轟轟戦隊ボウケンジャー Return−White.adventure   作:竜の蹄

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新作を投稿します。
今回は前編と後編に分けての投稿です。


task16 プレシャニウムを運べ! 前編

 ホワイト達が攻防を繰り広げていた頃……古墳内部の別の部屋でも、また戦いがあった。

 風のシズカが、B.E.を名乗る者達からの襲撃を受け、辛くも退けたが、B.E.達は、まだ自分を探している。

 壁に成りすまして逃げ出すチャンスを窺っていたが、B.E.達は追ってこないと見え、シズカは隠れ蓑を外す。

 

「……どうやら、撒いたみたいね……。B.E.が出てくるなんて聞いてないわよ……‼︎」

 

 ぶつぶつと文句を言うシズカだが、懐に入れてあったもう一つのスマホを取り出す。スマホには『非通知』と記されていた。

 シズカは、その非通知をタッチして、通話状態にした。

 

「もしもし⁉︎ 約束、普通に反故にされたんだけど⁉︎ て言うか、B.E.が出てくるとか、冗談じゃ無いわよ‼︎ 危うく、殺されかけたわ⁉︎」

 

 シズカは怒り混じりに、通話相手を怒鳴った。すると、通話先の相手の声がした。

 

 〜済まないが、長くは話せない……この場所も、ジョルダーナ会長に特定されてしまった……隠れ家を変えなくてはならない……〜

「知らないわよ‼︎ 大体、アンタ、私にサージェスの情報を探らせるとか、何時から私は、アンタの体のいい情報屋になったのよ⁉︎」

 

 シズカは激昂しながら言った。対して、通話相手は冷静だ。

 

 〜今の俺達は、信用出来る人間は数が少ない。そこを行くと、ダークシャドウの君なら、何度も戦った仲だ。味方以上に信用出来る……〜

「勝手な事を言わないでよ‼︎ 言っておくけど、私はアンタ達を味方する気はさらさら無いわよ‼︎ 飽くまで、サージェスのやり方が気に入らないのと、ダークシャドウを復興させるのが本星なんだからね‼︎」

 〜分かってる……だからこそ、君の力が必要だ。サージェスの情報は逐一、知らせて欲しい……また、連絡する……〜

 

 そう言って、通話相手は通称を切った。シズカは舌打ちをする。

 

「…ッたく、勝手な奴なんだから‼︎ まあ、良いわ……ダークシャドウが復活したら、一番に叩き潰してやるわ……“不滅の牙”‼︎」

 

 そう言って、シズカは、その場から去る。しかし、その話を陰から聞いていた者がいた。

 ドゴランとツルギである。2人共、ボウケンジャーのダメージから立ち直り、脱出する刹那、シズカの姿を見て後を付けていたのだ。

 

「シズカの奴……一体、何を企んでいる? それにしても、不滅の牙だと? 奴が、サージェスと敵対しているのは事実だったのか?

 これは、いい事を聞いたぞ‼︎」

「ドゴラン……」

 

 ツルギとドゴランは、その場から立ち去り古墳からの脱出を試みた……。

 

 

 

「オーッホッホッホッ‼︎ プレシャニウムを全て、確保したわよ‼︎」

 

 ラアナは高笑いを上げながら、カース達にプレシャニウムを積み込ませていた。じきに古墳は崩落する。しかし、ドゴランとツルギは出てこない。

 

「……どうやら、ドゴランもツルギもやられたらしいね……ま、仕方がない‼︎ 元々、奴等とは利害関係での仲間だったしね‼︎ プレシャニウムは全て、ラアナ様が独り占めさ‼︎ このプレシャニウムの力で更に力を付けて、プレシャトピアをも我が物とし……行く行くは、このラアナを筆頭にした新生ゴードム文明を復興させるわよ‼︎ オーッホッホッホッ!!!

 

 勝ち誇りながら、ラアナは笑い続ける。しかし、その彼女の前に、ボウケンジャー達が突然、姿を現した。

 ラアナは驚愕しながら、ボウケンジャー達を見る。

 

「な⁉︎ アンタ達、何処から現れたの⁉︎」

「見つけたよ、オバさん‼︎ さっきは、よくもやったな‼︎」

 

 出会い頭、ホワイトの煽りを受けて、ラアナは顔を歪める。

 

「お黙り、小娘‼︎ あのまま、古墳の中で眠っていれば良かったものを、むざむざ殺されに来るとはねェ‼︎

 良いだろう……このラアナ様が直々に、お前達を始末してやろう! 光栄に思え、ボウケンジャー‼︎ 未来のゴードム文明の女王となる私の力を、死ぬ前に見れるのだからな‼︎」

 

 そう叫ぶと、ラアナは槍杖を振り上げ、ブツブツと呪文を唱え始めた。と、同時にカースの掲げるプレシャニウムから煙のような物が噴き出し、ラアナの身体に吸収されていく。

 

 《我、ゴードムの末裔、ラアナが命ず! プレシャニウムに秘められし、ゴードムの力を我が身に取り込まん‼︎

 かァァァァァァッ!!!》

 

 やがて、大きな爆煙が舞い上がる。辺り一面を覆い尽くすと、咄嗟に煙を切り裂いて中から異形の女が姿を現した。

 

「オーッホッホッホッ‼︎ 我が名は邪鬼妃ラアナドム‼︎ プレシャニウムの力と、その中に流るるゴードムの力にて誕生したゴードムの女王ぞ‼︎

 卑き下等な猿共め‼︎ 妾の前に平伏せよ‼︎」

 

 ラアナ改め、邪鬼妃ラアナドムは高らかに名乗る。頭部の冠は三叉に分かれて、猛禽類の足の様だった。また、両肩には翼の様に展開した肩当てが装備され、その肩の左右には鳥の頭を思わすオブジェが装着されていた。

 槍杖は無くなっていたが、代わりに左腕に鳥の頭を模した小手が装備される等、パワーアップを遂げていた。

 

「おい⁉︎ あいつ、プレシャニウムの力でパワーアップしやがったぞ‼︎」

 

 ネイビーは、ラアナドムの姿に驚愕する。だが、驚くのは、それだけでは無い。

 

「それだけじゃなくてよ‼︎ 会長が言っていた事を忘れたの⁉︎ プレシャニウムは外気に触れると、2時間で力を失い石ころとなってしまうって‼︎」

「じゃあ、2時間以内にラアナを倒して、プレシャニウムをミュージアムに運ばないと行けないって事⁉︎」

「正確には後、1時間30分しかありませんわ‼︎」

「そんなの、とんだ無理ゲーじゃ無ェか⁉︎」

 

 バイオレットの説明に、ホワイトとネイビーは騒ぐ。ラアナドムを倒せたとしても、プレシャニウムをミュージアムに輸送出来なければ、任務は失敗だ。

 しかし、ホワイトはラアナドムと対峙した。

 

「無理じゃないよ‼︎ やるしか無いじゃない‼︎ 私達は、ボウケンジャー‼︎ ネガティブにプレシャスを奪われたら、ボウケンジャーの名折れだよ‼︎」

「……ホワイト……そうですわね‼︎ 言い訳なんて、プロのする事ではありませんわ‼︎ 無理な事でも、やり遂げる事が真の冒険者ですわ‼︎」

「……ったく‼︎ 仕方無ェな‼︎ やるだけやったるぜ‼︎」

 

 バイオレットの言葉に、ネイビーも同意した。しかし、ラアナドムは高笑いを上げながら、カース達に命令した。

 

「さァ、カース達よ‼︎ お前達にも、力を分け与えるよ‼︎ ボウケンジャー共を血祭りに上げておしまい‼︎」

 

 ラアナドムから力を受け取ったカース達は、一斉にボウケンジャーに襲い掛かる。成る程、確かにラアナドムから受け取った力にて、カース達も素早さも攻撃力が強化されている様だ。

 ホワイトはサバイバスター・カスタムをサバイブレードにして、カースに斬り掛かる。だが、カースは臆せずにブレードを手で掴み、ホワイトを振り回す。

 

「きゃあァァァッ!!?」

 

 ネイビーもサバイバスター・カスタムでカースを狙い撃つが、まるで当たらないでヒラリヒラリと躱されてしまう。

 

「なんだ、コイツ等⁉︎ 当たってくれねェ⁉︎」

 

 カース達でさえ、ボウケンジャーに対抗し得る戦闘力を有していた。しかし、バイオレットは、フリーズライオットとサバイバスターの二丁拳銃で、カースを一気に倒して行く。

 

「強さは上がっても、元々が大した事が無いのだから、問題ありませんわ‼︎」

 

 バイオレットの激を受け、ホワイトとネイビーも油断をせずに大技にて叩き潰す策を取った。

 ホワイトはボウケントンファーでカース達を叩き潰し、ネイビーはバイアスワインダーで吹き飛ばして行く。

 多少の戦闘力上昇では、カース達にボウケンジャーは倒せない、と踏んだラアナドムは前に出た。

 

「頼りない連中だね! お退き‼︎」

 

 カース達を退かせたラアナドムは、ボウケンジャー達と対峙した。

 

「行くよ、オバさん‼︎」

「オホホホ‼︎ 来な、小娘‼︎」

「オーバーヒート……クラァァッシュ‼︎」

 

 ホワイトが先陣を切り、ラアナドムに突撃するが、その一撃はラアナドムに届く前にバリヤーにて防がれてしまう。

 

「そんな⁉︎」

「オホホホォォ‼︎ そんな緩い攻撃じゃ、蚊だって潰せやしないよ‼︎

 

 喰らいな‼︎」

 

 ラアナドムの左手の手甲、両肩に鳥の顔から放たれたエネルギー弾がホワイトを吹き飛ばした。

 ホワイトは背中から叩き付けられてしまう。

 

「ホワイト、大丈夫か⁉︎」

「しっかりなさい‼︎」

 

 ネイビーとバイオレットは駆け寄るが、ラアナドムはその隙を突いた。

 

「全員、纏めて死んでおしまい‼︎」

 

 と、エネルギー弾を連発して放った。爆発が起きて、ホワイト達は巻き込まれた。

 

『うわァァァッ!!!』

 

 絶叫を上げながら、吹き飛ばされるボウケンジャー。何とか致命傷には至らなかったが、そのショックで変身が解けてしまう。

 

「ああ⁉︎ 変身が⁉︎」

「何だって、こんな時に⁉︎」

「スーパーアクセルラーが⁉︎」

 

 痛みに耐えながら、バイオレットはスーパーアクセルラーを取り出すと、アクセルラーは破壊されていた。

 今の攻撃にて、壊されてしまったらしい。これでは、ボウケンジャーに変身出来ない。

 

「オーッホッホッホッ‼︎ 見たか、ボウケンジャー‼︎ このラアナ様が少し本気を出せば、アンタ達なぞ赤子の手を捻る様な物さ‼︎

 さあ、観念おし‼︎ 一人一人、楽には殺さないよ‼︎ 今日までの屈辱を込めて、ジワジワと痛めつけてやるからね‼︎」

 

 ラアナドムは悪辣に笑いながら、雪歩の腹部を踏み付けた。

 

「うぐッ‼︎」

「ほらほらァ‼︎ 今まで散々、オバさん呼ばわりしてくれたわねェ‼︎ こうしてくれる‼︎」

 

 ラアナドムは芋虫の様に疼くまって背中を見せた雪歩の背を、執拗に蹴り続けた。

 更には左手の手甲から電撃を放ち、雪歩に浴びせに掛かる。

 

「あああァァァッ!!!」

 

 雪歩は電撃の激痛に耐えながら叫ぶ。紺亮は身体を何とか起こして、雪歩を見た。

 

「……や、止めろッ……‼︎ 止めてくれ……‼︎」

「邪魔をするんじゃ無いよ‼︎ 小娘の次はお前達だ‼︎

 オーッホッホッホッ‼︎ 良い眺めだ事‼︎ ほらほら、もっと良い声で鳴きなさいよ‼︎」

 

 ラアナドムは弄ぶ様に雪歩に電撃を浴びせる。しかし、雪歩は微動だにしない。

 

「なァに? もう伸びたの? まだ眠らせてあげないわよ! ほら、起きな‼︎」

 

 ラアナドムは雪歩を蹴って仰向けにし、腹に足を置いた。そして力の限り、踏み付ける。

 

「さァ、ボウケンホワイト‼︎ もっと、妾を楽しませな‼︎」

「……うるさい……」

「何ですって?」

 

 雪歩がポツリと呟いた言葉に、ラアナは耳を傾ける。

 

「……うるさい……キーキー声で……喚かないで……オバ……さん……‼︎」

 

 雪歩は痛みに耐えながら、ラアナドムを煽った。その一言に、ラアナドムは完全にキレた様子だ。

 

「……とことん、憎たらしい小娘だね‼︎ なら……死にな‼︎」

 

 ラアナドムは足を振り上げ、雪歩の顔面を踏みつけに掛かった。と、其処に一枚のカードがラアナドムの腕に当たった。

 

「? 何よ、これは? カード?」

 

 ラアナドムは腕に刺さったカードを見るが次の瞬間、ラアナの上半身が爆発した。雪歩は爆風によって、紺亮達の下に投げ出される。

 

「雪歩‼︎ しっかりしろ‼︎」

「大丈夫ですの⁉︎」

 

 紺亮と菖は雪歩に駆け寄る。ラアナドムは爆風を掻き分け、怒り狂いながら出てきた。

 

「きイィィィッ‼︎ 何処の誰よ‼︎ 妾の楽しみをぶち壊すのは⁉︎」

「それは、私だ!」

 

 ラアナドムの頭上から声がしたと思いきや、ディエンドが颯爽と現れた。

 

「アンタは仮面ライダーディエンド‼︎ アンタにも借りがあったわね‼︎ よくも、あの時は……‼︎」

「さあ、何の事かな? 私は過ぎた事は忘れる事にしている……」

「……舐めた真似を……‼︎ て、何だ⁉︎」

 

 ラアナドムは怒り狂いながら辺りを見回す。すると、ディエンドが正面に立ちながら、左右と後方に赤いマスクを被った見慣れない戦士達に包囲されていた。

 

「な、何だい⁉︎ コイツ等は⁉︎ ボウケンジャーかい⁉︎」

「違う。彼等は別の世界の戦隊レッドだ。

 君の右にいるのがゴセイレッド、左にいるのがキョウリュウレッド、後ろにいるのがアカニンジャーだ!」

 

 ディエンドの紹介にゴセイレッド、キョウリュウレッド、アカニンジャーが同時に身構える。

 

「ハッ⁉︎ 何だい、赤いのばっかり連れてきて‼︎ アンタは紅生姜が好きな交通巡査かッ、つーの‼︎」

 

 ラアナドムの訳の分からないツッコミをスルーしながら、ディエンドは指を鳴らす。

 ゴセイレッドはゴセイブラスターを、キョウリュウレッドはガブリボルバーを、アカニンジャーはガマガマ銃を構えた。

 ディエンドもディエンドライバーを構えながら、ラアナドムに向ける。

 

「撃て‼︎」

 

 ディエンドの指示で、全員が一斉に射撃した。色とりどりの光弾がラアナドムに命中する。

 

「きゅあああァァァッ!!! やったねェェェッ!!!」

 

 ラアナドムは激怒し、エネルギー弾を連射した。しかし、赤い戦士達に直撃した筈なのに、しれっとした様子で攻めてくる。

 

「な、何で倒れないんだい⁉︎」

「彼等は幻だ。実態伴う攻撃はすれど、攻撃は当たらない。倒されたとしても、私には一切、ダメージは当たらない」

「そんなの反則じゃ無いか⁉︎ このチーターめ‼︎」

「君にだけは言われたく無いな」

 

 ラアナドムの叫びを流しつつ、ディエンドは済まして言った。後ろで倒れる雪歩に対して、ディエンドは……

 

「其処で寝ていたまえ。君達では役不足だ……。どうしても挑みたいなら……ジャケットの裏にある物を使え」

 

 と、だけ言い残し、ラアナドムへと挑みかかった。雪歩は目を細めながら、その言葉を聞いていた。

 

 

 

「おい、雪歩‼︎ しっかりしろ‼︎」

 

 紺亮は雪歩を抱えながら呼び掛ける。雪歩の口から血が流れて、見るからに痛々しい様子だったが、雪歩は目を開けた。

 

「……ゴメン……どじっちゃった……」

「……全く……あまり、心配させないで‼︎」

「……え…へへへ……」

「…馬鹿‼︎ 笑ってる場合かよ⁉︎」

 

 菖が涙ながらに雪歩を叱責するが、雪歩はクスクスと笑う。紺亮も怒鳴った。

 

「……二人共、私を心配してくれたんだ……。う、嬉しいな……」

「……こんな時に冗談は止めて下さらない‼︎」

「……私なら……大丈夫だよ……! こんな事で負けない……」

 

 雪歩は身体を起こしながら言った。二人共、驚いていた。

 

「無理に動くな‼︎ お前、身体がガタガタなんだぞ‼︎ これ以上、無理したら……‼︎」

「無理なんかして無い……‼︎ 私達は、ボウケンジャーだよ……‼︎ どんな困難も強敵も、乗り越えて行けるよ……‼︎ だって……私を支えてくれる仲間が居るから……‼︎」

「……もう、貴方って言う人は……‼︎」

「……だがよ……アクセルラーは壊されちまった……! もう、ボウケンジャーに変身出来ないぞ……」

「大丈夫だよ……‼︎ まだ、これがある…‼︎」

 

 雪歩は懐がある物を取り出す。それを見た二人は目を丸くした。

 

「……これって?」

「影斗さんが、前に教えてくれたの。もし、戦いの中で本当に危なくなったら、ジャケットの裏ポケットにある“これ”を使えって……。

 ディエンドに言われるまで忘れてた……」

 

 そう言った雪歩の顔は勝算があった……。

 

 

 ディエンドは三人の赤い戦士達との連携で、ラアナドムを追い詰めて行く。やがて、ラアナドムは包囲されていた。

 彼女の頭上に、ディエンドライバーを突きつけながらディエンドは不敵に言った。

 

「チェックメイトだ、ラアナドム。プレシャニウムを置いて、立ち去り給え。敵とは言え、その下にある美しい素顔を傷付けるのは忍びない」

「う、美しい…⁉︎ な、何を言うの⁉︎ 私は、ゴードムの末裔……恋に現を抜かす事など……」

「恋とは人もゴードムも関係ない。好きになれば、それで良いじゃ無いか……」

「……ディエンド……なら、妾を貴方の側に置いてくれるの?」

 

 戦闘中に関わらず、ラアナドムはディエンドの甘い言葉に蹌踉めきそうになりながら、うっとりと呟いた。

 すると、ディエンドは…

 

「……それは出来ない……私と君は結ばれない定めだ……何故なら……」

「何故なら?」

「……私は年増には興味は無い。煌めき輝くプレシャスにしか魅力を感じないのだ」

 

 と、素っ気なく吐き捨てた。その言葉を聞いたラアナドムは全身から怒気を発した。

 

「きィィィィィィッ!!! オバさんならまだしも、年増ですってェェ!!! 妾の純情を弄んでくれたわねェェェ‼︎ 殺す! 殺す‼︎ 絶対、殺す!!!」

 

 ラアナドムは怒り狂いながら、エネルギー弾を連発した。三人のレッドは姿を消し、ディエンドはバリヤーを張って躱した。

 

「ディエンド‼︎」

 

 雪歩達がディエンドの隣に立つ。

 

「もう、大丈夫なのか?」

「うん‼︎ これを使う‼︎

 

 雪歩は、懐からスーパーアクセルラーを取り出す。さっき、ラアナドムに破壊された筈なのに…。

 

「スペア・アクセルラー‼︎ データをバックアップさせてあるから、本体のアクセルラーが壊れても、変身出来る‼︎」

「す、スペア・アクセルラーだと⁉︎ そんなの卑怯な⁉︎」

「卑怯なのは、どっちだよ⁉︎」

 

 ラアナドムの罵声を紺亮は突っ込む。だが、そうしてる間に3人はボウケンスーツを身に纏う。

 しかし、ラアナドムの身体からエネルギーが噴き出す。

 

「小賢しい雑魚共めェェ‼︎ ゴードムの力の真髄を見せてやるよォォッ!!!」

 

 次の瞬間、ラアナドムの身体がみるみると巨大化して行く。そして巨大魔人と化したラアナドムは左手の手甲からエネルギー弾を連発して発射する。

 その威力は古墳の一部を抉る程だ。

 

「…これは拙いね…。さて、ボウケンジャーの諸君! この場は君達に任せるとしよう。アデュー‼︎」

 

 そう言い残し、ディエンドは姿を消した。ネイビーは憤慨して…

 

「ッて、当たり障りない言い方してるけど、逃げるだけじゃ無ェか‼︎」

「先ずは、こっちを倒すのが先決ですわ‼︎」

「バイオレット‼︎ タイムリミットはあと、どのくらい?」

「…あと…一時間も無いですわ‼︎」

「…つまり、一時間でケリを付ければ良いんだね⁉︎」

「話聞いてました⁉︎ 一時間もありませんの‼︎」

 

 軽く言ったホワイトに対し、バイオレットが烈しい口調で突っ込む。ラアナドムを倒して、ミュージアムに運ぶまでに一時間以内に決着を付けないといけないのだ。

 しかし、ホワイトは…

 

「大丈夫だよ‼︎ 私達なら、やれる‼︎」

「…また、根拠も無く……‼︎ 仕方ありません、やりましょう‼︎」

「……ああ‼︎ ハイパー・ビークルだ‼︎」

 

『ハイパー・ゴーゴービークル発進‼︎』

 

 《発進シフトオン‼︎ ロコモーティブ! ジープ! スノウ‼︎ GO‼︎ GO‼︎》

 

 スーパー・アクセルラーの操作で、ゴーゴーロコモーティブ、ジープ、スノウのハイパー・ビークル達が発進して来た。

 三人はビークルに乗り込む。

 

 《合体シフトオン‼︎ ロコモーティブ! ジープ! スノウ! ボウケンフォーメーション‼︎》

 

『合体完了‼︎ ダイボウケンmk−Ⅱ ‼︎ ファーストギアイン‼︎』

 

 ダイボウケンmk−Ⅱはラアナドムと相対する。しかし、ラアナドムの放つ電撃をもろに浴びたダイボウケンmk−Ⅱはダメージを受ける。

 

「うわあァァァッ!!!」

 

 ボウケンジャー達もコクピットにて、迸る電撃によっての被害を受けた。しかし、ラアナドムは立て続けに両肩の鳥の頭からエネルギー弾を連発して撃ち出す。

 

「オーッホッホッホ‼︎ そんなデク人形など、妾の敵では無いわ‼︎ むぅゥゥン‼︎」

 

 ラアナドムは翼を広げ、上空へと舞い上がった。

 

「空中から、お前達を嬲り殺してやる‼︎ 覚悟おし‼︎」

「くそッ‼︎ 空中に逃げられちゃ、追い掛けようがねェ‼︎」

 

 ネイビーが悔しげに呻いた。だが、ホワイトが叫ぶ。

 

「ネイビー、私達にも空を飛べるビークルがあるじゃ無い‼︎」

「ゴーゴーコプター……もう、それに賭けるしかありませんわ‼︎」

「……ヨシッ‼︎ 任せろ‼︎ ゴーゴーコプター、来い‼︎」

 

 ネイビーはコクピットのボウケンドライバーのコマンドを《S06》と入力した。

 

 《発進シフトオン! コプター‼︎ GO‼︎ GO‼︎》

 

 ホワイトからの通信を受け取ったミュージアムのラボでは、待機していたゴーゴーコプターのプロペラが回転し、開かれたハッチから飛び立った。

 巨大なヘリコプター型のハイパー・ビークルは雲を突き抜け、他の航空機の横を飛び抜けて行く。

 こうして、ダイボウケンmk−Ⅱの待つ場所へとゴーゴーコプターが参上した。

 

「また、ガラクタを呼び寄せて‼︎ 叩き落としてやる‼︎」

 

 ラアナドムはコプターに攻撃を加えようとするが、コプターの底辺に設置された二門のバルカン砲から放たれた複数発の弾丸により阻止された。

 ネイビーは、ボウケンドライバーを操作し…

 

『合体シフトオン! コプター、パワーオン‼︎』

 

 ボイスと共にコプターは加工し、ダイボウケンmk−Ⅱと縦に並ぶ様に向きを変える。そして、スキッドが左右に展開すると、ダイボウケンmk−Ⅱの背部に連結した。その後、水平尾翼の部分が分離し、テイルローターの部分が変形し拳銃のグリップと引き金が出現した。

 更に分離した二門のバルカン砲が水平尾翼に設置されて、巨大なライフル銃と化す。其れをダイボウケンmk−Ⅱが装備すると…

 

『ダイボウケンmk−Ⅱ・コプター、合体完了! ファーストギアイン‼︎』

 

 空を司るダイボウケンmk−Ⅱの新形態、ダイボウケンmk−Ⅱ・コプターが誕生した。しかし、ラアナドムはせせら笑う。

 

「そんなチャチなプロペラで、このラアナドムに追い抜けるものか‼︎」

 

 嘲笑うラアナドムを尻目に、ダイボウケンmk−Ⅱ・コプターのプロペラが激しく回転した。すると、ダイボウケンmk−Ⅱは飛び上がり、ラアナドムの前に立ち塞がる。

 

「生意気だね‼︎ 叩き落としてやる‼︎」

 

 そう言って、ラアナドムの両肩からエネルギー弾が放たれた。しかし、ダイボウケンmk−Ⅱの背中に設置されたブーストが点火して、光弾を躱した、

 更に、その状態からラアナドムの腹部にハイキックを食らわした。

 

「…凄い‼︎ 機動力なら、ラアナドムを上回っているよ‼︎」

「ああ‼︎ これなら、勝てるかもしれねェ‼︎」

 

 体制を崩したラアナドムに、ダイボウケンmk−Ⅱは右手に持つライフル銃を発砲した。ラアナドムの身体に直撃し、バランスを崩して落下していく。

 

「お、おのれェェェッ!!!」

 

 ラアナドムは怒りの形相で叫ぶ。だが、落下する刹那、完全に隙だらけになったラアナドムは格好の的だった。

 ダイボウケンmk−Ⅱはプロペラより吸収した風圧を、ライフル銃に凝縮していく。圧縮された風圧はライフル銃の銃口に装填され…

 

『トルネードインパルス‼︎』

 

 と、掛け声と共に小さく凝縮された風圧がラアナドムのは腹部に被弾した。そして開放された風圧は強大なエネルギーを生み、ラアナドムを飲み込んだ。

 

「いやあああァァァッ!!!」

 

 凄まじい爆音と共に、ラアナドムの断末魔が響き渡った。その様子を空中よりダイボウケンmk−Ⅱは見下ろしていた…。

 

 

 

 戦いを終え、雪歩達はカース達が運んでいたプレシャニウムを確保した。ラアナが幾つか使ってしまったが、それでも複数は無事だったので、ジョルダーナ会長への面目は立つだろう。

 

「よし‼︎ 後は、ミュージアムへ運ぶだけだな!」

 

 紺亮は言ったが、菖は少し怒った様子だ。

 

「呑気に言ってる場合ですの⁉︎ タイムリミットまで、30分を切りましたわ‼︎」

「マジか⁉︎ なら、一刻も猶予は無ェじゃないかよ⁉︎」

「元々、猶予はありませんわ⁉︎」

 

 紺亮と菖は口論を繰り広げる。しかし、あと30分でミュージアムにプレシャニウムを運搬しないと手遅れとなってしまう。

 その際、雪歩は辺りを見回していた。

 

「お母さんは? お母さんはどうしたんだろう?」

 

「君のお母さんなら、此処だ!」

 

 声の方を見ると、ディエンドが気を失っている紅葉を抱えていた。

 

「気を失ってはいるが、命に別状は無い。あとは、ミュージアムにて治療して貰えれば問題無いよ」

「……そっかァ……良かったァ……」

 

 雪歩は安堵した様に笑う。仲は悪いとは言え、たった一人の母親だ。無事だと聞いて、安堵しない娘は居ない。

 其処に菖の怒号が聞こえて来た。

 

「早くしなさい、雪歩‼︎ 置いていきますわよ⁉︎」

「あ、待って‼︎ 直ぐ行くから‼︎ ディエンド、お母さんを‼︎」

「ああ」

 

 ディエンドから母を受け取り、彼女を肩で支えながら、雪歩は振り返る。

 

「ありがとう、ディエンド。また、助けられたね!」

「御礼は要らない。私の気紛れだ。では、アデュー‼︎」

 

 ディエンドは、そう言い残し、その場から颯爽と消え去った。雪歩は不思議な人だ、と常々に思った。

 味方では無い、と言いつつも、必ず自分達を助けてくれる……自分の目的を果たす為と言いつつもつつ、自分達に道を示してくれる……。

 

「ゆ〜き〜ほ〜‼︎ 本当に置いていきますわよ⁉︎」

「あ〜、待ってよォ〜‼︎」

 

 菖の怒鳴り声を聞いた雪歩は慌てて、待機しているゴーゴーコプターへと向かう。しかし、雪歩が去った後、コプターが舞い上がった後に、側の岩陰からこっそりと顔を覗かせる姿があった。

 ツルギとドゴランである。

 

「ククク……このまま、行かすものか……‼︎ ドゴラン、ラアナ様を船内に運べ‼︎」

「ドゴラン‼︎」

 

 ツルギの命令を受け、ドゴランは歩み去って行く。

 

「ツクモガレオン号、出航‼︎」

 

 ツルギの言葉に巨大な影が頭上を横切るのだった……。

 

 

 〜次回予告‼︎〜

 プレシャニウムを奪取したボウケンジャー達は、ミュージアムへ帰路を急ぐ。しかし、卑劣なるネガティヴ達の妨害により、タイムリミットは刻一刻と迫っていた…‼︎

 

 次回! 轟轟戦隊ボウケンジャー Return−White.adventure

 task17 プレシャニウムを運べ! 後編

 

 ツルギ「貴様等は此処で死ぬのだ‼︎」

 紺亮「死んでたまるかよ‼︎」

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