友人の【魔法適正】が最強クラスだったので、僕は大人しく支援に回ろうと思います。 作:にっぱち
第二章第0話 【進む君と、止まった僕の】
僕と灯火はこの世界で師匠と呼べる存在に出逢い、遂に新たな生活が幕を開ける。
―――なんていうことは無く、特に代わり映えすることの無い生活が今日も幕を開けた。
日が昇るよりも早く起きてロードワークに行く灯火、日が昇ってから起きて朝食までの間はマナ操作の練習をする僕。
朝食を食べ、灯火はダインさんと一緒に依頼をこなしに行き僕はスローアさんが経営するお店に行く。
修業と同時に依頼をこなしていく灯火と、修業の傍らでお店の手伝い(というよりバイト)をする僕。
そんな仕事と修業を両立させるような日々が、暫くの間続いてた。
それに変化が起きたのは、この世界に僕らが来てから60日くらいが経った時のこと。
灯火が一人でも依頼をこなしに行くようになった。
ダインさんに聞いてみたところ、「そろそろ独り立ちしても十分だろう」とのこと。実のところ、20日ほど前の時点でダインさんはクエストに同行するだけで依頼内容は灯火一人でこなしていたらしい。
この時、僕は灯火の凄さを、センスの高さ、努力を怠らないことで身に着いた結果を改めて知った。
と同時に、自分自身の不甲斐なさを思い知らされた。
僕は未だに、代わり映えしない生活を送り続けている。
朝起きてマナ操作と『付与』『分離』『合成』の練習をし、朝ご飯を食べてからスローアさんのお店に行く。お店を手伝い、日が暮れたら修業を始める。
灯火はこうして結果を出し、どんどんと先に進んでいるにも関わらず僕は漸く『付与』『分離』『合成』の基礎を身に着けることが出来たくらい。独り立ちの兆しは全く見えてこない。
僕が止まっている間に、灯火はどんどん先に進んでいく。
数多の依頼をこなし、実力をつけ、タラハットの中でも徐々に頭角を現していった。
そして約半年が経つ頃には、灯火はタラハット内でも1、2を争う程の実力の持ち主へと成長していた。
僕は半年経っても、初級魔道具師程度の技術しか身に付けられていないのに。
勿論、冒険者と魔道具師では覚えることの量が違うということは分かっているけど、身近でこうして頑張って結果を出している人がいるとそりゃあ焦る。
先天的なセンスに差があることだって分かっている、僕にセンスが無いことも分かってる、灯火は僕の何倍も努力していることだって分かってるそもそも僕と灯火を比べること自体がおこがましいことだって言うことだって全部ちゃんとわかってる
でも、でもこれじゃあ……
「灯火の影にすら、なれないじゃないか」