轟轟戦隊ボウケンジャー Return−White.adventure   作:竜の蹄

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お久しぶりです‼︎

設定に設定を重ねて、遂にプロローグからスタートします‼︎
何か御指摘等があれば、感想にてお待ちしてます‼︎


一章 冒険の幕開け
task0 新たなる冒険者


 地球にはかつて……人類が踏み込む事を許されない前人未到の世界があった。険しく切り立った山々、水分を奪い尽くす灼熱の砂漠、血液を凍り尽くす極寒の氷地……果てには永遠の闇に支配された深海に、無限に広がる大宇宙……。

 しかし、文明の発達と共に、人は地球に足を踏み入れていない場所は無くなりつつある。と、同時に失われた古代文明の遺産である遺跡、財宝、歴史も人間達は介入して行った……。

 だが……人間達は知らない……。この地球には、凡人の理解を超えた……現代の科学水準を遥かに凌駕した古の秘宝が眠っている事を……。その宝は、使い様によっては世界を支配する叡智にも、世界を破滅に導く兵器にもなり得る……。

 その神の領域をも侵し兼ねない秘宝の名は“プレシャス”と言う。

 世界各地に人知れず眠るプレシャスが思慮の浅い者達に渡れば、世界は間違いなく滅びる。そうならない為、プレシャスを探索し保護する組織の名は“サージェス財団”。その団体に所属し、命懸けの冒険に身を投じる冒険者達が居た!

 彼等こそ、果てなき冒険(スピリット)‼︎

 轟轟戦隊! ボウケンジャー‼︎

 

 

「プレシャトピア?」

「世界の何処かにある理想郷だよ……其処に行き着いた者は誰も居ないが……大地を埋め尽くさん程の宝が隠されているんだよ」

「ふ〜〜ん」

 

 見識ある大人が、御伽噺と笑う様な夢物語……しかし、子供は夢を見ずには居られない……小さな頭では描き切れない程の夢物語を……。

 

「……おじいちゃんは若い頃から探し続けていたが……遂に発見できなんだよ……。果たして、ワシが死ぬ迄に見つけられるかの?」

「大丈夫だよ! おじいちゃんが見つけられ無かったら、私が見つけてあげる‼︎ 私が、プレシャトピアを見つけるの‼︎」

「そうかそうか……雪歩が見つけてくれるか……。それは楽しみじゃな……それじゃ、指切りをしようか?」

「うん‼︎ 絶対に約束‼︎」

 

 小さな頃に、大好きな祖父と交わした約束……それは時を経ても決して変わらず、夢を信じる強い信念となる……。 

 

 

 それから、数年後……。

 

 

 

「はァァ〜〜、くたびれた……」

 

 街中を歩く一人の若い女性……彼女は白瀬雪歩(しらせゆきほ)、20歳。アルバイト先であるコンビニから帰る途中である。

 彼女は志望校を受験したが、二回とも不合格……即ち、二浪中の浪人生である。

 一浪時は、自宅から通っていたが、二回目の浪人生活が決まったあの日……母親と盛大に喧嘩したのだ。

 母親としては、真っ当な人生を歩んで貰いたい、と言う親心だったのだが彼女は、どうしても譲れなかった。

 

 叶えたい夢を叶える……その為には志望先の大学に是が非でも行きたい……。

 

 そんな感じで怒鳴り合った結果、頭に血が昇った母親から「勝手にしろ‼︎ その代わり、受験料は自分で賄いなさい‼︎」と愛想を尽かされた挙句、着のみ着のままで追い出されてしまったのだ。

 気が強い母親のヒステリーは今に始まった事では無いが、その娘である雪歩もまた、極度の意地っ張りであった。

 

「絶対に合格するまで、家に帰るもんか‼︎」

 

 と、啖呵を切って飛び出して来た手前、今更、家に入れて下さい等とは言えない。こうなったら、何が何でも合格するしか無いのだ。

 雪歩はフンっと鼻息荒く、息巻く。 

 と、その時、雪歩のスマホがブルブルと震えた。取り出して見ると『海人』と出ていた。

 

「もしもし、海人?」

『姉貴? 元気?』

 

 相手は弟の白瀬海人。雪歩とは4歳違いであり、家を飛び出した姉を気に掛けて度々、電話して来るのだ。

 

「もう……何の用よ?」

『何の用とは、ご挨拶だな? 姉貴が独りぼっちで寂しいんじゃ無いかって、電話してやったのに…』

「私は子供じゃ無いよ‼︎」

『へェ? それは初耳だな?』

 

 こんな感じで軽口を叩く弟に対し、雪歩は怒る。側から見れば、子供が揶揄われて、むくれてる様にしか見えない

 

『いい加減に帰って来れば。母さんには俺も謝ってやるからさ』

「やだ‼︎ 私にだって、意地があるもん‼︎ 大学に合格するまでは、お母さんが頼んで来たって帰るもんか‼︎」

『そう言う所が、ガキだって言うんだよ……』

「なんか言った⁉︎」

『べっつに?』

 

 精神的には、海人の方が大人びており、歳の割に子供っぽい雪歩の言動を聞いてれば、どっちが上なのか分からなくなる。

 

『ま、程々にな。また、カップラーメン差し入れてやるよ』

「うん……ありがとうね、海人……じゃあね」

 

 そう言うと、海人は電話を切る。残された雪歩は周りを見渡す。気が付けば、繁華街まで歩いて来た様だ。

 周りは、まだ昼日中だと言うのに、賑やかだった。道を行く人達は、誰も彼もが浮かれている様子だ。

 

 大学生の一団と思しき若者達は皆、豪華でお洒落な服に身を包んでいる。その横には、ガッツリ決めた化粧、小綺麗な服装の若い女性を連れている。

 

「今日も、銀座の例の店でオールな‼︎」

「また? 昨日も言ったじゃん?」

「金なんか、パパが腐る程出してくれるって‼︎」

 

 自分と歳の変わらない若者達が、金を撒き散らさんばかりに豪遊している。その横にはブランドスーツ、時計、靴と上から下まで金を掛け尽くした出立ちの中年男性が、明らかに水関係の仕事をしている感丸出しの女性を侍らせながら歩いていた。

 

「どうだね? 今夜は港区の夜景を見ながら、ディナーでも?」

「良いの、社長さん? 嬉しい‼︎」

「ハッハッハッハッ‼︎ この前の冒険株で、大勝ちしてね! 金なら、心配は要らんよ!」

 

 そんな様子に、雪歩は辟易した。外へ出れば、こんな見るに耐えない光景ばかりが目に入る。

 すると……

 

「よッ、彼女‼︎ 何、つまらなそうな顔で歩いてるの⁉︎」

 

 チャラチャラとした遊び人と言った風体の青年達が近づいて来た。首輪、ネックレス、指輪……金に物を言わせた所謂、金が服を着て歩いている様な人種だ。

 彼等は浮かれ切った様子で雪歩に語り掛ける。

 

「あの……何か?」

「いやァ、君が不景気そうな顔してたからさ! こんな馬鹿みてェな時代で楽しまなきゃ損だぜ?」

 

 その言葉に、雪歩はムッとした。人を小馬鹿にした、夢を嘲り足下に散らばる金を掻き集めて撒き散らすタイプの人間……雪歩は、そう言った人間を嫌悪していた。

 

「今から、パーティに行くんだ! 君も来ない? 野郎ばかりだと、シラケちゃうんでね‼︎」

「……興味ありません」

 

 バッサリ切り捨てて、去ろうとする雪歩。実は昔から、雪歩は勘の良い性格で、その人の本質を見抜く事に長けた。

 彼等の目を見れば分かる。人当たりの良い様子で近付いて来たが、内心は下卑た考えで満ちている。

 しかし、男達は雪歩の前に立ち塞がり、逃げ道を塞ぐ。

 

「そんな釣れない事、言わないでさァ! 別に取って食おうって訳じゃ無いんだぜ?」

「そそ! 朝まで、オールしちゃおうぜ‼︎」

 

 尚も、しつこく付き纏う男達に内心、ウンザリする雪歩。その時……

 

 

「やっと見つけたよ! すっぽかされたかと、思ったじゃん?」

 

 

 声の方を見ると、男達程では無いが派手めなジャケットにジーンズ、更に茶髪に染めた青年が立っていた。

 それは、雪歩が見知った顔の青年だった。

 

「紺君?」

 

 彼は松浦紺亮(まつうらこうすけ)。雪歩とは幼馴染であり、高校まで一緒だった。卒業後は、雪歩は予備校通い、紺亮は就職と殆ど会う事は無く、久しぶりの再会だった。

 

「……んだよ、コブ付きかよ……」

「シラケるわァ……」

 

 紺亮を彼氏だと勘違いした青年達は、シラけた様子で去って行った。

 

「久しぶりだね、紺君‼︎」

「何が『久しぶりだね』だよ? 連絡してたのに、実家を飛び出して一人暮らししてんのは、そっちだろ?」

 

 そう言って、紺亮は嬉しげに近付く雪歩の頭を小突く。

 

「……だって、お母さんが……」

「海人から聞いた。喧嘩したんだってな、お袋さんと」

「そうだよ。大学の受験費を……」

「払ってくれない、それが嫌なら出て行け。で、売り言葉に買い言葉で飛び出してきた、と」

「……もう、相変わらず紺君にはお見通しだね」

「お前の事なんか、一から十までな。ッたく、何年の付き合いだと思ってんだ……」

 

 その口調は、幼馴染と言うより兄妹の様だった。雪歩は、拗ねた様にプイッと顔を背ける。

 

「何よ。紺君まで、お説教する気?」

「そんな暇人じゃ無ェよ。デートの待ち合わせしてたら、お前が絡まれてたから、助けてやったのよ。感謝しろよな」

「デート? 紺君、彼女出来たの?」

「社会人だぜ、こう見てもな。普段は、警備員の仕事してるけど、今日はオフだからさ」

「ふ〜ん」

 

 他愛の無い話をしながら、二人は歩き始める。昔は背は変わらなかったが、二年も経たない内に差が付いていた。

 

「紺君……何か、変わっちゃったね」

「そうか? ま、大学には行かなかったとは言え、社会人デビューしたからな」

「……昔の方が良かった……。さっきの人達と変わんないよ、今の紺君……」

 

 と、半ば失望した様な口ぶりをする雪歩。紺亮は、顔を顰めた。

 

「俺は、アイツ等みたいに金をドブに捨てる様な真似はしない‼︎ 時代の流れに逆らって、シンドイ思いするより、流れに乗って生きた方が楽だって事に気付いただけだよ!

 大体、お前だって、この時代に大学に行ったって、しょうがねェだろ⁉︎」

 

 紺亮はムキになって怒鳴る。周りを見渡してみれば、紺亮の言う“時代”の答えがあった。

 辺りは晴れやかな服、金が飛び交い、ビルの上には『SGS』と記された看板が貼り付けられてい。

 看板には「世は冒険‼︎ 今は正に冒険者の、冒険者による、冒険者の為の時代‼︎」と、謳い文句もあった。

 かつて、この世界に存在した文明や偉人、果ては御伽噺に出て来るアイテム等のモデルになった秘宝−プレシャスと言う名の宝を探索し、保護する団体がある。

 その組織の名は【SGS-Foundation《Search(探す)Guard(守る)Successor(受け継ぐ)》】通称、サージェス財団である。

 かつては、プレシャスは危険な存在であるとして、サージェスは徹底した緘口令を敷いていた為、民間人にはサージェス財団は古代の美術品や遺産を守る組織、と認識されていた。

 しかし、今から十年前、サージェス財団は突然、世界に対し驚くべき対応を取った。

 それは、トップシークレットとしていたプレシャス、そして、プレシャスをエネルギー源とするエンジン、通称“パラレルエンジン”の存在を全世界に発表したのだ。

 更に、そればかりでは無く、そのパラレルエンジンを民間用として開発した『セーフティ・パラレルエンジン』を世界へと流通させたのだ。

 このセーフティ・パラレルエンジンは、大型としなくとも、車一台に搭載するだけで、スバル車でも、ポルシェ並の馬力を発揮する事が可能となる。

 利便性はそれだけで無く、このセーフティ、パラレルエンジンが使えるのは、車だけでは無い。

 巨大な物なら航空機やフェリー、オートバイやトラック……果てには、家電製品にさえ使用出来る様になった。

 これにより、世界は瞬く間に発展を遂げた。僅か10年足らずで、世界中の電工事情はガラリと変わった。

 ありとあらゆる企業が、プレシャスを商業目的で買い漁り始めたのだ。当然、サージェスは、プレシャスを探索する冒険者達を支援して、あらゆる企業はサージェスの考えに賛同を始める。

 10年前を境に、世界中に冒険者は増大し、サージェスも最早、隠す意味も無い、と言わんばかりに、その名を全世界に轟かせる様になった。

 何時からか、サージェスにより引き起こされた現在の時代は誰が呼び始めたか『アドベンチャー時代』と呼ばれる様になった。

 

「……今の時代、物の価値なんか分かってる奴なんか殆ど居ない……嫌な時代になっちまったな……」

「……冒険者は夢を追い駆けろ、力に屈するな……」

 

「?」

 

 唐突に呟いた雪歩を、紺亮は振り返る。

 

「……おじいちゃんの口癖だったんだ……おじいちゃんも、サージェスの事、嫌ってたから……」

「……そう言えば、お前の爺さんも冒険者だったな……。居なくなって、もう何年だ?」

「……10年……。おじいちゃんが帰って来なくなってから、直ぐにアドベンチャー時代が始まった……」

「……あん時は、ニュースでも新聞でも取り上げられてたな……。

 “冒険家の神様、白瀬冬次郎、謎の失踪”って……」

「………」

 

 紺亮の言葉に、雪歩は顔を曇らせた。紺亮は慌てる。

 

「アッ、悪い……まだ割り切れて無いんだな……」

「……ううん……私は大丈夫……。割り切れて無いのは、お母さんに方……」

「お袋さん?」

「おじいちゃんの事、『冒険ばかりする最低な父親』って怒ってたけど……夜中に一人で泣いてたの知ってるんだ……」

 

 雪歩は遠い目をしながら、祖父の事を思い出していた。いつも優しい笑顔で、自身の冒険譚を話して聞かせてくれた大好きな祖父の顔……。

 そして雪歩は紺亮を見た。

 

「だから……私が、おじいちゃんの夢を受け継ぐって決めたんだ! 私が……!」

 

「貴方達!」

 

 突然、呼び掛けられた二人は振り返る。其処には黒髪をポニーテールに結った黄色い柄のジャケットにミニスカート、と言った出立ちの笑顔の可愛い女の子が立っていた。

 

「誰? 雪歩のダチか?」

「私、知らないけど……?」

 

 両者ともに顔見知りでは無いが、目の前の女の子はグイグイと距離を詰めてきた。

 

「ふ〜〜ん…」

「な、何すか…?」

 

 やたらと近い距離へ詰める女の子は、二人を穴が開く様に吟味していた。何やら見定められている様で、あまり気分の良い物では無い。

 

「よし! 二人共、合格!」

「ご、合格ゥ⁉︎」

「な、何に合格したの?」

 

 突拍子も無く言い出した女の子に、二人はちんぷんかんぷんだ。しかし、女の子は勝手に話を進めていく。

 

「これで、人数は揃ったよ! 見つからなかったら、どうしようかなって菜月、不安だったけど、良かったァ!」

「な、なァ……何が何だか、さっぱり分かんないんだけど……⁉︎」

 

 紺亮は堪りかねて、菜月と名乗った女の子に尋ねた。すると、女の子はニッコリと笑い…

 

「貴方達は、ボウケンジャーに選ばれたんだよ! 白瀬雪歩ちゃんと……松浦こんすけ君?」

「こんすけ、じゃ無くて、こうすけだよ! 間違えないでくれ!」

 

 突然現れて、名前を間違えられた紺亮は立腹した。それを、雪歩が遮る。

 

「あ、あの……ボウケンジャーに選ばれたって……⁉︎」

 

 ボウケンジャーと言う単語に、雪歩は興味を惹かれた。菜月は名刺を渡した。

 

「私は、間宮菜月! サージェスミュージアムの主任学芸員です! 貴方達は後日、正式な任命通知書が届くから、楽しみにしててね!」

 

 そう言って、菜月な走り去ってしまった。残された二人は、ポカンとするばかりだ。

 

「どう言う事だったんだ?」

「さァ?」

 

 二人は首を傾げた。だが後日、サージェスミュージアムの印が入った便箋が届き、二人は言われた通り、都内最大のミュージアムへと向かう事となる……。

 

 

 

 某所……何処か、研究ラボを思わせる部屋に座る一人の影……目の前に広がる画面には雪歩と紺亮、そしてもう一人とが映し出されていた。

 その影は無言のまま、雪歩を見つめる。その右手には黒と青を基調とした奇妙な銃が握られていた……。

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