轟轟戦隊ボウケンジャー Return−White.adventure   作:竜の蹄

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task15 冒険者の試練

 古墳……日本神話にて語られる古来王朝を始めとした王族達の埋葬されている……と言うのが一般的な見解である。

 現在、日本国内には16万基の古墳が確認されているが、未だに古墳の全ては解明されている訳では無い。まだ、人の手が加わっていない古墳もあるのだ。

 しかし、飽くまでも表向きはである。中には人の手が加わっている古墳もあり、観光名所や重要文化財となっている他、サージェスの手が入っている古墳も存在するのだ。

 この、東京郊外にある古墳も例外では無い。いつの頃かか存在し、側からみれば古墳と呼ぶには見窄らしい感じである。しかし、5年前にサージェス関係者が古墳へと足を踏み入れ、古墳の大々的な工事を行なった。

 以降、地域住民からはサージェスの名を取り『サージェス古墳』と呼ばれる様になった。

 表向きは、貴重な重要文化財の保護と銘打たれているが、裏の姿は異なっていた。サージェスは日本の古墳然り、エジプトのピラミッド然り、一眼には着くが足を踏み入れようとはしない遺跡の内部を改造し、サージェス個人のシェルター兼バンクに使用していたのだ。

 反サージェス派は、そう言った暴挙を嗅ぎ回り、サージェスへの非難に用いるが、表向きは重要文化財に指定されている遺跡である。確たる証拠が無い限りは調べようが無いのが現状である、、

 そんな、サージェス古墳の内部にある一室に立つ人影……一人は、風のシズカである。その傍らには両腕を拘束された紅葉の姿があった。意識は無いらしく、どうやら気を失っている様だ。

 シズカはスマホを片手に、誰かと怒鳴り合っていた。

 

「はァ⁉︎ ふざけないでよ‼︎ そんな端金で、私をいい様に使ったの⁉︎」

 

 シズカは明らかに苛立っていた。しかし、電話の相手は冷静に応えた。

 

 〜日本円にして、3億円……端金ではありませんが……〜

「アンタ達からしたら端金でしょう⁉︎ それとも何⁉︎ サージェスの会長は、3億円ぽっちしか出せないくらい財政は逼迫してるの⁉︎

 私の出したのは、前金で10億! この女の身柄と交換で更に10億を要求したんだけど⁉︎」

 〜民間人の身柄に20億も出せと? サージェスを余り舐めないで貰いたいですね。風のシズカさん?〜

「舐めてんのは、そっちでしょう⁉︎ サージェスの秘書さん⁉︎」

 

 シズカの口論していたサージェス会長の秘書であるレーブだった。電話先のレーブは、小さく鼻で笑う。

 

 〜本来なら、ダークシャドウの残党である貴方を捕らえる選択肢もある中、貴方と取り引きに応じた……それだけでも充分過ぎる温情だと思いますが?〜

「……上等じゃ無い! バラすわよ⁉︎ サージェスが裏でやってる事‼︎」

 〜ご自由に。貴方が何を言った所で、愚かな民衆が信じるとは思えませんし、情報など金と権力を用いれば、幾らでも改竄出来ます〜

「バ〜カ! 私の目の前に居るのが、誰か知ってる?」

 

 勝ち誇るレーブの声に対し、シズカは嘲った。

 

「この女は、サージェスに対して批判的な報道関係者よ! 彼女に、サージェスの裏事情を包み隠さずに話せば、後は彼女が全て、世間に報道してくれるわ!」

 〜……貴方、正気ですか? さっきも言いましたが、情報の改竄など容易いのですよ? 彼女が世間に何を言っても、揉み消してしまえば良いだけです……〜

「もう一つ、残念な事を教えてあげるわ! この女の娘はね、ボウケンジャーの一員なのよ‼︎」

 〜何ですって?〜

 

 ここに来て、レーブの声色が変わった。シズカは楽しげに続ける。

 

「身内にボウケンジャーが居たら、話は変わってくるわよね? 自分達が属するサージェスが、ダークシャドウもビックリなブラック企業だって知れば当然、世間に打ち明ける! サージェスの関係者が話せば、ネガティブの私が話すよりは信憑性も増すってものよ‼︎」

 〜……脅迫するつもりですか?〜

「好きに捉えれば良いじゃ無い! そもそも、私の目的は最初からそっちが本命よ! サージェスのせいで、ダークシャドウは壊滅したし、ゲッコウ様も最近は病気のせいで動けなくなった! ダークシャドウを復興させるにはお金が大量に必要だし、何れは邪魔になるサージェスは消えて貰う方が得策だわ!」

 

 完全に勝ち誇って、シズカは叫ぶ。対して、レーブは小さく溜め息を吐いた。

 

 〜……本当に貴方は分かり易い方ですね……。自分の目的を、隠す事無くペラペラと喋ってくれるとは……。

 一つ、言っておきますが……アドベンチャー時代の幕開け以降、拡大が止まらなかったサージェス財団の“闇"が今日まで大衆に晒され無かったのは、何故か分かりますか?〜

「何の話よ?」

 〜サージェスにとって都合の悪い存在は、文字通り闇に葬ってしまうべきだからです……遺跡も、ネガティヴもね?〜

 

 レーブが不自然に言葉を切った瞬間、シズカの背中に痛みが走った。寸でで躱して振り返ると、全身が影の様に黒尽くめなボウケンスーツを身に纏った三人が立っていた。

 中央に立つ戦士の手には、シズカの返り血がこびり付いた大振りのダガーナイフが握られていた。

 

「ま、まさか…‼︎ アンタ達は…⁉︎」

 

 シズカは何かを勘付くが、躱した際に落とした彼女のスマホから、レーブの声が響いた。

 

 〜ファントム! その者を始末しなさい! 並びに、ボウケンジャーがプレシャニウムを持ち出した後、その遺跡を跡形もなく抹消しておく様に!〜

「了解」

 

 レーブは指令を告げると、通信を切った。ファントムと呼ばれた男は、シズカのスマホを踏み潰す。

 

「ダークシャドウ幹部、風のシズカ……サージェスに反逆し、世界の調和を見出す者は……我々《B.E.》が、抹消する‼︎」

「B.E.……まさか、実在していたのね……‼︎ サージェスの影に潜み、汚れ仕事を請け負う闇の冒険者達が居るとは聞いていたけど……‼︎

 けど! この風のシズカの相手には不足なんだよ‼︎」

 

 シズカは両手に苦難を構える。ファントムは左右の二人に指示を出した。

 

「ミラージュ、後方から支援だ! スペクター、俺に続け!」

『了解‼︎』

 

 そうして、ファントムは風のシズカに向かって行った…。

 

 

 

 その頃、ボウケンジャー達もサージェス古墳に辿り着いた。古墳の前に、ゴーゴーロコモーティブを停車させると、3人は飛び降りた。

 

「やっと着いたな……全く、エライ目にあったぜ…‼︎」

 

 ネイビーは嘆息した。バイオレットはスーパーアクセルラーを構えた。

 

「サージェス古墳……間違いありませんわね……‼︎ 既に、ネガティヴ達も着いている筈ですわ…‼︎」

「……‼︎」

 

 ホワイトは一人で走り出した。

 

「ち、ちょっと待てよ、ホワイト‼︎ 単独行動は敵の思う壺だぜ‼︎ 此処は、三人で……‼︎」

「聞いてませんわよ……私達も行きましょう‼︎」

 

 既に行ってしまったホワイトの背中を見ながら、バイオレットは溜め息を吐く。ネイビーも呆れていた。

 そうして、三人はサージェス古墳へと入るが、本来は固く閉ざされている筈の入り口が爆破されていた。恐らく、ネガティヴ達の仕業だろう。

 中は狭く、三人が一列になって進むのが、やっとだ。

 

「……暗いね……‼︎ これじゃ、前が……‼︎」

「先々と行くなよ、ホワイト‼︎ どんな仕掛けがあるか分からないんだ!」

 

 ホワイトにネイビーは嗜めるが、その際に彼女の足が何かを踏んだ。踏んだのは突き出した床の石で、ホワイトの足と共に床に沈んでいく。

 すると、後ろからゴゴゴ…と何かの音が聞こえて来た。

 

「な、何だ⁉︎」

「い、嫌な予感がしますわ…」

「後ろから?」

 

 三人は恐る恐る振り返ると、天井から壁が降りて後退路を塞いでいた。更に壁から数多の剣山が突き出て、此方に迫って来た。

 

「わあ…‼︎ 忍者屋敷みたい‼︎」

「中々、王道なトラップですわね…」

「…って、言ってる場合かよ‼︎ 早く進め‼︎」

 

 ホワイトとバイオレットは感心していたが、ネイビーは慌てる。このままでは、剣山に串刺しである。

 しかし、進もうにも眼前から剣山の壁が迫って来ていた。

 

「マジか…‼︎」

「どうしますの、ホワイト‼︎」

「決まってるじゃん‼︎ 来る者は拒まず、阻む者は壊す! だよ‼︎」

「ま、待て‼︎ 去る者は追わずだろ、正しくは⁉︎」

 

 ネイビーは突っ込むが、ホワイトはボウケントンファーを構えていた。

 

「オーバーヒート……クラァァッシュ‼︎」

 

 ホワイトの突き出した高熱の一撃が眼前に迫る壁を破壊した。しかし、後方にいたネイビーとバイオレットも危うく、吹き飛ばされそうになった。

 

「お前‼︎ 少しは加減しろよ‼︎ 味方を危険に晒して、どうすんだよ‼︎」

「でも、これで進めるよ‼︎」

「進むしか無いですわ‼︎」

 

 3人は開かれた道を走り出した。後方からは壁が迫ってくるが、ある部屋に入ると、もう壁は動かなくなった。

 部屋は広く、壁には剣を構えた埴輪が並んでいた。

 

「また、トラップか?」

「恐らく…‼︎」

「だったら、突き進むのみ‼︎」

 

 ホワイトは一人で走り出した。しかし、埴輪はピクリとも動かない。ネイビー、バイオレットも後に続くが…。

 と、ホワイトの右の埴輪が剣を振り下ろして来た。ホワイトは辛うじて躱す

 が、今度はネイビーの方だ。

 ネイビーは、その場に屈んで躱して、バイオレットもジャンプして躱す。

 

「なんだ、この罠はよ‼︎ ネガティヴの仕掛けた罠か⁉︎」

「これは、サージェスの仕掛けた罠ですわね! プレシャニウムを奪われない為の防衛ですわ‼︎」

「あ、あれ見て‼︎」

 

 埴輪トラップを切り抜けると、今度は地下へと続く階段があった。ホワイトは階段に脚を踏み入れようとしたが…

 突然、壁をぶち破って、何かが飛び込んできた。

 

「お次はなんだ⁉︎」

 

 ネイビーが身構えると、それは頭部に三日月型の飾りが付いた埴輪の武者だ。しかし、それ以上に右手に持つ巨大な刀が目に入る。

 

「これも、サージェスの仕掛けか⁉︎」

「一々、聞かないで下さる⁉︎」

「来るよ‼︎」

 

 埴輪武者はホワイト達を見ると、問答無用で斬り掛かってくる。しかし、その動きは一定のリズムにあって、ホワイトはその動きを見抜いた。

 

「二人共‼︎ この埴輪は背中を見せたら襲ってくる仕掛けなんだ‼︎ 埴輪から視線を逸らさずに、ゆっくりと進もう‼︎」

「何だよ、それ⁉︎ 熊じゃねェんだぞ⁉︎」

「そんな器用な進み方、やった事ないですわよ⁉︎」

「頑張って‼︎」

 

 ホワイトに促され、三人は埴輪武者に目を合わせながら階段へと向かう。成る程、確かに埴輪武者は不動のままだ。

 階段まで辿り着いた三人は、一気に階下へと走り出す。

 

「ね⁉︎ 大成功だよ‼︎」

「たまたまだろ⁉︎」

「何にせよ、さっさとプレシャニウムを見つけないと…‼︎」

 

 バイオレットは、スーパーアクセルラーを見てみると、アクセルラーが強く反応していた。どうやら、目的のブツは近くにあるらしい。

 やがて、一際に巨大な部屋へと辿り着いた。

 

「此処にプレシャニウムが?」

「反応はしてるけど……」

 

「そこまでだァァッ‼︎」

 

 一面を見回す三人の目の前に、天井から巨大な影が降りて来た。

 

「ハッハッハッハッ‼︎ まんまと罠に掛かったな、ボウケンジャー!」

「ツルギ‼︎」

 

 それは、ネオ・クエスターズの一人であるツルギだ。彼は鎧武者の様なロボットに、まるで座る様に搭乗している。 

 

「ラアナ様は今頃、プレシャニウムの場所だ‼︎ 貴様等は、この吾輩が開発したツクモロボアーマー《ツルギローダー》の餌食になるのだ‼︎」

 

 ツルギは自信満々に、ツルギローダーを操作した。見てみれば、右手には巨大な刀、左手には盾を構えている。

 どうやら、こいつを倒さなければ先に進めないらしい。

 

「俺に任せな‼︎ バイアスワインダー、ラウンドサイクロン‼︎」

 

 ネイビーは、バイアスワインダーを回転させて突風を起こす。しかし、ツルギローダーには傷一つ付かない。

 

「フリーズライオット、フルショットブリザード‼︎」

 

 バイオレットも氷結の弾丸を連射する。それでも、ツルギローダーは全く寄せ付けない。

 

「無駄だ、無駄だ‼︎ この天才のツルギ様の開発したツルギローダーは、ちょっとやそっとでは絶対に壊せん‼︎」

「ふ〜ん? ちょっとやそっとじゃ壊れないんだ? それ、フラグだよ‼︎

 

 デュアルクラッシャーG、クルーザーヘッド‼︎」  

「な、なぬ?」

 

 ホワイトは、デュアルクラッシャーGを構えた。ネイビー、バイオレットが後ろから支える。

 

「レディ…GO‼︎」

 

 ホワイトがトリガーを引くと、高圧水流がツルギローダーに直撃した。ローダーを貫通した状態で壁へと激突させ、哀れにツルギローダーは見るも無惨に壊れてしまった。

 

「ごめんね‼︎ 私達、急いでるから‼︎」

 

 瓦礫の山と化したツルギローダーを乗り込え、プレシャニウム回収に向かった。ローダーの瓦礫の中から、ツルギが這い出て来た。

 

「トホホ……吾輩の扱い、軽すぎる……」

 

 そう、ツルギは呟いて気を失った……。

 

 

 

 ホワイト達は先を急ぐが、再びホワイトは肩を押さえていた。

 

「大丈夫か、ホワイト⁉︎」

 

 ネイビーが尋ねると、ホワイトは親指を立てて…

 

「へ、平気…‼︎ ちょっと痛いだけ…‼︎」

 

 と、言ってみせた。しかし、デュアルクラッシャーGを短時間で二回も使用したのは、ホワイトの身体に負担を掛けていた。ネイビーは無理をしているであろうホワイトを気遣うが、今はそれどころでは無いのも事実だ。

 やがて、隠し倉庫と思しき扉を見つけたが、既に扉は開かれていた。三人は慌てて、中に入るが肝心のプレシャニウムは無くなっていた。

 

「‼︎ プレシャニウムは⁉︎」

「ちッ‼︎ 遅かったか⁉︎」

「まさか、既にネガティヴの手に⁉︎」

 

 〜オーッホッホッホッホッ!!! そのまさかよ‼︎〜

 

 倉庫に置かれた通信機から、ラアナの声が響く。

 

 〜やっと来たのね、のろま達‼︎ 察しの通り、プレシャニウムは全て私達が頂いたわよ‼︎〜

「プレシャニウムを動かしたら、2時間以内にミュージアムに運ばないと大爆発しますのよ⁉︎ 貴方も死ぬ事になりますわ‼︎」

 

 勝ち誇るラアナに対して、バイオレットは忠告した。しかし、ラアナは…

 

 〜あら? それは大変ね? でも、そんな事は百も承知よ‼︎ 2時間も有れば、プレシャニウムの中からエネルギーを抽出する事など容易いわ‼︎〜

「エネルギーを抽出⁉︎ んな事、お前等に…⁉︎」

 〜出来るわよ‼︎ このラアナ様に掛かれば、それくらい簡単なのよ‼︎ さてさて……アンタ達には今迄、散々、邪魔をしてくれた御礼をしてあげなくちゃね‼︎

 

 ドゴラン! 出番だよ‼︎〜

 

「ドゴラァァァン‼︎」

 

 叫び声と共に壁を破壊し、ドゴランが姿を現した。しかし体躯は何時もより大柄で、右腕にはハンマーに似た鈍器を、左腕にはドリルに似た槍を装備している。

 

 〜ドゴランは、ジャリュウ一族では一番、幼いがね……それは、何も子供だからじゃ無い。そいつは、リュウオーンによって、最後の最後に創り出された邪悪竜さ‼︎

 ボウケンジャーへの対策として創られ、力のみに特化して改造を施されている! だが、可哀想に知能は恐竜よりか幾分かマシ程度の知能しか無くなったがね……叡智を犠牲にした結果、ドゴランはジャリュウ一族で随一の力を手に入れた……戦えば戦うほど、その力が増していくと言う特性をな‼︎〜

 

 ラアナの説明を終えた途端、ドゴランはハンマーを振り回しながら、ボウケンジャー達に突っ込んで来た。

 辛うじて躱すホワイトだが、振り下ろされたハンマーは石造りの壁を破壊して粉微塵とした。

 

「確かにパワーアップしてやがる‼︎ 前よりも強いぞ‼︎」

 

 ドラゴンのパワーを見たネイビーは戦慄する。しかし、バイオレットはフリーズライオットを構えた。

 

「凍り付きなさい‼︎ フルショット・ブリザード‼︎」

 

 放たれた氷結の弾丸がドラゴンに全弾、命中した。それにより、ドラゴンは凍り付き動きを止めるが…

 

「ドゴラァァァァァァッ!!!」

 

 全身を覆う氷を力尽くで破壊するドラゴン。今度は、ホワイトが前に立ち…

 

「オーバーヒート…クラァァッシュ!!!」

 

 ボウケントンファーを突き出し、ドラゴンの腹部を叩き付けた。しかし、ドラゴンはビクともしない、と言った風だ。

 更にホワイトはドゴランの後ろに倒れる人の姿に眼を疑った。

 

「お、お母さん⁉︎」

 

 倒れていたのは、雪歩の母である紅葉だ。しかし、その事に気を取られたホワイトはドゴランの接近を許してしまった。

 

「ドゴラァァッ!!!」

 

 ドゴランはハンマーを横スイングに振り回して、ホワイトの左横腹を打ち付けた。そのまま、ホワイトは壁へ叩き付けられる。

 

「ゆ、雪歩ォォッ!!?」

 

 ネイビーは倒れ伏すホワイトに駆け寄る。アクセルスーツのお陰で致命傷にはなってない筈だが、ダメージは大きい筈だ。

 

「大丈夫か、雪歩⁉︎」 

「な、何とか……痛ッ‼︎」

 

 ホワイトは上体を起こしながら右肩を抑える。さっきのデュアルクラッシャーGを立て続けに二発も撃った反動で痛めていた右肩に、更なるダメージが蓄積された。ネイビーはホワイトを座らせた。

 

「お前、少し休んでろ‼︎ その肩じゃ、もう戦えねェ‼︎」

「で、でも……お母さんが……‼︎」

 

 痛みに耐えながら、ホワイトは倒れる紅葉を指差す。

 

「任せろ‼︎ 俺が何とかするから‼︎」

「こ、紺君……菖ちゃんが……‼︎」

 

 バイオレットは単身にて、ドゴランと対峙していた。しかし、ドゴランの耐久力の前にはバイオレット一人では太刀打ち出来ない。

 

「こ、このォォ……木偶の方がァァッ‼︎」

 

 バイオレットは叫びながら、フリーズライオットを撃ち込むがドゴランに決定打を与えられない。

 

「……紺君……お願いがあるの…‼︎」

「何だよ、こんな時に⁉︎」

「……私を……‼︎」

 

 ホワイトはネイビーに何かを耳打った…。

 

 

 

 バイオレットは、その後も何発もフリーズライオットを撃ち続けた。しかし、ドゴランは止まってくれず、とうとうエネルギー切れで弾が出なくなった。

 

「クッ‼︎ サバイバスター・カスタムで‼︎」

 

 すかさず、サバイバスター・カスタムを装備し、ドゴランを狙撃するが、やはり怯む事すら無い。

 とうとう追い詰められたバイオレットは、歯軋りする。

 

(なんて不甲斐ない……たった一人では、この体たらくとは……‼︎)

 

 バイオレットは己の力の足りなさを呪った。これまで、戦ってこれたのは自分一人の力では無く、三人で力を合わせていたからだった。

 だから、バイオレットは戦いに専念出来たし、別に仲間が居なくともどうとでもなれる筈だった。

 だが実際には一人では、この有様である。

 

(雪歩……紺亮……助けて……‼︎)

 

 バイオレットは心中で二人に助けを求める。と、ドゴランが突然、動きを止めた。

 

「?」

 

 ドゴランは振り返ると、ホワイトを支えるネイビーがバイアスワインダーでドゴランの足を縛り付けていたのだ。

 動きを封じた隙に、ホワイトとネイビーはバイオレットに並び立つ。

 

「ゴメン、バイオレット! 遅くなって‼︎」

「すまねェ‼︎」

 

 自分のピンチの刹那、二人は助けに来た。しかし、バイオレットは呆気に取られたまま、呆けていた。

 

「な、何で?」

「何でって……仲間だから当たり前じゃん」

「分かりきった事、聞くなよ」

 

 さも当たり前だろ、と言わんばかりにホワイトとネイビーは答えた。

 

「仲間」

 

 自分には不要な物だった。いつだって、一人で全てこなして来た。幼い頃から勉強もスポーツも、そして冒険も……。

 植村菖は優秀だった。しかし、それは常人としては優秀であり、ボウケンジャーとしては、まだまだ発展途上だった事を思い知った。

 そんな自分を仲間と認め、支えてくれる二人の存在は、バイオレットにとって掛け替えの無い宝となっていた。

 

「……全く‼︎ 戦闘を放棄するなんて、プロのする事ではありませんわ‼︎ フォローをさせられる、こっちの身にもなって下さいな‼︎」

 

 つい、プライドの高さ故に素っ気なく返すバイオレット。ネイビーは呆れた様に…

 

「素直に『ありがとう』って言えねーのか⁉︎」

 

 と、悪態を吐いた。反面、ホワイトは…

 

「でも、そっちが菖ちゃんらしいや‼︎」

 

 と、笑いながら言った。その後、菖はヘルメットの下で二人には届かない小さな声で…

 

「……ありがとう」

 

 と、呟いた。

 

 

 そうしてる間に、ドゴランはバイアスワインダーを引き千切り、動き出そうとしていた。

 ホワイトは、その刹那を待っていた。デュアルクラッシャーGを取り出して構える。

 

「な、何する気ですの?」

 

 バイオレットは、ホワイトの行動が読めずに叫ぶ。ホワイトは、振り返りながら言った。

 

「ゼロ距離から、デュアルクラッシャーGを撃ち込んでやるの‼︎ そうすれば、きっと倒せるよ‼︎」

「お前の言ってた“良い考え”って、これかよ⁉︎ お前、今日だけで三発も撃ってんだぞ⁉︎」

「無謀ですわ‼︎ 下手したら、貴方の命も……」

 

 確かにゼロ距離からの砲撃なら、ドゴランにダメージを与えられる。しかし、その際に生み出す反動は桁違いだ。

 だが、ホワイトは…

 

「大丈夫だよ! 二人が居れば、何だって大丈夫‼︎」

 

 と、言って見せた。これには、ネイビーもバイオレットも呆れてしまう。

 

「…ったく‼︎ お前はレベルを上げて物理で殴る、の典型かよ⁉︎」

「……根性論で、どうにかなる問題では無いでしょうに……‼︎ あー、もう‼︎」

 

 バイオレットは怒りながらも、ホワイトの身体を支えた。

 

「貴方みたいな、無鉄砲な人を放っておけませんわ‼︎ こうなったら、とことん付き合ってあげますわよ‼︎」

「しゃーねェな‼︎ もう破れかぶれだ‼︎ どうにでもなれ‼︎」

 

 ネイビーもホワイトを力強く支える。意を決したホワイトは、ドゴランを見据える。身体は何処もかしこも、堅牢である。だが、顔だけはダメージが通るのを知っていた。

 ドゴランが大口を開けた所を見計らい、ホワイトはトリガーを引き絞った。

 

「レディ……GO!!!」

 

 最大出力にセットしたデュアルクラッシャーGから、高圧水流が放たれた。ドゴランの口の中に撃ち込まれた水流は、その巨体を後退させながらドゴランを吹き飛ばした。壁にまで叩きつけられたドゴランは、そのまま気を失ってしまう。

 

「や…やった……‼︎」

 

 ホワイトは勝利を確信したが、そのままへたり込み、デュアルクラッシャーGを落としてしまう。

 

「だ、大丈夫か⁉︎ ホワイト⁉︎」

「やっぱり、無茶だったんですわ‼︎」

「……った….」

「どうした⁉︎ 痛むのか⁉︎」

 

 ネイビーはホワイトを不安げに聞いた。

 

「……お腹減った……」

 

 ホワイトの呟いた返答に、2人は脱力した。

 

「ハァ⁉︎ 心配させといて、それかよ⁉︎」

「……全く……心配して損しましたわ‼︎」

 

 2人は口々に非難するが、内心でホッとしていた。こんな軽口を叩けるなら、大丈夫だろう。

 だが、その時、室内が揺れ始めた。

 

「な、何だ⁉︎ 地震か⁉︎」

「もしかして、さっきのショックで部屋が崩れそうなんじゃ……⁉︎」

「んな、テンプレな約束、要らねェよ⁉︎」

 

 ネイビーは喚き散らし、バイオレットは冷静に分析した。そうしてる間に、壁や床に亀裂が入り、天井から瓦礫が落ちて来た。

 気を失っている紅葉の周りにも、岩が囲み始めた。

 

「お、お母さんが…‼︎」

 

 ホワイトは疲労と痛みを押し殺しながら、気を失う母の下に向かう。覚束ない足取りで、紅葉に近付いた。

 

「お母さん! お母さん‼︎ 起きて‼︎」

「……ン……‼︎」

 

 ホワイトの声に反応した紅葉は目を覚ました。

 

「……だ、誰? 貴方……?」

 

 紅葉は、目の前に居るのが娘だと気付いていない様子だ。だが、母が無事だった事にホワイトは安堵した。

 その瞬間、ネイビーは声高に叫ぶ。

 

「ホワイト‼︎ 早く逃げろォォッ!!!」

 

 ネイビーが叫ぶのも遅く、2人の真上に瓦礫の山が迫って来ていた。ホワイトは逃げだそうとするが、もう間に合わない。

 

「雪歩ォォ!!!」

「止めろ、菖‼︎ お前まで潰されちまう‼︎」

「離して‼︎ 私に、また仲間を死なせろと⁉︎」

 

 走り出そうとするバイオレットをネイビーは引き止める。だが、何をしようとも手遅れだ。

 瓦礫はホワイトと紅葉もろとも、埋め尽くしていった。

 

「いやァァァァ!!! 椿ィィィィ!!!」

 

 バイオレットは悲痛な叫びを上げる。事故死した親友の顔がフラッシュバックしたらしく、いつもの冷静な様子は無く、酷く狼狽していた。

 ネイビーも両膝を突いて絶望していた。

 

「……畜生……嘘だろ……雪歩……‼︎」

 

「心配要らない。2人共、無事だ」

 

 2人の真上から声がした。見上げると、其処にはホワイトと紅葉を両脇に抱えた仮面ライダーディエンドの姿があった。

 

「ディエンド⁉︎ 貴方が助けてくれたの⁉︎」

「……少し、ダイエットしたまえ、ホワイト。重過ぎる」

「な⁉︎ そんなに太ってないもん‼︎ 失礼だよ‼︎」

 

 ディエンドは軽口を言って、ホワイトを下ろした。ホワイトは体重を揶揄された事に憤慨した。

 しかし、何にせよディエンドのお陰で助かったのは事実。ホワイトは気を取り直して、ディエンドに礼を言った。

 

「…でも、ありがとう‼︎ 助かったよ」

「……礼など要らない……。だが、僅かでも油断は許されない。死んだら元も子もないだろう……」

「……う……」

 

 ディエンドの口から飛び出した叱責に、ホワイトは肩を竦める。

 

「一人前の冒険者を名乗るなら、これくらいの事は危機回避出来なければ、お話にならないだろう?」

「……ご、ごめんなさい……」

「私に謝られても困る。君達自身の問題なのだから」

「アンタに説教される覚えは無ェよ‼︎ 俺等の仲間でも無ェ癖に‼︎」

 

 ネイビーが、ディエンドに噛み付いた。しかし、ディエンドは失笑した。

 

「確かに仲間では無い……だが、君達に死なれたら寝覚めが悪そうだからね……まァ、気紛れの延長だと思ってくれれば良い」

「ああ⁉︎」

「よしなさいな。彼が居なければ、私達は危なかったでしょうに……」

 

 バイオレットに宥められ、ネイビーは押し黙った。

 

「ほら、うかうかしている場合じゃ無い。プレシャニウムをネガティブに奪われたら、大変な事になる。

 この部屋ももう保たないし、今すぐ外に出よう」

「今すぐって…⁉︎」

 

 そう言ったディエンドは指をパチンと鳴らす。すると、4人の周りに光が包み込み、光が収まると同時に4人の姿は無くなった居た…。

 

 

 次回予告

 

 プレシャニウムを奪ったラアナと対峙したボウケンジャー達。しかし、ラアナの仕掛けた罠と攻撃からプレシャニウムが爆発の危険が出てくる!

 雪歩達は、プレシャニウムを無事にサージェスへ運搬出来るのか⁉︎

 

 次回! 轟轟戦隊ボウケンジャーReturn−White

 

 task16 プレシャニウムを運べ‼︎

 

 雪歩「まずいよ、このままじゃ爆発しちゃう‼︎」

 紺亮「何とかならねーのかよ⁉︎」

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