Fate/loneliness 3 Fate/Grand order -a little master- 作:からすまそういち
第五節 アサシン
エレナに付いていくと、ある公園に辿り着いた。
公園に、男が二人いる。
「ヘクトールさんにレオニダスさん!」
彼らはヘクトールとレオニダス一世だった。見れば分かる。姿もカルデアに居る頃と変わらない。間違いなく二人だった。
「いよっ、あんたがカルデアのマスターね。オジサンのこと知ってるってことはそっちにオジサンがいるのかい?」
「はい! 勿論! レオニダスさんもです!」
「いやはや、そうなのですか。これは嬉しい。我らが肩を並べる場所があったのですね」
「いやぁ、いいね。こんなところでお別れするには勿体ない出会いだってさっき話してたところだったんだ」
「なんでえ、二人ともマスターの知り合いかい」
「まあ、そういうこともあるじゃろ」
「とりあえず、これで全員が揃いましたね」
「ああ、そうだ。これだったな」
ヘクトールが思い出したように令呪端末を取り出した。
レオニダスも自身の端末を手に取る。
「オジサン達は戦うつもりなんてないぜ。マスターがいないからな。俺達が戦う必要なんてないのさ」
「ええ、人理の為というならそちらを優先すべきでしょう」
彼らは私に端末を差し出した。
私はそれを受け取った。
「ありがとうございます。信じてくれて」
「いいのさ。オジサン達が召喚されたのが何かの間違いだっていうんだ。なんせ、セイバーだからな。オジサン、あんまセイバーは得意じゃないのよ」
「――え?」
固まる。ヘクトールがセイバー? 確かに彼にセイバーの適正自体はあるけれど、それはあり得ない。
だって、セイバーは既にいるんだから――
「ははは!」
一寸が笑い声をあげた。
「――『
その声と同時、私の胸から何かが――出た。
胸から腹から無数の針が皮膚を突き破り飛び出した。そして、それは手に持つ令呪端末をも貫く。
「な、なんじゃこれは⁉」
ライダーの声が聞こえる。あ、れ……でも声が遠いな。
何故だろう。
膝から崩れ落ちる。
「はははははは‼」
一寸の笑い声が頭の中を木霊する。
な、何が起こって――
「良かった。ぎりぎり間に合ったようですね」
薄れていた意識が回復する。
私は一寸法師に抱えあげられていた。
針はどこにもない。あれ? 確かに針が私を食い破った筈なのに――
「小槌で治しました。もう大丈夫ですよ」
彼は私を下ろした。立つ。体の何処にも異常はない。服も元通りだ。血の跡さえ残っていない。
「な、何故お前がここに居る! お前は殺したはずです!」
目の前の一寸が指を差してそう言った。
――あれ?
一寸が二人いる――
「お前の殺し方はいい加減なんですよ。針で串刺しにすれば殺せるとでも? 小槌も取り上げておくべきでしたね」
「おいおい、なんで同じやつが二人もいんだよ」
アーチャーが二人を見比べながら言った。
「紹介が遅れました。一寸法師。我が真名はスクナヒコナ。クラスはアサシン。そこにいる私の善性です。そしてそいつが私の悪性。スクナヒコナ・オルタ。悪童、スクナヒコナです」
「オルタじゃと――」
「この聖杯戦争が始まった時、私とこいつがまず対決しました。そして、私は負けたのです。私は針串刺しにされ、令呪端末を奪われた。先程、やっとなんとか自力で脱出できたところなのです」
「くそっ、あれで死なないのか……」
「私は神ですからね。腐ってもそんなものでは死にませんよ。おや? 貴方には分かりませんでしたか? 神ではない貴方には」
「……ちっ、だがもう聖杯戦争は終わったんですよ。私以外の令呪端末は全て破壊しました。つまり、聖杯は我が手の中にある――」
オルタは右手を前に出す。
その手には聖杯が握られていた。
「しまった! もう既に聖杯が!」
「ふふふ、さあ、苦しみ藻掻くがいい。今から私が教えてやろう――絶望を!」
彼の霊基が黒く変色する。
そして、膨れ上がっていった。
人の原型を離れ、大きな怪異へと。
「この私が勝利し聖杯戦争は終わった。そして、私は終わらせる。私を、この世界ごと――呑み込んで」
怪異は言う。
「全く、どうやらやるしかないようですね。マスター、準備はいいですか?」
一寸が私の肩を叩いた。
「うん、やってみるよ」
私は右手を構える。
アーチャー、ライダー達も自らの武器を構えた。
今、決戦が始まる――