ジャパンカップで8着になった時シンボリルドルフ理事長に呼び出された
「昨今の成績低迷は不甲斐ない……なぁミッションタイマー」
理事会の面々が私の周りの座席に座る
普段は会議等に使われているであろう机がコの字の様に並べられ、私はコの字の空いている部分に立っている
「もう十分だろ。君は終わったんだ」
「……何を言っているかわかりません」
「これでも直接的だと思ったんだがもっと真っ直ぐ言わなければならないか……引退かドリームトロフィリーグに移籍しろミッションタイマー」
「嫌です」
「もう頑張らなくても良い十分に実力が無い中頑張ったさ……三冠の重圧に耐えきれないのだろもう良いじゃないか」
「なぜ私が引退しなければならないのですか! なぜドリームトロフィリーグに移籍しなければならないのですか!!」
「貴様の成績が不甲斐ないからだ!!」
ドンっと机をシンボリルドルフさんは叩いた
「ファンも少なくアンチばかり、成績は低迷し、G1では4着がやっと……G3、G2でも勝利はなくいつまで恥を晒すつもりだ?」
「私のようにドリームトロフィリーグで完全復活すれば良いじゃないか」
ナリタブライアン理事が援護とも言えない援護をしてくれるが私の思考は怒り一色だ
「私は確かに菊花賞のダメージで低迷してしまっている! でも札幌記念で復調してきてるんです! それに身長が急速に伸びて歩幅の調整が難しくて苦戦しているだけで成長が止まればまた勝てるようになります! 信じてください」
「……いいかい、君は三冠バだ。ただのG1バならこんな事は言わないさ……君は三冠バなんだ。いつまで名誉ある称号に泥を塗り続ける気だい?」
「あと2年待ってください! そしたら必ず復活して見せます」
「待てないからこの勧告するために読んだんだろう! いいかい、我々がどれだけマスコミから君を守ってきたと思ってるんだ!! これ以上守れないからこうやって勧告してるんだぞ!!」
「確かにエアエンジェルの三冠を防いだとしてアンチは多いですがそんな間違いを犯すような人が学園に居るとは思えません!」
「たわけが! 居るからこんな話し合いになってるんだ」
エアグルーヴ理事が衝撃的な事を言う
「居る……居るとはどういうことですか?」
「菊花賞で戦った5着のメーデーメーデーが居たろアイツがお前の暗殺計画を企んでいる事が発覚した」
「はい?」
「ナイフと包丁でお前が時間外トレーニング中を見計らい殺傷しようとしていたのを同室のブルーライトバードが密告して捕まえられたが次も防げるかは怪しいものだ。メーデーメーデーは学園から退学処分と警察に引き渡すつもりだが模擬犯が現れないと限らない……どうしても走りたいならドリームトロフィリーグに行け! 時間をかけて建て直すならそれで良いじゃないか」
「私が知らない所で犯行を防いでもらったのはありがたいですが、私にはその傷ついた三冠の称号をやっぱり三冠バは強いんだと世間に知らせる義務がある! なにより私は最弱の三冠バなんて一生いわれ続けるのは嫌です! 認めさせます! 世間を……あなた方を……この学園の生徒にも……」
「それが本心か」
「三冠という称号を傷つけたのは悪いと思っています。ですがそれを晴らす場もなく引退勧告、移籍勧告はあんまりです」
「じゃあ聞くが今までの……去年の有馬記念から今年のジャパンカップまで汚名返上、名誉挽回できる機会は幾度と有った筈だ……なぜ果たせない?」
「それは……」
「君が誰よりも努力しているのは知っている。寮の門限を破って自主練習をしているのも知っている……なぜ勝てないんだ?」
「ですから歩幅の調整と菊花賞のダメージで」
「いつまでかかっているんだ!! もうすぐ1年だぞ!! 君は再来年に勝つためにとして今の勝負を捨てている!! それはレースを運営している側として到底見過ごすことのできない行為だ!!」
「うぐ……」
「今回の話は以上だ……よく考えてくれたまえ」
「絶対に……」
「ん?」
「……絶対に私は復活する」
会議室のドアを勢いよく閉めると私はチームの部室に向けて移動を始める
練習服が部室に有るため取りに行こうとしたのだ
「タイマーちょっといいかな」
真剣な眼差しのデジタルさんがいた
何時もならじゅるりら☆とか言いながらウマ娘を見て涎を垂らしてる時間なのに今日は一体何なんだろうか?
さっきの事で私は凄まじく苛立っている
「今後に関わる事だよ……少し話をしよう」
嫌な予感がビンビンする
「つまりデジタルさんもドリームトロフィリーグに移籍した方が良いと?」
「デジたん的には殺傷事件になりかけたのが気になってるのよ……脅しに屈したって言われてもタイマーちゃんが生きてレースに出てくれた方が私は嬉しいし」
「嫌です!」
「へ?」
「断固として拒否します」
「タイマーちゃんちょっと柔軟に考えてよ! 模範犯が出る可能だって有るんだよ」
「模範犯が何ですか! 私には私の人生が有ります! 才能が無い私を三冠バに導いてくれたデジタルさんは尊敬しています。ですが私はまだやるべき事が有るのです」
「それが再びG1を勝つこと?」
「いいえ……誰が最強なのかを見せつけます! 世間では私は終わったウマ娘とされていますが必ず復活して見せます!! そして伝説になるのです」
「……夢を見るのも大切だけど……タイマーちゃん現実を見ようよ。あなたはここんところG1どころか重賞すら勝ててない……賞金額も世代で5番手……今のあなたは最強とは程遠い所に居る」
ガシッっと両肩を掴まれる
「確かに菊花賞は伝説だった! それで良いじゃない! 年度代表バにも選ばれた、クラシッククラスで最強になれた……それで良いじゃない」
「デジタルさん……」
「私はあなたがこのままだと何処か遠くへ行ってしまいそうで怖いのだから……だから……」
「……それでも私は最強の称号が欲しい……私怨ですが私を虚仮にした生徒会も、引退勧告で三冠バの名誉を守りに来た理事会も……もう終わったウマ娘と書いて回るマスコミも……菊花賞で勝ったのにブーイングを送った観客も……有馬記念で負けたら手のひら返しで最弱の三冠バと認知した世間一般も……私は!! ただ!! 認められたいんだ!!」
私は泣いていた
そう認められたいのだ私は
だから走り続ける
認められるまで
三冠を取っても世間は運が良かっただのと理由を付けて認めてくれなかった
ならどうするか
世代を超えた最強の座を取るしかない
エアエンジェル、メジロファンタジーは世界を相手にしている
一方私はどうだ?
重賞で負けG1で負け……
次はオープン戦か?
ふざけるな
何が足りない
努力か? 努力が足りないのか
「もう一旦止まってくないかミッションタイマー……またあなたが壊れちゃうのは見たくないんだ。大好きなウマ娘ちゃんが私怨や恨みでレースを走るのは見たくないんだ」
デジタルさんも泣いている
「それでも!! 私は!! ……現役で走りたいんだ!!」
バッタンと勢いよく部室から私は飛び出した
……ここに居ては駄目だ……理由を付けて止められてしまう……外部に行こう
私はその日の内にリュックに詰め込めるだけ荷物を詰め込んでトレセン学園から出るのだった
寮から出るときにオルフェーヴルさんに有った
「こ、こんな時間に何処に行くんだ……行くんですか」
「ここに居ては引退しろって煩いから暫く外部でトレーニングしてくる」
「勘弁してくださいこれ以上迷惑かけないでよ……」
「じゃあまた」
「あぁ、待ってください待ってくださいってばぁ」
オルフェーヴルさんは追ってこない
前に気絶するまでウマ乗りになって顔面パンチを繰り返してからあんな感じだ
私は学園から飛び出すのだった