轟轟戦隊ボウケンジャー Return−White.adventure   作:竜の蹄

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お待たせしました‼︎
これより、新世代ボウケンジャーの冒険が始まります‼︎
不定期になり、長い連載になりますが、どうか温かい目で見守っていて下さい‼︎


task1 新世代襲名

 ※此処からは、プロローグの続きです。

 

「まさか……ここまでやるなんて……‼︎」

 

「これは“復讐”だ……我々、ゴードム文明のな……」

 

 対峙するのは二人の男女……一人は、ボロボロになったサージェス・ミュージアムの制服を羽織ったショートカットの女性……一人は、頭頂が伸びた兜をかぶった漆黒の衣装を羽織る怪人……。

 二人の足下には、無惨に崩れ落ちたサージェス・ミュージアムがあった。周囲の街々も崩壊し、あちこちで黒煙が立ち上っている。

 

「……辞める気は無いんだね……! ここまでしたら……もう、ごめんなさいじゃ済まないよ……ガジャJr.……‼︎」

「辞める気なんか、さらさら無いさ……ボウケンホワイト……。お前も先に逝った仲間達の下へ……ゴードムを滅ぼしたボウケンジャー共の下に送ってやろう……!

 

 そう……人が夢を見る時代は終わるんだ……‼︎」

 

 そう言うと、ガジャJr.と呼ばれた怪人は辺りを見回す。最早、破壊の限りを尽くされ、手の施しようが無い有様である。

 

「……わらない……‼︎」

「?」

 

 突然、ボウケンホワイトと呼ばれた女性は呟く。ガジャJr.は、怪訝な顔で彼女を見た。

 

「人が夢を見る時代は……終わらない……!

 

 だって……私は……」

 

 そう言うと、左腕のポケットに手を伸ばす。其処に収納されていた小さな機械の画面をタップすると……

 白を基調としたアクセルスーツとマスクを装着した戦士が現れた。ボウケンホワイト羽織る、右手にサバイブレードを持ち構えた。

 

「冒険者だから!」

 

 そう叫ぶと、ボウケンホワイトはガジャJr.へと向かって行く。ガジャJr.は、両手に持った双剣を振り上げ、迎え撃つ体制を取った……。

 

 

 

 ※舞台は変わって……。

 

 夜の東京、繁華街……この街は一晩中、光が灯り続ける。街中にある多種多様な飲み屋が、街を美しく彩る。

 この街は、かのアドベンチャー時代によって、浮かれに浮かれ金の使い方を持て余した欲に塗れた人間達が、金を湯水の如く撒き散らして行く……故に、こう言った繁華街は夜こそが盛り上がるのだ。

 今日も、アドベンチャー時代の好景気によって泡銭を得た人間達がはしゃいでいた。

 

 ある店では、趣味の悪い高級ブランドスーツに身を包んだ男が…

 

「さァ、飲めや歌え‼︎ 金なら腐る程あるぞ‼︎」

「きゃァァ‼︎ 社長さん、素敵ィィ!!!」

 

 周囲に金に目の眩んだキャバ嬢達を侍らせて、金をゴミの様にばら撒く、文字通り『散財』している。

 

 ある店では、酒に酔った大学生の一団が、美女達を引き連れて…

 

「な、な‼︎ もう遅いし、休んでこうよ‼︎ 金なら、俺が払うからさ‼︎」

「えェ〜? どーしよっかなァ?」

 

 明らかに下心丸出しで、札束で美女の頬を叩いている。

 

 何も、この街に限った事では無い。今や日本規模、更には世界規模で過去に前例の無い好景気に包まれている。

 サージェスが興したアドベンチャー時代による影響は、世界に好景気と近未来化と言う恩恵を齎した。

 人々は、その好景気と便利さに包まれた世界にて、富と名声を欲しいままにし、欲望に支配されていた。

 だが、好景気の齎す物は決して良い物ばかりでは無い。

 必要以上の餌を与えられたら、それを独占したい、と考えてしまうのが人間の業である。

 かつては、プレシャスを強奪する犯罪組織『ネガティヴ・シンジケート』が、社会に災いを齎していたが、かつてボウケンジャー達によって主だった組織『ゴードム文明』『ジャリュウ一族』『ダークシャドウ』が滅ぼされ、大打撃を受けた他の組織も、統率を失って自然消滅してしまった。

 今となっては、ネガティヴは壊滅したと思われていたが、ごく僅かに生き残った者が、今でもプレシャスを狙って暗躍を続けている事例もある。

 しかし、サージェスの定めた『ネガティヴ、それに属する者に対する徹底的な社会的弾圧』が世界に公表されてからは、ネガティヴの数は減少しつつあった。

 詰まる所、世界はサージェスによって表向きな平和を維持するに至っていた。

 だが……サージェスの寄り知らない所で、ネガティヴは着々と報復の準備を進めていたのだ。

 

 と、ある場所で人々は驚愕の声を上げた。

 

「お、おい! ライトが⁉︎」

 

 突然、街中の電灯が消灯し始めたのだ。電灯だけでは無く、テレビや家電製品、更にはスマホも圏外になる始末であり、街中でパニックが起こった。

 

「な、何⁉︎ 一体、何が起きてる⁉︎」

「停電⁉︎」

「スマホも圏外になってるぞ⁉︎」

「おい、ふざけんなよ‼︎ 誰か何とかしろ‼︎」

 

 人々は、突然の異常事態に慌てふためいた。しかし、そうしてる間に街から、光は消えていく。やがて、繁華街全体が暗闇に包まれる事態となった。

 

 

 その様子を、高層ビルの天辺から見下ろす人影……頭から、すっぽりとフードを被った人物が、光から闇に変わっていく姿を眺めていた。

 

「クックック……慌てるが良い、愚者共よ! サージェスの築いた砂上の楼閣に群がる蟻共! お前達の下にある文明など、音を立てて崩れていくのだ‼︎」

 

 

「そこまでよ‼︎」

 

 

 突如、後ろから怒声がした。其処には、3人の男女が立っており、謎の人物を睨んでいた。

 

「どちら様かな?」

「とぼけても無駄だよ‼︎ この騒ぎは、貴方の仕業ね‼︎」

 

 中央に立つ女の子、白瀬雪歩がビシッと指を差す。

 

「おい、雪歩‼︎ 格好つけてる場合じゃねェだろ⁉︎ さっさと仕事を終わらせんぞ‼︎」

 

 右に居た男、松浦紺亮が雪歩に突っ込みを入れた。

 

「……全く、貴方達は緊張感がありませんの? 遊びじゃなくてよ?」

 

 左に立っている薄紫色に髪を染めたお嬢様口調の女性が、二人を嗜める。

 謎の人物は、妙に纏りの無い3人組に困惑していたが、3人の襟に輝く金バッジのマークを見て、何かに気付いた様だ。

 

「……そのエンブレムは……成る程な…。お前達は、サージェスの関係者か……‼︎」

 

 フード越しから、その人物は北叟笑む。そして、フードを掴んだ。

 

「サージェスの狗が相手なら……隠す必要も無いな‼︎」

 

 そう言って、フードを脱ぎ捨てた。フードの下には、壮年の男性だった。髪はボサボサで髭は伸びているが、服の下の身体は鍛えられているのが分かる。

 極め付けは、右手に嵌められた腕輪だった。金色の稲妻型のレリーフに同型の宝石が埋め込まれている。

 男は不敵そうに笑っていた。

 

「牧村隆……某大学の元、考古学助教授であり、サージェス傘下のトレジャーハンター……だった男……。

 最近、プレシャスを扱う闇市場に出入りしていると言う情報があったけれど、真実だったとは……!」

 

 お嬢様口調の女性が呟く。それに対して、牧村はニヤリと笑う。

 

「それは、お互い様だろう? サージェスに絶大なコネを持ち、かの西堀財閥と双璧を成すと言われる大富豪、植村尚辰氏の孫娘にして登山、海洋等で様々な実績を誇る女性冒険家が、サージェスに加わっているとはな……。一体、どれ程のコネを使ったのかな? 植村菖(うえむらあやめ)…お嬢様?」

 

 その挑発的な言葉に、菖は眉を顰めた。

 

「……ブチのめされたいのかしら?」

 

 静かな、それでいて殺気を滲み出す。紺亮はゾクリと青ざめていた。

 

「おいおい、お嬢様がブチのめすとか、怖過ぎるぜ……」

 

 ボソリと呟いた紺亮を菖は凄い形相で睨み付けた。雪歩は、牧村と話そうとする。

 

「何で、こんな事をするの⁉︎」

「何で、だと?」

 

 牧村は冷たく、せせら笑った。まるで、雪歩が何も知らない癖に、と見下した様だった。

 

「お前達は、今の時代を幸福に満ちた世界だと思うか? 私に言わせれば、この世界は破滅に一歩、また一歩と足を進めている未来の縮図だよ。サージェスは、プレシャスの齎す叡智……彼奴等が、パラレルエンジン等と呼ぶ物を世に解き放ち、何も知らない民衆は、其れが齎す富や権力に蟻の様に群がり、喰い散らしている……。

 だが、奴等は分かっていない‼︎ お前達が、空気の様に消費しているのは先人達が未来に託した遺産を踏み付けにする愚行だ‼︎」

 

 そう言うと、牧村は血走った目で、雪歩達を見据える。その目は、常軌を逸していた。

 

「人間とは実に手前勝手な生き物だ‼︎ 地球と言う惑星が誕生して、46億年……人類と言う生き物が誕生して、700万年……文明が誕生して1万年……地球の誕生から計算しても、たった1万年足らずの間に、人類は地球の至る所に繁殖し、大地を抉り、海を汚し……あまつさえ、先人類の遺産さえも食い物にしている……‼︎

 このまま、サージェスを野放しにすれば……地球そのものが滅びていくだろう……その日が来るのは、そう遠い未来では無い……‼︎

 だから‼︎ 俺は決めたのだよ‼︎ 地球に我が庭の様に君臨し、世界の支配者の様に君臨するサージェスを滅ぼさなくては、と‼︎」

「……その為に罪の無い人達が犠牲になっても良いの?」

 

 雪歩の淡々とした問いかけに、牧村は狂った様に笑った。

 

「罪の無い⁉︎ 人間に罪が無いだと⁉︎ いや、人間は罪深い‼︎ 何も知らずに、のうのうと無知のまま生きている人間全てが罪深い‼︎

 だから、俺は驕り高ぶる人類達に喝を入れるのだ‼︎ これは、革命だよ‼︎ 革命、即ち賢者の特権‼︎ 革命には犠牲が付き物だ‼︎ お前が良く知る英雄達……カエサル、ナポレオン、坂本龍馬……‼︎ 彼等の起こした革命でも、数多くの無知なる者達の流した血で出来たのだ‼︎

 未来では、俺の起こした革命は、人類を破滅から救った聖戦と語り継がれる事だろう‼︎」

「……完全に、イカれてんな……‼︎」

 

 紺亮は呆れた様に、牧村を吐き捨てた。彼の言う事は荒唐無稽……自分のテロ行為を正当化しようとしているだけだ。

 

「……お前達に理解を得よう等とは、欠片も思っていない……だが、俺の崇高な革命を阻むと言うならば……地球の未来の為に人柱となって貰う迄だ!

 出でよ、カース達‼︎」

 

 牧村は手を振り上げる。すると、彼等を阻む様に燭台の様に白い不気味な怪人達が複数人、出現した。

 

「こ、コイツ等は⁉︎」

「俺のスポンサーから借り受けた戦力、カースだ‼︎ 石から生まれるコイツ等は、まさに無尽蔵に生み出されるのだ‼︎

 さァ、カース達よ‼︎ サージェスの狗共を駆逐するのだ‼︎」

 

 牧村の命令に、今は亡き古代文明が産み遺した心を持たずに魔力で動く傀儡兵が3人を取り囲んだ。

 

「おいおい、どうするんだよ⁉︎」

「どうするもこうするも……やるしか無いですわよ‼︎」

「よし‼︎ 皆、やろう‼︎」

 

 雪歩は左腕のホルダーに収められたスマホ状の機械を右手に持つ。他の二人も、それに倣った。

 彼等が手に持つのは、サージェス財団の開発した変身装備にして、通信機も兼ねた『冒険ケータイ、アクセルラー』其れを更に改良した新型である『スーパーアクセルラー』である。

 

「変身アプリ、アクセス‼︎」

 

 雪歩の掛け声に、3人同時にスーパーアクセルラーの画面に表示されたアプリをタップする。すると画面上部に星マークとタービンが出現した。

 

「レディ…‼︎」

 

 雪歩は星マークを押した。他の二人も同様だ。

 

「ボウケンジャー・スタートアップ‼︎」

 

 3人は画面上のタービンを左腕に擦る様にタップした。すると、3人の衣装がチェンジしていき、雪歩は白を基調とし、紺亮は紺色、菖は紫のボウケンジャーの戦闘服『アクセルスーツ』を身に纏う。

 更に頭部をフェイスマスクで覆われていく。

 やがて、変身が完了した3人はスーパーアクセルラーをベルトの腰部分に収納した。

 

真しき(まこと)冒険者! ボウケンホワイト‼︎」

 

 雪歩改めて、ボウケンホワイトが名乗る。

 

「明るき冒険者! ボウケンネイビー‼︎」

 

 紺亮改めて、ボウケンネイビーが名乗る。

 

「逞しき冒険者! ボウケンバイオレット‼︎」

 

 菖改めて、ボウケンバイオレットが名乗る。

 

 

「果てなき、冒険(スピリッツ)‼︎

 

 轟轟戦隊! ボウケンジャー‼︎」

 

 

 今ここに、新時代(ニューエイジ)のボウケンジャーを担う3人の冒険者達が誕生した瞬間だった。

 

 

 

「……それが、ボウケンジャーか…‼︎ 今では子供さえも知っている常識にして、サージェス財団がお抱えにし、古今東西のプレシャスの奪取、並びにゴードム文明、ジャリュウ一族、ダークシャドウの侵略から世界を守り切ったとされる……生ける伝説(リビングレジェンド)…‼︎」

 

 牧村は不敵な笑みを崩さず、伝説の戦士の出現を見据える。ボウケンジャー達は、臨戦の体制に入った。

 

「ならば、その伝説を今宵、終止符を打ってくれよう‼︎ カース‼︎ ボウケンジャーを始末するのだ‼︎」

 

 牧村の号令に、カース達は一斉に襲いかかって来る。ボウケンジャー達も、体勢を整える。

 

「サバイバスター・カスタム、セット‼︎」

 

 ホワイト達は右腰のホルスターに収納された大型の拳銃を構える。すると、銃口から光弾が放たれ、カース達を撃ち抜いて行く。

 ボウケンジャーの基本装備であるビーム銃武器サバイバスター。其れを更に改良、大型化したのが『サバイバスター・カスタム』である。

 従来のサバイバスター以上の火力を誇り、大型化した銃身にパラレルエンジンを追加で搭載した事で一発、一発の破壊力が増している。

 サバイバスター・カスタムによる一斉射撃により、カース達は押されていく。だが、いつの間にか背後に回り込んだ一体のカースが、バイオレットの背中に襲い掛かって来た。

 

「遅い‼︎」

 

 途端に振り返ったバイオレットは、上段蹴りをカースの顔面に喰らわせて、追い討ちとして、光弾を浴びせた。

 

「女の背後を取るなんて、100年早いですわよ‼︎」

「おっかねェな……」

 

 バイオレットのワイルドな一面に、ネイビーは若干、引いた様子だったが、ネイビーもサバイバスター・カスタムを直立させた。

 

「サバイブレード・ビームソードフォーム‼︎」

 

 銃口から発せられた光刃で、カース達を斬り伏せるネイビー。しかし、倒せど倒せど、カースは無限に湧いてくる様だった。

 

「…ツッ…‼︎ キリがありませんわ‼︎」

「こっちは3人しか居ないからな‼︎」

「私に任せて‼︎ ボウケンアームズ発動‼︎」

 

 ホワイトは、トンファーに似た武器を取り出した。

 

「ボウケントンファー‼︎」

 

 そう言って、ホワイトはトンファーのグリップを握り締める。すると、トンファーの先端部が赤く発光し始めた。

 

 

「行っくよー‼︎ オーバーヒート・クラッシュ‼︎」

 

 

 その状態でトンファーを振り下ろす。すると、収縮された熱エネルギーが一気に解放され、一面に大爆発が起きた。

 

「うわァァァ!!??」

「きゃあァァァ‼︎??」

 

 カース達は一斉に吹き飛ばされたが、至近距離に居たネイビーとバイオレットも巻き添えを喰らう。

 

「バカヤロー‼︎ 俺達も殺す気か⁉︎」

「全くですわ‼︎ 周りの迷惑を顧みなさいな‼︎」

「ご、ごめ〜〜ん! まだ扱い切れなくて…‼︎」

「…………」

 

 仲間から非難を受けるホワイトだが、牧村はその様子に呆然としていた。だが、チャンスと見た牧村は右腕を取り出す。

 

「ハハハハ、とんだ茶番だな‼︎ 見せてやる! 雷神の怒りを‼︎」

 

 彼の右腕に嵌められた腕輪の稲妻型の宝石が光り輝く。すると、宝石から電気が迸る。

 

 

「迸れ‼︎ 稲妻よ!!!」

 

 

 牧村が右腕を突き出せば、無数の電撃が放たれてボウケンジャーに襲い掛かる。

 

「きゃあァァァ!!!」

 

 立っていたホワイトは、電撃を諸に浴びてしまう。因みに彼等が着用するのは、アクセルスーツと呼ばれる特殊スーツだ。

 SGSファイバー仕様で衝撃を85%まで緩和する高性能スーツだが、彼等の物は新たに開発された『Newtype=アクセルスーツ』である。

 同じくSGSファイバー仕様だが、衝撃耐久度を95%まで底上げされてあり、深海1万メートルの海底や宇宙などの真空空間、溶岩地帯でも短時間ならば耐えられる代物である。

 それだけの力を持つに至ったのは、ボウケンジャーの装備する備品に扱われる、プレシャスから得られるパラレルエンジンの恩恵があってこそだが、新世代のボウケンジャーは、従来のパラレルエンジンを上回る新たな力である通称『ハイパー・パラレルエンジン』を用いられている。

 この、ハイパー・パラレルエンジンは、パラレルエンジン、ネオパラレルエンジンを更に解析した結果、改良に改良を重ねて作られた物だ。

 民間用に流通されたセーフティ・パラレルエンジンと、ほぼ同時期に開発されたが、未だに不確定要素は残る物も、単純なパワーはこれまでのパラレルエンジンを凌駕する逸品なのだ。

 その為、常人な即死必至である電撃を受けても、吹き飛ばされるだけで済むのだが、不意打ちを受ければ、その限りでは無い。

 

「イタタ…‼︎」

 

 ホワイトは身体を起こしながら、牧村を見る。すると、自分ね目の前に落ちた物を見た。

 

「ああ‼︎ 私のペンダントが‼︎」

 

 それは、雪歩の祖父から貰ったペンダントだ。彼が行方不明になる前に「幸運のお守りに」とプレゼントされた物である。

 しかし、彼女の悲痛な声も虚しく、ペンダントに気付いたカースによって奪われてしまう。

 牧村はカース達と共に既に逃げ去っていた。

 

「ちくしょう! 逃げられちまった‼︎」

「追いますわよ‼︎」

「……ペンダントが……‼︎」

 

 ホワイトはペンダントを奪われたショックから立ち直れずにいた。しかし、体制を整えたネイビー、バイオレットは…

 

「何やってますの⁉︎ 早く追わないと‼︎」

「……おじいちゃんのペンダントが……‼︎」

「放っときなさい、たかがペンダントなんか‼︎ それより、今は任務の方が…‼︎」

「たかがじゃ無いもん‼︎ 大切な宝物なんだよ⁉︎」

 

 突然、ホワイトは立ち上がってバイオレットに食って掛かる。しかし、バイオレットは苛々しながら…

 

「貴方ねェ……さっきも言いましたけど、これは遊びじゃありませんのよ⁉︎ 命を賭けた戦いなの‼︎ 分かってまして⁉︎」

 

 と、厳しく言った。マスクの下で雪歩は無言のまま、睨みつけている。

 

「お、おい⁉︎ 喧嘩してる場合かよ⁉︎」

 

 

『うるさい‼︎』

 

 

 喧嘩を仲裁しようとしたネイビーを、二人が同時に声を揃えて一喝し騙された。ネイビーは二人の気迫に圧され、押し黙ってしまう。

 

 

『貴方達、どうしたの⁉︎ プレシャスの確保は⁉︎』

 

 

 緊迫した空気を破る様に、スーパーアクセルラーから声が響く。バイオレットが、それに対応した。

 

「申し訳ありません、チーフ! トラブル発生により、ターゲット確保に失敗! プレシャスを持って現在、逃亡中です!」

 

 パープルが状況を説明した。スーパーアクセルラーの向こうで、嘆息している菜月の声が聞こえた。

 

『ええェェ〜⁉︎ 何やってるの⁉︎ プレシャスの確保失敗したら、貴方達も失格になるんだよ⁉︎』

 

「……ッッ‼︎ 重々、承知してます……‼︎ 必ず、牧村は追撃しますので……‼︎」

 

『でも、このままじゃ被害だって……‼︎』

 

『菜月ちゃん、落ち着いて! 牧村の居所は把握してあるから‼︎』

 

 今度は別の声が混線して来た。男の声だ。

 

「アドバイザー? 奴の何所は⁉︎」

 

『良いかい? 今、牧村をネットで追跡した結果、奴はサージェスタワービルに向かっている事が分かった! 君達は先回りして、奴を確保するんだ! 」

 

「了解‼︎」

 

 バイオレットは通信を切って、ホワイトとネイビーに振り返る。

 

「ターゲットは、サージェスタワービルですわ! 奴を追えば、ペンダントも取り返せる! 解ったら、さっさと行きますわよ‼︎」

「ほら、早くしろって! これは任務を兼ねた試験だ‼︎ 失敗したら、また地獄の訓練に逆戻りだぜ‼︎」

 

 バイオレット、ネイビーは駆け出す。ホワイトも暫く迷いながらも、走り出した…。

 

 

 

「……もう、何やってるのかな〜……‼︎」

 

 サージェスミュージアムのサロン兼基地では、ボウケンジャーのチーフであり、リーダーでもある間宮菜月がぼやいていた。

 

「やっぱり、あの子達には早かったかなァ…?」

 

『まァまァ、菜月ちゃん。まだ失敗した訳じゃ無いよ?』

 

 目の前にある巨大なウィンドウに映し出された一人の青年が、にこやかに言った。

 彼は最上蒼太。サージェスミュージアムの学芸員であり、ボウケンジャーのアドバイザーでもある。

 元、産業スパイと言う異色の経歴の持ち主であり、現在はその経歴を活かして、知識面と情報面からボウケンジャーをサポートしているのだ。

 

「むゥ〜‼︎ 蒼太さん、相変わらず、女の子には優しいね? それとも若い子の方が良いって事⁉︎」

 

 菜月は不貞腐れた様に、蒼太を睨む。蒼太は困った様に…

 

『な、菜月ちゃんだって、まだまだ魅力的だよ⁉︎ 見た目だけは、昔のままだし……』

 

 と、フォローをした。しかし、それは悪手だった。

 

「ひど〜い‼︎ やっぱり、蒼太さんは若い子の方が良いんだ⁉︎」

 

 益々、菜月は機嫌を損ねてしまう。蒼太は、どう言えば波風を立てないか、と悩んでいたが…。

 と、サロンへと入ってくる青年の姿があった。

 

「主任さん、ビークルのチェックをして貰いたい……って、お邪魔でしたか?」

「あッ、影斗君!」

 

 入ってきたのは背の高い眼鏡を掛けた青年だ。

 彼は牧野影斗(まきのえいと)。かつて、ボウケンジャーを技術、プレシャスの解析等で支えた牧野森男の息子であり、その後任である。

 影斗は、テーブルに置かれた雪歩、紺亮、菖の写真を見つけ、雪歩の写真を食い入る様に見つめた。

 

「……噂のルーキー達ですね……。彼女が白瀬雪歩か……」

「影斗君、雪歩ッちの事、知ってるの?」

「……いえ……初対面の筈なのに……何故か、彼女を昔から知っている気がして……不思議ですね……」

 

『……影斗君。用が済んだなら、早く戻った方が良いよ。君はメカニックなんだから、極力は任務には関わらないで欲しいな』

 

 蒼太は、珍しく棘のある口ぶりで影斗に言った。影斗は肩を竦め…

 

「これは失礼しました。じゃあ、資料を置いとくので確認を宜しく」

 

 と、サロンから出て行った。蒼太の失礼な態度に、菜月は叱責した。

 

「蒼太さん‼︎ あんな言い方って無いでしょ⁉︎ 影斗君、気を悪くしてたじゃ無い‼︎」

「……菜月ちゃん……。牧野影斗には注意していた方が良いよ……」

 

 菜月の叱責に、蒼太はシリアスな面持ちで言った。菜月は、首を傾げた。

 

「影斗君を? 何で?」

「……何か彼は匂うんだ……。元、スパイの勘が怪しいって言ってる……」

「……影斗君が、悪者だって言うの?」

 

 まさか、と菜月は言おうとしたが、蒼太は声のトーンを落としながら言った。

 

「牧野影斗は、前任者である牧野先生に10年前に拾われた養子だって言ってたよね?」

「そうだよ。おじいちゃんが、そう言ってた」

「……これは、牧野先生にも話してないんだけど……彼が先生に拾われる前…つまり、それ以前に何処に居たか、何処で生まれたかが全く謎なんだ……。まるで、10年前に突然、ポッと現れたみたいだって……」

「そんな……。考え過ぎだよ、蒼太さん……」

「……僕は、ボウケンジャーのアドバイザーだ。あくまで、デスクからのサポートに徹するけど、万が一に牧野影斗が黒なら……先代ボウケンジャーのメンバーとして、見過ごす訳には行かない……。

 菜月ちゃんも、チーフに就任して日は浅いけど……あまり、彼をルーキー・ボウケンジャーに接触させない様にして欲しい……」

 

 そう言った蒼太の顔は、非常に厳しいものだった。元々、裏社会に拠点を置いていた彼からすれば、過去の情報が全く出てこない牧野影斗の存在は怪しさしか感じられない。

 菜月も牧野影斗の作った様な笑顔、人当たりの良すぎる性格、更には一定以上は自分に立ち入らせない様にする彼の用心深さには、きな臭さを感じていたのは事実だった。

 だが、菜月はキッパリ言った。

 

「おじいちゃんの息子さんだよ? 大丈夫だよ‼︎」

 

 その鶴の一声で、蒼太は黙りこくる。これ以上は詮索はしない、と言う事だが、それでも牧野影斗の事を信じれた訳では無い。

 密かに、彼の正体について探りを入れる決意を固めた。無論、仲間を疑う事は、かつて改めたつもりではいたが、牧野影斗だけは別だ。

 何より……自分をアドバイザーに就任する様に命じた“彼”の言った、あの言葉が気掛かりで、殊更に蒼太の警戒心に拍車を掛けていた。

 

 

『財団本部には、くれぐれも気を付けてくれ』

 

 

 その頃、牧野影斗は夜の闇が支配するミュージアムの屋上に来ていた。真上には月が新円を描いている…。

 と、影斗は右手に銃に似た武器を持っていた。銃を構えると、左手に持っていた一枚のカードを、銃のスロットへと装填した。

 そして、銃身の下にあるレバーを引くと……

 

『―KAMEN RIDE―』

 

「変身‼︎」

 

『―DE・END―』

 

 無機質な音がした後、影斗は天に向かって数発撃つ。

 三色の人影が青年の体に重なることでアーマーに包み込み、頭上に滞空していた何枚かのプレートは顔面目掛けて降り注いだ。

 それがスリット状の複眼を備えるマスクを形成し、其処にはボウケンジャーとは異なる戦士が立っていた。

 そして、謎の戦士は夜の帳へと走り去る。果たして、その先にあるのは……?

 

 

 次回予告

 

 牧村を追跡し、サージェスタワービルへと向かうボウケンジャー‼︎

 しかし、それとは別に謎の戦士が現場へ出現した! 果たして彼は敵か、味方か⁉︎ そして、ボウケンジャーと相対する勢力が、その姿を現す‼︎

 

 次回! 轟轟戦隊ボウケンジャーReturn−White.adventure

 

 task2 出撃! ハイパービークル‼︎

 

 雪歩「あ、貴方は誰なの⁉︎」

 ???「通りすがりの仮面ライダーさ、覚えておきたまえ」

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