「生徒の如何は先生の自由。ようこそ、ここが――雄英高校ヒーロー科だ」
個性把握テストを行いトータル最下位の人物は除籍…
平然と言ってのけた相澤先生と、それを認めるという雄英の校風。ヒーローを目指す過酷さを改めて自覚したのだった。
「どうしたもんかな……」
俺の“個性”は、言わば武器を生成する個性だ。何かに奮ってやっと真価を発揮する。こういった競技には向いてはいない。
それが本来の衛宮士郎であったのならば。
「やりようはある……か」
一種目目『50m走』
「強化、開始」
両足に強化魔術を施し、地面を蹴った。
ドッと鈍い音が響くと瞬く間にゴールに辿り着いた。
結果『2秒25』
うん、中々いい結果じゃないだろうか。
飯田が何やら悔しそうに唸っていた。
二種目目『握力』
こちらも先程同様強化を施して測定器を握った。
メキメキと音を立てる測定器の数値を見る。
結果『246kg』
我ながら握力も良い結果が出たんじゃないかと満足している横で500代を叩き出されてしまった。
まだまだだなと意識を切り替え引き締めると次の競技に向かった。
三種目目『立ち幅跳び』、四種目目『反復横跳び』と競技をやっていき、そして次にソフトボール投げ。
俺は相澤先生の指示に従いグラウンドに書かれた円に入った。
「円から出なきゃ何してもいい。始めろ。」
この競技に置いて今まで通り強化した力で投げるだけでも充分距離を稼げるだろう…だが個性を最大限に活かるやり方……それは
俺は腕に強化魔術を掛け全力でボールを投げた。
「なにする気だ……?」
相澤先生は何かを察したのか俺に注視していた。クラスの皆も俺のやろうとしてる事に夢中になって視線を向けてくる。
俺は気にせずにその言葉を紡ぐ。
「投影、開始」
黒き弓、無銘の剣。
弦をギリギリまで引き、捉えた座標に一直線に放った。放たれた剣は寸分違わずボールを射抜いた。
最高長に達したボールを押し出すように矢は更に高度と距離を伸ばし遥か先で落ちていった。
「衛宮士郎、1275メートル。……次だ、二投目だ。衛宮」
「いえ、もう大丈夫です。」
「何?あれ以上伸びないって言うのか?」
「えぇ、寸分違わず。」
「分かった……次。」
「てめっモブ野郎!!」
「勝己……」
「いい気になるんじゃねェぞ!」
「落ち着けって」
「落ち着けるか!」
「なんでさ……」
乱暴な幼馴染の相手をしていると
「――∞!? すげえ、∞が出たぞ!?!」
すごい大記録が叩き出されていた。
「……なあ」
「黙ってろ」
「でも」
「静かに……してろ!!」
「分かったよ……」
2位を寄せ付けないナンバーワンだったはずの勝己にはこの状況は酷くプライドをやられたのだろう。好成績を出していた俺にも彼の気持ちが何となく解った。
その後、無個性だと思っていた出久の叩き出した記録に勝己が大暴れし先生が止めに入るというトラブルも発生しつつ最後の競技に移った。
最後の競技である持久走は常人を大きく上回る結果となった。
八百万がバイクを作って乗った時は流石にずるいと思ったが個性把握テストだ、まぁ仕方ないと割り切った。
こうして個性把握テストは多少のトラブルはあったもののなんの問題も無く終わった。
「んじゃ、ぱぱっと結果発表する」
「トータルは単純に各種目の評定を合計した数だ。口頭で説明するのは時間の無駄なので一括開示する。」
このクラスの中から誰かが……
「ちなみに除籍は嘘な」
「「「「「はぁぁぁぁぁぁぁ!?」」」」」
「なんだ……良かった。」
「これにて本日のカリキュラムは終了だ。書類には目を通しておけよ。」
相澤先生はそれだけ言うと帰っていった。
明日からの学校生活に不安を抱きながらも最初の課題を乗り越えたのだった……。