轟轟戦隊ボウケンジャー Return−White.adventure 作:竜の蹄
今回はボウケンジャー達には、冒険に出て貰う予定です‼︎
それでは、どうぞ‼︎
東京都内……都会から少し離れた居住区……其処にある一軒家の門には「白瀬」と札があった。
家の中では、ソファーに腰を下ろした少年がスマホを弄っている。
「……ッかしィな? 全然、繋がらねェ……」
彼は白瀬海人。雪歩の3歳下の弟であり、都内の男子校に通う高校生だ。彼はスマホを見ながら怪訝な顔を浮かべる。
この1ヶ月間、姉と連絡が付かない。3ヶ月前、姉からメールが届き「就職する事にした。お母さんには秘密ね」とだけ書いてあった。
それからは何度も連絡しても繋がらず、不審に思って彼女のアパートを訪ねたが、3ヶ月前に引き払った、と大家は言う。
姉の突拍子無い行動は今に始まった事では無いが、今回は不自然が過ぎる。
「……まさか……誘拐された?……な、訳ねェか? アイツを誘拐して、何の得にもならないし……」
自分の言葉にツッコミを入れながら、海人は天井を仰ぐ。姉が母と壮絶な親子喧嘩をして、家を飛び出してから暫く経つ。
元々、あの二人は性格の不一致から、気が合わない。だが、姉の方が折れて帰ってくる、と安易に考えていただけに、こんなに長い家出となったのは予想外だ。
まさか、ここまで気合入れてたとは知らなかった、と海人はしみじみと思う。
と、其処へリビングに男性が入ってくる。
「父さん」
海人に父さんと呼ばれた男性は、白瀬桜太。穏やかそうな容姿に加え、眼鏡を掛けた中年男性だ。
職業は小説家であり、普段は家に居る事が多い。彼が書く小説は義父に当たる白瀬冬次郎から聞き及んだ冒険譚を、フィクションを交えて作成した冒険活劇であり、それなりに人気作家である。
「雪歩とは、連絡が付かないのか?」
桜太は冷蔵庫から、冷やしてあるエナジードリンクを数本ばかり取り出して、内の一本を開封し飲み始める。
「うん……大丈夫かな、姉貴? 就職したって言ってきたきり、音信不通だし。あの姉貴が、まともに社会人やってるとか想像つかないよ……」
海人は心配しながら言った。幼い頃から、姉の破天荒ぶりには振り回されて来た。
思い至れば一直線、周りに掛かる負担や弊害など知った事じゃ無い、その癖、異常なくらいにポジティブかつ楽天的と余計に不安を掻き立てられる。
しかし、桜太は穏やかに笑う。
「雪歩だって、もう子供じゃ無い。自分のやりたい事が見つかったんだろう。好きな事をやらせてやれば良い。
あの娘が挫折して、此処に帰って来た時には優しく出迎えてやるのが親じゃ無いか」
「ふ〜ん、そんなもんかね? でも、母さんはカンカンだったよ。『あの親不孝娘なんか、もう親も子も無い! 二度と、この家の敷居を跨がせない!』だってさ」
「強がってるだけだよ。母さんも寂しいんだ……義父さんとの事もあるしな……」
桜太は、しみじみと呟く。テレビの横にある家族全員で取った唯一の写真……義父である冬次郎は、幼い雪歩を抱っこしており、まだ赤ん坊だった海人を母親が抱っこしている。
しかし、母親は何処か仏頂面である。
「冒険家だった義父さんと母さんは、最後まで和解する事が出来なかった……だが、自分の片意地のせいで義父さんに歩み寄れなかった事を母さんは、ずっと後悔していたんだ……。
雪歩が、義父さんの夢を継いで冒険家になろうとしたのも、ひょっとしたら義父さんを見つけたい、と言う考えが強かったかも知れないな……。最も、母さんからしたら、義父さんを思い出してしまうから、雪歩の夢を頑なに否定していたんだろう……」
「姉貴も母さんも、よく似てるよ。どっちも意地っ張りだからな……」
海人も同意した。すると、桜太は……
「さて……父さんは今から執筆だ。締め切りも近いからな。母さんは……今日も遅いのかな?」
「朝、出て行く時も、サージェス傘下の企業への取材とか言ってた。晩飯は俺が作るから、父さんは心配しないで良いよ」
「……そうか……さ、仕事だ仕事」
桜太は、いそいそと書斎へ入って行く。海人は天井を仰ぎ見ながら、小さく呟く。
「……何時でも帰って来いよ……姉ちゃん……」
「……ックシュン‼︎」
サージェスミュージアムのサロン内に、雪歩のクシャミが響いた。
「何だろ? 風邪かなァ?」
雪歩が鼻を擦りながら呟く。しかし……
「有り得ねェだろ? お前が風邪なんか……」
紺亮が持ち込んだ漫画雑誌を捲りながら、ズバッと言った。
「馬鹿は風邪を引かない、って言いますわ」
菖はダンベルで筋トレをしながら、冷ややかに言った。
「酷い、2人共‼︎」
雪歩は辛辣な態度の2人に腹を立てる。そうして、やけ食い気味に芋羊羹に齧り付く。
「そんだけ食欲がありゃ、大丈夫だよ……てか、お前! それ、俺の分の芋羊羹じゃねェか‼︎」
「だって紺君、食べないんだもん。いらないかと思って……」
「後で食う予定だったんだよ‼︎」
「止めなさいな、食べ物の事で喧嘩なんて見苦しい……大体、貴方達! リラックスしてないで、トレーニングでもしたらどうですの⁉︎」
自分の分の芋羊羹を食べた雪歩に紺亮は怒鳴り、菖はダンベルを置いて2人を嗜めた。
「菖ちゃんも食べないの? 芋長の芋羊羹、身体が大きくなるくらい美味しいんだよ?」
「そんな話してませんわ‼︎ そもそも、私は羊羹は嫌いですの‼︎」
菖の台詞を聞いた雪歩は怒って立ち上がった。
「羊羹が嫌い⁉︎ 菖ちゃん、それは日本人にあるまじきだよ⁉︎ 羊羹は日本のソウルスイーツだよ‼︎
非常食にもなるし、スポーツの補給食にもなるし、羊羹を嫌うなんて和菓子屋に対する侮辱行為だよ‼︎」
「別に羊羹を侮辱した訳では……だから、話が逸れてますわ‼︎ 貴方、暇さえあれば食べるか寝るかしてないで、少しは次の任務に備えて身体を鍛えなさい、と指摘してますの‼︎」
菖もムキになって怒鳴る。紺亮は、喧嘩を始めた2人の仲裁に入る。
「止めろよ、食い物の喧嘩なんか見苦しいって言ったばかりじゃ……」
『うるさい‼︎』
仲裁に入った紺亮を、雪歩と菖は怒鳴りつける。紺亮は、あまりの剣幕に引き下がるしか無い。
「何で怒られてんの、俺……?」
「どうしたの、皆?」
サロン室内でに、菜月が入って来た。紺亮は…
「チーフゥ……ビシッと言ってやって下さいよ……」
と、菜月に助け船を求める。相変わらず、羊羹の話題で低レベルな喧嘩を繰り広げる2人。
突然、雪歩と菖は菜月に…
「なっちゃんは、どう思う⁉︎ 羊羹、美味しいよね⁉︎」
「チーフ‼︎ 白瀬さんに注意して下さい‼︎」
と、各々の意見を述べた。菜月は…
「う〜ん、菜月は羊羹も好きだけど……やっぱり、宇治金時が好きかなァ?」
と、呟く。雪歩と菖は憤慨して…
「羊羹の方が一番に決まってるよ‼︎ 美味しいもん‼︎」
「貴方は少し黙りなさい‼︎ チーフも流されないで下さい‼︎」
と、火に油を注ぐ結果となった。紺亮は頭を抱える。
「あ〜……マジで転職しようかな……」
女三人の痴話喧嘩に、紺亮は辟易した。と、其処にエレベーターの音がして、サロン室に影斗が入って来た。
「……随分と賑やかだね。何の騒ぎかな?」
「……見ての通りッスよ……てか、なんか用事ッスか?」
影斗の質問に、紺亮は疲れ切った様子だった。影斗は、幾つかの資料を持っていた。
「いやァ……チーフに話しがあって来たんだけど……後にした方がいいかな?」
「あの喧嘩の渦中に入る覚悟があるなら……ッて、嗚呼……」
紺亮は、影斗の肩を掴む。
「アンタみたいな常識人が、サージェスに居てくれて良かった……今は、マジでそう思う……‼︎」
「相当、苦労してるんだね……」
疲れ切った紺亮の姿に、影斗は苦笑いを浮かべながら言った。
「あ、影斗さんだ⁉︎ どうしたの⁉︎」
「やァ、雪歩ちゃん」
雪歩は、影斗の姿を見て、喧嘩を忘れた様に近寄って来た。影斗は…
「チーフ。開発中の新武器についてなんですが……」
「えッ⁉︎ 何の話だっけ?」
菜月の、とぼけた口調に影斗は苦々しく笑う。
「……先程、チーフのPCにメールを送った筈ですが?」
「あ、ごめ〜ん。菜月、PCの使い方、よく分からないの! 普段は蒼太さんに全部、任せてるから……」
「……なァ。あの人、本当にボウケンジャーだったのか?」
「……自信、ありませんわ……」
紺亮、菖は雪歩より少しマシだが、かなり子供っぽい思考の菜月が、自分達の先代のボウケンジャーだった、と言う話を素直に信じられなかった。最も、一癖もある現メンバーを纏めれる辺り、才覚はあるかもしれないが……。
「……はァ……そんな事じゃ無いか、と思って資料を持って来ましたよ。これです」
影斗は呆れ混じりに、手にした資料を見せる。資料には、両手で持つタイプのマシンガンやライフルに似た大型の銃器が描かれていた。
「あ‼︎ デュアルクラッシャーだ‼︎ 懐かしい‼︎」
菜月は、資料に描かれた武器を懐かしげに見た。
デュアルクラッシャーとは……先代のボウケンジャーの切り札として用いられた超兵器であり、二種類のゴーゴービークルからエネルギー供給を受けて、サバイバスターの10倍と言う絶大な破壊力で敵を一掃する。
しかし、その反動が難点であり、アクセルテクターと呼ばれる防具が無いと、その力を制御出来なかった。
だが、それを差し引いても、ボウケンジャー達を幾多の戦いで勝利に導いた最強の武器である事に変わらない。
「そうです。そして、これはデュアルクラッシャーに、ハイパー・パラレルエンジンのエネルギーを供給させて発射する様に改良する予定の新武器……名付けて《デュアルクラッシャーG》です」
『デュアルクラッシャーG⁉︎』
新武器の名前を聞いた四人、特に雪歩はワクワクした様子で…
「か……ッこイイ……‼︎ Gってカッコイイ‼︎ ロボットアニメに出て来そうだね‼︎」
「い…いや…。Gって言うのは『GLEAT』の略で、特に深い意味は無いけど……」
「尚更、カッコいい‼︎ 早く使いたい‼︎」
「ガキかよ…」
「やれやれ…ですわ…」
「あはは……」
ロボットに憧れる子供の様な事を言う雪歩に三人は呆れ果てた。菜月は、資料を見直す。
「影斗君。これって実戦には投入できそう?」
「其処が、ネックなんです…」
影斗は真面目な顔つきで菜月を見る。
「現在、開発している新型のハイパー・ビークル三機の何れかからエネルギーを供給させ、後は実戦にしよう出来る数値データまで改善していきたいんですが……障害としては使用者に掛かる負荷が、旧型の比では無い、と言う事です……」
影斗は眉に皺を寄せる。
「……まだシュミレーション上での見解ですが、アクセルスーツのみで使用すれば、使用者に反動によるダメージが襲い掛かり最悪、任務に悪影響を及ぼし兼ねないんです……」
「前のデュアルクラッシャーも、使い熟すのが大変だったもんね……アクセルテクター、使えないの?」
「それも視野に入れて見ました……。ですが、やはり旧型のテクターではデュアルクラッシャーGの反動ダメージは軽減されず、危険リスクは拭えません……。
アクセルテクターの改良型を開発さえ出来れば、問題は解決なんですが……其れには、やはりプレシャスの力が……」
影斗は頭を悩ませる。アクセルテクターの場合は、プレシャスの力を反映させる事で防御力の向上とデュアルクラッシャーの反動を抑える事が出来た。
しかし、新型のデュアルクラッシャーズGを用いるには既存のアクセルテクターでは頼りないのだ。どうしても、新型のアクセルテクター開発が必要なのだ…が……其れには、やはりプレシャスの力を使わなくてはならない。
「……取り敢えず、この話は保留にします。ボウケンジャーの君達に頼みがある。もし任務先で入手したプレシャスが使えそうなら、僕に教えて欲しいんだ。君達のレベル向上の為にもね……」
「うん、任せて‼︎」
「了解ッス…」
「善処はしますわ」
影斗から依頼を受け、三人は各々に返答した。すると、エレベーターから紅花が現れた。
「あ〜‼︎ また、サボってるアルな、影斗さん‼︎ 仕事が山積みなんだから、さっさとラボに戻るヨ‼︎」
「紅花さん……別にサボってる訳じゃ……」
「さっさと行くヨ‼︎」
影斗は紅花に引き摺られる様に、サロンから出て行った。残された四人は……
「新型の武器か……確かに、ネガティヴに毎回、邪魔をされたらヤバいよな……」
「メガ・プレシャスの収集と同時に通常のプレシャスの入手も肝要ですわね……」
紺亮と菖は、新武器について話題を上げた。対し、雪歩は…
「難しい話は分かんないけど……よーするに、プレシャスを見つけて、影斗さんに渡せば良いんだよね! 楽勝だよ!」
と、気楽に言ってのけた。
「あのなァ……!」
「そう言う単純な話じゃ、ありませんのよ……!」
何時でも妙にプラス思考な彼女からすれば、新武器のリスクなど小さき問題だろうが、菖の言う通り、話は単純では無い。
そもそも、新武器を使用するに当たるプレシャス自体が分からないのだ。
「チーフ。今、サージェスにある既存のプレシャスは使えませんの?」
「う〜〜ん……ダメみたいだね……。資料を見ても、アクセルテクターの改良の為には、やっぱりハイパー・パラレルエンジン級のパワーを引き出せるプレシャスが必要かなァ…。
其れに、既存のプレシャスは本部の許可なしには使えないし……」
「……はァァ……こりゃ、宿題だな……」
『やァ、皆‼︎ 新しいプレシャスの情報だよ‼︎」
「蒼太さん!」
「相変わらず、都合の良い事……!」
「今度は、メガ・プレシャスの情報なんでしょうね?」
メンバーは、ウィンドウに映る蒼太に注目する。
『それは分からない。浪漫溢れるプレシャスなのは間違い無い‼︎』
「なになに〜! 早く教えて〜‼︎」
雪歩は、せがむ。すると、画面が切り替わった。
『今回はこれだ! 伝説の海賊の遺した財宝の中に、プレシャスがあったと言う噂だ!』
「海賊〜⁉︎」
雪歩は「海賊」と言う単語に、胸をときめかせた。
「海賊だって、紺君! 海賊って冒険するんだよね‼︎ 夢と浪漫を求めて、伝説の秘宝を探すんでしょ‼︎ 不思議な木の実を食べて、不思議な力を手に入れちゃって‼︎」
「…お前……どっかの国民的海賊漫画じゃ無ェんだから……」
「実際の海賊が冒険なんかしませんわよ。言ってみれば、ネガティヴ側ですわよ」
海賊に間違った考えを持つ雪歩を、二人は冷めた口調で言った。
「そんな事無いよ‼︎ 海賊は夢を見るんだよ‼︎ 自由に生きるんだよ‼︎」
「……居るんだよな、こー言う奴……」
「……そもそも、海賊は客船や民間船を襲う海の犯罪者ですわよ……」
『まァ……雪歩ちゃんの言う海賊は、あんまり居ないだろうけど……海賊の遺した財宝が有るのは確かだよ。
キャプテン・キッド然り、エドワード・ティーチ然りね……』
「でも蒼太さん。海賊って日本にも居たの?」
菜月が尋ねた。すると、また画面が切り替わる。
『海外の海賊に比べたら、知名度は低いけど海賊と呼ばれた人間は居た。最も、日本のは海賊と言うよりは、水軍を所有する軍隊と言ったイメージだから……。
けど、最近になって日本の海賊王と呼ばれた海賊の存在が発覚したんだ!」
「わァァ、海賊王か……世界の果てを旅して、最後は処刑台で格好良く……」
『海賊漫画から頭を離せ! あと、少し黙ってろ‼︎』
尚も、海賊の幻想を夢見る雪歩に、痺れを切らした二人は一喝した。
「……は〜い……」
しょげた様に、雪歩は黙った。
「日本の海賊って? 村上水軍とか、そんな感じですの?」
『今回は違う。どうやら、江戸時代に入る手前、日本にやって来た海賊達が居たんだ。
彼は、17世紀頃に主にヨーロッパで暴れ回った海賊、キャプテン・ゴールディ・グリード。大の宝石好きで、彼が生前に掠奪した宝石類は現在に通算すると1000億円は下らないとか』
「マジかよ……。で、その海賊が何で日本に?」
写真に映し出された海賊の似顔絵は如何にも、海賊と言った風体だった。海賊ハットに眼帯、厳つい顔とテンプレな海賊だ。
『伝承によると、ゴールディは祖国で悪事の限りを尽くした為、国を追われた。船もボロボロで、仲間達も疲弊していた。
だが、奪った宝石を渡すまいと日本近海へやって来た。恐らく、日本にてほとぼりを冷ますつもりだったんだろうね。
しかし、元々から、仲間内で信頼が薄かった彼は仲間から裏切りを受けた。船内で血みどろの仲間割れが勃発し、ゴールディは死んでも宝は渡すまい、として仲間を皆殺しにした。
しかし、自身も重傷を負って、ゴールディは死亡。最期は沈みゆく船と数多の宝石類と共に、海の藻屑となったらしい……』
伝説の海賊の話を聞いた三人は無言だった。しかし、菖が口を開く。
「皮肉な話ですわね……宝を奪われまい、と日本まで逃げて来たのに、命を落とすとは……」
「……で、そのゴールディとか言う海賊の宝に、プレシャスがあるんスか?」
『ああ! それが、これだ‼︎』
画面には、大きなルビーと思しき宝石が映し出された。
『コスモハート。一見はルビーに見えるが、この宝石は地球の物では無く、外宇宙から隕石によって持ち込まれた物では無いか、と言う説がある。
つまり……この宝石自体に、凄まじいエネルギーを持っているんだ』
「外宇宙から…か…。スゲェ話だな……」
紺亮は俄には信じられない様子だった。だが、雪歩は既にウズウズしていた。
「……海賊の宝に……宇宙から来た宝石………やったァァァ!!!」
「な、何ですの⁉︎ いきなり、大声出さないで下さいな⁉︎」
菖が不平を言うが、雪歩は意に介さない。
「最高の大冒険が始まりそうな予感がする‼︎ 早く出発しよう‼︎」
『ま、待って、雪歩ちゃん⁉︎ まだ話は……‼︎』
蒼太が止める間も無く、雪歩は飛び出して行った。
「……行っちゃったね……」
「……相変わらず、人の話を聞かねェな……」
「……場所も聞かないで……どうやって行くつもりかしら?」
完全に呆れ果てて、四人は溜め息を吐いた。しかし、何時迄も呆けてはいられない。
「アドバイザー……出発するにして、その船が沈没している場所も元より、私達は海底探索用のビークルを所有してませんわ……」
菖の言い分は至極最もだ。海底にある沈没船を探索するには、船か潜水艦が必要だ。
すると、菜月が自身げに行った。
「大丈夫‼︎ こんな事もあろうかと、影斗君が開発した海洋探索のハイパービークルがあるよ!
それがあれば、沈没船だって探索できちゃうから!」
「……本当に都合の良い展開ですわ……」
「……ま、そうしなきゃ、話が進まないしな……」
紺亮と菖の台詞を他所に、菜月は画面を映した。画面にはクルーザーを模したビークルが映し出される。
「No.S -04 ゴーゴークルーザー。ダイボウケンmk−Ⅱをサポートする目的で開発されたハイパービークルだよ。
外見はクルーザーだけど、潜水艇モードに変形すれば海底の探索も出来るし、船底とデッキに備えられたクレーンを用いて、海底の物をサルベージできちゃう優れ物!
此れを菖ちゃんに、任せるね‼︎」
「了解!」
「植村だけかよ⁉︎ 俺達には無いんスか⁉︎」
菖のみが、新型のビークルを任された事に不満を漏らす紺亮。
『まァまァ。今、技術開発室は残り二機のハイパービークルを開発中だ。それが出来るまで、待ってて欲しい』
蒼太に諭され、紺亮は取り敢えず納得した様子だった。
『……あと、菖ちゃん。個人的に頼みがある……』
「デートの誘いなら、無駄ですわよ」
菖は、ツンケンした口調で返す。実は入隊時から、蒼太には何度か誘われた事があるが毎回、菖はスルーしていた。
『違う違う。菖ちゃんは、ボウケンジャーとなる前から、冒険家として名を馳せていた。だから、プロ意識が高いのは仕方ないし、民間人出身の雪歩ちゃんや紺亮君と行動する事に物足りなさを感じるのも必然だ』
「……何が言いたいんですの?」
菖は無表情のまま、だが少し苛ついた様子だった。
『僕の仲間にもね……似た奴が居た。当時のチーフへ対抗する余り、常に自分の中にある闇に苦しみ、抗い抜いた奴がね…。
菖ちゃんは、彼と良く似ている。お嬢様と言う束縛から解放されたい余り、自由な冒険の世界に飛び出して……でも、未だに自分の『植村』の名を枷として歯痒く思っている……。
良く似てるよ……』
「一緒にしないで下さいな‼︎」
急に菖は声を荒げた。紺亮は目を丸くする。
「お、おい……」
「アドバイザーが私を誰と重ねているかは存じませんが……私は、私ですわ‼︎ 植村菖と言う一人の人間ですわ‼︎
それに、私は別に束縛が嫌いだから、ボウケンジャーになった訳じゃ無い……! ただ……私の目で世界を見たいからですわ‼︎ 勘違いしないで‼︎」
珍しく感情を露わにして叫ぶ菖。しかし、蒼太は穏やかに言った。
『分かってるよ……だからね、君に頼みたい。君は物事を冷静に分析し、最善のルートへ繋ぐ判断力がある。雪歩ちゃんは、夢に向かって一直線で素直な良い子だけど、周りに対する気配りは苦手だ。
雪歩ちゃんや紺亮君をリードしようとしなくて良いから、君が現場で仲間達に危険が及ばない様に指示を出して欲しい。
あと、紺亮君』
「えッ、俺も⁉︎」
急に話題を振られ、紺亮は慌てた。
『君も冒険家では無い、民間人だ。だから、雪歩ちゃんとは考えも似ている。
雪歩ちゃんが突っ走らない様に菖ちゃんが指示を出す間、君は一歩下がった所で見守って欲しいんだ』
「そう言うのは、蒼太さんやチーフの役目でしょう? 俺は植村みたいに判断力は無いし、雪歩みたいに突っ走る様な果敢さも無い。
いざって時に、足引っ張るかもしれないっスよ?」
『だから君に頼みたいんだ。別に判断力も果敢さも無い。君が居るだけで、メンバー間がギスギスしない様に緩和する事もある。
つまり、君は「緑の下の力持ち」であって欲しいんだ』
蒼太の提案に、紺亮と菖は同時に溜め息を吐いた。
「……それ、めちゃくちゃ損な役回りじゃ無いっスか……! ま、良いっスよ……アイツが無茶しない様に見てりゃ良いんですね?」
「……全く……! 気は進みませんが……白瀬さんが、無茶をしたら任務に支障が出ますし……善処はしますわ……」
一先ず、納得した様子に蒼太は頷く。
『ああ、頼んだよ。菜月ちゃんから何かある?』
「ううん。言いたい事、蒼太さんが全部、言ってくれたし。じゃあ、一つだけ。頑張ってね、二人共!」
菜月のエールを受け、二人はサロンから後にする。残された菜月と蒼太は、話をし出した。
「……蒼太さん。話さないで良かったの? 財団の事、蒼太さんが調べた結果……」
『菜月ちゃん、まだ時期が早い。それに……話した所で、彼等は受け入れられないしね……。
一応、明石さんが保険は掛けてある、と言っていたけど……その明石さんやさくらさんも今は表立って動けない……。
菜月ちゃんの方は? 真墨と連絡は?』
蒼太の問いに、菜月は首を振る。
「もう、3年間も音信不通。最後に連絡した時に『サージェスは危険だ』って言って、それっきり。
Mr.ボイスも全然、出てこなくなったし……何が起こってるのかな?」
『なんとも言えない……だけど、これだけは言える……。今のサージェス本部には要注意した方が良い……』
そう呟くと、蒼太は厳しい目で黙る。菜月はデスクに飾ってある写真を見た。明石暁、伊能真墨、最上蒼太、西堀さくら、高丘映士、牧野森男、そして自分……かつて、共に冒険した仲間達……。今はバラバラとなって、会えなくなった。
特に付き合いの長い真墨とは、3年間も話すらしていない。元々、一匹狼で仲間と距離を置きたがる性分だったが、こんなに長かった事は無かった。
「生きてるよね……真墨……」
そう自分を言い聞かせる様に、菜月はボソリと呟く。まるで不安な考えを押し流さんとする様に……。
某所……とあるビルの薄暗い一室……。其処に佇む人物は地上を眺めていた。下はアリの様な人集りと、目紛しく行き交う車……。
その人物は忌々しげに舌打ちをする。
「……主が『お前は何者か?』と尋ねると、其れは答えた。『我が名はレギオン。我等は大勢であるが故に……』。
正しくレギオンだ。時代の甘い汁に集り、悪臭を垂れ流す悪魔共……この世は『
そうは思わないかね?」
「……そうですね……」
人物の横に並び立つ影に話しかけた。
「彼等は上手くやっているかな?」
「……その筈です。既に、メガ・プレシャスを手にする為に、活動している筈ですわ……」
「そう来なくては、な……。それにしても、明石暁め……私の失脚を図るとは。育ててやった恩を仇で返されたよ……!
日本の諺では、こう言うのかな? 確か『飼い犬に手を噛まれる』……だったかな?」
そう言いながら、その人物は静かに怒りを見せていた。しかし、後ろに控える影は言った。
「心配には及びません。“あの者達”に捜索させています。居場所を特定し次第、夫婦揃って『消えて』頂くつもりです……」
その言葉を聞いた人物の口元は、ニヤリと笑う。
「でかした! 目の上のコブだった白瀬冬次郎に続いて、明石暁の始末に成功すれば我々、サージェスに敵は居なくなる!
反乱分子は全て始末し、我々はいよいよ計画の大詰めに掛かるぞ‼︎」
「既に整いつつあります。万が一、露見した場合には、あの愚かなネガティヴ達が罪を被ってくれますわ」
不穏な言葉を続ける二人。だが、その様子を二人の居る部屋の外にある窓の下に逆さ吊りになって、盗み聞いている者がいた。
「……ふ〜〜ん……サージェスの連中、私達を一網打尽にした後、好き勝手にやってくれるじゃ無い……。
何を企んでるのか知らないけど……サージェスなんて、ペペペのペーよ‼︎」
それだけ言って、その者は音を立てずに姿を消した。
更に、とある場所では……
「海賊のプレシャス? それが、メガ・プレシャスなのですか、マスターD」
ネオ・クエスターズのラアナが、画面に映るDに話し掛けていた。
〜そうです。古の海賊、キャプテン・ゴールディは数多の宝石をコレクションとする海賊と知られていましたが、その中で最も価値のある宝は自分が肌身を離さず持ち歩いていた、との事です。
一説によれば、その宝は死者を生き返らせる力があった、とされています〜
「死者を? それは外法の極みです。だが、それだけ聞けば、プレシャスの匂いがプンプンしますな‼︎」
「ドゴラン‼︎」
ツルギ、ドゴランも同意した。
〜分かったら、ボウケンジャーより先にプレシャスを入手しなさい! いいですか? 次、失敗したら……分かってますね?〜
「ひえッ⁉︎ あ、あれだけは御勘弁を‼︎
ドゴラン! ツルギ! 出発するわよ‼︎ 今度こそ、ボウケンジャーより先に、メガ・プレシャスを我が手に‼︎」
「ハッ‼︎」「ドゴラン‼︎」
ラアナは、マスターDに発破を掛けられ、出発する準備を始めた。
更に、とある海岸では……
「今度こそ、メガ・プレシャスである事を祈りたい……。
『―KAMEN RIDE―』変身‼︎」
『―DE・END―』
影斗は、仮面ライダーディエンドへと変身した…。
ー次回予告!
海賊王ゴールディの残したプレシャスを手にする為に、ボウケンジャー、ネオ・クエスターズ、ディエンドは各々に動き出す。
しかし、其処にプレシャスを守る存在が現れて……。
次回! 轟轟戦隊ボウケンジャー Return−White.adventure
task6 キャプテン・ゴールディ
???「プレシャスは……俺様の物だァァァァ……‼︎」
菖「い、いやァァァァァァッ!!!!!」