駄文ですが読んで頂ければ幸いです。
ではどうぞ。
日付が替わり、日が昇り暗闇に包まれた大地に光が浸透して行く。
あらゆる種別問わず生きとし生ける者全てに降り注ぐ活力の源たる太陽。
朝早く起きた我は、ベッドから抜け出しディアンケヒト・ファミリアの治療院の中庭でこの世界に来て初めて天からの恵みの光を全身で浴びた。
心地よい陽の光の元、自分の生を実感した。
自分の胸の傷を手でなぞりながら空気を吸って吐いてを繰り返した。
そして軽く準備運動をしながら自分の体の調子を確かめる。
まだまだ本調子ではないが、早くこの体に慣れておきたいと拳や蹴りを混ぜながら宙で空を弾いた。
「やはり、良いものね日出は……そうは思わないアミッド?」
「…そうですね。こんな朝早くにどこに行くのかと思いましてね」
「…もしかして、私が脱走すると思ったのかしら?それは早計よ。私だって、自分の恩人に感謝も述べないまま立ち去る程恥知らずではないわ。リハビリも兼ねて軽い運動と日出を見に来ただけよ」
「…か、軽い運動ですか今のが………いえ、あなたがそんな勝手な事をするとは思っていませんでしたが、単純にまだ身体に違和感があると思って心配で見に来たんですが杞憂でしたね」
「…そうでも無いわ。まだまだ身体が思うように動かないから、これはもう少しリハビリが必要ね。そういう事だからまだここに厄介になる事にはなるわ」
「…そ、そうですか。今日はあなたを救助した人達が来ますので早めに部屋に戻ってくださいね」
「わかったわ。でも、もう少しここに居させてもらうわ。ここは風が心地いいから」
とそう言ってアミッドの姿が完全に見えなくなってから少し実験をする事にした。自分の指先に力を集中させ、念じる。身体中から、膨大なエネルギーが指先に流れ紅く閃光が迸る。
それは、ここに高位の魔導士がいれば驚嘆する程のあまりにも緻密に洗練された魔力操作であった。
ーーこんなものか。今の状態ではこれ以上赤雷の放出は厳しいか。
ある程度身体がほぐれてきた所で自分の部屋に戻り、精神を集中させこの治療院の全体像を把握した。
ーー今の我では、この程度が限界か。暫くはアミッドの言う通り大人しくしておくとしよう。
それから数時間後、我を訪ねて二人の女性がやって来た。
一人は光沢のない薄鈍色の髪の
「無事に意識を取り戻して良かったです」
「ご無事で何よりです。かなり酷い怪我でしたから本当に」
と我の無事を祝ってくれた。
まさか我の正体を知らないとは言え、人間に助けられるとはな…因果なものだ。人に斬られ、人に救われるとは…。
「二人が、私を助けてくれたのですね。私は、ミラ・アーツ。この度はあなた方に命を救っていただきありがとうございます」
「そんなに固くならないでくださいミラさん。倒れている人を助けるのは
「リュー・リオンです。同僚からは、リューと呼ばれています」
「分かったわ。シルとリューねよろしく。私の事もミラと呼んでね」
とりあえず、簡単な自己紹介を終えてそれから二日後にもう一度、我を引き取る酒場の店主と一緒に来る事に決まった。もともと、この世界に来たばかりの我にとっては都合が良かった。そして、病室であまりに暇だと告げると二人とも我の話し相手になってくれた。
それから、彼女達と数時間談笑を続けた。彼女達が働いているお店の事、彼女達の失敗談、同僚の
日が沈み、辺りに影が差した事もあり名残惜しいが話はここまでとなり、二人は帰って行った。
先程の話を、聞き我は理解した。目覚めたばかりでまだ慣れないが、この人間姿でも我の本質は変わらない。ダンジョンにいるモンスターと人類の闘争。それは、古来より我が前の世界で数千、数万年見続けてきた世界の歴史そのもの。世界が違えど、
身体が万全ならば今すぐでも、突撃しそうなそれを我は必死に抑えた。
ーー身体が心が本能が闘争を求めている。
※※※※※※
ミラと別れ、アミッド・テアサーレは自分の部屋に戻った。その直後に、大きくため息を吐いた。
一週間前くらいに緊急でディアンケヒト・ファミリアに運ばれた彼女を治療したのは、確かに私だ。
突然白髪の女の子を抱えたウェイトレス姿のエルフと薄鈍色の髪の
彼女の胸の傷だけは、私の魔法でも完全には治す事は出来なかった。あの胸元の傷跡の診断の結果、かなり深々く鋭利な物で抉られた事が分かった。あれ程の傷を受けて即死しなかったのは奇跡だ。神の恩恵も持たない一般人の彼女が何故、高位の冒険者でも死んでもおかしくなった傷を受けて生き延びる事が出来たのかそれは主神であるディアンケヒト様でも分からなかった。更に恩恵ももたずあれほど致命傷を受けて目覚めて間もない時間であれ程の動きを見せる彼女に内心戦慄を隠せなかった。
そして、何より彼女ミラ自身が
ただでさえ、透き通る様な美しい白髪と強い意志を感じさせる紅い眼、整った顔立ちと可憐な少女の容姿にどこか天然で無邪気な言動を含めて神も人も彼女をほっとかないだろう。更にその容姿に似合わずそこらの冒険者を遥かに凌ぐ身体能力と回復力を持ち、そして彼女がどこのファミリアにも所属していなかった事も含めて、この迷宮都市オラリオにおいて常識という枠から外れた存在。
仮に、この事が外に漏れれば彼女の争奪戦が起こる事は想像に難くない。
だが、彼女自身がこれからどうなるかは分からない。幸か不幸か彼女の恩人達の拠点はそれを跳ね返す力を持っている。
しかしそれは、神の気分次第だ。神の娯楽の為に、消費された者たちは枚挙に暇が無いのだから。
アミッドは、両手を合わせて彼女の安寧を祈った。それはさながら、心身深き聖女の二つ名にふさわしい姿だった。
小説書くの難しい。