至だ。

 

「どうしよう、蒼太さん‼︎ あの子達、やられちゃうかも⁉︎」

『落ち着くんだ、菜月ちゃん‼︎ 今のボウケンジャーは彼等だ‼︎ かつて、僕達がそうした様に、彼等もまたゴードムの巨神と戦うのも試練なんだよ‼︎』

「でもでも⁉︎」

 

 蒼太の言う事は的を射ているが、菜月としては既に雪歩、紺亮、菖は大切な仲間だ。みすみす死なせる様な事はしたくない。

 

『それに……今の僕達が、ボウケンジャーに変身しても、あの怪物を止める事は出来ないだろう……信じるしか無い……‼︎』

「……‼︎」

 

 蒼太の言葉に、菜月はもう何も言い返せなかった。信じるしか無い……あまりにも残酷で辛い選択だった。

 菜月は見た目こそ、雪歩や紺亮と同年代に見えるが、実年齢は雪歩達より遥かに上……更に言えば、生まれた時代さえ違った。

 今は亡き古代文明レムリアの王族の末裔である菜月は、滅び行く国と心中させまいとした両親により、レムリアのプレシャスの力にて未来へと委ねられた。

 プレシャス《レムリアの太陽》は、古代レムリア人により開発されたエネルギーシステムだ。その力は巨大な発電所を優に上回るエネルギーを発揮し、更に生命維持装置として用いれば、人間一人を悠久の時間の流れから守る力を持つ。その力で、当時は赤ん坊だった菜月は5000年に一歳、歳を取ると言う形にて生かされて、トレジャーハンターだった伊能真墨と出会った際は、外見年齢19歳の姿だった。

 しかし、レムリアの太陽の力は菜月の身体に残留する形で浸透していた。その甲斐があって、菜月の身体は老化現象は止まっていた。

 かつての戦いから、13年経った今も尚、菜月は10代後半、或いは20代前半の若々しさを保っている。

 だが、皮肉にも両親が我が娘を思ってした行為は、菜月の心を虚しさと寂しさで蝕む事があった。

 共に戦った仲間達が歳を重ね老いていく中、自分は老いる事は無い。かつてのメカニックだった牧野森男曰く「既にレムリアの太陽からの供給は止まっている」らしく、今の菜月は老化の来るスピードが極端に遅くなり、若い期間が長くなっているのだ。

 歳を取りにくい、と言うのは、何も知らない人間からすれば魅力的に見えるかもしれないが、菜月は知人が歳を経て行く中、自分は変わらない事に僅かながらコンプレックスに感じていた。

 そんな中、かつてのリーダーだった明石暁や彼の後任でチーフになった伊能真墨の推薦もあって、ボウケンジャーのチーフに就任した菜月。

 蒼太をアドバイザーとし、ボウケンジャー達を率いる立場に就いたのは、変わらない自分でも若い世代のボウケンジャーの成長を見守れると考えたからだ。

 しかし、実際に見守るだけと言うのは歯痒かった。叶う事なら助けに行きたい……しかし、菜月も蒼太も、その気持ちを押し殺すしか出来ない。

 菜月は、ただ祈った。若さ故に、どこか危うさを併せ持った彼等が、無事に乗り越えられる様に、と……。

 

 

 ゴードム・ツクモを前にした、ボウケンジャーはその巨体に戦慄していた。体躯だけなら、ダイボウケンmk−2を頭一つ上回る。

 更に右手には剣、左手にはクレーン、全身を覆う宝石の鎧……これまで、勢いやビギナーズラックだけで勝てて来た様な相手では無いのは明白である。

 しかし、逃げる事は許されない。戦うしか無いのだ。ホワイトはネイビー、バイオレットを振り返る。

 

「やろう、皆‼︎ 大丈夫だよ、私達なら勝てる‼︎」

「……また、根拠も無く……だけど、逃げる訳にいかないな‼︎」

「当然ですわ! ボウケンジャーの名に賭けて‼︎」

 

 そう頷き、三人はスーパーアクセルラーを起動した。

 

『ハイパー・ゴーゴービークル発進‼︎』

 

 《発進シフトオン! ロコモーティブ‼︎ ジープ‼︎ スノウ‼︎ GO! GO‼︎』》

 

 スーパーアクセルラーからの通信を受けたハイパー・ビークルが、一斉に出動した。ゴーゴーロコモーティブ、ゴーゴージープ、ゴーゴースノウの三機が、ボウケンジャー達の前に現れた。

 三人はビークルに乗り込み、合体シフトに移る。

 

『合体シフトオン‼︎ ロコモーティブ‼︎ ジープ‼︎ スノウ‼︎

 ボウケンフォーメーション』

 

「合体完了‼︎ ダイボウケンmk−Ⅱ ‼︎ スーパー・ファーストギアイン‼︎」

 

 

 ダイボウケンmk−Ⅱは、ゴートライウェポンを携え、ゴードムツクモと対峙した。しかし、ゴードムツクモはダイボウケンmk−Ⅱを見下ろす様に、立ち塞がる。

 

 〜ハッハッハッ‼︎ ゴードムツクモの力を見せてやる‼︎ 行け、ゴードムツクモ‼︎〜

 

 ツルギの命令に従い、ゴードムツクモは右手の剣を振り上げた。ダイボウケンmk−Ⅱもゴートライウェポンをスコップモードにして受け止めた。

 しかし、その重さはダイボウケンmk−Ⅱを後退させる程だ。

 

「くぬぬぬ……負けるもんか〜‼︎」

 

 ホワイトの叫びが、ダイボウケンmk−Ⅱに伝わり、ゴードムツクモの剣を押し返し、そのまま弾き飛ばした。

 すかさず、ゴートライウェポンをハンマーモードにして、ゴードムツクモの胴体を殴り付けた。

 しかし、その強固な身体にはヒビ一つ入らない。

 

 〜馬鹿め‼︎ そんな、なまくらトンカチで百回殴った所で、このゴードムツクモの身体には、びくともせんわ‼︎〜

「くそ〜‼︎ だったら、ピッケルモードで……‼︎」

「待ちなさい、ホワイト‼︎ クレーンが……‼︎」

 

 バイオレットが叫ぶも既に遅かった。ゴードムツクモの左手のクレーンがダイボウケンmk−Ⅱの頭部を挟み込んだ。

 力づくで外そうと試みるが、ガッチリと食い込んだクレーンのフォークが頭部ごと、ダイボウケンmk−Ⅱの身体を持ち上げた。

 コクピット内では、ボウケンジャー達が凄まじい振動と火花を受けていた。

 

「な、なんて力だ‼︎ このままじゃ、顔面ごとスクラップにされちまう‼︎」

 

 ネイビーが叫ぶ。バイオレットも苦悶していた。

 

「ホワイト‼︎ ハイパー・アドベンチャービームで回避して‼︎」

「わ、わかった‼︎」

 

 バイオレットの提言を聞き、ホワイトはボウケンドライバーを起動した。

 

「ハイパー・アドベンチャー……ビーム!!!」

 

 発光したダイボウケンmk−Ⅱの胸部から放たれたハイパー・アドベンチャービームが、ゴードムツクモに直撃した。その拍子に、ダイボウケンmk−Ⅱは解放された。

 

「ふ〜! 危機一髪‼︎」

「まだだ! 見てみろ‼︎」

 

 一息吐くホワイトだが、ネイビーが指を差す。すると、前方には無傷のまま佇むゴードムツクモの姿が。

 

「ば、馬鹿な‼︎ チャージ満タンのビームなのに効いてないの⁉︎」

「違うよ‼︎ あのプロペラだよ‼︎」

 

 狼狽するバイオレットに、今度はホワイトが促す。なんと、ゴードムツクモの胸部にある巨大なプロペラ状の物体が、ハイパー・アドベンチャービームを吸収してしまったのだ。

 

 〜フハハハハァァ!!! 無駄だ‼︎ 貴様等のビームなぞ、計算済みだ‼︎ このプロペラは、貴様等のロボから受けたビームを吸収し、エネルギーに変換してしまうのだ‼︎〜

 〜凄いわ、ツルギ‼︎ 今日は馬鹿に冴えてるじゃない‼︎〜

 〜当然‼︎ 吾輩の忍科学は、これまでは本気を出していなかった‼︎ しかし‼︎ この、ゴードムツクモは吾輩の知識、忍科学を駆使して完成させた完成体‼︎

 子供騙しな、ツクモガミとは違うのですよ‼︎〜

 

 得意げに語るツルギ。しかし、ゴードムツクモは、攻撃と防御と共に隙の無い。ダイボウケンmk−Ⅱでは、歯が立たない。

 

「何のこれしき‼︎ まだ私達には、これがある‼︎

 

 烈轟槍(レツゴーランス)‼︎」

 

 ホワイトが叫ぶと、ゴートライウェポンが烈轟槍へと姿を変えた。

 

「そんなチャチなプロペラごと串刺しになっちゃえ‼︎

 

 クロススパイラル……ブレイカー!!!」

 

 投擲された烈轟槍は、ゴードムツクモのプロペラに目掛けて飛んで行った。槍はプロペラに突き刺さるが……

 

「嘘⁉︎」

「まさか⁉︎」

「マジかよ⁉︎」

 

 なんと、烈轟槍はプロペラを貫く事無く止まってしまった。ツルギの馬鹿笑いが聞こえてきた。

 

 〜フハハハハハハァァ!!! 無駄だと言っているのが分からんか、低脳冒険者共‼︎ 貴様等の攻撃なぞ、全て計算し尽くしている‼︎

 このゴードムツクモは、貴様等を倒す事を重点に置いているのだ‼︎ 喰らえ、さっきのビームの分だ‼︎

 

 ハイパー・アドベンチャービーム・リベンジャー!!!」

 

 今度は、ゴードムツクモの胸部のプロペラが妖しく光る。すると、ダークブルーの光線が烈轟槍を吹き飛ばしながら、ダイボウケンmk−Ⅱへと直撃した。

 

『あああァァッ!!!』

 

 ボウケンジャー達が絶叫する。激しい轟音と火花が、コクピットを襲った。

 

 〜良いわよ、良いわよ‼︎ 今日こそ、勝てるんじゃない⁉︎〜

 〜ハハハハ‼︎ 勿論、勝ちますとも‼︎ ゴードムツクモの前に敵なぞいません‼︎〜

 〜ドゴラァァァン!!!〜

 

 ネオ・クエスターズの勝ち誇った声が響いた。ダイボウケンmk−Ⅱは今の攻撃を受け、大ダメージを負った。

 

「ち、ちくしょう……奴等、強過ぎるぜ‼︎」

 

 ネイビーはフラフラしながらも体勢を立て直した。その時、バイオレットが叫ぶ。

 

「ホワイト‼︎ 起きなさい‼︎」

 

 ネイビーが見ると、ホワイトはグッタリとしていた。今のショックで、頭を打って気を失ってしまったらしい。

 

「おいおい‼︎ 三人で動かさなきゃ、ダイボウケンmk−Ⅱは力を出し切れないじゃねェか⁉︎」

「ッつ……仕方ない‼︎ 私達だけで戦いますわよ‼︎」

 

 バイオレットは切り替えて、ボウケンドライバーを操作した。ネイビーは慌てて言った。

 

「正気かよ⁉︎ ダイボウケンmk−Ⅱだって、次受けたらおしまいだぞ‼︎」

「やるしか無いでしょう⁉︎ 死にたくなかったら、貴方も協力なさい‼︎」

「あー、分かったよ‼︎」

 

 ネイビーも、ボウケンドライバーを操作する。しかし、烈轟槍は吹き飛ばされたし、ハイパー・アドベンチャービームもさっき、フルパワーで撃った為、暫くは使えない。

 

 〜オーホッホッ‼︎ 勝ったわ‼︎ 勝ったわよ‼︎

 

 ツルギ、トドメを刺してやりなさい‼︎〜

 〜了解‼︎ ゴードムツクモ、やれィ!!!〜

 

 勝利を確信したネオ・クエスターズは、一気に攻め落としに掛かる。ゴードムツクモは動き出し、ダイボウケンmk−Ⅱに襲い掛かった……。

 

 

 

 雪歩は真っ暗な空間に居た。周りを見回すが、紺亮も菖も居ない。さっきまであった頭の痛みも無い。

 

「私……どうなったんだろ? 紺くーん? 菖ちゃーん⁉︎」

 

 雪歩は仲間達を呼ぶが返事は無い。もしかして……自分は死んだのか?

 と、その時、雪歩の後ろに気配を感じた。

 

『雪歩……こんな所で終わりか?』

 

 それは懐かしい声だ。雪歩は、その声の主を見た。しかし、其処には雪歩にとって最も大切な人が居た。

 

「おじい……ちゃん?」

 

 自分の目の前に居たのは大好きな祖父、白瀬冬次郎その人だった。かつてと全く変わらない。深く刻まれた皺、立派な顎髭、ポニーテールにした白髪、お気に入りの冒険家の服……紛れもないない祖父だった。

 冬次郎は優しく微笑む。

 

『久しぶりだな……雪歩……』

「おじい……ちゃん……おじいちゃァァァん!!!」

 

 感極まって雪歩は懐かしい祖父に抱きつく。冬次郎は昔と変わらない引き締まった身体で雪歩を抱き締めた。

 

『どうした、雪歩? いつまでも、子供の頃と変わらないままじゃ無いか……』

「だって、だって……ずっと、おじいちゃんに会いたかったんだもん‼︎ あのね、おじいちゃん‼︎ 私も冒険者になったんだよ‼︎ おじいちゃんが嫌いな、サージェスに入ったんだけど……ごめんなさい……‼︎」

 雪歩は冬次郎の胸に顔を埋めながら祖父に謝罪した。だが、冬次郎は雪歩の肩を優しく持ち、彼女の顔を見た。

 

『謝る必要なんか無いぞ? 冒険者になるのは簡単な事じゃ無いからな。偉いぞ、雪歩』

「〜〜!!!! おじいちゃん!!!!」

 

 祖父の優しい言葉に、雪歩は感極まって泣いた。この言葉を聴きたかった。もう二度と聴けないと思っていた祖父の言葉……雪歩からすれば、プレシャスなどよりずっと価値のある存在だった。

 ふと、雪歩を離して冬次郎は呟く。

 

『いいかい、雪歩? よく聴きなさい。冒険者と言うのは、最後まで諦めてはいけない。例え、絶望的な状況に陥ってもだ。雪歩は強い子だ。何ど踏みつけられても、再び立ち上がる強さを持っていると私は信じているよ…』

「おじいちゃん……でも私……やっぱり、駄目だよ……。一人じゃ立ち上がれない……おじいちゃんが居ないと……』

『一人じゃ無いだろう……お前には仲間が居る……共に戦ってくれる仲間が……だから一人じゃ無い……』

 

 弱音を吐いた雪歩に、冬次郎は優しく言った。

 

『それに私だって、何時も雪歩のそばにいる……。私がなぜ、お前に雪歩と名を付けたか……知っているか?』

 

 唐突に言った祖父の問いに雪歩は首を横に振った。

 

『雪の上を歩く……辛く冷たい冬の雪の上を歩いて、暖かい春へと向かって行ける様に……そう願って名を付けたんだよ……。

 心配するな、雪歩……。今はただ、歩き続けなさい。その先には暖かい春の光が待っているから……』

 

 そう言い残し、冬次郎は姿を消した。

 

「おじいちゃん⁉︎ 嫌だよ、おじいちゃん‼︎ 居なくならないで‼︎」

 

 雪歩は悲しみの慟哭を上げた。と、その刹那、雪歩の前に現れたのは、祖父では無かった……。

 

「影斗……さん?」

 

 それは牧野影斗の姿だった。影斗は優しく微笑んでいる。其処で雪歩の意識は途切れた……。

 

 

 ホワイトは目を覚ます。すると、其処はダイボウケンmk−Ⅱのコクピットの中だった。見回すと、ネイビーとバイオレットが居た。

 

「二人共、大丈夫⁉︎」

「やっと起きたかよ⁉︎ この寝坊助が‼︎」

「この状況が大丈夫に見えるのなら、今すぐに目医者に行きなさい‼︎」

 

 ネイビーは怒鳴り、バイオレットは皮肉で返す。二人共、ボロボロになって闘っていた。ダイボウケンmk−Ⅱも、辛うじて立っている状態だ。

 ホワイトは祖父の言葉を思い出した。

 

『雪の上を歩く……辛く冷たい冬の雪の上を歩いて、暖かい春へと向かって行ける様に……そう願って名を付けたんだよ……。

 心配するな、雪歩……。今はただ、歩き続けなさい。その先には暖かい春の光が待っているから……』

 

「……諦めてないよ……絶対に諦めない……‼︎ 歩き続けるよ……冬の雪の上から、春の光に向かって……‼︎」

「ホワイト?」

 

 ぶつぶつと呟くホワイトをネイビーは、怪訝な顔で見る。ホワイトは、ボウケンドライバーを操作し、コマンドを『S04』と入力し、タービンを回した。

 

「ゴーゴートランスポーター、来て‼︎」

 

 と、同時にボウケンドライバーから音声が出た。

 

『発進シフトオン! トランスポーター! GO!GO‼︎』

 

 

 

 ホワイトの合図で、ゴーゴートランスポーターが動き出した。紅花は、それに反応して、キーボードを叩く。

 

「出撃アルな‼︎ ゴーゴートランスポーター、行ってくるヨロシ‼︎」

 

 そうして、ハッチが開き、ゴーゴートランスポーターが発進した。巨大なキャリアカー型ビークルは、サージェスミュージアムを出発し、都心を走るクルマを押し退けながら走る。

 それから間も無くして、ゴーゴートランスポーターはダイボウケンmk−Ⅱの下を参上した。

 ネオ・クエスターズは、新たな伏兵に驚く。

 

 〜今度は何する気かしら?〜

 〜もう何をしたって無駄なのに、諦めの悪い連中だ‼︎〜

 〜ドゴラァァン‼︎〜

 

 完全に舐め切った様子だった。しかし、ゴーゴートランスポーターはダイボウケンmk−Ⅱに隣接する様に停車した。

 

「これは……新しいビークル⁉︎」

 

 バイオレットは叫んだ。ホワイトは自信満々に応えた。

 

「影斗さんが作ってくれた新ビークル、ゴーゴートランスポーターだよ‼︎

 

 行くよ、轟轟武装‼︎ ゴーゴートランスポーター合体‼︎」

 

 ホワイトは再び、ボウケンドライバーを操作した。

 

『合体シフトオン‼︎ トランスポーター、パワーオン‼︎』

 

 ボイスと同時に、ゴーゴートランスポーターは半分割に分離した。そして、浮上したダイボウケンmk−Ⅱの両足裏に合体し、ロックが掛かった。

 

「ダイボウケンmk−Ⅱ・トランスポーター! 合体完了、ファーストギアイン‼︎」

 

 新たなダイボウケンmk−Ⅱの形態、ダイボウケンmk−Ⅱ・トランスポーターが誕生した瞬間だった。

 しかし、ツルギは嘲笑う。

 

 〜合体した所で遅いわ‼︎ ゴードムツクモ‼︎ 捻り潰せ‼︎〜

 

 ゴードムツクモは右腕の剣を振り上げた。しかし、ダイボウケンmk−Ⅱは即座にバックし、その状態から中段蹴りを浴びせた。

 ここに来て、初めてゴードムツクモは怯んだ。

 

 〜ば、馬鹿な‼︎ ゴードムツクモの防御で防ぎ切れない、だと⁉︎〜

 

 ツルギは狼狽え始める。ホワイトは仲間達を見た。

 

「凄い‼︎ ゴードムツクモを追い込んだよ‼︎」

「スピードも、段違いだぜ‼︎」

「これなら、対抗できますわね‼︎」

 

 ボウケンジャー達も歓喜する。しかし、ラアナの罵声が響く。

 

 〜まぐれくらいで良い気になるんじゃ無いよ‼︎ ツルギ‼︎ さっきのクレーンで、ダイボウケンを捕まえるんだよ‼︎〜

 〜ハッ‼︎ ゴードムツクモ‼︎ 奴を捕まえろ‼︎〜

 

 ツルギの命令で再び、ゴードムツクモはクレーンを動かして、ダイボウケンmk−Ⅱを捕獲しに掛かる。

 だが、その瞬間、ダイボウケンmk−Ⅱはハイキックを食らわして、クレーンを破壊してしまった。更に追い討ちを掛ける様に、ゴードムツクモの正面にあるプロペラを蹴り壊した。これでは、先程のビーム返しは使用出来ない。

 

 〜やってくれたな‼︎ ゴードムツクモ、もう良い‼︎ 正面から挑め‼︎〜

 

 クレーンもプロペラも破壊されたゴードムツクモは止むを得ず、残された剣で切り掛かるが、その大振りはバックで見切られ、振り下ろした剣はトランスポーターの脚に踏み砕かれてしまった。

 武装を全て奪われたゴードムツクモは、完全に無力化してしまった。

 

「皆、決めるよ‼︎」

「いつでも行けるぜ‼︎」

「準備万端ですわ‼︎」

 

 そうして、三人は同時にボウケンドライバーに手を置き叫んだ。

 

『アラウンド・ザ・ボンバー‼︎』

 

 片足を持ち上げた状態で、ダイボウケンmk−Ⅱは高速で回転した。そして渾身のキックをゴードムツクモのボディーに叩き込んだ。

 ゴードムツクモの身体には亀裂が入り、バチバチと火花が走る。そして、そのまま後ろへと倒れ込んだ。

 

 〜嫌ァァァァァァッッ!!!!〜

 

 ラアナの断末魔が絶叫する中、ゴードムツクモは大爆発を引き起こした。

 

「やったやった‼︎ 勝ったよ‼︎」

「辛うじて……だけどな‼︎」

「全く……死んでても可笑しくありませんわよ‼︎」

 

 一人、飛び跳ねながら喜ぶホワイトだが、ネイビーとバイオレットは息を絶え絶えながら皮肉を飛ばした。

 しかし、マスクの下で三人共、笑っていた……。

 

 

 

 その後、瓦礫の山からフェニックスの尾羽と思しき物を発見したが、計測した所、ハザードレベルは0だった。

 どうやら、ゴードムツクモの身体を構成する為、エネルギーを使い果たした事で、フェニックスの尾羽は唯の羽根と化してしまった様だ。

 しかし、プレシャスである事には変わらない為、ミュージアムへと転送し、雪歩達の今回の任務は幕を閉じた。

 雪歩達が去った後、ゴードムツクモだった瓦礫の山の一部が動き、ボロボロになったラアナが現れた。顔は憤怒の形相だ。

 

「おのれ、ボウケンジャー‼︎ ゴードム文明の遺産を見るも無惨にィィィ!!!」

 

 怒り狂うラアナの後ろから、ツルギとドゴランも現れた。

 

「しかし、またしてもプレシャス奪取にしくじりましたね。また、マスターDに怒られてしまいます……」

「ドラゴン……」

 

 ポツリと呟く二人を他所に、ラアナはボウケンジャーへの恨み節を吐いた。

 

「覚えてらっしゃい、ボウケンジャー‼︎ アンタ達の名前を使って……レストランに予約して無断キャンセルしまくってやる〜!!!」

「ラアナ様、発言が見る見る小物臭いですよ……」

 

 ラアナの八つ当たりに近い恨み文句に、ツルギはボソリとツッコミを入れた……。

 

 

 ミュージアムに帰還した雪歩は、いきなり菜月に抱きつかれた。

 

「良かったよ、皆‼︎ 無事で良かった〜‼︎」

 

 菜月は涙ながらに言った。雪歩は笑いながら…

 

「平気だよ、なっちゃん! だって勝てたし‼︎」

「バッカ‼︎ 何処が平気だよ⁉︎ お前、頭から血を噴き出したまま戦ってたんだぞ‼︎」

 

 紺亮が怒鳴る。変身が解けた瞬間、雪歩は突然、倒れたのだ。見てみれば、さっきの戦いで頭を強打した時、出血していたのだ。そのせいで雪歩は血の流し過ぎで倒れてしまい、慌ててミュージアムに運んだ。

 幸い、命に別状は無かったが、彼女の頭には包帯が巻かれていた。

 

「えへへ! こんな事もあるよ!」

「あってたまるか‼︎ ッたく、お前と行動してると、心臓に悪いぜ‼︎」

「違いませんわ! 全く、いい加減にして頂かないと!」

 

 紺亮に続いて、菖も苦言を漏らした。其処に蒼太が割って入る。

 

 〜まあまあ……。何はともあれ、無事で良かった……。しかし、ネガティブに続いてディエンドも敵対してきたか……。今後は要注意だな……〜

 

 雪歩達の報告では、これまで表立って敵対して来なかったディエンドも攻撃して来たと言う。益々、メガ・プレシャス探しは難航して来るだろう……。

 

「でも、私達をやっぱり助けてくれたよ! だから、ディエンドは良い人じゃ無いかな?」

「あのなァ……お前にとっちゃ自分に優しくする奴は皆、良い人かよ? 結果的に助かっただけかもしれないし、やっぱりディエンドは何を企んでるか分からねェ……。用心するに越した事は無いだろう?」

「……雪歩ちゃん、世の中は優しい人ばかりじゃ無い。ネガティブや今回の欲賀の様な、心底からの悪も居るんだ。

 自分以外の全てを疑え、とは言わない。けど、相手を見極めるのも大切だよ?」

 

 蒼太は忠告した。雪歩は満面の笑みで…

 

「うん、大丈夫だよ‼︎ いざとなったら、紺君や菖ちゃんも居るし‼︎ 私は歩き続けるんだ! プレシャトピアに向かって‼︎」

 

 と、返した。

 

「……はあァァァ……ちっとも分かっちゃいねェ……」

「……先が思いやられますわ……」

 

 紺亮、菖は溜め息を吐いて呆れる。蒼太も苦笑混じりながらも、話を戻す。

 

 〜それはそうと、菖ちゃん。榎田大輔について何だけど……〜

「ええ……既に死んでいたそうですわ……私が榎田大輔だと思っていたのは、何処の誰かも分からない人だった……」

 〜それについてだけどね……今回、君達を派遣したのは、プレシャス回収もそうだけど、ローズ・ダン商会に榎田大輔と思しき人間がいる事を知ったからなんだ……。

 それで、彼について調べたんだが……榎田は、どうやら自ら命を絶ったらしいんだ〜

「どう言う事ですの?」

 

 蒼太の言葉に菖は尋ねた。彼が自殺……何故……。

 

 〜しっかり裏を取ってから伝えるつもりだったけど……今、伝えておくよ……。榎田大輔は恋人の死後から失踪、闇社会に飛び込んだのは事実だ。しかし、酒や博打に溺れて身を持ち崩し、最期は北海道の冬山に向かったらしい……〜

「そうだったの……やはり、あの人は最期まで椿の死を……」

 

 菖は、やるせ無さそうに呟く。その際、菜月が菖に何かを手渡した。其れは一冊のメモ帳だった。

 酷く古く、所々が裂けていた、ら

 

「……本物の榎田さんが最期に書き残した物だよ……。読んで見て?」

 

 菜月は菖からメモ帳を受け取り、ページを開く。其処に書いてあったのは、紛れもなく彼の字だった。

 

 

 《この手帳を、俺がこの世に遺す最後の言葉にしたい……

 俺は椿を亡くしたあの日から、ドン底だった

 何をしても虚しさしか無い

 思い出すのは椿と俺と彼女の三人で初めて登山に挑んだ日……

 あの幸せ日々 は二度と戻らない……

 椿の死を受け入れられず、俺は湧き出る感情のまま

 彼女を傷付けてしまった……

 その事を後悔しなかった日は無い……

 今更、許されるとは思わない

 どうか俺の事を永遠に許さないで欲しい

 その代わり……君は君の望む様に生きて欲しい  

 願わくば、椿の死を自分の罪だと責め苛まないで欲しい

 いつか、君が愛した男と結ばれて、幸せになって欲しい

 ただ、それだけの願いだ……菖……

 

 榎田大輔 》

 

 

 メモ帳に書き記されていたのは、榎田の菖に対する謝罪文だった。菖は黙ったままメモを読み返して、遂に堪え切れなく無言のまま泣き始めた。 

 恨まれていなかった、許されていた……その言葉だけで、菖は報われた気持ちだった。

 

「菖ちゃ……」

 

 何時も強く逞しい菖が、子供の様に泣きじゃくる姿に雪歩は戸惑いながらも声を掛けた。其れを紺亮が肩を叩いて止めた。

 

「……暫く、そっとしといてやれ……」

 

 決して付き合いが長い訳でも無いし、ボウケンジャーである事以外は共通点も無い。だが、今は深入りはすべきでは無い、と悟った紺亮は、雪歩と共に外に出た。菜月と蒼太も、菖が泣き止むまで非介入を貫いた様子だった……。

 

 

 廊下に出た二人は、無言だった。何を話していいか分からないからだ。だが、その沈黙を破ったのは雪歩だった。

 

「……おじいちゃんが言ってた……本当に価値のある宝は、お金では買えないって……。きっと菖ちゃんは……プレシャスより価値のある宝を手に入れたんだよね……」

「……かもな……」

 

 紺亮も短く返した。今は、アドベンチャー時代……金が湯水の如く湧き出て、物の価値を分からない馬鹿共が溢れ返る時代……。

 だが、菖は今回の一件で過去に精算を付けれたかもしれない……。本物の榎田大輔は既に、この世にいない……彼は過去に精算を付けれずに自ら死を選ぶ、と言う残酷な末路を迎えた。しかし、少なくとも菖には前を向いて行け、と促した。それだけで、過去に囚われていたままだった菖は未来へ歩いて行けるだろう……そう信じたい……。

 

「なァ、雪歩……。お前は、もしも俺がさ……」

「ん? 何?」

 

 何か言い出そうとした紺亮を雪歩は見つめる。その瞳は穢れのない無垢な輝きがあった。

 途端に、紺亮は押し黙る。

 

「や……何でもねェ……」

「え〜⁉︎ 何⁉︎ 気になるよ‼︎」

「マジで何もねェッての‼︎」

 

 紺亮は伝えたかった。雪歩に押し殺したままの本音を……。だが、何時も言えないでいた。雪歩は純粋だ。新雪の様に白く、泥が混じっていない純白……そんな彼女に、紺亮は土足で踏み入りたくなかった……。

 

「やァ。お邪魔したかな?」

 

 ふと、声がした。其処には影斗の姿があり、何時もの穏やかな彼の顔があった。

 

「ゴーゴートランスポーターを使ったんだね。どうだった?」

「うん‼︎ お陰で勝てたよ‼︎」

「そうか。設計のしがいあったよ。ゴーゴービークルの事なら心配ないよ。僕が完璧に直しておくから」

 

 そう言って、影斗は去って行こうとした。紺亮は気に入らない様子で、彼の背を睨んでいた。

 だが、雪歩が影斗を呼び止める。

 

「影斗さん……。影斗さんは、影斗さんだよね?」

 

 その言葉は、雪歩しか知り得ない意味があった。彼が仮面ライダーディエンドかも知れない……其れを確かめたかった……。当然、紺亮には訳が分からなかったが、影斗は振り返る。

 

「無論、僕は僕だ。サージェスのメカニック、牧野影斗だよ。例え過去が分からなくとも、それだけは変わらない……。

 さっきは悪かったね、雪歩ちゃん。僕を恨んでいるかい?」

 

 先程にあった雪歩への態度を謝罪した影斗。雪歩は首を横に振った。

 

「ううん‼︎ 影斗さんが居ないと、私達は戦えないし‼︎ これからも宜しくね!」

 

 そう雪歩が言うと、影斗は背を向けながら親指を立ててサムズアップした。雪歩も、サムズアップで返す。

 紺亮は、その様子に面白くない、と言った具合に睨み続けていた……。

 

 

 

 さて、ボウケンジャーとネオ・クエスターズの戦いのあった、ローズ・ダン商会の跡地……蒼太の指示した通り、警察が駆けつけて、商会の構成員は瞬く間に検挙された。しかし、ボスである欲賀の姿が無く、警官は辺りを捜索していた。血痕が残されており、欲賀のDNAと一致した事から、近くにいると踏んでいたからだ。

 当の欲賀は、掻き集めるだけの金目の物を鞄に詰め込み、高跳びをはかっていた。

 

「くそッ‼︎ ボウケンジャーのせいで、組織は壊滅だ‼︎ こうなったら、有金を持って国外に逃げるしか……‼︎」

 

 ラアナに串刺しにされるも、辛うじて助かった欲賀は捕まる部下達を見捨てて自分だけ助かろうと企んだ。

 と、其処に見ず知らずの人影が複数、現れた。

 

「な、何だ⁉︎ 貴様等……⁉︎」

「何処へ行くんですか、社長?」

 

 慌てふためく欲賀の前に現れた人物に、彼は驚愕した。

 

「え、榎田⁉︎」

 

 見知った顔の筈なのに、彼が浮かべる残忍な笑みに欲賀は恐怖した。

 

「もう、榎田大輔じゃありませんよ」

 

 そう言うと、榎田だった者は顔のマスクを外してミラージュの素顔を見せた。

 

「貴方には逃げられては困るんですよ。サージェスに逆らった者がどうなるか知っていますよね?」

「あ、あ……‼︎」

 

 恐怖と慄きに顔を歪ませながら、欲賀は間抜けな声を出す。すると、後ろに立った者が何かを振り上げる音がした。

 

「……ま、待て……‼︎」

 

 欲賀は振り返りながら静止を促すが、時すでに遅かった。最期に見たのは巨大な鎌の様な武器が欲賀の眼前に迫る瞬間で、彼の意識は永久に絶たれる事となった……。

 

 

 

 

 次回予告‼︎

 暫しの休暇を楽しむボウケンジャー達の前に、雪歩の母親である紅葉が来襲を仕掛けて来た!

 母と娘……対立し合う二人を他所に新たな任務が入るボウケンジャー‼︎ さて、次なる任務とは?

 

 次回! 轟轟戦隊ボウケンジャー Return−White.adventure

 task12 母と娘と…

 

 紅葉「サージェスに入るなんて許さないわよ‼︎」

 雪歩「私の人生は私が決める‼︎」

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