轟轟戦隊ボウケンジャー Return−White.adventure   作:竜の蹄

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今回は戦闘無しです。
また、キャラ設定を兼ねた話をtask5の後から投稿しますので、少し待ってて下さい。


task3 楽園に導くプレシャス

 〜全く……お前達は何をしているのですか…〜

 

 とある廃墟を改造したアジトに、ネオ・クエスターズ達の姿があった。

 ラアナはバツが悪そうに、目の前の巨大なウィンドウ画面に映る『D』を観ていた。

 

「……けど、マスターD。元々、アイツが持っていたのは、例のプレシャスでは無かったのでしょう?

 結果的には……」

 

 〜言い訳は結構。お前達が、しくじった事には変わりないのですから〜

 

 言い訳しようとしたラアナを、マスターDと呼ばれる人物はピシャリと言い放ち、黙らせた。

 

 〜分かっているのですか? 今回の一件で、サージェスは我々の存在を認知した。つまり、これから探索していくに当たり、必ずやボウケンジャーの妨害は必至なのです。

 そうならない為には、奴等より先に例のプレシャスを見つけ出す事が重要なのですよ?〜

 

「ハッ‼︎ 重々、承知してます‼︎」

 

 ラアナは平伏しながら言った。その際、ツルギが自信満々に言った。

 

「御心配なく、マスターD。例のプレシャスの探索、並びにボウケンジャーの妨害の阻止を両方から防ぐ為に、兼ねてより吾輩の開発した“あれ”が役に立ちます‼︎」

 

 〜お前の自慢の『忍科学』とやらですか?〜

 

 マスターDの質問に、ツルギは胸を張った。

 

「如何にも! 吾輩が長年掛けて開発した忍科学‼︎ かつて、ダークシャドウにて、その素晴らしさを説いたものも、頭の堅い頭領であるゲッコウには『忍法と科学は水と油であり、どちらに転ぶか判らない不安定な忍科学など言語道断!』と頭から否定されて、シズカやヤイバにも嘲笑われた挙句、吾輩はダークシャドウから追放された…!

 だが、古き忍法に溺れた負け犬共の、お粗末な頭には到底、理解が出来なかっただけ‼︎ 今こそ、この忍科学の崇高さを世に知らしめる時なのです、はい‼︎」

 

 ツルギの長い前置きに、ラアナは辟易していた。もう、何百回と聞かされたか、耳にタコが出来る程にである。

 しかし、当人であるツルギには死活問題なのだ。所属している組織から見放され、サージェスの支配下にある世間からすれば、危険思想を掲げた奇人と見做され、誰にも相手にされなくなっていた。

 彼曰く、ダークシャドウでは、頭領である幻のゲッコウに次ぐ組織の重鎮だったらしいが、件の忍科学を考案し仲間達に、その成果を見せた所、さっき本人が言った通り、歯牙にも掛けられなかったと言う。

 

『戯けが‼︎ 忍法と科学は水と油であり、どちらに転ぶか判らない不安定な忍科学など言語道断‼︎』

『科学とは所詮、人間が弱い己を誤魔化す為に編み出された“まやかし”に過ぎん! そんな物、力ある者には不要の長物だ!』

『結局、それって、ツクモガミ変化の術の真似っこでしょう? それを、自力で考えた風に言って、バカみたい! バ〜カ!』

 

 受け入れられる所か散々、罵倒されて扱き下ろされた末に、ダークシャドウから追放された苦々しい過去があるらしい。

 よって、既に彼はダークシャドウを見限り、自分の考案した忍科学こそが至高である、と世に知らしめようしている。

 

「……あれは、雨を降り頻る冷たい夜でした……。寝床を無くし、帰る場所も無くした吾輩は雨に打たれながら、誓いました‼︎

『笑わば、笑え‼︎ 去りたい奴は勝手に去れ‼︎ 吾輩1人になっても、忍科学の素晴らしさを証明して見せると……‼︎」

 

 〜……ツルギ……熱弁に水を差す様で悪いのですが……そろそろ、本題に入って良いですか?〜

 

 流石に、彼の陶酔と自虐混じりの過去語りにウンザリした様子で、マスターDは告げた。

 まだ話し足りない、と言った具合だったツルギだが、仕方無く閉口した。

 

 〜話は随分と逸れましたが……我々が、例のプレシャスを探索するには重大な理由があるのです。

 現在、星の数ほどに存在するプレシャスの内、30%はサージェスの手中に収められています。

 これだけ聞けば、大した数では無いかも知れませんが……プレシャスは太古の文明の遺した物から、比較的に近代に移ってから生まれた物と、未だにサージェスはプレシャス全てを把握はしていません。 

 そんな中、特異を放つプレシャスが存在し、そのプレシャスを手にした者は楽園へと導かれるのです。

 そして、そのプレシャスと思しき情報が、また一つ入りました。其れを手に入れるのが、次なるお前達のミッションです〜

 

「それで、マスターD⁉︎ その情報は⁉︎」

 

 ラアナは、急かす様に言った。すると、マスターDは別画面を映し出した。其処には趣味の悪いケバい化粧をした、丸々と太った老女の顔があった。

 

 〜彼女は蒲倉美江。とある資産家の未亡人であり、現在は古今東西の美術品を収集するのが趣味だと言われてます。

 そんな彼女の持つコレクションの内、最も価値のある宝の中にプレシャスがある、と情報がありました。

 其れを、ボウケンジャーより先に手に入れるのです!〜

 

「は、ははァァ〜‼︎」

 

 そうして、ラアナとツルギは深々と頭を下げた。と、同時に画面が消えた…。

 

 

 

 その頃、サージェスミュージアムでは……。

 

「はい、じゃあ……皆、点呼を取ります! 番号!」

「1 !」

「2 !」

 

 サロン室では、新たにボウケンジャーとなった3人と、チーフである菜月の4人の定例会が行われていた。

 しかし、紺亮と菖しか番号を言わず、其処に雪歩の姿は無かった。

 

「あれ? 雪歩ちゃんは?」

「知りませんわ。ちょっと、松浦さん? 白瀬さんは、何処に行きまして?」

 

 菜月の質問に、菖は紺亮に聞いた。すると、紺亮は肩を竦める。

 

「知る訳ねェだろ? 俺は、あいつの保護者か?」

「似た様な物でしょう? 貴方達、幼馴染と聞きましたが、何処に居るか見当くらい付きませんの?」

「…あのなァ…。てか、アイツが居なくても定例会くらい、やっちゃいましょうよ。居たって、話なんか聞きやしないんだし……」

「駄目だよ! ちゃんと皆、揃わないと定例会にならないよ⁉︎

 と、いう訳で……探して来てね!」

「ですって。時間が勿体ないから、手早く探して来て下さいな」

「……ッたく、たりィな……‼︎」

 

 菜月、菖に急かされて、紺亮はブツクサ言いながら、サロンから出て行った。

 

 

 その頃、雪歩は、と言うと……。

 

「いっただきま〜す‼︎」

 

 ミュージアムの外にあるベンチに腰掛け、カレーを食べていた。隣には穏やかに微笑む影斗の姿があった。

 

「ん〜! 美味しい! このカレー、牧野さんが作ったの?」

「影斗で良いよ。まあね、飽くまで趣味のレベルだけど、料理は好きなんだ。父は家を開けがちだったし、料理を作れるタイプじゃ無かったからね」

「えっと……影斗さんのお父さんって……」

「先代のボウケンジャーのメカニックの牧野森男。素晴らしい人だったよ……今は、生来の夢だったアトランティスを探して世界を旅してるんじゃ無いかな」

「お父さんが、冒険家なんだ? じゃあ、私と一緒だね! おじいちゃんも凄い冒険家なんだよ!」

 

 雪歩はカレーを頬張りながら言った。影斗はカレーを頬に付けた雪歩を見て笑う。

 

「カレーが頬っぺたに付いてるよ、雪歩ちゃん」

「ふぇ? あ、いけない! でも、影斗さんと会ったの初めてだよね? 何で、私の事を知ってたの?」

 

 頬のカレーをハンカチで拭いながら、雪歩は尋ねる。その際、影斗は表情を暗くした。

 

「影斗さん?」

「……僕は、12歳から前の記憶が無いんだ……。父さんに拾われて育てて貰う以前の記憶がね……」

「え? 影斗さん、牧野さんの息子じゃ無いの?」

「……血は繋がってない……養子なんだ……。だが、父さんは僕を育ててくれたばかりか、サージェスのメカニックを引き継がせてくれた……。二つの意味で、恩人と言う事になる……」

「恩人?」

 

 雪歩は、カレーを食べる手を休め、影斗の話に耳を傾けた。

 

「一つは血の繋がりが無い僕を息子として育ててくれた事……もう一つは、僕の過去を知る切っ掛けを作ってくれた事だ」

「過去を知る?」

「……サージェスのメカニックとして、プレシャスを解析する立場にあれば……あわよくば、自分の失われた過去の記憶を取り戻せるかも知れないからね……。僕は、どうしても知りたいんだ……」

「ふ〜ん……。でも、大丈夫だよ! この世に不可能なんて事は何も無いんだよ! おじいちゃんが言ってたけどね……無理や不可能は……」

「途中で諦めるから無理や不可能になる。諦めなければ、出来ない事は絶対無い」

 

 雪歩が言おうとした事を、影斗が先に述べた。雪歩は目を丸くする。

 

「よく分かったね……影斗さんって、エスパー?」

「まさか。ただ、僕も同じ事を考えてただけさ。不思議だね、君と僕とは話も考え方もよく似ている」

「本当だね!」

 

 雪歩と影斗は互いに笑った。其処に、紺亮がやって来た。

 

「雪歩! お前、こんな所で油売ってんなよな! お前のせいで、定例会が始まんないんだぞ!」

「あ、紺君! この人、牧野影斗さん! ビークルやアクセルラーを作ってくれてる人なんだよ!

 影斗さん、彼は幼馴染の松浦紺亮君‼︎」

「宜しく、松浦紺亮君」

「あ、ども……」

 

 差し出された握手に紺亮は応じるが、その顔は不快感に満ちていた。

 

「ほら、早く行くぞ‼︎」

「あ、待って‼︎」

 

 紺亮に急かされるので、雪歩はカレーを掻き込む。そして食べ終わると空になった皿を影斗に渡した。

 

「ご馳走様‼︎ また、お話しようね‼︎」

「ああ。今度、()()()()()

 

 ゆっくり、と言う言葉を妙に強調して、影斗は言った。雪歩は紺亮と隣を歩く。

 

「凄く良い人だよ、影斗さん‼︎ 優しいし、何かお父さんみたいだった‼︎」

「……お前が、腹空かせた犬みたいに涎垂らしてたからだろ」

「酷いよ、涎なんか垂らしてないもん‼︎」

「どうだか」

 

 嫌に機嫌が悪い感じを醸し出しながら、紺亮は早足で行く。雪歩は、何で紺亮は気を悪くしているのか気付かなかった。

 

「ねェ、速いよ! 何か、怒ってる?」

「当たり前だろ⁉︎ 俺は、お前の保護者じゃ無ェんだ‼︎ さっさと歩けよ‼︎」

 

 苛々した様子で、紺亮は怒鳴る。雪歩は理解出来ないままも、彼に付いていく。

 しかし、2人の歩み去った後も、その去りゆく後ろ姿をジッと見ていた影斗の姿があった。

 そうして、影斗は何かを思案した様にラボへと戻って行った…。

 

 

 

「全く……呆れ果てましたわ……‼︎」

 

 菖は腰に手を置いて、怒りと呆れが入り混じった顔で雪歩を見ていた。

 

「貴方、いつまで民間人のつもりで居るんですの? いい加減に、自分の立場を自覚しては、如何ですの⁉︎」

 

 と、菖は雪歩を叱り付ける。だが、雪歩は意にも介して居らぬ様子で、菜月と話していた。

 

「其れでね、影斗さんの作ったカレー、美味しかったんだ‼︎ なっちゃんも食べさせて貰ったら良いよ!」

「本当⁉︎ 楽しみだな〜‼︎」

 

 いつの間にか、仲良くなっていた2人を見て、菖は怒りがピークに達した様だ。

 

 

「……人の話を聞きなさい‼︎」

 

 

 と、怒鳴りつけながら、雪歩の頭に渾身のチョップを決めた。鈍い音がサロン内に響く。

 

「イッタァァァ……イ‼︎ 酷いよ、菖ちゃん‼︎」

 

 恨めしげに、菖を睨む雪歩。しかし、菖も手を抑えていた。

 

「痛いのは、こっちですわよ‼︎ 貴方、石頭過ぎるのでは⁉︎」

「言い忘れたけど、そいつの頭、むちゃくちゃ固いから。まともに殴ると、拳がイカれるぞ」

「そう言う事は、早めに言って下さらない⁉︎」

 

 紺亮の提言に菖は拳を払いながら、叫ぶ。雪歩は頭を摩りながら、菖を見る。

 

「もう……! 菖ちゃん、怒りん坊だね……冒険家は楽しく笑わなきゃ駄目だって、おじいちゃんが言ってたよ?」

「誰のせいですの、誰の⁉︎ あと‼︎ 気安く、呼び捨てにしないで下さらない⁉︎ チーフの事も、なっちゃんなんて呼ばずに『間宮チーフ』と呼ぶべきですわ‼︎」

「えええ⁉︎ 良いじゃん、同い年くらいなんだから! ね、なっちゃん?」

「あはは……菜月は『なっちゃん』でも構わないけど……一応、皆より歳上だよ?」

 

 

『はい?』

 

 

 その場にいた全員がシンクロした。

 

「えっと……チーフ、いくつっスか?」

「ん〜〜、34歳くらい?」

 

『さ、34歳⁉︎』

 

 またまた、シンクロした。驚くのも無理はない、目の前に居る菜月は、見た目は菜月達と同年代、下手をすれば歳下に見えなくもないのだから。所が、雪歩や紺亮、最年長で24歳の菖より歳上と来たのだから。

 

「う、嘘だろ⁉︎ 童顔ってレベルじゃ無いぞ⁉︎」

  「……何をすれば、そんな発展途上の若さを保っていられますの⁉︎」

「凄いね! なっちゃん、とても年増なんて思えないくらい、若作りだね‼︎」

「……菜月、褒められてる気がしないんだけど……。あと、雪歩ちゃんの言葉、地味に傷付く……」

 

 言いたい放題に言われ、菜月は複雑な心境だった。因みに、雪歩の言葉は本人に悪意が無い分、余計に質が悪かった。

 

『菜月ちゃんは、生まれた時の体質で身体の劣化が起きにくくて、普通の人より若い時代が長いんだ。だけど、基本的に脳は僕達と同じ様に歳を重ねてるから、34歳と言うのは事実だよ』

 

「蒼太さん!」

 

 サロン正面にある大画面から、アドバイザーの蒼太が現れた。

 

「やァ、お疲れ! 今日から君達も晴れて、ボウケンジャーの仲間入りだね‼︎ 僕はアドバイザーだから、基本はサロンに居ないけど、こうやって君達に画面を通じて、プレシャスについての情報を渡して行くつもりだから」

 

 画面の向こうで蒼太が爽やかに言った。実質、ボウケンジャーとして現場に赴くのは雪歩、紺亮、菖の3名だが、チーフの菜月、アドバイザーの蒼太がバックヤードからの支援をしてくれると言うのだから、心強い。

 

「ちょいと! 私を忘れたら困るヨ‼︎」

 

 突然、サロン内にお団子頭にツナギを来た女性が入って来た。

 

「初めまして、皆! 整備士助手の李紅花アル! サージェス中国支部から出向してきたアル! 皆の搭乗するハイパー・ビークルの整備は私と影斗さんで請け負っているから、ビークルの事なら任せるヨロシ‼︎」

「……い、今時、そんな、あからさまな中国訛りする人、居るんだ……」

 

 紺亮は紅花を見ながら呟く。昔の漫画やアニメに出てくる中国人キャラならともかく、今時「アル」だの「ヨロシ」だのをリアルに使っている人間は初めてだった。

 

「これは、キャラ作りヨ! 中国人の設定は小説だと表現し難いから……」

「はい、ストップ‼︎ そう言うメタな話は置いとけ‼︎」

 

 紺亮は、これ以上、話させてはならないと第六感が働き、紅花を黙らせた。

 

「話を戻すアルが、皆が使ってるスーパーアクセルラー、ボウケンアームズ、サバイバスター・カスタム、更に皆のスーツと、ハイパー・パラレルエンジンを連動しているハイパー・ゴーゴービークルに至るまで、私達が所属する技術開発部が作成しているアル‼︎ 更に、貴方達が見つけて来たプレシャスの解析も渡したに任せるヨロシ‼︎」

「はいは〜い! 一つ、質問なんですけど〜?」」

 

 雪歩が手を上げた。

 

「何アルか?」

「前から気になってんだけど……ハイパー・パラレルエンジンって何?」

 

 その発言に、その場に居た全員がズッコケた。恐らく、蒼太の画面の向こうでズッコケているに違いない。

 

「あれ? 皆、どうかした?」

「貴方……ハイパー・パラレルエンジンを知らずに、ボウケンジャーやってましたの⁉︎」

「えっと…… ビークルを動かすエンジンってくらいしか知らない。後は、テレビやゲーム機とか動かす事も知ってるよ‼︎」

 

 ノーテンキに言った雪歩に最早、全員が呆れて物が言えなかった。

 

「……本当に、この人で大丈夫ですの?」

「……考え無しの、出たとこ勝負好きな奴だからな……」

 

 紺亮、菖は不安しか湧いて来ない。蒼太が、アハハと笑いながら…

 

「……まァ、良い機会だし……紅花ちゃん。ハイパー・パラレルエンジンについて、教えてあげてよ。これから、長い付き合いになるだろうしね」

 

 蒼太の取りなしで、紅花は気を取り直して話し出した。

 

「じゃあ、ハイパー・パラレルエンジンについて、おさらいを兼ねて説明するアル。

 そもそも、パラレルエンジンとは何か?」

「プレシャスをエネルギー源としたエンジンシステムの事でしょう? プレシャスの持つ強大なエネルギーを用いて、ゴーゴービークルを動かす為の動力としている」

 

 菖がつらつらと述べた。雪歩は驚いた様子だ。

 

「凄いね、菖ちゃん! 物知りだね!」

「今時、常識ですわ。寧ろ、知らないで居た貴方の方が凄いのでは?」

「いやァ、それ程でも…」

「褒めてません‼︎」

 

 雪歩の的外れな言葉に的確な突っ込みを入れる菖。知らず内に、この状況に順応しつつある自分に、菖は辟易した。

 

「……話を戻すアルが……その通りヨ‼︎ パラレルエンジンは、プレシャスの発するエネルギーを解析した結果、開発されたエネルギー機関。

 起源は遡る事、1000年前……ルネサンス期に実在した伝説の芸術家レオン・ジョルダーナによって開発されたとされるネ‼︎」

「1000年前て⁉︎ そん時は、まだだけど車や飛行機どころか、蒸気機関車さえ無かった様な時代だろ⁉︎

 そんな時代に、エンジンを開発したってのか⁉︎」

「正確には、パラレルエンジンの基盤と言った感じある。彼の未発表のデッサンには、その作り方についてが事細かに記されていた‼︎

 後に、サージェスはそのデッサンを基に、未知の動力機関パラレルエンジンを完成したと言う話アル‼︎」

「信じらんねェ…‼︎ ソイツの頭ン中は、どうなってたんだ⁉︎」

 

 紺亮は、盛んに驚いていた。パラレルエンジンの力は、この前の戦いに実感済みだった。

 と、なれば、それの基盤を世に遺したレオン・ジョルダーナは、相当な天才、或いは鬼才と呼ぶに相応しかっただろう。

 

「そして、サージェスは更に発展させて、ネオパラレルエンジンを開発させる事に成功したアル!

 ネオパラレルエンジンは、他のエネルギーからの妨害を受け付けず、リミッターを解除したら、人の精神をエネルギーに換えて、それこそ無限大にエネルギーを引き出す事が可能となるヨ‼︎」

「それは、聞いた事がありますわ。確か、以前は最後の戦いにて実戦投入されたけど、下手をすれば搭乗者の精神を破壊して廃人とし兼ねない危険なシステムだった事が発覚して、ネオパラレルエンジンのリミッター解除は御法度となった筈…」

 

 菖の指摘で、紅花はビシッと指を差す。

 

「そこだヨ! サージェスは、その後に新たなパラレルエンジンの開発を始めたアル!

 先ずは、今の社会に浸透しているセーフティ・パラレルエンジン!

 これは、従来のパラレルエンジンの力を抑えて極小化した物で、パラレルエンジンの持つ反動を抑え込む事に成功したアル!

 その為、ビークルを動かす事は出来なくなってるけど、たった一つ使うだけで、家庭一戸建て分の電力を補う事が可能だヨ‼︎

 そして、そして! アドベンチャー時代が幕開けしてから5年前、遂に、パラレルエンジン、ネオパラレルエンジンを上回る最高クラスのエンジンの開発に成功したアル‼︎

 それが、ハイパー・パラレルエンジン‼︎」

 

 紅花は、ドヤ顔で話す。しかし、やたらと長い蘊蓄だな、と紺亮はいい加減に辟易してきた。

 そもそも、こんな話はサージェスに来た初日から3週間にも及ぶ研修にて耳がタコになるくらい聞かされている。

 

「前の作品では、創作設定を端折り過ぎた事を反省した作者が、ちゃんと設定も交えて話を進めていきたい、と言う考えから、来ているアルね!」

「また、メタ発言⁉︎ てか、人の心を読むなよ⁉︎」

「……貴方、さっきから騒がしいですわよ? 静かにして下さらない?」

 

 ツッコミを入れる紺亮に、菖は冷ややかに言った。

 

「そして、ハイパー・パラレルエンジンとは、ズバリ!

 従来のパラレルエンジンを遥かに上回る出力を持ち、その比率はオリジナルの10倍は違ってくるヨ!

 無論、他のエネルギーによる妨害も受け付けず、ハイパー・パラレルエンジンを使用すると、しないとでは、それまで不可能とされていた新機能やアクセルスーツを強化して、Newtype=アクセルスーツに移行する事を可能としたアル!

 このスーツの装備時は腕力、脚力、ジャンプ力も常人の40倍となり、耐久力も95%にまで上昇したアルよ!」

「其処まで聞けば凄い数値ですわね。ただ、チームのリーダーである間宮チーフや、アドバイザーの最上さんは、スーツの適用外となっているのは何故?」

 

『それには、明確な理由があるんだ』

 

 今度は蒼太が語り出した。

 

『最初は、ボウケンジャーとして経験がある僕達も、Newtypeのスーツに移行する予定だった。

 だけど、このハイパー・パラレルエンジンには、思ってもないデメリットが存在したんだ』

 

「その思ってもないデメリットとは?」

 

 菖は聞いた。すると、菜月が表情を暗くした。

 

『菜月ちゃんには話し辛い話になるけどね……この、ハイパー・パラレルエンジンは、誰にでも使いこなせる代物じゃ無かったんだ。

 さっき言った能力を使いこなすには…早い話、ハイパー・パラレルエンジンと100%適合している事が条件なんだ』

 

「100%、適合? エンジンと人間が適合するんスか?」

「それが、するアルよ! ハイパー・パラレルエンジンが開発されてから、暫くして試作型のNewアクセルスーツを使用した結果、ハイパー・パラレルエンジンの影響を受けて、それを肉体に伝達して行くには、生まれついて、エンジンと脳のデータが100%一致している事が前提である事が分かったアル。

 しかも、この100%適合者と言うのは、従来の様に訓練でどうにかなる物では無く、かなり少ない割合でしか存在しない少数派と言う事も発覚したアル」

「その割合って? そんなに低いの?」

 

 紺亮の質問に、紅花が電卓を弾いて、その数を見せた。

 

「ざっと……1000万人の内、1人と言う割合ヨ」

 

 

「い、1000万人⁉︎ 東京の人口と、殆ど変わらないじゃねェか⁉︎」

 

 

 紺亮は、普通に驚愕した。1000万人に1人しか完全適合者が居ないと言うなら、余程の低確率でしかボウケンジャーになれないと言う事になる。

 

「詰まる所、私達はハイパー・パラレルエンジンの適合率が100%だから、ボウケンジャーに選抜された、と?」

「そう言う事アルな!」

「てか、良くそんな低い割合の中、俺達を見つけ出せたな?」

「今は情報社会アルからな! 個人が、ネット状にある他人の個人情報を段階を踏みさえすれざ情報開示する事が出来る様に、サージェスは長い時間を掛けて、完全適合者を選抜する事を迫られたアル!

 因みに菜月チーフや蒼太さんは、その適合率が低かった事、更に言えばチーフの場合は、歳を取りにくい事の副作用から、ハイパー・パラレルエンジンの影響を受けにくい事が分かったアル」

「そうなんだ! 本当なら、菜月もボウケンジャーとして皆と一緒に現場に入らなきゃなんだけど、新タイプのスーツが不適用となっちゃったんだ!」

 

『まァ、君達はハイパー・パラレルエンジンとの相性がたまたま一致したとは言え、その真価を引き出す為には肉体をエンジンに慣らさなければならなかった。

 既に、冒険家として基礎体力があった菖ちゃんは比較的に早く身体を鳴らせたらけど、雪歩ちゃんや紺亮君は元が一般人だから、最短でも半年は掛かるんだ。

 理解してくれたかな?』

 

 と、長い説明は漸く切り上げられた。しかし、紺亮と菖の横では、たったまま眠り込んでいる雪歩の姿があった。

 

「……寝てるな……」

「てんで聞いてなかった様ですわね……」

 

 難しい話は苦手である雪歩は話が始まってから、数分と経たずに眠ってしまった。

 菖は額に青筋を浮かべながら、雪歩の横に立つ。

 

「起きなさい‼︎」

 

 スパァァン‼︎…と、乾いた音がサロン内に反響した。

 

「イッタァァァ……!!!」

 

 雪歩は目を覚まし、頭を抑えながら悶える。菖の手には特大のハリセンが握られていた。

 

「……なァ? お前、何時もそんなの持ち歩いてんの?」

「淑女の嗜みですわ」

 

 どんな嗜みなんだ?、と紺亮は聞きたくなったが、この際、スルーした。

 

「菖ちゃん、酷い! 折角、特大の芋羊羹を食べる所だったのに‼︎」

 

 恨みがましげに菖を睨む雪歩。しかし、菖は……

 

「まだ、寝ぼけてますの? もう一発、行きましょうか?」

 

 と、ハリセンをパシッパシっと鳴らす。雪歩は、ブンブンと首を横に振った。

 

「あははは! 2人共、すっかり仲良しだね‼︎」

「そう見えるチーフが凄いッスよ……。はァァ……これから、先が思いやられるよ……」

 

『……まァ……僕達の頃より賑やかになったみたいだし……良いんじゃ無いかな?』

 

 紺亮、菜月、蒼太も2人の様子に各々の感想を述べた。紅花は…

 

「じゃ、私はラボに帰るヨ‼︎ 何かあったら、また連絡するヨロシ‼︎」

 

 そう朗らかに告げて、紅花はエレベーターで降りて行った。菜月は気を取り直し、雪歩達を集める。

 

「じゃあ、話を戻すね! 貴方達には、プレシャスを集めて貰う事になるけど……ただ、プレシャスを集めれば良い訳じゃ無いの!

 今、サージェスが探している特別なプレシャスを探して貰う事になるんだ!」

「特別なプレシャス? 具体的には?」

 

 菖が尋ねる。すると、蒼太が別画面を映した。

 

『特別なプレシャス……実は、どう言った物かは不明なんだ。ただ一つ言える事は、その特別なプレシャスは通常のプレシャスを上回るエネルギーを有している事、そして其れらしい反応が、世界から四つ程、見つかっているんだ!

 その事から、サージェスは名前を《メガプレシャス》と名付けた‼︎』

 

「メガ……プレシャス……⁉︎」

 

 雪歩は、その言葉に惹かれる物を感じた。

 メガ…と付いただけだが、それだけで此れが唯のプレシャスでは無い事を物語っている。

 

「そのメガプレシャスって奴を見つけたら、何が起こるんスか?」

『サージェス本部では、その4つのメガプレシャスを集め、ある場所に集結した時、世界の何処かにある楽園の在処を示すとされている』

「楽園? 随分と大雑把な表現ですけど、その楽園とは一体?」

 

 紺亮に続いて、菖が質問する。すると、蒼太の顔が映った。

 

『その楽園には、豊潤にプレシャスがあり、一説によれば全てのプレシャスの原点とされている場所だ。

 その楽園を見つけ出した物は、国を買える程の富も、世界に君臨する程の叡智も、やがて訪れる死にさえ蓋をする事が可能になると言う…。

 そう……その楽園の名は……プレシャトピア‼︎』

 

 雪歩は、蒼太の言葉に絶句する。かつて祖父が生涯を懸けて探し求め、自身の夢を定めた因縁の地……。

 雪歩は高鳴る鼓動が鳴り止まないのを感じていた…。

 

 

 次回予告!

 

 メガプレシャスを入手する使命を帯び、ボウケンジャー達はとある資産家の主催するパーティーへと参加する。

 しかし、そんな彼女達の前にネガティヴが現れてプレシャスの奪い合いへと発展して……!

 

 次回! 轟轟戦隊ボウケンジャーReturn−White.adventure

 

 task4 襲来! ツクモロボ‼︎

 

 雪歩「プレシャスは渡さないよ、おばさん‼︎」

 ラアナ「お黙り、小娘‼︎」

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