ミッションタイマー物語   作:ゆっくり霊沙

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やっぱり顔なのか?

 入学式が終わり、クラスに入ると輝くウマ娘が居た

 

 物理的にではなく比喩表現だがそれぐらい綺麗な子が居た

 

 選考レースでも対決したエアエンジェルだ

 

 もう直視できないほと整った顔立ち、髪の毛も黄金色に輝いており、入学そうそうウマ娘内でもファンクラブができる程だ

 

 そんな彼女と話しているのはデーモンコアとメジロファンタジーだろうか……彼女達も私には無い美貌でそこの空間の釣り合いがとれていた

 

「れ、レベルたけー」

 

 他のグループにはスカーレットリボーとサトノヘイロー、シンボリウオッチが話しているし、オリエンタルとハギノセンセキが何やら筋肉について話していた

 

 他の子も皆顔面偏差値が高かった

 

 一方私は145センチの低身長、やや筋肉質な体、目が窪み、骸骨みたいな顔立ちだ

 

 食べてはいるんだけどなかなか顔に肉が付いてくれない

 

 まぁ不細工だ

 

 綺麗に見せる努力はしていても肉が付いてくれないんだから仕方ない

 

 お父さんからはそんなことよりトレーニングしろって言われたがただでさえ片耳っていう有るべき物が無くて違和感凄いのに顔まで悪いんじゃ……ねぇ

 

 第二次成長期が遅かったのが原因でシニアクラス2期でようやく人並みの顔になったがそれまでは不細工とネットで叩かれ続けたなぁ

 

 当時の私はそんなキラキラした皆に混じること無く自席に座り黒子ちゃんと白子ちゃんの会話を聞いているだけだった

 

 

 

 

 

 

 皆で自己紹介をしよう! と担任のトウカイテイオー(東海)先生に言われて皆自己紹介していく

 

「エアエンジェルからじゃあお願い」

 

 席順でやっていくようだ

 

「はい! ……エアエンジェルです! 好きな言葉は勝利! 目標は世界一のウマ娘になることですよろしくお願いします!」

 

 短く誰にも負けないぞって言ったように私は聞こえた

 

 どんどん自己紹介していく

 

「オリエンタル!! 好きなものは筋肉! 好きな言葉は筋肉は裏切らない!! よろしく!!」

 

「サトノヘイローでしすわ! ティアラ路線完全制覇が目標ですわ! よろしくお願いしますわ!」

 

「スカーレットリボーよ! 三冠を目指すわ! よろしく!!」

 

「シンボリウオッチです! シンボリルドルフさんみたいな強くて格好いいウマ娘になれるように頑張ります」

 

「デーモンコア……誰にも負けないウマ娘になる」

 

 続々と言っていき、私の番になる

 

「ミッションタイマーです……認められたいです」

 

「じゃあ次は」

 

「はい! あたしメジロファンタジー! 天皇賞(春)を取って悲願を成就するんだ!!」

 

 私の挨拶は軽く流され、注目されているメジロファンタジーに印象を塗り潰された様に感じた

 

 私はここの誰よりも強く……早くなるんだ!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 放課後早速模擬レースに参加した

 

 今日は3レース有るらしく1400、1600、1800メートルのレースだ

 

 私は長距離の方があってると思って1800メートルのレースに参加した

 

 今日は優等生達は参加していないらしくスカウトも少ない

 

 私は好スタートを決めるとそのまま先頭で逃げる

 

 前回はスタミナ切れでガス欠になったから今回は脚が残るように調整する

 

 だがそんなことを習っていない私はペース配分を考えるだけでいっぱいいっぱいになってしまい12人中6着だった

 

 

 

 

 

 

 

「よぉトレーナー! どうだ? 今年は?」

 

「豊作豊作。入試の選考レースを見ていたが何人も成長すれば古バ戦線でG1勝てる逸材揃いだ」

 

 飴を咥えたトレーナー……沖野トレーナーがゴールドシップにそう告げる

 

「しっかしサブトレーナーにお前が成るとは思わなかったぞ」

 

「バカヤローゴルシちゃんが居ないとスピカじゃねーだろ!! ただでさえオルフェの野郎にスピカの主役が乗っ取られそうになってんだ!! 私が居なくなるわけ無いだろ!!」

 

「そういう奴だよなお前は……」

 

「でよートレーナー今のレースで気になる奴居るか?」

 

「そうだな……さっき1800メートルで2着だったサムライスピードって奴……鍛えれば重賞を何勝かしそうだ」

 

「おぉ! 良いじゃねーか……1着はダメなのか?」

 

「1着だったマーマイトは脚に爆弾を持っているな……触ってみれば確実だが触って蹴られた時に折れたら流石にヤバいからな」

 

「こう触ってみたいってのはいなかったか?」

 

「そうだな……6着のミッションタイマーかな」

 

「走り方ちぐはぐしてた奴か? 何でだ?」

 

「筋肉の付き方が歪だし、膝がくっつく程の内股だ……こういうのは稀に走る事が有るからな」

 

「あの骸骨みたいな片耳の奴がか? 走りそうには見えないぞ」

 

「ま、本番は明日のチームリギルの選抜レースだ。名門や実績有る奴が出てくるからな」

 

「おうよ! ずだ袋の用意はしておくぜ!!」

 

「あんまり激しくするなよ」

 

「おうよ!!」

 

(……ただ軸はしっかりしてるんだよな……フォームも少し修正すればレースに出れるレベルではある……まぁ気にしすぎてもしょうがないか)

 

 

 

 

 

 翌日授業を終えグランドに出るとリギルの選抜レースの受付が行われていた

 

「私も出てみよう」

 

 リギルは学園最強と名高いチームだ

 

 現在生徒会のディープインパクトさん、アーモンドアイさん、コントレイルさん、ジェンティルドンナさん、カネヒキリさん、デアリングタクトさんや寮長のモーリスさんなんかもここに所属している

 

 チーム方針は管理主義

 

 データに基づいて練習メニューや食事、レースプランを決めるともっぱらの噂だ

 

 ただこの学園にはもう一つ強いチームがある

 

 チームスピカだ

 

 このチームは選抜レースや模擬レースで気に入った子をずだ袋で誘拐してチームに入れるのが伝統でサブトレーナーのゴールドシップさんをはじめ、ドリームジャーニーさん、寮長のオルフェーヴルさん、キタサンブラックさん、サトノダイヤモンドさん、ブエナビスタさん、シーザリオさん、リスグラシューさん、オジュウチョウサンさんなんかが所属している

 

 うん、凄いメンツだ

 

 あとスピカはメジロマックイーンが所属していた過去からメジロ家のご令嬢が入りたがるなんて噂も聞いたことがあるチームだ

 

 このチームは自由主義、選手の自主性を最大限生かすチームで、練習の縛りも緩いが重要なレース前はスパルタになると噂されている

 

 他に強いところはチームベガやチームカノープスだろうか

 

 チームベガはベガさんやホクトベガさん、アドマイヤベガさん等が所属していたチームで最近でもワールドベガさんがオークスを制覇したりしてる

 

 チームカノープスはレインボーボールさんが居るチームで誘われるのであればこのチームに入りたいなぁ

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゲートに入りスタートする

 

 チームリギル選抜レース

 

 私は再び先頭を走る

 

 昨日の今日で直るかんじじゃないけど1つずつ反省点を潰していく

 

 今日はペースを意識しすぎてスローペースになった反省から昨日よりも早いペースで走るように意識する

 

 それが上手くハマったのか予選を私は4着でレースを終える

 

 ただ予選上位2名しか本選に行けないから私はここで脱落

 

 でも可能性を感じてもらえたなら誰かしらにはスカウトされるんじゃないかと期待していたが、私には誰もスカウトしてこなかった

 

 

 

 

 

 

 

「予選2グループのゼッケン16番あれどうだ? 4着の」

 

「ダメだな。レースに集中できてない。自分と戦ってる限り永遠に勝てないだろう。俺はスカウトする気にはなれんな」

 

「顔がなぁ……ウイニングライブも客商売だ。グッズが売れないとチームの収益にも俺らの給料にも関わってくるからな」

 

「末脚が無いのが残念だ。あの子よりも才能がある子は今年はゴロゴロしてる。無理してとる必要はないわね」

 

 たまたま私はその言葉を聞いてしまった

 

 ゼッケン16番、2グループは私だ

 

 やっぱり顔なのか? 

 

 私は悶々としながら自主練習を始めるのだった


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