Fate/loneliness 3 Fate/Grand order -a little master- 作:からすまそういち
第二節 邂逅
「――おや、珍しいですね。こんなところに人がいるとは」
袴着の青年はそう言った。
「初め、まして」
「貴女がマスターですか?」
私の右手の甲を指差して彼は問いかける。
「え、ああ、はい。カルデアのマスター、藤丸リツカです」
「ああ、貴女が例の。話は聞いています。私の真名はスクナヒコナ。一寸法師です、よろしく」
彼は右手を差し出した。
私もそれに答える。
「一寸法師さん、ですね。分かりました」
「ええ、セイバー、一寸法師です」
握手を済ますと彼は懐から針を一本取り出した。すると、それは一気に伸びて槍の様になった。
「見てくれは悪いですが、これでも剣なんですよ」
彼はそれをペンの様に手の上で転がしながら言う。扱いに大分慣れているようだった。
針の扱いを見せ終わると、彼は針を元の大きさに戻して懐に仕舞う。
「私はマスターを探しています。そして貴女はサーヴァントを探している。そうですね?」
「は、はい」
「では早速契約してしまいましょう。善は急げと言いますし、ほら」
そう言って彼は懐から電子機器を取り出し、私に向かって差し出した。
「えーっと、これは?」
「私の令呪端末です。これを貴女が受け取れば契約は完了です」
差し出された電子機器のモニターには赤い筋、令呪が映っていた。
令呪端末。初めて聞く名だ。これで令呪を管理しているのだろうか。
話がうまく理解できていないが、私は彼の端末を受け取った。
「これでいいの?」
「はい。これで契約は完了です。此度の聖杯戦争はマスターのいない七騎での戦。彼らは己の令呪端末を一つ持っており、それらを破壊すれば勝利です」
「なんだかコンパクトだね」
今まで私が経験してきた疑似聖杯戦争のどれとも違う内容だった。でも、そういうこともあるのかもしれない。
「そうだ、マスター。これを飲んでください」
一寸法師は液体の入った小瓶を私に見せた。
「なに?」
「解毒薬です。此度のアサシンは毒薬を使うため、あらかじめ用意しておきました。これを飲んでおいてください」
一寸は私にその小瓶を渡した。
「……」
まだ理解が追いつかないが、彼がアサシンの素性を知っているというのなら、そうなのだろう。私は小瓶の蓋を開け、中の液体を飲んだ。
私は空になった瓶を一寸に返す。
「これでよし。さて、じゃあ早速ライダーを倒しに行きましょうか」
「場所を知ってるの?」
「ライダーの居場所は。奴は東本願寺にいます。歩けば着きますよ」
彼に促され、私達は東本願寺に行くことになった。現在の場所から東本願寺まではそう遠くはなかったけれど、着くまで一時間弱はかかった。その間、私達はライダーとどう戦うが少し会議しながら歩いていた。
「ここです」
大きな門の前で私達は立ち止まる。
そこから中を伺うと、敷地の中に一寸とは違った雰囲気の袴着の老人が見えた。彼は縁側に座って外を眺めている。
「ライダー! たのもう!」
一寸は大声を上げて敷地に入っていく。私もその後についた。
「なんじゃ、またお前か。煩い奴よのう」
ライダーはめんどくさそうにそう言った。
「ライダー、私はマスターを見つけたのです」
「そうか。それはそれは。で、何の用じゃ」
「再戦願う」
「だからそれは断ったじゃろ。儂には戦う理由なぞない。聖杯戦争に勝ったとて、聖杯を手に入れたとて、意味はないんじゃ。儂が叶えるべき願いは儂の手で叶える必要がある。そして、その機会は永延に来ぬ。だから、儂にはもう願いなんぞないんじゃ。去れ。そして次来るときは酒を持ってこい」
ライダーは一寸を軽くあしらった。その態度に思うところがあるのか一寸は懐から針を一本取り出して、言う。
「へえ、じゃあお前は戦えないと言うのですね。つまり、
「……若造が。あまり調子に乗るなよ。無論、
ライダーは立ち上がった。すでにその手には刀が握られている。
「マスター、突撃しますので支援を!」
一寸はそう言って走っていった。
戦闘というならやるしかない。
私もまた、右手を構えた。