人は、必ずと言っていいほどそれぞれ悩みを抱えている。
人に相談出来るような悩み。
口にすることが出来ない悩み。
墓まで持って行くかもしれない。
酒や、眠気、ノリで話してしまうかもしれない。
勿論、一夏や千冬、箒やセシリアにも。
例外なく黒乃も悩みを抱えている。
「…………っ‼︎」
現在黒乃はトイレに篭っている。
何故トイレに篭っているかというと、黒乃の抱える二つの悩みの内の一つのせいである。
財前黒乃という個体に、性別はない。
転生し始めてから数千年たった後、いきなりそれは起きた。
その世界で黒乃は男として生活していた。
それがある日突然女に変わった。
原因は不明だが、恐らく数千年生きた事でホルモンバランスが崩れたからだ。
若しくはISと融合したことにより、少しずつ本質から変化したのか。
そして、今の黒乃は女だ。
そう、いわゆる女の子の日だ。
性別の変化は不定期で起きる。
年単位で変わらない時もあれば、毎日のように変わる時もある。
これが悩みの一つ。
もうひとつは…………、
「おい黒乃っ‼︎さっさとトイレからでやがれ‼︎」
「…………もうちょっと…………もうちょっとだけ…………」
「さっきからずっと待っているぞ‼︎さっさと出るんだ‼︎」
黒乃の相棒である。
今回の依頼は、かなりの重要案件だ。
だから黒乃も、普段はつけない相棒をつけた。
それが間違いだった。
この相棒、恐ろしいぐらい掃除好きなのだ。
ちょっとでも椅子に座れば、「椅子が汚れた」と掃除を開始し、座れなくなったので、その場に立ったら「床が汚れた」と掃除を始める。
はっきり言って、隠れ家に居場所がない。
(私の家なのに…………)
自分の家で、肩身の狭い思いをしている。
黒乃、哀れ。
「…………」
「一夏、何を悩んでいるのだ?」
場所は変わってIS学園食堂。
「いや、ちょっと…………な」
「…………あいつの事か?」
「…………ああ、そうだな」
あいつ、織斑秋十だ。
一夏は、秋十が一応生きている事を知らない。
「…………乗り越えたと思ってたんだけどな」
「……………………心配するな。泣きたくなったら泣けばいいんだ。人はそんなに強くない」
箒に諭され、一夏は少しだけ顔を背ける。
「いや、流石に泣くような事はしないさ」
そういって少し笑みを浮かべ、食事に集中する。
箒も、心配そうに見ながら、食べ始める。
「…………なにやら入りにくい雰囲気ですわね」
「人は一つや二つ、悩みを抱えているものだ」
「……っ⁉︎ 吹寄さんですか…びっくりしましたわ」
「びっくりさせたのなら、それは謝ろう」
「……………………吹寄さんにも悩みはあるのですか?」
「当たり前だ。私にも悩みはある」
「例えば?」
「街中を歩いている時、人の視線がきになったり…………」
「あぁ…何と無く分かりますわ。吹寄さん、目立ちそうですもの」
「…………言わないでくれ。私も好きでこんな体型に産まれた訳ではない」
食堂の中で、二箇所やたらと空気が重くなった。
今日は…………ここまで。
【山田真耶の補習室】
山「…………」
桜「…………」
山「…………あっ、始まってたんですね。こんにちはみなさん」
桜「……………………何か、視線が痛い」
山「気のせいですよ!
今日のキャラ設定は【織斑秋十】です!」
織斑秋十
転生者 男
現象を反射する能力
一夏の兄弟として転生した男。
外見は紳士じみていたが、内面はハーレムを作るためなら何でもする外道であった。
第二回モンドグロッソにて、一夏と一緒に誘拐され、黒乃の手で処された。
数年前は脳と脊髄だけが液体の中に浮いている状態だった。現在は?
一応生きている。
山「吹寄さんが傷心状態なので、今日はこれで終了です!」
「それではみなさん、さようなら‼︎」